日給月給制とは、月額で基本給を定めつつ、欠勤・遅刻・早退があった場合にその分を差し引いて支給する給与体系です。完全月給制と異なり、働かなかった日数分が控除されるため、実際の出勤状況が給与額に直結します。日給制や月給制との違い、計算方法、企業・従業員双方のメリット・デメリットを整理します。
目次
1.日給月給制とは?
日給月給制は月額の基本給を設定したうえで、欠勤・遅刻・早退分を日割りで控除する仕組みであり、日給制や完全月給制とは控除の扱いが異なります。
日給月給制とは、1日を給与の計算単位とし、計算単位ごとに計算した給与を毎月1回まとめて支払う給与体系のこと。
日給月給制を採用した場合、まず日給を計算し、1カ月分の日給を合算した金額を給料日にまとめて支給します。そのため労働日数の多い月は給与額も増えるものの、労働日数の少ない月は給与額が減るのです。
また日給月給制でも、所定労働時間を超える労働に対する残業代を支払う必要があります。
給与についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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2.日給月給制の計算方法
日給月給制の給与計算はノーワークノーペイの原則にもとづき、月額基本給から欠勤日数分を差し引いたうえで残業代を加算する流れで行います。
日給月給制の計算方法について、下記のポイントから解説しましょう。
- ノーワークノーペイの原則とは?
- 月給
- 残業代
- 深夜残業・休日出勤
①ノーワークノーペイの原則とは?
欠勤・遅刻・早退など、働かなかった分の給与は発生しないという原則のこと。
労働基準法第24条には、「賃金は、通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と明記されています。よって原則にもとづき、労働しなかった分の賃金は支払われません。
月給
日給月給制における月給とは、「月給=日給×月の出勤日数」で算出した賃金です。日給が1万2,000円の場合を例にあげ、具体的に月給を計算してみましょう。
「月給=1万2,000円×23日」であるため、27万6,000円と計算できます。もし日給1万2,000円で15日働いたとすれば、月給は18万円となります。
残業代
日給月給制における残業代は、1時間あたりの賃金をもとに計算します。なお残業代扱いになるのは、下記のとおりです。
- 1日の労働時間が8時間を超えた労働
- 週に40時間以上の労働
- 月60時間を超える労働
具体的な計算方法は、以下のとおりです。
1時間当たりの賃金は、日給÷1日の所定労働時間(各種手当は除く)
- 法定内残業は、残業手当―1時間当たりの賃金×残業時間
- 法定外残業は、1時間当たりの賃金×残業時間×1.25
- 深夜の法定外残業は、1時間当たりの賃金×残業時間×1.5
深夜残業・休日出勤
日給月給制における、深夜残業・休日出勤についても決まりがあります。具体的には、下記のように計算します。割増率が異なる点に注意しましょう。
- 23時から翌5時までの深夜労働に関しては、労働時間の125%の割増率
- 週1日の法定休日に労働させた場合の休日出勤に関しては、労働時間の135%の割増率
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3.企業が得る日給月給制のメリット
企業側の主なメリットは、実際の労働に応じた人件費管理が可能になる点と、欠勤抑止による出勤率向上が期待できる点です。
| メリット | 概要 |
|---|---|
| コストカットにつながる | 労働時間に応じた賃金支払いにより、未稼働時間分の人件費を削減できる |
| 欠勤に対する抑止力となる | 欠勤で給与が減る仕組みのため、従業員の出勤率向上が期待できる |
企業にとっての日給月給制のメリットは、下記の2つです。
①コストカットにつながる
日給月給制は、労働時間に応じて賃金を支払います。そのため、仕事がない・労働していない時間に関して、賃金を支払う必要がありません。労働者からすればデメリットになるものの、企業側から見れば余計な人件費が発生しないというメリットになるのです。
②欠勤に対する抑止力となる
日給月給制では休んだ分の賃金が減額されます。そのため労働者が必要以上に欠勤するのを抑えます。また賃金が労働の対価であると明確になるため、労働者に対して評価の公平性をアピールするのも可能です。
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4.労働者が得る日給月給制のメリット
労働者にとっては、自分の出勤日数から給与額を把握しやすく、休暇取得への心理的ハードルが下がるメリットがあります。
| メリット | 概要 |
|---|---|
| 給与が計算しやすい | 「日給×出勤日数」で算出できるため、自分の給与額を容易に把握できる |
| 休みが取得しやすい | 欠勤控除が明確なぶん、必要に応じて休暇を取る判断がしやすい |
労働者は日給月給制でどんなメリットを得るのでしょうか。下記2つから解説します。
①給与が計算しやすい
賃金の額は、「日給×月の出勤日数」で計算できます。そのため、「自分が1カ月にどれだけ働いたか」「賃金はいくら支給されるのか」を自分自身で計算し、給与金額を把握できるのです。給与が計算しやすい点は大きなメリットでしょう。
②休みが取得しやすい
単なる月給制では、休んでもその分の給与額が減額されないため、周囲の目を気にして休みが取りにくくなります。しかし日給月給制ですと休んだ分の賃金が支給されないため、周囲に気兼ねせず休みを取得できます。
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5.企業における日給月給制のデメリット
企業にとっては、従業員が病欠を避けて無理に出勤するリスクがあり、傷病手当金など補填制度の整備が課題となります。
| デメリット | 概要 |
|---|---|
| 病欠しない労働者が増える | 給与減を避けるため無理な出勤が増え、職場全体の健康リスクが高まる |
| 傷病手当金の整備が必要 | 欠勤控除の不安を軽減するため、傷病手当金など補填制度を周知・整備する対応が求められる |
企業における日給月給制のデメリットは何でしょうか。傷病手当金とともに解説します。
①病欠しない労働者が増える
日給月給制では、仕事を休むとその分の賃金が減ります。よって労働者は病欠をためらうでしょう。しかし適切なタイミングで休めなければ、病状が悪化してしまいます。「傷病手当金の活用」といった欠勤分の賃金補填制度を整える対策が必要です。
②傷病手当金とは
病気やケガで休業中の被保険者と家族の生活保障を目的とした制度のこと。支給要件は、下記のとおりです。
支給期間は、支給開始日から最長1年6カ月です。
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6.従業員における日給月給制のデメリット
従業員にとっては、祝日や長期休暇など自己都合以外の要因でも収入が減少する不安定さが最大のデメリットです。
| デメリット | 概要 |
|---|---|
| 収入が安定しない | GW・年末年始など会社都合の休日が多い月は、出勤日数の減少に伴い給与額も下がる |
| 福利厚生が整備されていないおそれも | 日給月給制を採用する企業ではボーナスや退職金制度が未整備の場合がある |
従業員における日給月給制のデメリットは何でしょうか。下記2つから解説します。
①収入が安定しない
たとえばGW・お盆・各種祝日・年末年始などで会社が休みになると、給与額も減ります。労働者自身による欠勤理由ではなく、会社の公休日といった要因で収入が左右される点は、大きなデメリットでしょう。
②福利厚生が整備されていないおそれも
日給月給制でもボーナス・残業代・そのほか福利厚生は整備されるべきもの。しかし企業が必要以上にコストカットした結果、日給月給制に該当する労働者のための福利厚生が整備されていないケースもあるのです。
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7.日給月給制の注意点
日給月給制でも残業代の支払い義務は発生し、長期休暇やインフルエンザ時の欠勤控除にも注意が必要です。
日給月給制の注意点は何でしょうか。下記3つから解説します。
- 残業代
- 長期休暇
- インフルエンザでも欠勤扱いになるおそれがある
①残業代
労働基準法では、給与制度を問わず時間外労働した労働者に対する割増賃金の支払い義務を明記しています。
日給月給制でも、時間外労働に該当する労働を行った労働者に対して、所定の割増を行った割増賃金を支払わなければなりません。残業代の未払いは、労働基準法違反です。
②長期休暇
日給月給制でも、長期休暇を取得できます。しかし通常営業日を欠勤する場合、賃金の減額対象になるのです。労働者が、設定された公休日・有給休暇などを上手に組み合わせて長期休暇を取得できるような工夫が、必要になります。
③インフルエンザでも欠勤扱いになるおそれがある
日給月給制では、インフルエンザでも欠勤扱いになるおそれがあります。基本、労働者自身の病気を理由とした欠勤は減給の対象です。そのためインフルエンザで一定期間休む場合、減額される金額も大きくなってしまいます。
企業によっては、病欠で休んだ期間を有給休暇として申請できる制度を設けているケースもあるので、確認しておきましょう。
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8.日給月給制の給与計算シミュレーション
日給月給制で実際にどのように給与が計算されるのか、具体的な数値を用いたシミュレーションで確認しましょう。
前提条件
| 項目 | 金額・日数 |
|---|---|
| 月額基本給 | 250,000円 |
| 月の所定労働日数 | 20日 |
| 1日の所定労働時間 | 8時間 |
| 欠勤日数 | 3日 |
| 時間外労働 | 10時間(法定時間外) |
STEP1:1日あたりの賃金を算出
月額基本給 ÷ 月の所定労働日数 = 1日あたりの賃金
250,000円 ÷ 20日 = 12,500円/日
STEP2:欠勤控除額を算出
1日あたりの賃金 × 欠勤日数 = 欠勤控除額
12,500円 × 3日 = 37,500円
STEP3:残業代を算出
1時間あたりの賃金 × 割増率 × 時間外労働時間数 = 残業代
(250,000円 ÷ 20日 ÷ 8時間)× 1.25 × 10時間
= 1,562.5円 × 1.25 × 10時間 = 19,531円(端数切り上げ)
STEP4:実際の支給額
月額基本給 − 欠勤控除額 + 残業代 = 支給額
250,000円 − 37,500円 + 19,531円 = 232,031円
計算結果まとめ
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月額基本給 | 250,000円 |
| 欠勤控除額(3日分) | ▲37,500円 |
| 残業代(10時間分) | +19,531円 |
| 差引支給額(税・社保控除前) | 232,031円 |
このように、日給月給制では欠勤日数が増えるほど控除額が大きくなり、手取り額に直接影響します。逆に残業が発生すれば割増賃金が加算されるため、実際の支給額は月ごとに変動する点を理解しておきましょう。
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よくある質問
日給月給制と日給制の違いは何ですか?
日給月給制は月額基本給を設定し欠勤分を控除する仕組みです。日給制は1日単位で賃金が決まり、出勤した日数分だけ支払われます。基本給の設定方法と控除の考え方が異なります。
日給月給制でも有給休暇は取得できますか?
はい、取得できます。日給月給制であっても労働基準法に基づき、6か月以上継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者には有給休暇が付与されます。有給取得日は欠勤控除の対象外です。
日給月給制で社会保険に加入できますか?
加入できます。日給月給制は雇用形態ではなく給与計算方式の違いです。正社員として雇用されていれば通常どおり社会保険の加入対象になります。パート・アルバイトでも要件を満たせば加入可能です。
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