内製化とは? メリット・デメリット、目的をわかりやすく解説

昨今では、給与計算や事務作業、システム構築、情報管理、清掃など、企業内におけるさまざまな業務をアウトソーシングにすることが可能です。それぞれを専門に行う企業にアウトソーシングすることで、業務の効率化を図っている企業も多いでしょう。

しかし、最近では、反対に「内製化」を目指す企業も増えてきています。

1.内製化とは?

内製化とは、外部に委託していた業務を自社で行うことです。自社ですべてを行っているという企業もありますが専門的な分野や業務の一部分を外部の専門家に依頼しているケースも多く、それではコストがかかるでしょう。

しかし社内でできればその分コスト削減になるため、どの企業もさまざまな取り組みを行っています。その方法のひとつが内製化なのです。

しかし内製化のメリットはコスト削減だけではありません。社内で専門家を育成すれば、コスト削減のほかにもメリットが生じるのです。内製化のメリットとデメリットを知り、適切な導入を目指しましょう。

内製化の目的

内製化の目的のひとつはコストの削減です。専門業務の外部委託をやめて、社内で行うことができれば、社外に支払うコストが削減できます。また自社で計画・実行することでスピーディーに業務を進められるのです。

業務効率化

社内で企画立案・実行ができれば、業務も効率的に行うことができます。アウトソーシングでは、イレギュラーな業務に対応しきれないこともあり、その場合社内に業務が戻って時間やコストがかかるでしょう。

内製化ですと、そういったトラブルを避けることが可能です。

経費削減

特に専門性の高い分野を内製化できれば、コスト削減も大きなものになるでしょう。アウトソーシングの場合、基本的な料金が安かったとしても業務やそのほか対応の費用など、追加料金がかかることもあります。社内で行えばそうした状況になっても、費用を削減することが可能です。

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2.内製化のメリットとデメリット

今までアウトソーシングしていたものを社内で行うことで、大きなメリットを得ることができます。しかし、一方でデメリットも生じます。内製化のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

内製化のメリットには次のような点があります。

業務のスピードアップ

ひとつは業務が効率よく実施されるため、仕事のスピードアップが図れることです。アウトソーシングの場合、スケジュールなども踏まえて業務を進めなければならず、社内とのすり合わせが必要になります。

たとえば、社内で企画から実践まですべてを実行できる場合、

  • その場で進行できるためスケジュールも管理しやすい
  • 意思疎通もしやすく、時間の短縮に
  • ミーティング時も、すぐに集合できて話し合いができる
  • 契約などにかかる時間がないため、完成まで早い

といったメリットが考えられます。

変更・修正に即時対応可

業務ではときに変更や修正が発生します。アウトソーシングだと、連絡・スケジュール確認・外部の都合に合わせて修正など、即時対応が難しい場合もあります。

社内であれば、連絡も簡単で、込み入った内容でもすぐに話し合いができ、適切に修正・変更ができるでしょう。もし意図が食い違っていても、社内であればすぐに齟齬の修正ができます。

アウトソーシング(外注)コストの削減

アウトソーシングした分費用がかかりますし、専門性が高い場合さらに費用がかさむでしょう。またアウトソーシング先のレベルや評判の高さ、オプションによっては、さらに費用がかかるのです。

内製化にすることで、こうしたコストを削減できます。

社内技術力の向上・知的ノウハウの蓄積

アウトソーシングの場合、社内には完成品しか残らず、途中の過程は見えません。つまりアウトソーシングに頼っていては、社内の技術は向上しないのです。社内で考えて実行することで、社内のスタッフの育成につながり、技術やノウハウの蓄積ができます。

技術やノウハウが蓄積されれば、さらなる進歩につながるでしょう。人材育成においては指導される側と指導する側ともに成長でき、コミュニケーションの向上にもつながるでしょう。社内で行うことで、知識や技術の流出を防げる点もメリットです。

また社内のスタッフ同士が意欲的に仕事に取り組むことができるため、高い成果にもつながりやすいといえます。

デメリット

メリットの多い内製化ですが、デメリットもあります。内製化のデメリットについて、認識しておきましょう。

専門家育成に時間がかかる

アウトソーシングによって質の高さがキープできるというメリットがあります。質を担保できる社員の育成は難しく、時間もかかるのです。専門的な分野の人材育成となると、さらに難しいでしょう。

  • 研修に行って知識や技術を習得
  • 社内で導入する際にはチームの構成や時間をかけた取り組みが必要
  • 社内で誰を育成するかという人材の選定をする時間も必要

専門家を育成して軌道に乗せるには期間がかかり、さらにその間の業務に影響が出る可能性もあるでしょう。

人件費増加

専門知識を持った人材を採用する場合、給与や賞与といったそれなりの待遇を準備しなければならず、人件費用が増加します。

社内の人材を育成するとしても、今までそのスタッフが行っていた仕事を行う人材が必要になるため、やはり新しい人材を採用しなければなりません。

アウトソーシングの場合、仕事がなければその分のコストを減らすことは可能です。しかし人材を採用すれば仕事量などに関係なく給与や賞与、健康保険などの人件費がかかります。

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設備投資の費用が発生

内製化には、

  • 人材にかかる費用
  • 設備投資の費用(IT技術であればパソコンなどの機器類や工事費用)

などがかかります。

新しいことを始める際には、どうしても費用が発生します。アウトソーシングであれば設備投資の費用はかからず、高い品質を保った仕事をしてくれるでしょう。

組織内の技術力・ノウハウ醸成にコストと時間がかかる

社内で専門家を育成したり採用したりしても、すぐに業務が軌道に乗ってメリットが生じるわけではないのです。人材が育つには時間もかかりますし技術力を高める時間も必要となります。

ノウハウの醸成となるとさらに時間がかかるでしょう。費用と時間、ともに必要なのです。

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3.アウトソーシングの問題点

アウトソーシングを導入する前に、アウトソーシングの問題点を把握しておきましょう。

自社の技術力や知的ノウハウが育たない

アウトソーシングでは、発注した技術やシステムなどが完成した形での導入となるため、どのようにしてそれらができたのか内容を把握することは難しいです。

不具合やトラブルも社内では解決できないことが多く、外部に相談し発注します。すると自社の技術力や知的ノウハウが育ちにくくなるのです。

社外秘や個人情報の都合上、アウトソーシングできる業務には限界がある

個人情報や社内の重要なデータなどを取り扱うケースも多く、社外に出せない案件もあります。どうしてもアウトソーシングを利用するのであれば、個人情報の管理などに十分なシステムが構築されている信頼できる業者を選ばなければなりません。

現在では個人情報の流出などが多いこともあり、アウトソーシングできる業務には限界があるといえます。

業務標準化が煩雑なケースも

業務標準化が煩雑な内容もあります。外部に業務を発注する場合には、内容を標準化しなくてはなりません。

社内であれば説明をしなくてもできることがアウトソーシングの場合、整理して標準化する必要となるのです。その作業が難しく、煩雑で時間がかかったり負担になったりすることがあるのです。

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4.内製化かアウトソーシングか、判断のポイント4つ

アウトソーシングにも、社内の負担が減る、質の高い技術を利用できる、外部の設備を利用できるなど、さまざまなメリットがあります。つまり内製化にもアウトソーシングにもそれぞれメリットとデメリットがあるのです。

企業にとってどちらを選ぶとよいのか、判断のポイント4つを説明しましょう。

  1. コスト
  2. 業務継続性
  3. 人材
  4. 内製化の範囲

ポイント1:コスト

MEMO
アウトソーシングに伴う外注費と、内製化によって増加する人件費や設備投資額などとの比較

アウトソーシングする際に費用がかかりますが、内製化であれば費用がかからないわけではありません。内製化では人材の育成費用や採用費用など、人件費や設備投資の費用がかかるのです。

どちらのほうが高いコストとなるかは、企業によって異なります。アウトソーシングする内容や方法などによっても異なるので、それぞれのコストを比較することが必要です。

また人件費を考えたとき、内製化の場合人件費は固定化しますが、アウトソーシングの場合、状況によって人件費が変わります。人件費やどの程度の設備投資をすればよいのかなど含め、総合的な判断が必要です。

ポイント2:業務継続性

MEMO
短期/単発で終わる業務か、長期間継続する業務か

どのくらいの期間がその業務に必要なのかという点においても、アウトソーシングがよいか内製化がよいかは異なります。

短期間であればその期間だけアウトソーシングすればよいので、コストを低く抑えることができますし、技術力やノウハウの蓄積にも大きな影響を与えずに済むでしょう。

しかし長期間になると技術力やノウハウの蓄積への影響やコストの比較が必要となります。短期間か長期間か状況に応じて、比較検討することが必要です。

ポイント3:人材

MEMO
業務遂行に必要なスキルの専門性

内製化で業務を遂行するには、人材の教育が必要です。専門的な知識や技術が必要な業務の場合、教育や研修に時間や費用がかかるでしょう。場合によっては、アウトソーシングのほうがスムーズなこともあります。

業務の専門性から、アウトソーシングと内製化どちらがよいのか検討してみましょう。

ポイント4:内製化の範囲

MEMO
どこまで内製化するか・一部はアウトソーシングを継続するのか

アウトソーシングにするとしても、すべてを外注しなければならないわけではありません。

またアウトソーシングしていた部分をすべて内製化してコスト削減を図ろうとしても、かえって業務が停滞する危険性があります。スタッフの仕事が増える、残業代がかさむなどコスト削減につながらないでしょう。

アウトソーシングしていた部分を内製化する場合、一度にすべてを戻すのではなく、部分的に戻すという方法もあります。

  • どの業務を内製化すればよいのか
  • どの範囲を内製化できるのか
  • 質を下げずに内製化するにはどの範囲まで戻せばいいのか

という点を検討するとよいでしょう。

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5.ケースバイケースで答えは変わる

アウトソーシングしていたものを内製化すればコスト削減につながる、と単純な答えになるわけではありません。業務内容や範囲、期間などによっては、内製化するよりもアウトソーシングを選んだほうがコスト削減につながることも多いのです。

しかし内製化することで得られるメリットが多いことも事実でしょう。

  • 業務がスムーズに進む
  • 知識や技術のノウハウが蓄積される

とはいえすべてを内製化することで、社内の業務がストップしてしまったり、専門家を社内で育成することでコストがかかってしまったり、さまざまなデメリットが生じることもありえます。

どちらがよいのかはケースによって異なりますので、業務内容や範囲などから内製化とアウトソーシングのバランスを考えて検討しましょう。

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まとめ

内製化は企業や業務内容、範囲などにもよりますが、コスト削減につながる、知識やノウハウが蓄積されるなど、メリットも多いです。社内で業務をスムーズに遂行できれば、安心して仕事をすることも可能でしょう。また、アウトソーシングには、質の高さやコスト削減などのメリットがあります。

どちらがよいとは一概には言えません。無理に内製化を進めると、業務が滞り業績に影響を与えてしまうこともあります。総合的にかかるコストなどを検討すると同時に、部分的に内製化をするなど、ケースによって適切な手段を取るとよいでしょう。

内製化のQ&A

内製化とは、外部に委託していた業務を自社で行うことをいいます。 専門的な分野の業務を外部の専門家に依頼するアウトソーシングの場合、コストが高くつきます。内製化によって社内で済ませることができれば、コスト削減につながるでしょう。
アウトソーシングでいくべきか、内製化すべきか、判断に迷う場合には、①コスト ②業務継続性 ③人材 ④内製化の範囲 の4つのポイントを確認してみましょう。 まず、アウトソーシングに伴う外注費と、内製化によって増加する人件費や設備投資額などを比較します。それから業務が短期/単発で終わるのか、長期間継続するかどうか見込みを判断し、業務遂行に必要なスキルの専門性について検討しましょう。専門的な知識や技術が必要な業務の場合、教育や研修に時間や費用がかかるはずです。 最後に、どこまで内製化すべきか、一部はアウトソーシングを継続するべきか、など範囲を定め、検討してみましょう。
アウトソーシングしていたものを内製化するだけでコスト削減につながる、というわけではありません。業務内容や範囲、期間などによっては、内製化するよりもアウトソーシングを選んだほうがコスト削減につながることもあります。 内製化することで「業務効率がよくなる」「ノウハウが蓄積される」など、生産性が高まる場合にはコスト削減につながるでしょう。反対に、社内の他の業務がストップしてしまったり、専門家を社内で育成することに時間がかかると、内製化は悪影響を及ぼすことになります。