ポータブルスキルとは? 構成要素、関連用語、重要といわれる理由、伸ばす方法、ミドルマッチフレームについて

ポータブルスキルとは、業種や職種が変わっても通用するスキルのこと。ここではポータブルスキルの構成要素や重要といわれる理由、ポータブルスキルを伸ばす方法などについて解説します。

1.ポータブルスキルとは?

ポータブルスキルとは、持ち運べるスキルで、「専門技術・専門知識」「仕事の仕方」「人との関わり方」のこと

仕事をしていくなかで身に付くスキルは、持ち運びできる「ポータブルスキル」と、持ち運びできない「テクニカルスキル」に分かれます。

論理的思考力やコミュニケーション能力、問題解決能力やプレゼンスキルなどは業種や職種が変わっても共通して生かせるスキルです。これらは特定の業種や時代背景に捕らわれないため「ビジネス基礎力」ともいわれます。

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2.ポータブルスキルの構成要素

厚生労働省は「ポータブルスキル」をどこへ行っても、またどんな職種でも通用するスキルと定義しています。このポータブルスキルは下記3つから構成されているのです。

  1. 専門技術・専門知識
  2. 仕事の仕方
  3. 人との関わり方

①専門技術・専門知識

「専門技術・専門知識」とは、業務を遂行するために必要な技術や知識のこと。特定の業種や職種のみに適応可能なこの技術・知識は、後述する「テクニカルスキル」とも呼ばれています。

これらの技術や知識が活用できる場面は、同じポータブルスキルのなかでも限定的です。かつての労働市場にて重要視されたスキルで、今も実務をこなすうえで欠かせないスキルといえます。

なかには組織に付加価値を提供できるスキルもあるため、高いニーズがあるのです。

②仕事の仕方

ポータブルスキルを構成する「仕事の仕方」は、次の3つに分類されます。いずれも業界や職種を問わず、いち社会人として必要なスキルです。

  • 課題を明らかにするスキル
  • 計画を立てるスキル
  • 計画を実行するスキル

課題を明らかにする

「課題を明らかにするスキル」は次の2つに分かれます。

  • 現状を把握するスキル:仕事に関連する動向を押さえるため、コンスタントに情報を収集するスキル。構造把握やロジカルシンキング、文献リサーチやヒアリングなど
  • 課題を設定するスキル:複雑なデータや情報を評価、分析し課題を明らかにするスキル。統計分析や会計、経営思考など

計画を立てる

「計画を立てるスキル」とは、計画を立てるために必要な情報を収集し、それらに優先順位を付けて納期を設定するスキルのこと。

プロジェクトマネジメント経験や案件管理、企画提案や資材調達など。いずれも最終的なゴールに向けて効果的なシナリオを描くために必要なスキルです。

実行する

品質基準や納期を厳守しながら業務を確実に遂行するスキルを「計画を実行するスキル」といいます。このスキルでは強いプレッシャーのなかでも確実に達成基準をクリアすることが求められるのです。

関係者の調整や品質管理といった「実際の課題遂行」と、トラブル時の判断や方向転換、中止の判断力といった「状況の対応」の2つに分かれます。

③人との関わり方

「人との関わり方」とは、組織内外のコミュニケーションや教育に関連するスキルのこと。上司や経営層に向けた「社内適応力」、顧客やパートナーに向けた「社外適応力」、そして評価や指導にあたる「部下マネジメント」の3つの要素から構成されます。

社内適応力

「社内適応力」とは経営層や上司、関係部署などに的確かつ納得感高く伝えるスキルのこと。役割や価値観が異なる相手や利害の対立する社内関係者などと調整しながら、支持を獲得するスキルが求められるのです。

経営方針の理解や自身への期待の把握といった「社内のかかわり」と、モチベーション管理や稼働管理といった「部下とのかかわり」などが含まれます。

社外適応力

「社外適応力」とは、顧客をはじめとする社外関係者に内容について納得感を高めていくスキルのこと。こちらも社内適応力と同様、価値観の異なる関係者や利害の対立する顧客と関係を調整して、合意を獲得していきます。

均衡力に代表される「取引先とのかかわり」や、サービス提供やクレーム対応といった「顧客とのかかわり」に関するスキルが「社外適応力」です。

部下マネジメント

人とのかかわり方には、能力や専門の異なるメンバーに対して動機づけや育成、指導を行う「部下マネジメント」のスキルも含まれます。業務のオンライン化が進むなか、部下とのコミュニケーションやマネジメントに悩む声も少なくありません。

部下の人数調整や評価、指導や育成が必要なポイントなどを見極めるスキルが求められます。

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3.ポータブルスキルの関連用語

ポータブルスキルの関連用語として挙げられるのは、以下4つです。いずれも人物を評価する際に基準となるスキル。職種や業界を問わずどの企業でも、キャリアづくりのポイントとして重要視されているのです。

  1. テクニカルスキル
  2. スタンス
  3. トランスファラブルスキル
  4. 社会人基礎力

①テクニカルスキル

「テクニカルスキル」は、専門性が高い仕事を進めるにあたって欠かせない知識や資格のこと。「ポータブルスキル」の対として位置付けられたスキルです。専門性の高さを表すため、中途採用の場において重要な項目となります。

②スタンス

「スタンス」とは、人物がある物事に対峙した際に取る立場や姿勢などのこと。ビジネススキルでは「自身がキャリアを構築する際に抱く感覚や意識」といった意味合いで用いられます。

「スタンス」と似た言葉に、仕事の原動力となる「モチベーション」や、仕事に対する基礎的な能力を図る「ビジネスポテンシャル」などがあるのです。

③トランスファラブルスキル

「トランスファブルスキル」とは、同じく移動可能な能力を意味するスキルのことで、ポータブルスキルと似た言葉として用いられます。

ビジネスパーソンに求められる能力としては「ポータブルスキル」や後述する「社会人基礎力」と同じです。しかし社会人経験がない学生やポスドク(ポストドクター、博士研究員)などを対象としている点で、異なります。

④社会人基礎力

「社会人基礎力」は、職場や地域社会などでさまざまな人々と仕事をしていくために必要な力のことで2006年、経済産業省によって提唱されました。

ポータブルスキルに比べ「社会人として働く個人の能力」を強く押し出しているのが特徴です。汎用性の高い能力が重視されるポータブルスキルに対して、協調性と実行力が重視される傾向にあります。

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4.ポータブルスキルが重要といわれる理由

不安定で先の読めない時代だからこそ、どんな職場や業種でも通用するポータブルスキルに注目が集まっているのです。ここではポータブルスキルが重要とされる理由について、企業と個人、双方の立場から説明します。

企業

採用力が上がる

企業はなぜポータブルスキルを重要とするのでしょうか。その理由として第一に挙げられるのが、採用力のアップです。

かつての人材市場といえば、専門技術・知識を重視する採用が強くありました。しかし技術や知識が十分にあるからといって、必ずしも自社で活躍できる人材になるとは限りません。

一方、はじめのうちに技術や知識が不足していても、行動力や志望意欲が高い人材は採用後の活躍を期待できます。採用活動にてポータブルスキルに着目すると、質の高い応募者を選別できるのです。

人材を適材適所に配置できる

企業は採用した人材を適材適所に配置しなければなりません。そこで重視されるのが、あらかじめ定めた基準をもとに社員を査定する「人事考課」です。

人事考課の査定基準にポータブルスキルを組み込むと、人事担当者は実績や経験だけでは判断できない社員の人柄や能力を見極められます。人事考課にポータブルスキルの査定を加えると、結果として適材適所の人材配置につながるのです。

個人

転職で活用できる

個人がポータブルスキルを重要視する理由はどこにあるのでしょうか。終身雇用や年功序列といった従来の働き方が崩壊するなか、根本的なビジネスモデルの転換が次々起きています。

もはや安全といえる業種や企業はなく、誰もが「転職力」を磨かなければならない時代です。実際に転職を希望する人だけでなく、すべてのビジネスパーソンが自身の市場価値を高め「転職力」を磨いておく必要があります。

マネジメント能力など自分のスキルが上がる

個人がポータブルスキルを身に付けると、自身の仕事レベルがアップするだけでなく、マネジメント能力が高まります。

「どうしたらもっと効率よく業務をこなせるか」「現在抱えている問題点は何か」などで、仕事のやり方や人とのかかわりを高めると、より高いレベルの課題に挑戦できるようになるのです。

対人マネジメントだけでなく、時間の使い方やスケジュール管理、モチベーションに関するマネジメント能力の向上なども期待できるでしょう。

20代までにポータブルスキルを身に付ける

20代の転職では、現時点での技術や知識と同時に「今後活躍する可能性」が問われます。

30代になると即戦力を期待される傾向は強くなるものの、20代は経験値や成果が必ずしも求められるとは限りません。そのためまったく異なる業界や職種への転身も可能です。

20代のうちに「仕事の段取りを考える」「取り組む課題を見つけて解決案を出す」といったポータブルスキルを身に付けておくと、転職活動も有利に進められるでしょう。

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5.ポータブルスキルを伸ばす方法

特定の分野だけでなく、さまざまな業種うあ職種に活躍の場を広げられるポータブルスキル。このスキルを伸ばすためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。ポータブルスキルを伸ばす方法について、企業側と個人側それぞれの立場から説明します。

企業

目標管理と評価制度を整備する

まず自社の目標管理と評価制度の整備を進めましょう。「どうすれば社員のポータブルスキルを磨けるのか」「業務上求める考え方とは何か」「評価する具体的な行動は」などを定めていくのです。

目標管理と評価制度を整備し、定期的に目標達成の進捗状況や目標の内容、誰が管理しているかなどを見直します。これには目標管理手法のひとつである「OKR」の活用が効果的です。

厚生労働省による研修システムを利用する

ポータブルスキルを伸ばすためには、厚生労働省による研修システムの活用も効果的といえます。厚生労働省は2014年から業種や職種にこだわらないポータブルスキルを磨くための研修として「ポータブルスキル活用研修」を実施しているのです。

研修を通して、社員は仕事における問題提起や部下を指導するためのノウハウ、社内外の的確なコミュニケーションスキルなどを身に付けられます。

個人

不測の事態に柔軟に対応する

一人ひとりがポータブルスキルを伸ばすには、どのような取り組みが必要なのでしょう。まずは「不測の事態に柔軟に対応できるスキル」に注目してみましょう。

計画どおりに仕事が進むとは限りません。社内環境の変化や顧客の要求事項が変わるなど、予測不可能な事態に遭遇する場面は多々あります。このような場面でも柔軟に対応していく取り組みが、ポータブルスキルを磨く第一歩となるのです。

自分のポータブルスキルをチェックする

ポータブルスキルは一度身につければ失われにくいといえます。

しかしポータブルスキルを取得したと掲示するための規定は企業や個人により異なるもの。「自身にポータブルスキルが身に付いたか」「他者からどう評価されているのか」などを定期的に見直す必要があるのです。

「ポータブルスキルチェックツール」を活用すると、自分のポータブルスキルをチェックできます。また定期的に職務経歴書を作成するのも、セルフチェックに活用可能です。

日々のインプットを忘れない

ポータブルスキルは一朝一夕のうちに身に付きません。成功体験と失敗体験、そしてそれらにもとづいた次につながる仮説の設定と地道な努力の積み重ねによって体得できるのです。

体験を通して得られる経験はもちろん重要でしょう。しかしそれと同時に知識や情報のインプットによるブラッシュアップも欠かせません。一定量以上の情報をインプットし続け、体験と結び付けていく試みが、ポータブルスキルの会得につながるのです。

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6.ポータブルスキルとミドルマッチフレーム

転職者がポータブルスキルを発揮するためには、新しい環境に適応する力が必要です。

そこで注目されるようになったのが、2013年に公開された転職支援ツール「ミドルマッチフレーム」。ここでは企業と求職者のマッチングを促進させる「ミドルマッチフレーム」について説明します。

ミドルマッチフレームとは?

ミドル層はこれまで専門知識や技術などが主に注目され、異なる業種への転職は実現が難しいと考えられていました。しかし今やミドル層のスムーズな労働移動は社会的ニーズとなっているのです。

そこで展開されたのが「仕事の仕方」や「人との関わり方」といったミドル層だからこそ培われているポータブルスキルを可視化し、適切な評価を提案する「ミドルマッチフレーム」。

「ミドルマッチフレーム」は「ポータブルスキル」と「適応可能性」の2つの要素から構成されています。

ミドルマッチフレームのメリット

「ミドルマッチフレーム」の狙いは、ミドル層ならではの経験や能力を見極めて、求人企業と求職者のマッチングを促進させること。

異なる業種や職種への転職機会が増える昨今、ミドル層だからこそ培われてきたポータブルスキルに注目し、適切に評価すると現場でのマッチングに活用できます。また企業と求職者のミスマッチを緩和するメリットもあるのです。