労働者の権利として認められている「ストライキ」ですが、法律に沿って行われないと、企業から参加した労働者に対して懲戒処分や賠償請求を行うケースもあります。そこで今回は、人事なら知っておきたい「ストライキ」のポイントを紹介します。
ストライキとは?
労働者によって結成された労働組合が、会社の雇用者に対する交渉を行う際に、圧力をかけて交渉を有利に進めることです。例えば、労働者が一斉に業務を禁止するのはストライキに当たります。
この際に注意したいのは、個人での抗議行動はストライキに当たらないこと、公務員などの一部の業種ではストライキが禁止されていることです。ストライキに対して、個人や一定の集団で行う抗議活動のことを「ボイコット」と呼びます。
ストライキの権利
それでは、ストライキが正当なものと認識されるために必要な条件とはどんなものなのでしょうか?5つの重要な条件があります。
- ストライキが禁止された職業でないこと
- 労働条件と直接関係するものであること
- 動機が社会的に見て妥当であること
- 暴力や乱闘などの行為を含まないこと
- 会社や事業所の施設や備品などを汚損・損壊させないこと
上記のような正当なストライキに当たらない場合には、法律によって「働かない権利」が認められません。そのため、参加した労働者に対して会社が懲戒処分を与えたり、会社から労働者へ損害賠償が発生したりするケースもあります。

懲戒処分にはどのような種類があるのでしょうか?
6つあります。
処分の軽いものから順に見ていくと、
戒告やけん責
減給
出勤停止
降格や降職
諭旨解雇
懲戒解雇
です。しかしこれは一般的な紹介処分の種類ともいえます。会社によって就労規定に沿った...
日本のストライキの事例と今の現状
過去に行われたストライキで有名なのは「三池闘争」と呼ばれるものです。これは三井鉱山(現・日本コークス工業)の60年1月から始まった無期限ストで、282日間に及んだところもあります。
三池闘争のような規模でなくても、日本でストライキが行われることは珍しくありませんでしたが、年々減少傾向に向かっていると言われています。
理由としては、技術の発達に伴って業務が年々高度化しており、個人のスキルや創造性が生産性を大きく左右するようになった背景があります。
ストライキをあえてすることで、労働時間を減らさなくても、労働者が労働の質を下げてしまえば、企業は経済的な打撃を受けてしまいます。つまり、ストライキという規模でなくても、労働者が企業に「働かない」ことで打撃を与えることは十分可能であるといえます。
逆に考えれば、人事に求められているのは、社員のやる気を引き出してモチベーションを高めるだけではなく、優秀な人材を採用し、確保するための環境づくりです。
賃上げよりも、福利厚生や働く環境を充実する施策を重視する要求が労働組合側からあがることも多く、新しい労使の緊張関係が生まれつつありますが、長期的な視野を持ち交渉を続けることが大切です。