健康診断とは? 実施方法と流れ、注意点、対策、健康管理システムの活用

健康診断とは、身体的な健康の状態をチェックする検査です。ここでは、健康診断についてさまざまなポイントから解説します。

1.健康診断とは?

健康診断とは、身体の健康状態を総合的にチェックするプログラムのこと。健康診査とも呼ばれ、「法定検診(定期健診)」「任意検診」の2種類にわかれます。

  • 法定検診:労働安全衛生法といった法律により実施を義務付けられている検診
  • 任意検診:人間ドックなど任意で個人的に受ける検診。法定健診と比較して40~100程度の項目で高度な検査が実施される

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2.健康診断の目的

健康診断には、「生活習慣を振り返り、悪習慣を改善するきっかけとする一次予防」「病気の早期発見、早期治療につなげる二次予防」2つの要素があります。そんな健康診断について、下記2点から目的を解説しましょう。

  1. 企業における健康診断の義務
  2. 健康診断を拒否された場合は?

①企業における健康診断の義務

企業には、労働安全衛生法にもとづき、社員に対し健康診断を実施する義務があります。違反した場合、労働基準監督署からの指導を受けますし、指導を無視し続ける場合50万円以下の罰金の対象になるのです。

健康診断の対象となる社員は、「正社員」「契約期間が1年以上、かつ週所定労働時間の4分の3以上労働する契約社員やパート社員」です。

②健康診断を拒否された場合は?

健康診断を拒否された場合、相応の対処が必要です。企業が実施する健康診断は法定検診で、必ず実施しなければなりません。もし社員が健康診断を拒否した場合、業務命令違反として取り扱えるのです。

あらかじめ就業規則に「健康診断受診拒否は懲戒処分の対象となる」を明記しておき、就業規則に則り処分を行います。

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3.企業で実施される健康診断の種類

企業で実施される健康診断の種類は、2種類です。

  1. 一般健康診断
  2. 特殊健康診断

①一般健康診断

業種や職種を問わず実施し、すべての企業が対象となる健康診断のこと。たとえば下記のようなものです。

  • 1年以内ごとに1回実施する定期健診
  • 雇い入れ時健康診断
  • 6カ月以上海外に派遣する社員のために行う健康診断
  • 給食作りに携わる社員を対象とする検便

雇い入れ時に行う健康診断

雇い入れ時に行う健康診断とは、労働安全衛生規則第43条に定められている健康診断のこと。事業者が常時雇用する社員を雇い入れる際、医師による健康診断を実施することになっています。なお実施や健診結果に関する所轄労働基準監督署長への報告は不要です。

定期健康診断

定期健康診断とは、1年に1回の頻度で定期的に実施しなければならない健康診断で、労働安全衛生法で定められています。社員を50人以上使用する事業者は、健康診断の結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があるのです。

②特殊健康診断

労働安全衛生法・行政指導にもとづいた健康診断のことで、対象は人体に害のある業務に従事される社員となります。たとえば下記のようなものです。

  • 有機溶剤健康診断
  • 特定化学物質健康診断
  • じん肺健康診断
  • 鉛健康診断
  • 電離放射線健康診断
  • 情報機器作業健康診断
  • 振動障害健康診断
  • 騒音健康診断

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4.健康診断の対象者

健康診断の対象者は、「正規社員の労働時間を基準として決定した人」「直接雇用契約を締結している人」。注意点は以下のとおりです。

  • 正規社員の労働時間の4分の3以上勤務しているパート・アルバイトは対象
  • 派遣社員は、派遣元企業が実施義務を負う
  • 代表取締役社長といった事業主には、実施義務がない
  • 社員の配偶者や家族は対象にならない

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5.健康診断の実施方法と実施の流れ 健康診断の実施方法

健康診断の実施方法は、3つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 会社内や検診車に出張を頼んで行う集団検診の流れ
  2. 指定の医療機関で健康診断を受ける場合の流れ
  3. 雇い入れ時に行う健康診断実施の流れ

①会社内や検診車に出張を頼んで行う集団検診の流れ

集団検診は、職場を長時間離脱するのが困難な業種で採用されます。社員が自分で病院を予約すると結果の管理が煩雑になるため、一般的に指定医療機関で健康診断を行うのです。

②指定の医療機関で健康診断を受ける場合の流れ

指定の医療機関で健康診断を受ける場合の流れは、以下のとおりです。

  • 定期健康診断対象者を取りまとめる
  • 企業が指定した指定医療機関に予約を行う
  • 社員に予約した健康診断日を書面やメールなどで通知する
  • 指定医療機関から健康診断結果を受け取る
  • 社員に健康診断結果を個別に文書で通知する
  • 健康診断結果を健康診断個人票へ記載し管理する

③雇い入れ時に行う健康診断実施の流れ

雇い入れ時に行う健康診断実施の流れは、以下のとおりです。

  • 雇い入れ時に行う健康診断対象者を取りまとめる
  • 企業が指定した医療機関に予約を行う
  • 雇い入れる者に、予約した健康診断日を書面やメールなどで通知する
  • 指定医療機関から健康診断結果を受け取る
  • 雇い入れる者に、健康診断結果を個別に文書で通知する
  • 健康診断結果を健康診断個人票へ記載し、管理する

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6.健康診断の管理や結果の保存、費用

健康診断の管理や結果の保存、費用について解説します。

  1. 健康診断の管理業務
  2. 健康診断結果の保存
  3. 費用は企業が原則、全額負担

①健康診断の管理業務

健康診断で生じる管理業務は、以下の場面で発生します。

  • 健康診断の実施方法や予算の見積もりなどの打ち合わせ
  • 受診項目や補助金申請など実務の確認
  • 健康診断の日程や受診コースの確認、問診表や結果通知といったやり取り
  • 産業医へ就業判定や意見書作成の依頼
  • 常時50名以上を雇用する企業は、健康診断結果を所轄労働基準監督署へ提出

②健康診断結果の保存

健康診断結果の保存には、下記のような注意点があります。

  • 保存の際は社員の同意を得る
  • 保存方法は、書面か電子データ
  • 定期健康診断の場合、診断結果を5年間保存する

二次健康診断の結果については結果の保存義務はありません。しかし「保存が望ましい」とされています。なお派遣社員については、派遣元事業者が責任を負って健康診断結果を保存します。

③費用は企業が原則、全額負担

健康診断の費用は原則、企業が全額負担します。しかし法律に特段の定めがない健康診断を受診するために支払った交通費は、あらかじめ事業主と社員、どちらが負担するかを決めておくのです。

再検査やオプションの費用は一般的に社員負担となる

再検査やオプションの費用、たとえば人間ドックや脳ドック、がん検診などのオプション費用は社員が負担するのです。なかには検査項目が多く高額になる人間ドック受診費用の一部を福利厚生として、負担する企業もあります。

二次健康診断等給付

定期健康診断で異常が認められた際、下記を1年度内に1回、無料で受診できる制度です。

  • 脳血管や心臓の状態を把握するための二次健康診断
  • 二次健康診断の結果にもとづいて行う、脳・心臓疾患発症予防のための特定保健指導

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7.健康診断時を実施する際の注意点

健康診断時を実施する際、知っておきたい注意点があります。一体それは何でしょうか。

  1. 健康診断時の給与支払い
  2. 手配時に起こりうるトラブル
  3. コロナ渦における健康診断

①健康診断時の給与支払い

健康診断時の給与支払いについて「支払うべきか・支払わなくてもいいか」といった問題があります。厚生労働省の見解とともに、一般健康診断と特殊健康診断を解説しましょう。

一般健康診断

一般健康診断とは、定期健康診断や雇い入れ時の健康診断などのこと。

厚生労働省は「社員がスムーズに受診するためには、健診時間の賃金を支払うことが望ましい」としています。一般的に定期健診といった一般健康診断は、業務遂行との直接な関係がないため、労使間の協議で賃金支払いの有無を決定するのです。

特殊健康診断

特殊健康診断とは、有害業務に従事する社員のために行う健康診断のこと。業務遂行に関して、社員の健康確保のために企業が当然実施すべき健康診断です。

よって「健康診断は労働時間であるため、賃金の支払い義務が生じる」「受診時間が就業時間外である場合は割増賃金も発生する」となります。

②手配時に起こりうるトラブル

手配時に起こりうるトラブルの事例は、以下のとおりです。

  • 健保組合によって健診のコースや補助金の申請方法がさまざまあるため、わかりにくい
  • 社員が多く、希望受診日時や受診日変更などを把握しきれない
  • 医療機関を予約するのに時間がかかる
  • 医療機関ごとに予約方法や健診コースが異なり、ヒアリングに時間がかかる

③コロナ渦における健康診断

コロナ禍でも健康障がいを防ぐうえで必要なため、労働安全衛生法にもとづく健康診断を実施しなければなりません。健康診断実施機関でもマスク着用や手洗いの徹底、換気や消毒など感染防止対策に努めています。

その際「3つの密」を避けて十分な感染防止対策を講じながら実施しましょう。

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8.健康診断と合わせて企業が行う対策

健康診断とあわせて企業が行う対策とは何でしょうか。下記4つについて解説します。

  1. 長時間労働の防止
  2. ストレスチェック
  3. ヘルスリテラシーの向上
  4. 福利厚生の整備

①長時間労働の防止

長時間労働は、脳や心臓疾患発症のリスクを高めることがわかっています。労働安全衛生法第66条の8では、時間外や休日労働時間が1カ月当たり100時間を超える社員から申し出があったら、医師による面接指導をするよう義務づけているのです。

②ストレスチェック

ストレスチェックとは、メンタル不調者の発生を防ぎ、働きやすく健康的な職場へ改善する検査のこと。医師や保健師、精神保健福祉士などによって実施されます。法人や個人を問わず、常時50名以上社員がいる全事業場に、実施義務があるのです。

③ヘルスリテラシーの向上

ヘルスリテラシーとは、社員自身が自分の健康に良い行動を選び、実践する自己健康管理能力のこと。ヘルスリテラシーが高ければ、適切な健康管理にて良好な体調を維持できるのです。健康経営に対する取り組みにも効果が期待できます。

④福利厚生の整備

福利厚生は、社員の心身の健康を守る重要な施策となります。具体例は下記のとおりです。

  • 健康維持に向けた環境整備を目的とした教育
  • 社員を支援する医療費の補助・病気見舞金
  • バランスの良い食生活を推進するために食堂を運営

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9.健康診断にも役立つ健康管理システムの活用

全社員の健康状態を効率的に把握するシステムを使えば、健康診断にも役立つでしょう。ここでは健康管理システムについてメリットや機能、選ぶときの注意点を解説します。

健康管理システムのメリット

健康管理システムのメリットは、効率的に健康診断データを管理できること。下記のような内容を一括管理できます。

  • 所轄労働基準監督署へ提出する定期健康診断報告書の作成
  • 社員の健康診断受診記録や健康診断結果の管理
  • メタボリックシンドロームの判定があった社員の生活チェック
  • 長時間労働や休日出勤などが社員に与える影響

健康管理システムの機能

健康診断にも役立つ健康管理システムには、さまざまな機能が搭載されているのです。ここでは代表的な機能について解説します。

  1. 個人情報管理機能
  2. 報告書作成
  3. 検診結果や面談、指導の記録

①個人情報管理機能

個人情報管理機能とは社員の氏名や住所、職種や保険情報などを基本情報として、一般健康診断や特殊健康診断、特定保健指導や保険指導履歴などを一括管理する機能のこと。診断内容のマスキングや匿名表示などの加工も自在にできます。

②報告書作成

報告書作成とは、1年に1回、所轄労働基準監督署に提出する定期健康診断報告書を作成すること。システムを活用すればデータの一元管理、報告書の作成や提出状況の確認などができ、提出漏れの予防にもつながります。

③検診結果や面談、指導の記録

検診結果や面談、指導の記録とは、健康診断結果や就労・ストレスチェックデータ、産業医による面談記録といった健康診断にかかわる社員のさまざまな健康情報を管理すること。ペーパーレスも実現でき、余計なコストを省けます。

健康管理システムを選ぶときの注意点

健康管理システムを選ぶときの注意点は2つです。

  1. 必要な機能を使えるか
  2. 社員データが入出力できるか

①必要な機能が使えるか

健康管理システムには、さまざまな機能があります。なかでも自社が健康管理で抱えている課題を、確実に解決してくれる機能が備わったシステムを選択します。

②社員データが入出力できるか

「CSVファイルを使える」「API連携ができる」など、社員データの入出力ができるシステムを選びましょう。それにより導入時の作業が簡略化されます。