ロールモデルとは? 効果的な設定方法、社員を成長させるコツ、育成上の注意点など

ビジネスパーソンに欠かせないロールモデルをご存じでしょうか?ロールモデルの存在は、自分の現状認識と成長に役立つのです。

  • ロールモデルとは何か?
  • 役割
  • 効果や影響
  • どのような手法でロールモデルを利用するのか?

などについて解説しましょう。

1.ロールモデル(の意味)とは?

ロールモデルとは、具体的な行動技術や行動事例、考え方を模倣・学習する対象になる人、いわゆる「お手本となる人物」のこと。

「あの人のようになりたい」と思うところから始め、その対象者の行動や思考を真似ることで効果的に成長できる、とされているのです。

ロールモデルとなる人物は?

ロールモデルとなる人物が自分に身近であるほど、成長に重要な役割を果たせるとされています。自分より能力の高い人が存在することに気付く環境に身を置き続けなければ、やがて「井の中の蛙」になり、成長のスピードが落ちる可能性が高まるでしょう。

たとえば直属の上司などがロールモデルとなれば、理想的です。しかしそうでない場合も多く、社内にロールモデルが見つからないケースもあります。社内でロールモデルが見つからなければ、同業他社や取引先など社外の人を探しましょう。

国境を越えてロールモデルとなる人を発見することもできます。成長面では身近なロールモデルに劣りますが、直接は接触したことのない著名人や歴史上の人物、反面教師的な存在をロールモデルにすることも不可能ではありません。

ロールモデルは複数人いるとよい

ロールモデルは1人である必要はなく、むしろ複数人いるほうが成長を促せるといわれています。複数ロールモデルがいたほうが、自分の段階や成長したい分野に合わせて、自分でもできそうなことを選んで実践できるからです。

たとえば営業職の人の場合、

  • 初回訪問:先輩の〇〇さん
  • プレゼン:部長の××さん
  • クロージング:直属の上司の△△さん

のように、業務や分野ごとでそれぞれロールモデルを設定します。なぜなら、人は成長段階に応じて必要な手本が変わる、とされているからです。成長段階に合わせてロールモデルを変えるとよいでしょう。

ロールモデルは人でなくてもよい

ロールモデルというと、手本となる「人」を思い浮かべる方が多いと思いますが、必ずしも「人」に限ったものではありません。

もしあなたが、お店を開業したいのであればロールモデルとなる「店」を、起業して経営者になりたいのであれば、ロールモデルとなる「会社」を探すことも重要です。

その「店」「会社」が、

  • 今に至るまでどのような経緯をたどってきたのか
  • どのようなプロセスで成功に至ったのか

そういった具体的な例を、自分のロールモデルにできます。

ロールモデルを見つけるべき理由・必要性

では、なぜロールモデルを見つけるべきなのでしょうか。

ロールモデルは、登山でいうところの「山岳ガイド」に当たります。「長になりたい」「営業成績を引き上げたい」といった仕事における夢や目標を、登山における「山頂」にたとえてみましょう。

ロールモデルは、その山をすでに何度か山頂まで登ったことがあり、進むべき道や持っていくべき装備などを知っている山岳ガイドのような存在に当たります。

何も知らない状態で山頂を目指すより、山岳ガイドに登るためのコツやポイントを聞いたり登り方や装備を真似たりするほうが、山頂へ早く到着できます。つまりロールモデルがいれば、夢や目標に早く近付けるのです。

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2.新入社員・中堅社員・ベテラン社員のロールモデルはそれぞれ異なる

ここまで、ロールモデルの意味や重要性について説明しました。ビジネスの現場でロールモデルを見つける際、自分の職務や経験のレベルによって必要なロールモデルは異なる、という点が理解できたかと思います。

ここでは、ロールモデルとなる人物にどのような能力が求められるかを、

  1. 新入社員(社会人1年目)
  2. 中堅社員(同5年目まで)
  3. ベテラン社員(同10年目まで

の3つに分類し、それぞれ、

  1. 聴く
  2. 伝える
  3. 段取る
  4. 動かす
  5. 仕事に対する姿勢

の5つの異なるスキルの観点から解説します。

新入社員のロールモデルとなる人物の要件

新入社員は、上司や先輩からの指示で動くことが多いため、優秀な作業者であることが求められます。そんな新入社員が5つのスキルにおいて求められることは何でしょうか。

聴く
  • 相手が言いたいことを正確に聞き取り、それを自分の中で解釈できる
  • 相手の忙しさに配慮し、聞きに行くタイミングを見計らうことができる
伝える
  • 相手からの指示や問いかけに対して、自分の意見を的確に伝えられる
  • 相手の理解を促進できるような資料を作成できる
段取る
  • 計画に対して予定通りの成果を挙げられる
  • 作業時間を見積もって正しく進捗状況を棚卸しできる
動かす
  • 先輩社員が会議を上手に取り仕切れるよう、
    会議招集の段取りや議事録作成を率先して実施できる
  • 業務知識を積極的に吸収できる
仕事に対する姿勢
  • 誠実に対応できる
  • 相手の不快感を助長するような言動を慎める
  • 自己成長のチャンスを探して積極的に仕事を引き受ける

中堅社員のロールモデルとなる人物の要件

中堅社員は、部下や後輩への的確な指示出しや、チーム外との連携を伴う実務の推進が期待されます。つまり「現場の推進力となる実務担当者」が目指すべき姿です。

聴く
  • 発言内容から問題や課題、リスクに至るまで整理できる
  • 相手の意図を明確に読み取れる
  • 相手のペースを乱さないコミュニケーションが取れる
伝える
  • 推進案とその理由を端的に述べられる
  • 相手にも理解できるような用語を使用できる
  • 議事録やメールを使用し、重要な証拠を残せる
段取る
  • 関連する作業の重要度や所要時間を把握できる
  • 効率的に取り組めるる
動かす
  • 会議の事前調整や当日の仕切りができる
  • 議事録が作成できる。
仕事に対する姿勢
  • ベテランになるには何が必要か考えられる
  • 自主的に学びを得ようとする

ベテラン社員のロールモデルとなる人物の要件

チームリーダーを務める機会が増えるベテラン社員に期待されることは、「組織のパフォーマンスを最大限に引き出す管理職」のスキルです。

聴く
  • 相手の真意を引き出すためにサポートできる
  • どんな相手の意見でも耳を傾けられる
伝える
  • 議論に加わっていなかった相手に、
    現状と改善目標、過去の経緯を含めた大筋を端的に説明し、
    理解を促すことができる
段取る
  • 新入社員と中堅社員の時代を経て、十分な能力がある
動かす
  • 会議で趣旨に沿った議論がなされるようファシリテートを行える
  • 会議参加者の主体性を促す進行が可能
  • 綿密な事前準備のもと、自分の要求を通すための交渉ができる
仕事に対する姿勢
  • 部下および後輩へ権限移譲を促進できる
  • チーム全体の作業効率を高められる
  • 職場外でもコミュニティを見つけられる
  • コミュニケーションネットワークを広げている
MEMO
ロールモデルを設定する際、会社として提示したいロールモデルを年代別や対象層に分けてイメージしましょう。

たとえば新入社員のロールモデルは、

・積極的にさまざまな仕事にチャレンジしている
・自分なりの判断基準を持って行動している

中堅社員のロールモデルは、

・将来的なキャリアビジョンを持ち、スキルアップ研修制度などを利用し自己研鑽に努めている
・多様な業務にチャレンジしながら、仕事の幅を広げている

といった具合です。それぞれの階層において社内でロールモデルとなる人物がいるか、把握しましょう。

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3.ロールモデルを活用するためのステップ

本来は各個人でロールモデルを見つけ、そのスキルや具体的行動を学んだり模倣したりします。しかし、会社としても取り組める事柄があるのです。

ここでは、各社員それぞれが自分に見合ったロールモデルを見つけられるよう、会社が支援する方法について解説します。

会社(人事)のステップ

会社のステップにおける大まかな流れは、以下の通りです。

  1. ロールモデルの設定
  2. ロールモデルとなる人物の育成
  3. ロールモデルの周知

①ロールモデルの設定

まずロールモデルを年代や部門などそれぞれのキャリアごとに分けて設定します。前述した通り、ロールモデルはその立場により異なるため、会社が求めるロールモデルをキャリア別に設定する必要があるのです。

  • スキル面
  • キャリア面
  • ワークライフバランス面

など、会社の人材として望ましいかたちを思い描くようにしましょう。

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② ロールモデルとなる人物の育成

ロールモデルの設定ができたら、そのモデルとなる人物の育成を実施します。

育成には、

  1. 集合研修によるもの
  2. 個別に育成計画を立てるもの

の2つがあります。

集合研修では、

  • 本人の意欲や能力開発に対するモチベーションを高める
  • 職種・部署の異なる社員とネットワークをつくる
  • 人間としての懐の深さや仕事の幅を広げる

などを行います。その場で悩みや課題を共有し、助言を受けられるため、取り組み方の参考となり、問題解決への意欲が高まります。

個別に育成する場合では、

  • 計画的な異動や配置
  • 必要な知識やスキル習得のための自己啓発支援
  • リーダーシップやマネジメントに関する外部研修への参加
  • 個別にメンターをつける

などの方法があります。

③ ロールモデルの周知

ロールモデルとなる人物が設定できたら、その存在の周知を実施します。会社によって、ロールモデルになり得る人物がいながら、その存在が社内全体に十分に知られていないこともあるのです。

すると、ロールモデルの役割を果たせません。そのためにも、広く社員に周知することが重要です。

一般的な周知方法としては、

  • 社内報やイントラネットの活用
  • 社員研修や採用活動において事例として紹介

などがあります。「スキルアップ」「転勤」といったいくつかのテーマにまとめて紹介したり、趣味やプライベートに関する情報を提供したりするなど工夫すると、より関心を持ってもらいやすいでしょう。

個人(社員)のステップ

次に、社員個人がロールモデルを活用するための流れを説明します。

  1. ロールモデルを選ぶ
  2. ロールモデルの行動特性を表現する
  3. ロールモデルから観察した行動技術を身に付ける

①ロールモデルを選ぶ

ロールモデルは、

  • 自分の観察できる範囲で印象的な人
  • 自分よりも高いレベルのリーダーシップを発揮している人
  • 学び取りたい行動ができている人

を選定します。すべてを模倣する必要はありません。自分がそうありたいと考える目標ごとにロールモデルを設定し、いろいろな人から良い点を学ぶという姿勢が重要です。

「リーダーシップにおいてはAさん」「同僚とのコミュニケーション力においてはBさん」というように、テーマ別にロールモデルを立てることで、それぞれから学びを得られます。

②ロールモデルの行動特性を表現する

ロールモデルを選定したら、その人をしっかりと観察し、行動の特性を把握しましょう。

たとえばリーダーシップに関するロールモデルを観察するとき、リーダーシップに関する何らかの理論的モデルに基づきながら観察・考察すると、学び取るポイントがより明確になります。また、自分とロールモデルとの能力の差を具体的に理解できれば、差を埋める努力もしやすくなります。

行動特性のポイントが認識できたら、自分の日常業務に取り入れましょう。

③ロールモデルから観察した行動技術を身に付ける

ロールモデルの特性を自らの行動として実践する際には、その行動の根拠を考えるようにしましょう。そうすることで単なる真似事ではなく行動の根拠から、行動パターンの会得につながります。

行動技術が身に付いたら、自ら行動した結果を振り返り、改善につなげていきましょう。

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4.ロールモデルの及ぼす効果・影響

ロールモデルが持つ最大の効果は、社会心理学者の古川久敬氏が提唱している「気づく → 考える → 実行する → 振り返る」という「コンピテンシー獲得サイクル」を効果的に回せる点にあります。

多くの企業で優秀な上司が部下を育て、その部下がまた自分の部下を育てるという流れを、後継者育成法として重視してきたのはそのためです。身近に優秀なロールモデルがいれば、丁寧にフィードバックを受けられますし、それは社員の成長に大きく役立ちます。

具体的な効果・影響を2点から見ていきましょう。

  1. 成長のスピードが速まる
  2. 業績アップや社員の意思統一

①成長のスピードが速まる

人は無意識のうちに、おおよその目標やロールモデルを設定していると考えられています。身近にいる人物だけでなく、ビジネス書で読んだ内容などをもとに、身に付けやすい方法から自然と真似をして、少しずつ影響を受けているのです。

無意識だったとしても人は成長しますが、より成長のスピードを速めるためには、意識的なロールモデルの設定が重要です。

明確な道しるべがあると目的の場所まで歩きやすくなるのと同じように意識してロールモデルを見つけたり自分がなりたい人物像を設定したりすることで、成長のペースを速められます

②業績アップや社員の意思統一

社員個人がロールモデルを設定すると、それぞれ成長スピードが速まり、結果、企業の業績アップにつながるのです。

またロールモデルを模倣することで行動の意図を理解できます。会社が求める人物像をロールモデルに設定すれば、社員の意思統一も進むでしょう。

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5.女性躍進のためのロールモデル

年々、女性社員の活躍推進を考えている会社は増加しています。しかし、結婚や出産を控えている女性社員が、不安を抱えながら働いているのも事実です。

女性社員に対してロールモデルを提示すれば、各社員が自分に合ったビジョンやキャリアを明確にでき、仕事に邁進できるでしょう。

ですが、ロールモデルを設定する際にはキャリアや年代別に分け、そこにワークライフバランス(結婚・育児・介護など)も加味し、段階別に設定する必要があります。これは女性に限ったことではありません。

また、社員の男女比を見た際女性のほうが少ない場合は、ロールモデルの育成からスタートする必要があります。

  • 女性のみを対象とした座談会の開催
  • 外部のセミナーやOJTへの参加

などで女性の次世代リーダーを育成しましょう。以降のロールモデル設定につながります。