即戦力とは?【意味を簡単に】なる人の特徴、採用ポイント

即戦力とはどのようなものなのでしょう。また即戦力の採用が重要な理由や即戦力となる人材の特徴、即戦力人材が企業に求めることや採用のポイントなどについて解説します。

1.即戦力とは?

即戦力とは、訓練を受けなくてもすぐに成果を出せる能力や経験を持つ人材のこと。おもにビジネスやスポーツの業界で使用される用語です。

即戦力を言い換えると?

即戦力と似た意味を持つ言葉として「戦力」「手腕」「才幹」などがあります。しかしどれも厳密な意味合いは異なるため、即戦力を端的に言い換える熟語はありません。

熟語に限定しなければ「すぐに業務遂行が可能な人材」や「即時に活躍できる人材」などと表せます。

即戦力という言葉の使い方

即戦力がどのような能力を指すのかは業種や職種によって異なります。そのため具体的に即戦力の意味を「これ」と定義できません。即戦力は、具体的に次のような使い方をします。ビジネスシーンでは入社後の上司や同僚の評価として使用するのが一般的です。

  • 大企業以外では、新入社員も即戦力でないとやっていけない
  • 彼は優秀だが、即戦力になるかと言われれば心もとない
  • 会社で即戦力となれるよう、大学教育の質も向上してほしい

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2.即戦力の採用が重要な理由

なぜ企業は即戦力の採用を進めるのでしょうか。ここでは即戦力の採用が重要といわれる5つの理由について説明します。

  1. 終身雇用の崩壊による影響
  2. 短期間で戦力を獲得
  3. 組織全体の強化
  4. 競争力の向上
  5. テレワークでも安心

①終身雇用の崩壊による影響

企業が即戦力を求めるようになった背景には、終身雇用の崩壊と労働者人口の減少があります。これまで国内企業の働き方といえば、定年までひとつの会社で働き続けることが一般的でした。人材の教育にじっくり時間とお金をかけられたのです。

しかし終身雇用が崩壊し、日々労働者が減少する現代、人材を1から育てる時間も労力も不足しています。社内で人材を育成するより、育成しなくてもすぐに成果を生み出す即戦力を求めるようになったのです。

②短期間で戦力を獲得

即戦力のメリットは、戦力になるまでのスビードが早い点。即戦力になり得る人材は、必要なスキルや知識をすでに持っています。そのため教育コストを最小限に抑えて仕事を任せられるのです。

スキルや経験のない人材を雇った場合、どうしても入社後の研修や教育、フォローが必要になります。その点即戦力は短時間で成果に結びつけられるのです。

③組織全体の強化

即戦力の採用は自社全体の成長につながります。優秀な人材は豊富な経験と知識、そして成長意欲を持っています。会社が知識を与えるのではなく、採用者から新たな知識やスキルを吸収できるのです。

会社に多様性をもたらすのも、即戦力を採用するメリットのひとつ。同じメンバーで仕事をしていると、どうしても進め方や考え方が均一化してきます。即戦力の採用によって、それまで会社になかった新しい風を吹かせられるでしょう。

④競争力の向上

企業間競争は日に日に激化。参入企業はIT業界を中心に年々増加しており、数が増えれば増えるほど競争は当然激化します。会社が生き残るには、入社後すぐに戦力となる即戦力が必要なのです。

企業の中途採用に対する考え方も変化しています。いまや中途採用は単なる人員補強ではく、即戦力人材による企業力アップを目指す活動でもあるのです。

⑤テレワークでも安心

テレワークをはじめ多様な働き方が普及したことも、即戦力採用を重視する理由のひとつ。とくにテレワークの場合、細かい仕事内容を画面越しに伝えるのは難しいものがありました。

しかし即戦力人材であれば1から10までを細かく説明する必要はありません。彼らは過去の経験や実績から、自ら考えて仕事を進められます。テレワークでも安心して仕事をまかせられること、教育の手間が省けるのは会社にとって大きなメリットです。

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3.即戦力になる人材の特徴

それでは具体的にどのような人材が即戦力となり得るのでしょうか。ここでは即戦力になる人材の特徴を、以下の5つにわけて説明します。

  1. 資格や経験の有無
  2. 適応力や柔軟性
  3. 主体力や対応力
  4. 社風を理解する努力
  5. 仕事に対するこだわり

①資格や経験の有無

即戦力になり得る人材の特徴としてわかりやすいのが、専門資格や実務経験の有無です。資格を持っていれば、その分野に関する一定の知識があると客観的に証明できます。

資格にくわえて実務経験があれば、より採用後のイメージを具体的に描けるでしょう。入社の段階ですでに知識を持っているため、最低限の研修で実務に取りかかれます。

②適応力や柔軟性

即戦力になる人材は、新たな職場に対応できる適応力と柔軟性を備えています。たとえどれだけ長い実務経験があっても、新しい会社でそれをとおそうとすれば会社の雰囲気を壊してしまいます。チームの輪を乱し、かえって生産性を下げる要因にもなりかねません。

そこで重要なのが、転職先に合わせて能力を発揮できる柔軟性です。職場の雰囲気に馴染める適応力を持っていれば、すぐにチームにとけ込めるでしょう。

③主体性や対応力

主体性と対応力も、即戦力に求める能力です。即戦力となる人材は、周囲とバランスを取りながら能動的に仕事を進められます。

目の前の業務に取り組んでいる最中、イレギュラーな出来事が発生する場合もあるでしょう。その場合でも現時点で期待されている役割を果たし、さらにその次を考えて自発的にリードできます。

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④社風を理解する努力

どれだけ立派なスキルと豊富な経験があっても、社風に合わなければ本来の能力を発揮できません。

抽象的な言葉で説明しても、実際の社風は伝わりにくいもの。具体的なエピソードを交えて社風を伝えましょう。そのうえで自社の方針や価値観に合う人材かを見極めます。

⑤仕事に対するこだわり

仕事に対するこだわりも、即戦力を見極めるポイントのひとつ。こだわりが感じられる人は最新の情報に敏感で、自主的にスキルをアップデートできます。

仕事にこだわりがあり好奇心旺盛な人材は、入社後も第一線で活躍できる可能性が高いでしょう。周囲もそれに刺激されるため、チーム全体のモチベーションアップも期待できます。

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4.即戦力人材が企業に求めているもの

即戦力となる人材の獲得には、企業側の準備も欠かせません。即戦力となり得る人材は、はたして企業に何を求めているのでしょうか。ここでは即戦力人材が企業に求めるものを「転職選びの基軸」と「求職者の不安」という角度から説明します。

転職先選びの軸

転職者が仕事や企業を選ぶ際に重要視する条件を「転職の軸」といいます。これは即戦力人材に限らず、すべての転職者が考える基準です。企業側はこの3つの軸を理解しておくと、転職者にアプローチしやすくなります。

  1. 会社軸
  2. 人軸
  3. 仕事軸
  4. 待遇軸

①会社軸

自身の生き方や社会的信用を重視する転職者は、以下の会社軸に強いこだわりを持っています。

  • 企業の規模(支社数や従業員数など)
  • 会社の認知度(上場非上場や有名サービスなど)
  • 会社の社風
  • 方向性やビジョンへの共感

②人軸

職場の雰囲気やロールモデルとなる社員など、一緒に働く「人」を重視するのが人軸です。この場合、志向が合いそうな人を面談で引き合わせたり、スカウト文に「人」に関する情報を盛り込んだりする方法が効果的です。

③仕事軸

仕事軸とは自分自身のキャリアアップや働き方、仕事内容を重視する基準です。具体的にはつぎのような理由がこれに該当します。

  • 専門スキルを生かして活躍したい
  • ゆくゆくは海外拠点で働きたい
  • 今までの経験を活かしつつ、新たな職種にも挑戦したい
  • 単調な業務ではなく人とコミュニケーションを取る仕事をしたい

④待遇軸

勤務形態や給料、労働時間や福利厚生なども転職選びの基準となります。面接では強く表面に出して発言しにくい軸であるものの、待遇を気にしない人はいません。選考の早い段階で給与条件を提示したり、各種福利厚生の利用実態を伝えたりするとよいでしょう。

求職者が抱く不安

転職活動に不安はつきものです。ビズリーチが行った調査によれば、以下の項目が不安理由の上位にランクインしています。

  • 自分の市場価値はどれほどか
  • 次の職場でも自分の経験やスキルが通用するか
  • 待遇が下がらないか

採用担当者から見て経験豊富で即戦力となり得る人材であっても、新たな環境で働くことに不安を抱えている人は少なからずいるのです。

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5.即戦力を採用する際のポイント

即戦力を採用する際は、面接での見極めだけでなく採用後の体制づくりも重要です。ここでは即戦力採用時の具体的なポイント3点について説明します。

  1. リファレンスチェック(Reference Check)
  2. 書類にくわえて面接時の対応力の確認
  3. 活躍できるような環境の整備

①リファレンスチェック(Reference Check)

採用候補者の前職(現職)関係者に本人の経歴や実績を問い合わせるチェック方法のこと。欧米では95%もの企業が採用している一般的な採用プロセスです。

リファレンスチェックによって、実際にかかわりのある人から客観的な意見を聞けます。スキルやカルチャーのマッチ度が高められるほか、経歴詐称を防ぐ効果もあるのです。

さらに採用候補者自身が把握していなかった良い面が伝わる可能性もあるため、ネガティブチェック以上のメリットがあります。

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②書類にくわえて面接時の対応力の確認

即戦力となり得る人材かどうかは、経歴やスキルなど書面に記載されている情報以外からも見極められます。具体的なポイントは以下のとおりです。

  • 対面での会話で、一般的なビジネスマナーを備えているか確認する
  • 自発的な質問があるか(自発的に考えて積極的に取り組む姿勢があるかを見極める)
  • 前職で豊富な経験を詰んでいる場合、自社の社風に馴染めそうな人材であるか

これらの情報は書面で判断できません。そのため面談担当者に情報を引き出すスキルが求められます。

③活躍できるような環境の整備

どれだけ豊富な経験と優秀な能力を持っていても、新しい環境に馴染むには時間が必要です。責任者やリーダーは成長を気長に見守り、すぐに即戦力として能力を発揮するのは難しいと理解しておきましょう。

優秀な即戦力も、能力を発揮できなければ無駄になってしまいます。そのため人材が能力を十分に発揮できる環境づくりも欠かせません。次のような取り組みを実施して、企業全体としての生産力を上げていきましょう。

  • 社員の意欲を維持できるベースアップの仕組みを作る
  • 大きな成果を出した人が相当の報酬を受け取れる制度を整える

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6.中途採用で即戦力の確保は難しいのか?

人材獲得競争は日々激化しています。そもそも優秀な人材が転職市場にいなかったり、ミスマッチによって期待する結果が得られなかったりする場合もあります。なぜ中途採用での即戦力確保は難しいのでしょうか。

ここではその理由と、即戦力採用に成功した事例について説明します。

即戦力人材の採用の難易度

2021年、ビズリーチは採用担当者を対象として中途採用に関するアンケートを実施。その結果、7割以上が「3年前と比べて即戦力採用の難度が高まっている」と回答。以下をその理由として述べています。

  • 異業界との競合が激化している
  • マーケット全体で管理職人材が不足している
  • IT人材ニーズそのものが高まっている
  • オンライン選考が活発化し、採用競争が激化している

こうしたなか「スカウト型求人サイトの活躍」は即戦力採用と相性がよいという意見もありました。求める人材像とともに、採用方法も日々変化しているのです。

即戦力になる人材はごく少数

そもそも「即戦力となり得る優秀な人材が転職市場にいない」のも、人材確保が難しい理由のひとつ。優秀な人材はどの企業も手放したくないため、各企業は待遇を改善したり社内環境を整えたりして、人材が自社を離れないよう努めているのです。

また即戦力人材は自分で転職先を探す必要がありません。取引先から直接声をかけられたり、フリーランスとして活躍したりするケースもあります。

たとえ優秀な人材が転職市場にあらわれたとしても、大企業が圧倒的な資金力でよい条件を提示していくでしょう。普通の企業では即戦力人材に出会うことすら難しいのです。

即戦力採用に成功した事例

難易度が上がる転職市場とはいえ、即戦力となる人材の確保に成功した事例もあります。

知名度の低さを課題としてきたトヨコーは、求人サイトで自社のビジョンやミッションを定期的に発信。これによって会社を知る母集団を増やし、9か月で3名の即戦力人材獲得につなげました。