嘱託社員とは? メリット、契約社員や業務委託との違い、定年制や継続雇用制度、待遇などについて

嘱託社員は、高齢者の雇用を継続させる動きが広がる中で注目されている雇用形態です。とはいえ、嘱託社員の詳細についてなかなか分からない点もあるでしょう。ここでは、そんな嘱託社員についてさまざまな点から解説します。

1.嘱託社員とは?

嘱託社員とは、定年退職した人が定年退職前の企業に再び雇い入れられる形で、雇用契約を結ぶこと。正社員とは異なり、有期雇用契約という契約社員の一種で、非正規雇用のひとつです。

定年を迎えたけれど能力や技術を活かして引き続き会社に貢献してもらいたい、そんな社員を有期で再雇用する場合に用いられます。

嘱託社員とは、定年退職した人を定年退職前の企業に再び雇い入れることです。立場は、有期雇用契約を結ぶ契約社員となります

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2.嘱託社員のメリット

嘱託社員のメリットを、企業側と働く側、両面から解説しましょう。

企業側のメリット

嘱託社員を雇う企業側のメリットは、下記の通りです。

  • 社内の状況をある程度把握している人を雇用できる
  • 必要とされる知識や技術などを発揮してもらえる
  • 一部のケースになるが、正社員を雇用するよりも人件費を抑えられる

働く人側のメリット

嘱託社員として働く側のメリットは、下記の通りです。

  • 社内の事情を理解しているため、働きやすい
  • 自分の知識や技術などを引き続き活用できる
  • 定年後でも収入を得られるため、生活が安定する

嘱託社員は、雇う企業側と嘱託社員として働く側、双方にメリットがある雇用形態です

3.嘱託社員と契約社員の違い

  • 契約社員:半年、1年など一定期間を定めた雇用契約の下で働く社員のことで、期間が終了する際に契約を更新して引き続き契約社員として働く人も
  • 嘱託社員:契約社員の中のひとつという位置付け

契約社員とは、雇用契約の期間が定まっている人のことです。従って、嘱託社員は契約社員の一種だといえます

4.嘱託社員と業務委託の違い

業務委託とは、会社と同じ立場で業務を依頼されて働く働き方で、特徴は、下記の通りです。

  • 会社との雇用関係はない
  • 委託業務ごとに契約を結ぶ
  • 委託業務が完了すると契約が終了する

業務委託は、「会社とは雇用関係にない」「委託業務ごとに契約を結ぶ」「業務完了により契約が終了する」という働き方です

5.定年制とは?

定年制とは、会社であらかじめ定められている一定年齢になった際に会社との雇用契約が自動的に解除される制度のことで、就業規則や労働協約の中で定年制を規定している企業で実施されます。

定年制は、日本型雇用として、終身雇用制・年功序列賃金制とセットで導入されました。現在、法律上では60歳未満の定年制が禁止されており、いずれかの方法にて65歳までの雇用を確保することが義務化されているのです。

  • 定年制度の廃止
  • 定年年齢の引き上げ
  • 再雇用制度の導入

定年制とは、就業規則や労働協約で定める一定年齢に達した際に、会社との雇用契約が自動的に解除される制度のことです

6.継続雇用制度とは?

継続雇用制度とは、雇用している高年齢者が定年後も継続して雇用されることを希望した際、満65歳まで継続して雇用する制度です。

法律上、企業は「定年制度の廃止」「定年を65歳以上にする」どちらも選択しない場合、継続雇用制度を導入しなければなりません。継続雇用制度には、再雇用制度と勤務延長制度の2つがあります。

再雇用制度

再雇用制度とは、定年で退職した人を再度、企業が雇用する制度です。対象となる雇用形態には、正社員、短時間勤務正社員、契約社員、嘱託社員などがあります。

再雇用制度では、フレックスタイム制度、事業場外みなし労働時間制度、在宅勤務制度
といった働き方を用いることも可能です。従業員を嘱託社員として再雇用した場合、企業は当該従業員が65歳に至るまで継続雇用しなければならない義務を負います。

勤務延長制度

勤務延長制度とは、定年になった従業員をそのまま継続して雇用し続ける制度のことで、継続雇用された従業員の役職・職務・賃金水準・仕事内容などは、原則的に定年前から変わりません。

また、勤務延長制度では定年年齢を過ぎているものの従来の勤務を延長していることから、一般的に、勤務延長期間が終了して会社を退職する時点まで、退職金の支払いも先延ばしになります。

継続雇用制度は、定年後も満65歳まで継続して雇用する制度です。継続雇用制度には、「再雇用制度」「勤務延長制度」の2つがあります

7.嘱託社員の待遇

嘱託社員の待遇はどのようになっているか、下記4つの視点から解説します。

  1. 給与と賞与
  2. 社会保険
  3. 労働保険
  4. 有給休暇

①給与と賞与

嘱託社員の給与や賞与に関して、法律上の定義や規定はありません。そのため、嘱託社員の給与などは、会社との有期雇用契約内容によって定められるのです。

嘱託社員は、勤務日数が少ない、限定的な職務を行うなどの理由から、正社員と比較して給与や賞与が低く設定されることも。しかし、専門的な知識や技術を買われて嘱託社員となる場合、必ずしも給与や賞与を正社員と比較して低く設定する必要はありません。

②社会保険

嘱託社員は、勤務先が社会保険の適用事業所で、かつ1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の4分の3以上である場合、社会保険に加入しなければなりません。

加入要件は、労働の対価として給与や賞与の支払いが常態化しているという常時使用される労働者であることです。

③労働保険

嘱託社員でも、労働保険に加入することになっています。嘱託社員として再雇用された場合、特段の手続きなく再雇用前の労働保険を引き続き適用できるのです。

ただし、雇用契約の内容によっては、短時間労働被保険者に資格を変更する場合があります。その際企業は、当該嘱託社員の労働保険に関して、短時間労働被保険者への区分変更手続きを行いましょう。

④有給休暇

嘱託社員の有給休暇について注意が必要なのは、有給休暇の発生時期です。

新しく嘱託社員になった場合:入社6カ月以降に有給休暇が発生する

退職後の再雇用によって嘱託社員になった場合:定年前の勤務時間を含んで有給休暇が算定される

有給休暇の付与日数は、正社員と同様、所定労働日数、雇い入れ日から起算した継続勤務期間によって算定された日数が付与されることになっています。

嘱託社員も、社会保険や労働保険、有給休暇などの待遇は、正社員と同様に認められているのです。ただし給与や賞与は個別雇用契約によります