給与所得とは? 給与収入との違い、給与所得控除、計算方法、特定支出控除、所得控除、関係する書類について

給与所得とは、収入から控除額などを差し引いた金額です。ここでは、給与所得について解説します。

1.給与所得とは?

給与所得とは、勤務先から受ける給料・賞与などから控除額を差し引いた金額のこと。まず給与所得について3点から解説しましょう。

  1. 給与収入との違い
  2. 給与所得の範囲
  3. 現物付与も給与所得になる

①給与収入との違い

給与収入とは、給与や賞与を合計した税引き前の年収のこと。給与所得と給与収入との違いは、下記のとおりです。

  • 給与所得:給与や賞与などの収入金額から必要経費にあたる給与所得控除額などの諸経費を差し引いた金額
  • 給与収入:給与や賞与を合計した税引き前の金額

②給与所得の範囲

給与所得の範囲は、「通常の俸給・給料・賃金・賞与・諸手当・現物給与」など。諸手当と現物給与の例は下記のとおりです。

  • 諸手当:通勤手当・旅費・宿日直料・交際費・結婚祝金品・葬祭料、香典、見舞金など
  • 現物給与:食事や制服の支給・社宅の貸与・レクリエーションの費用負担など

③現物付与も給与所得になる

現物給与とは、食事の現物支給や商品の値引き販売といった物や権利・そのほか経済的利益といった現物で支給されること。

こうした現物給与も給与所得になるのです。たとえば、創業記念品といった物品の支給や金銭の無利息貸付けといった現物給与も給与所得に含めて考えます。

給与所得は、給与や賞与などの収入金額から必要経費にあたる給与所得控除額を差し引いた金額です

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2.給与所得控除について

給与所得控除とは、納税にあたって控除できるものです。給与所得控除について3点から解説しましょう。

  1. 給与所得控除の仕組み
  2. 給与所得控除の見直し
  3. 給与所得控除額が見直された理由

①給与所得控除の仕組み

給与所得控除額は会社員の必要経費と見なされるため、給与所得控除額は給与などの収入金額に応じて算定します。

なお給与所得控除額は、給与などの収入金額により、「162万5,000円までは55万円」「850万1円以上は195万円」といったように上限と下限が決まっているのです。

②給与所得控除の見直し

給与所得控除の見直しが行われ、令和2年度以降は上限適用の給与収入が850万円に引き下げらまれした。給与収入が850万円に達した場合、給与所得控除額が上限の195万円に届くため、それ以上給与所得控除は増えなくなります。

従来と比較すると、給与収入850万円以上の場合、「給与所得控除は25万円減・基礎控除は10万円増・控除額計は15万円減」となるのです。

③給与所得控除額が見直された理由

給与所得控除額が見直された理由は、諸外国と比較して、勤務関連経費を大幅に上回る水準だったからです。

所得税は家計に直結する税制のひとつ。そのため「急激な負担増といった変動を避ける・お金のかかる世帯へ配慮する・新制度への準備期間を十分に確保する」などから、令和2年1月から施行されました。

給与所得控除は、納税の際、控除されるもの。令和2年に行われた給与所得控除の見直しによって、上限の給与収入が850万円に引き下げられました

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3.給与所得の計算方法

給与所得の計算方法は、あらかじめ定められています。給与所得の計算方法について2つのポイントから解説しましょう。

  1. 計算の仕方
  2. 所得金額調整控除

①計算の仕方

計算の仕方を給与収入の金額が500万円のケースで解説しましょう。給与所得控除の金額は、「収入金額×20%+44万円」で求められます。

具体的な数字をあげると、「給与収入は500万円」「給与所得控除は500万円×20%+44万円で、144万円」「給与所得は500万円-144万円で、356万円」となるのです。

②所得金額調整控除

所得金額調整控除とは、「子ども・特別障がい者などを有する人の所得金額調整控除・給与所得と年金所得の双方を有する人に対する所得金額調整控除」のこと。それぞれの計算式は下記のとおりです。

  • 子ども・特別障がい者などを有する場合、〔給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)−850万円〕×10%
  • 給与所得と年金所得の双方を有する場合、(給与所得控除後の給与等の金額+公的年金等に係る雑所得の金額)−10万円

給与所得控除の計算方法は、あらかじめ定められています。子どもや特別障がい者などを有する人と、給与所得と年金所得の双方を有する人に対する所得金額調整控除があるのです

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4.給与所得者の特定支出控除について

給与所得者の特定支出控除とは、給与所得者が特定支出をした際、確定申告によって超える金額を給与所得控除後の所得金額から差し引ける制度のこと。ここでは、6種類の支出について解説します。

  1. 通勤費
  2. 転居費
  3. 研修費
  4. 資格取得費
  5. 帰宅旅費
  6. 勤務必要経費

①通勤費

通勤費とは、通勤に必要だと認められる交通機関の利用における支出のこと。通勤費には、「最も経済的かつ道理的・給与等の支払者に提出して証明を受ける」など別途要件があります。

要件さえ満たせば、公共交通機関の定期券代などのほか自動車の燃料・修理費用なども認められるのです。

②転居費

転居費とは、会社の辞令を受けて転勤のために行う引越し費用のこと。給与所得者が所得税法第57条2の規定にもとづき、転居費にて特定支出控除を受ける場合に発生するのです。

特定支出控除は、「依頼書に所定の事項を記入のうえ、給与等の支払者に提出して証明を受ける」「確定申告書、修正申告書または更正請求書に添付」によって受けられます。

③研修費

研修費とは、職務に必要な技術・知識を習得するために受けた、講習・研修に関する費用のこと。

研究費として認められるには、「仕事に直接必要な免許や資格を、役員や使用人に取得させる研修会や講習会への出席費用・費用が適正な金額」といった要件を満たす必要があります。

④資格取得費

資格取得費とは、職務の遂行に直接必要な資格を取得するためにかかった費用のことで、給与などの支払者による証明が必要です。

結果として資格取得が達成できなくても、特定支出として扱われます。年をまたいだ講義の場合、それぞれの年に対応する支出金額を特定支出とするのです。

⑤帰宅旅費

帰宅旅費とは、単身赴任をしている社員が自宅に帰宅するときにかかった費用のことで、暦に従い1月4往復以内の旅行に要するものに限られます。月をまたがる場合、それぞれの月に片道1回分を計上するのです。

また勤務する場所または居所と生計を一にする配偶者や、そのほかの親族が居住する場所との間の旅費であるという要件があります。

⑥勤務必要経費

勤務必要経費とは、職務で必要と認められた「職務に関連する図書を購入した際の図書費」「勤務場所で着用する衣服を購入するための衣服費」「給与などの支払者の得意先、仕入先など職務上の関係がある人に対する接待、贈答などにかかった交際費」などのこと。

なお支出額の合計が65万円を超えた場合、65万円までの支出が対象となります。

給与所得者の特定支出控除には、「通勤費・転居費・研修費・資格取得費・帰宅旅費・勤務必要経費」があります

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5.給与所得において所得控除になるもの

給与所得にて所得控除になるものは何でしょうか。ここでは、所得控除になるものを4つ解説します。

  1. 社会保険料控除
  2. 生命保険料控除
  3. 地震保険料控除
  4. 配偶者控除

①社会保険料控除

社会保険料控除とは、自己と自己と生計を一にする配偶者やそのほかの親族の社会保険料を支払った際、その金額が控除対象となるもの。金額は、その年に支払った金額や給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

対象には、「国民健康保険・健康保険」「国民年金・厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」などがあります。

②生命保険料控除

生命保険料控除とは、支払った生命保険の年間払込保険料に応じて、一定の金額が保険料負担者のその年の所得から控除されるもの。年間払込保険料は、その年の1月1日から12月31日までに払い込んだ保険料です。

控除対象となる保険料の種類は、「一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除」となります。

③地震保険料控除

地震保険料控除とは、地震等損害部分の保険料・掛金の支払いに応じて、一定の金額が負担者のその年の所得から控除されるもの。

控除額は、「年間の支払保険料の合計が5万円以下の場合、支払金額の全額」「年間の支払い保険料の合計が5万円を超える場合、一律5万円」と定められています。

④配偶者控除

配偶者控除とは、所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる控除のこと。控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額と控除対象配偶者の年齢によって定められています。

なお平成30年分以後、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者控除が受けられません。

給与所得には、「社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・配偶者控除」などがあります

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6.給与所得に対する所得税の計算方法

給与所得に対する所得税はどのように計算するのでしょう。ここでは、具体的な計算方法について解説します。

計算の仕方

分かりやすく数値を入れて解説してみましょう。たとえば(給与所得450万円 − 所得控除1,90万円)×所得税率10% − 97,500=所得税の金額162,000(1,000円未満切り捨て)といった計算で求められます。

給与所得に対する所得税の計算方法は、(給与所得 − 所得控除)×所得税率 − 控除額です。所得税の金額は、1,000円未満を切り捨てます

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7.給与所得にかかわる書類

給与所得にかかわる書類がいくつかあります。ここでは、3種類について解説しましょう。

  1. 給与所得者の基礎控除申告書
  2. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  3. 給与所得者異動届出書

①給与所得者の基礎控除申告書

給与所得者の基礎控除申告書とは、納税者本人の最低限度の生活維持を目的として、生活に必要な部分に対して税金を課さないようにする書類のこと。合計所得金額が2,500万円超の場合、記入の必要はありません。

給与所得者の基礎控除申告書には、合計所得金額の見積額を給与所得・給与所得以外の所得の合計額に分けて記載します。

②給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、扶養家族に該当する配偶者・親族がいる場合に、その所得控除を受けるのに必要となる書類のこと。

個人住民税の給与所得者の扶養親族申告書と統合した様式になっており、勤労学生控除を受ける場合では、添付書類が必要になります。

③給与所得者異動届出書

給与所得者異動届出書とは、退職・転勤などで給与所得者に異動が生じた場合に届け出る書類のこと。

異動時期によって、「4月1日までに異動が生じた場合は4月15日まで」「4月2日以降、5月31日までの間に異動が生じた場合は6月10日まで」「6月以降に異動があった場合には異動があった月の翌月10日まで」と、異なる提出期限が設けられています。

給与所得にかかわる書類には、「給与所得者の基礎控除申告書・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書・給与所得者異動届出書」があります