タレントプールとは? 意味、メリット、事例について

タレントプールとは、潜在する有望な人材に対して企業が継続的にアプローチしていくためのデータベースのこと。

有能な人材が確保できるかどうかによって企業の将来が変わりかねないことから、タレントプールといった施策が注目されました。ここでは、

  • タレントプールの手法やメリット
  • タレントプールとデータベースリクルーティングの違い
  • タレントプールが注目されている背景
  • 実際の導入事例

などを含めて解説しましょう。

1.タレントプールとは?

タレントプールは、才能を意味する「タレント」と、蓄えることを意味する「プール」を組み合わせた言葉でタレントプールとは、有望な人材を中長期的に管理していくためのデータベースを意味します。

採用する前段階の人材も含めて考えられており、効率的で効果的な採用活動のベースとして企業に利用されているのです。

タレントプールは、

  • 有望人材のデータベースを構築
  • データベースを利活用

といった意味で用いられることもあります。社内にタレントプールが構築できれば、

  • 効率的な採用活動や採用コストの削減
  • 採用活動の質を向上

といったメリットが生まれるとされているのです。

2.タレントプールの手法

タレントプールのシステム活用など具体的な点は後述するとして、まずタレントプールの手法について簡単に説明しましょう。

タレントプールの手法は、企業にとって「逃したくない人材」、すなわち経験や技術、実績などの条件面で非常に高いポテンシャルを秘めている人材と継続的にコンタクトを取り、常に一定の関係性を構築すること。

そして、企業と有望人材の双方にとってベストなタイミングが来た際に、採用を実施します。

3.マッキンゼーがタレントプールの必要性を指摘

タレントプールの考え方は、2001年に刊行された米国の経営コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーの人材獲得・育成の調査報告書『The War for Talent』で提唱されました。

同調査報告書では、「やがて人材獲得や人材育成を企業が争って行う時代がやって来る」と予想しています。そして、「リーダー候補といった優れた人材の獲得や育成が、企業のこれからの成長の鍵になる」とも語っているのです。

出版されてから20年弱の年月が経過しましたが、現代社会は少子高齢化や企業競争は激化。それはまさに『The War for Talent』で予想された展開ともいえるでしょう。タレントプールは、今後ますます注目されると考えられています。

「タレントプール」と「データベースリクルーティング」

『The War for Talent』には、「タレントプール」と「データベースリクルーティング」という2つの概念が記述されています。

2つについて同調査報告書では、

  • タレントプール:自社の採用候補者となる優秀な人材のデータベースを意味
  • データベースリクルーティング:タレントプールの人材と不定期にコンタクトを続ける採用手法

を意味するとしています。

4.人材(タレント)確保が困難となっている背景

タレントの確保が困難になっているといわれる時代背景を、3つの要素から見ていきましょう。

  1. 労働力人口の減少
  2. 従業員や求職者の働き方が多様化
  3. スペシャリスト人材の不足

①労働人口の減少

日本社会では今後、労働力人口が大きく減少するといわれています。

労働力人口総数の減少もさることながら、少子高齢化の影響を受け、年齢構成比にも急激な変化によるゆがみも問題視されているのです。若年労働者の割合が低下することから、若手を主戦力とする産業は打撃を受けるでしょう。

一方、高齢者層の労働力人口は、総数だけでなく割合も大きく増加します。若手の減少をどの程度高齢者が補うことができるかが、人手不足解消のポイントとなるでしょう。

②従業員や求職者の働き方が多様化

年功序列や終身雇用といった従来の日本型雇用は、その形を大きく変えてきました。

労働者の大半が正社員であった時代から、

  • 正社員以外のパートタイマー
  • 契約社員
  • 派遣社員

といった多様な雇用形態が混在する企業構造が、当たり前になりつつあります。労働に流動性が高まる、つまり従業員や求職者の働き方が多様化している現状が、人材確保を困難としているのです。

③スペシャリスト人材の不足

急速な技術革新や企業のグローバル化は、IT業界や自動車業界で深刻な人材不足を生み出しています。

  • AI技術者
  • データサイエンティスト
  • IoT技術者

といったスペシャリストのような企業が求める専門的なスキルを持った人材が不足しているのです。

また、求職者は存在するものの、求職者の持つスキルと企業が求めるスキルに大きな乖離が生じています。どのようにスペシャリストを採用するかは、企業の大きな課題でしょう。

5.企業がタレントプールを活用するメリットとは?

企業がタレントプールを活用する3つのメリットについて、解説しましょう。

  1. 採用活動の効率化
  2. 採用コストを削減できる
  3. 採用の質の向上

①採用活動の効率化

1つ目は、採用活動の効率化。今すぐには採用できなくとも、今後の採用候補をピックアップして有望な人材を蓄えておけたとしましょう。

すると次回の採用時、蓄えてある有望な人材からスムーズにアプローチできます。

  • 大海原から人材を見つけ出す
  • 囲い込まれた定置網から人材を見つけ出す

どちらが効率的かは、言うまでもないでしょう。

②採用コストを削減できる

2つ目は、採用コストの削減。

タレントプールが構築されていれば、急遽人手が必要になっても、タレントプールに登録してある人材にアプローチできます。人手不足が発生する都度、急いで求人募集をかけている状態と比較すれば、採用コストをいかに抑制できるかは明白です。

③採用の質の向上

3つ目は、採用の質の向上。

じっくりと候補者を選定したい場合でも、タレントプールの構築は有効です。プールしてあるタレントに継続的なアプローチを行っているため、企業と候補者が互いに十分な理解して、採用、入社できます。

事前すり合わせが功を奏して、採用の質が向上するのです。

6.タレントプールを導入する方法、実践の仕方

タレントプールは有望な人材を効率よく採用できる仕組みです。

タレントプールを導入するためには、3つの方法を段取りよく行うとよいでしょう。

  1. 見込みのある有望な人材を特定し、彼らのデータベースを構築
  2. データベースに登録されている候補者とのコンタクトを不定期に継続(その際、「自社のメンバーにぜひ加わってほしい」というメッセージを必ず伝える)
  3. 機会を見計らって候補者に採用の勧誘を実施

優秀人材のデータベースの作り方

米国の経営コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーの人材獲得・育成の調査報告書『The War for Talent』では、優秀な人材のデータベースの作り方、すなわちタレントプールの作り方に関して、次のように述べています。

「有望な候補者のデータベースを作る基礎となるのは、さまざまな場所でかかわった、あらゆる人材である。

つまり友人や同僚、現在の従業員、以前に仕事のオファーを蹴った相手、あるビジネスには向かないが、他の場所では大いに力を発揮しそうな人物、あなたの会社を辞めた有能な元社員まで含める。

こうした人々の履歴はどこかに保管され、見つけられるのを待っているはずだ。さらにデータベースに加えられる人材を、積極的に探す。

ライバル会社の高業績者、会議で言葉を交わしたことのある人、何らかの賞を受賞した人物、採用のターゲットとする学校、団体、会社に所属する人など」

  • 商品を送る
  • イベントに招待する

など、誠意を持ったアクションを不定期で行いながら、候補者の母集団及びコンタクトの機会、双方の最大化を求めているのです。

データベースリクルーティングの方法

『The War for Talent』の中でデータベースリクルーティングは、次のように提唱されています。

「データベースリクルーティングも、志望者との間をつなぐ新しいチャネルである。マーケティング担当者が顧客と接触するように、会社も将来の社員との関係を、データベースを介して築くことができる。

データベースによる人集めは、流し網ではなく、銛で獲物をつかまえるようなものだ。この方法は、まず会社にとって望ましい性質を備え、いつか自分たちの会社で働きたいと思う可能性のある人物を特定することから始まる。

そのような人々と連絡を取り続け、時間をかけて、自分たちの会社に加わってほしいという希望を伝える。彼らの職業の決定に影響を与えられそうな個人的、職業的な要因を調べ、適切なタイミングと思われる機会を見はからって勧誘する」

見込みある優秀な人材のデータベースを構築し、不定期でコンタクトを取り続け、機会を見て勧誘を行います。たとえ過去に採用を見送っていても、候補者から辞退された経緯があっても、再度プールして構わないといっています。

7.どんな業種業態・企業規模でもタレントプールを活用可能

タレントプールがうまく機能する業種や業態は特にありません。言い換えれば、どんな業種、業態でもタレントプールは有効活用できるのです。

また、タレントプールは企業規模を問いません。タレントプールを利用した採用活動は、大企業だけでなく中小企業でも導入できます。積極的な活用によって、有望な人材獲得を可能にするでしょう。

【ベンチャー企業・中小企業向け】タレントプールの活用法

中小企業やベンチャー企業でタレントプールを活用すると、自社の魅力を候補者にアピールできます。

大企業と違ってフットワークの軽い利点を生かし、企業のトップや経営層も積極的に候補者へのアプローチに加えます。

大企業志向が強かった時代と違って、自分を評価してくれて自分のやりたいことができる職場を探している人材は、確実に増えている時代です。

タレントプールは、彼らとの気軽なコミュニケーションを通して自らの企業をアピールし、候補者の志向や能力を丁寧にヒアリングしていく機会をつくり出せます

【大企業向け】タレントプールの活用法

大企業にとって、タレントプールの構築はたやすいことでしょう。大企業は、一般的な採用活動を通しても応募者が集まりやすかったり、従業員の数だけ紹介者を得やすかったりします。

採用活動そのものに時間と費用をかけることができるため、タレントプールの構築は比較的簡単なのです。

タレントプールは、母体数が大きいほど、有効に機能します。規模の大きい大企業は、タレントプールの特性と合致しているのです。

8.タレントプールの導入事例

タレントプールの考え方は、世界では広く浸透しています。ここでは、実際にタレントプールを導入する世界的にも有名な2社の事例をご紹介します。

これらの企業は、どのようにタレントプールを導入しているのでしょう?その知識をタレントプールを構築する際、参考にしてみてください。

ゼネラルモーターズ(General Motors Company)

アメリカの大手自動車メーカーであるゼネラルモーターズ(General Motors Company)は、タレントプールを導入している企業の一つ。

自社のキャリアサイト内に、タレントプールの登録ページを設けており、「求人への応募はもちろん、タレントコミュニティへの参加を歓迎します!」と、気軽な登録を促す文面が綴られているのです。

レジュメのアップロードは、直接アップロードのほか、LinkedInとのアカウントやクラウドストレージと連携されています。抜群の使いやすさといえるでしょう。

デル(Dell Inc.)

デル(Dell Inc.)の場合、「Sign Up for Job Alerts」という登録ボタンから始まります。将来の候補者として希望するポジションを選択・登録できるだけでなく、

  • Facebookメッセンジャーで友達に募集を紹介する
  • 自身が紹介者としての登録もできる

のです。

Twitter、LinkedInと連携した機能も搭載しています。タレントプールとリファラルリクルーティング、ソーシャルリクルーティングといった機能が融合されている点が、大きな特徴です。