アルバイト・パート管理のポイントと管理システム

パート・アルバイトの深刻な人手不足は、既存スタッフの負担増やサービス品質の低下を招くもの。パート・アルバイトの長期定着を目指し、バイト管理における労務コンプライアンスを踏まえた適切な対応と管理のコツについてお伝えします。

バイト管理とは?

アルバイト・パートを雇用した際の労務やシフト管理全般を指します。アルバイト・パートは、平成20年に改正された『パートタイム労働法』により「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と表記されており、法律上は両者の名称による区別はありません。

業種や職種によっては正社員と同じような仕事をする場合も多く、期間も長期に及ぶケースが少なくないというように働く内容にも厳密な定義はなく、労働者としての権利は正社員と同じです。そのため、企業はアルバイト・パートの労務管理にもきめ細やかで適切な対応が必要となります。

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バイト管理のコツ

アルバイト・パートの雇用契約は、口頭のみでも成立しますが、「労働基準法違反」「パートタイム労働法違反」とならないためにも、必ず労働条件を書面で明示しましょう。そもそもアルバイト・パートは、雇用管理が正社員よりも複雑なのです。

具体的には、「勤務時間・勤務日数によって雇用保険の加入が必要」であることと、「労働時間や年収によって社会保険の加入が義務付けられる」ということをまず理解する必要があります。

労働時間が週20時間以上、または31日以上継続して勤務する場合は、パートであっても雇用保険の加入対象者です。

また社会保険の場合、正社員による労働時間の4分の3以上働いたとき、もしくは年収が130万円以上になる場合は加入が義務付けられます。時給が高ければ、労働時間が正社員の4分の3未満であっても年収が130万円を超えることもありますから、注意が必要です。

また、バイト管理においては、個々の年収によって「扶養・控除」も変わってきます。フリーターについては考慮の必要はありませんが、主婦によるパートタイマーのように家計の補助が目的の場合は、「扶養・控除の範囲」内で税金を抑えながら働く必要があります。

年間の収入が「103万円」、「130万円」、「141万円」を超えるごとに、扶養や控除に関係する条件が変わっていくからです。

実際に主婦パートに対して行われた調査では、約半数が「自分の収入に上限を設けている」と回答しています。パートで働く人たちがこうした年収の壁を意識していることに留意しながら適切な対応をしていきたいところです。

1.「103万円」……所得税と配偶者控除

年収が103万円を超えると、妻の収入に「所得税」がかかってきます。所得税の計算を行う場合、通常は年収から「給与所得控除65万円」+「基礎控除38万円」(=合計控除額103万円)が認められます。そのため、年収が103万円までなら所得税を納める必要はありません。しかし、103万円を超えると、その超えた分が課税対象所得となります。

さらに、103万円を超えると「配偶者控除」の対象外となってしまいます。パートの年収が103万円以下であれば、妻は『税法上の扶養家族』であり、夫の給与所得から「配偶者控除38万円」が認められるのですが、妻の年収が103万円を超えた時点で配偶者控除はなくなり、代わって「配偶者特別控除」が適用され、年収103万円~141万円の間は控除額が10段階で徐々に減額されていきます。

この「配偶者特別控除」は、政府・与党による「2017年度税制改正大綱」において見直し案が固まっており、控除を満額受けられる配偶者のパート年収の上限を「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げることとなりました。

年収201万円未満は控除の一部を受けられるようにし、代わりに世帯主が高所得の場合は控除の対象となる年収に上限を設けて増税し、財源を確保する形です。年明けの通常国会にて法律改正案を提出し、18年1月より実施する方向で調整しています。

2.「130万円」……健康保険と公的年金

パート年収が130万円未満であれば、妻は『保険上の扶養家族』となり、夫の社会保険の被扶養者として扱われるので、健康保険料を負担する必要はありません。年金についても、年収が130万円未満の妻は第三号被保険者で区分され、夫が厚生年金を負担しています。

年収「130万円」を超えてしまうと、パートで働く妻は、健康保険と公的年金の支払い義務が生じるのです。この負担額は住民税・所得税と比較して重く、一般的には健康保険と公的年金に加入した場合、年収を150万円程度まで増やさないと、手取り金額が減ってしまいます。

さらに、多くの企業は扶養家族の範囲として「税法上の扶養家族(年収103万円以下)」もしくは「保険上の扶養家族(年収130万円以下)」を就業規則で定めているため、夫の会社の家族手当の対象から外れることも家計への大きな打撃となります。

3.「141万円」……配偶者特別控除

妻のパートでの年収が141万円を超えると、10段階で徐々に減額されていた夫の「配偶者特別控除」が0になります。ただし、配偶者特別控除は、配偶者の課税対象所得が1000万円を超えている場合は受けることができません。

なお、住民税は所得税とは課税方法が異なり、年収100万円を超えると自分で負担しなくてはならなくなるので注意が必要であり、各自治体によって異なります。

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バイト管理システムの導入

ただでさえ業務が煩雑で多岐に渡る人事・総務部において、こうした細かな法律をチェックしながら管理していくことは大変なことから、バイト管理を実施するにあたってシステムを導入するケースが増えています。「シフト作成・勤怠管理システム」の導入は、シフト表を作成する手間を省け、労務管理をスムーズにする手段として大変有効です。

日々の勤怠データをもとにして、従業員の総労働時間、総残業時間を一瞬で割り出すことができるものや、シフトを管理しながら、店舗ごとにパート・アルバイトの経費が算出できて規定労働時間をオーバーしそうになると自動でアラートが鳴る勤怠処理システムなど、パッケージソフトの購入はもちろんのこと、現在は、スタッフも管理者もオンラインで入力・管理が可能な「シフト管理クラウドツール」が数多く登場しているので、自社に合った製品を選択することが可能です。

気をつけたいのは、こうしたシステムを活用すると、シフトの組み方にゆとりがなくなってしまいがちなこと。つい最小限の人数でシフトを組もうとしてしまい、アルバイト・パートのモチベーションが低下する恐れがあります。

人員にゆとりがないと、お客様が満足できる十分なサービスが提供できなくなる危険性が生じるため、可能な限りゆとりあるシフトを組みましょう。

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バイト管理が重要となった背景

成長を目指す流通や小売、外食、サービス分野においては、アルバイト・パートの確保が出店計画の進展を左右するなど、業種や仕事内容によってはその存在をなくしては成り立ちません。

とくに外食産業では店長を務めていることも珍しくないほど重要な戦力であり、アルバイト・パートの採用はとても重要です。

しかし厚生労働省によると、東京オリンピックが開催される2020年に向けて「宿泊業、飲食サービス業」はもちろんのこと、すべての産業においてアルバイト・パートの人手不足感を感じているという調査結果が出ています。

少子高齢化による労働力の減少もあり、企業間の人材獲得競争が激化して採用時給が高騰を続ける今、アルバイト・パートの確保に本腰を入れて取り組むことに企業の生き残りがかかっています。

従来の採用計画や採用手法、店舗マネジメント手法などを見直して、新たな施策を検討・実行する必要があり、またその管理についても、今まで以上にきめ細やかな対応が求められているのです。