雇用対策法とは? 目的と定義、改正でのポイント、働き方改革に関するその他の法律

雇用対策法とは、雇用に関する労働法のひとつです。ここでは、目的や改正ポイントなどについて解説します。

1.雇用対策法とは?

雇用対策法とは、経済・社会の発展・完全雇用の達成に資するという目的を持つ法律のこと。

雇用対策法の目的や定義は、雇用対策法第一章総則にあります。総則の目的は、雇用対策法が「労働者の職業の安定」「経済ならびに社会的地位の向上」「経済と社会の発展並びに完全雇用の達成」に資すること。

雇用対策法には、「職業生活の適切な設計と、設計に即した能力の開発および向上・円滑な再就職の促進により、職業生活の全期間をとおして職業の安定が図られるよう配慮されるものでなければならない」と明記されています。

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2.雇用対策法改正の5つのポイント

平成19年に改正された雇用対策法のポイントは5つあります。それぞれについて解説しましょう。

改正ポイント1:雇用対策の基本的方向

雇用対策の基本的方向は3つあります。

  • 人口減少下における就業の促進を図る
  • 青少年・女性・高齢者・障がい者などの就業促進対策や外国人雇用対策、地域雇用対策など国の実施施策を明記する
  • 雇用対策基本計画を廃止する

こうした基本的方向をもとに、就業参加や雇用創造、雇用管理の推進の実現を目指しているのです。

改正ポイント2:青少年の応募機会の拡大

青少年の応募機会の拡大とは、雇用機会の確保を「青少年の能力を正当に評価するため募集方法を改善・雇用管理の改善・実践的な職業能力の開発および向上」によって図るという内容を、事業主の努力義務にくわえること。

具体的な方法には「採用基準の明確化・応募資格の既卒者への開放・正社員への登用制度の導入」などがあります。

改正ポイント3:募集・採用に係る年齢制限の禁止の義務化

募集・採用にかかわる年齢制限の禁止の義務化とは、労働者の募集・採用に関わる年齢制限を設定しないよう、事業主の義務とすること。

従来、事業主の努力義務であった募集および採用にかかわる年齢制限の緩和は、雇用対策法第10条の改正により、「年齢制限の禁止・例外的に年齢制限が認められる場合について厚生労働省令に規定」と変更されました。

改正ポイント4:外国人の適正な雇用管理

外国人の適正な雇用管理とは、外国人の雇用管理を厳格化するもの。事業主に対し、次に挙げるような内容を求めています。

  • 外国人労働者の雇入れや離職の際、氏名や在留資格、在留期間などを厚生労働大臣に届け出る
  • 外国人の雇用管理の改善や離職時の再就職援助を、事業主の努力義務にくわえる
  • 事業主が適切に対処するために必要な指針を策定する

改正ポイント5:雇用情勢の地域差の是正

雇用情勢の地域差の是正とは従来、「雇用機会増大促進地域」「求職活動援助地域」「能力開発就職促進地域」「高度技能活用雇用安定地域」4つに分類していたものに下記2つをくわえ、地域事情に応じた雇用情勢の改善を目指すこと。

  • 雇用情勢が特に厳しい雇用開発促進地域
  • 雇用創造に向けた意欲が高い自発雇用創造地域

雇用対策法の改正では、「あらゆる労働者の就業参加・雇用創造・雇用管理の推進」などの実現を目指しています

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3.年齢制限の禁止が義務化になる

事業主の努力義務であった労働者の募集・採用にかかわる年齢制限は、改正によって制限の禁止が義務化されました。ただし厚生労働省令では、例外的に年齢制限が認められる場合を規定しています。ここでは年齢制限について解説しましょう。

年齢制限禁止の例外事由

年齢制限禁止の例外事由とは、義務化されている労働者の募集・採用にかかわる年齢制限の禁止の規定で、例外的に年齢制限が認められる事由のこと。内容は4点あり、それぞれ厚生労働省令の中で具体的に規定されているのです。

  1. キャリア育成のための募集
  2. ある特定の年齢層
  3. 芸術の分野に関して
  4. 高齢者に関して

①キャリア育成のための募集

長期勤続によるキャリア形成の観点から、新規学卒者をはじめとした若年者を、期間が定められていない労働契約を対象とし、上限年齢を定めて募集・採用すること。

上限年齢を設定するためには、「対象者の職業経験について不問とする・新規学卒者以外の者は新規学卒者と同等の処遇にする」といった要件を満たす必要があります。ここでの若年者は必ずしも、35歳未満に限定しません。

②ある特定の年齢層

ある特定の年齢層とは、技能・ノウハウを継承するという観点から、特定の職種や年齢層
において労働者数が相当程度少ない場合、特定の年齢層に限定して行う募集や採用のこと。

「特定の年齢層は、30~49歳のうち特定の5~10歳幅の年齢層とする」「相当程度少ない場合に該当するのは同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して、労働者数が1/2以下の場合」など要件が設けられています。

該当する場合、特定の年齢層に限定して募集や採用ができるのです。

③芸術の分野に関して

芸術作品のモデルや役者の募集や採用にて、表現の真実性を追求するため、特定の年齢層の労働者に限定した募集・採用が認められています。たとえば「子役募集のため、採用を○歳以下に限定する」といった募集です。

ただし「特定の年齢層を対象とした商品やサービスの提供などを目的とする・芸術、芸能分野に該当しない」場合、この範囲ではありません。

④高齢者に関して

高齢者に関しては、「60歳以上の高年齢者を募集・採用する」「特定年齢層の雇用を、国の施策を活用して募集・採用する」といったケースにて、年齢制限が認められています。

国の施策とは、特定求職者雇用開発助成金のこと。ただし「60歳以上の高年齢者の募集、採用に上限年齢を付す」「募集、採用する年齢層が国の施策対象の特定年齢層と異なる」場合、年齢制限は認められません。

高齢者に限定した募集や採用を考えている場合、注意が必要です。

労働者の募集・採用に関わる年齢制限の禁止が義務化されました。しかし例外的に年齢制限が認められる場合もあります

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4.働き方改革とのかかわり

働き方改革は、雇用対策法をはじめとする8つの労働法と密接な関係性を持っています。ここでは下記2つについて解説しましょう。

  1. 働き方改革が推し進められる背景
  2. 働き方改革に関連する7つの労働法

①働き方改革が推し進められる背景

働き方改革が推し進められる背景にあるのは、下記の内容です。

  • 少子高齢化による、労働人口の急激な減少
  • グローバル化の進展による、外国人の積極的な受け入れと活用
  • AIやロボット技術の進展による、人間の働き方の変化
  • 専門性の高いプロフェッショナル型への需要増加
  • 長時間労働や過労死など、過重労働問題への対応

②働き方改革に関連する7つの労働法

働き方改革に関連する労働法は、雇用対策法を入れて8つあります。働き方改革は各労働法と密接なかかわりを持つのです。ここでは雇用対策法以外となる7つの労働法について解説します。

労働基準法

労働基準法とは、労働組合法や労働関係調整法と並んだ労働三法のひとつで、1947年、日本国憲法にもとづいて制定されました。目的は、労働者が持つ生存権の保障。

労働契約や賃金、労働時間や休日および年次有給休暇、災害補償や就業規則などについて、労働条件の最低基準が定められています。

労働時間等設定改善法

労働時間等設定改善法とは、能力の有効な発揮や健康で充実した生活の実現、経済の発展を目的とし、企業に労働時間の設定改善を求める法律のこと。

前身は「通称時短促進法」と呼ばれる、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法です。時短促進法の期限である2006年に名称変更して、施行されました。

労働者派遣法

労働者派遣法とは、労働者派遣事業の適正な運営の確保や派遣労働者の保護を図って、派遣労働者における雇用の安定や福祉の増進に資する法律のこと。

1986年に設けられた法律で、現在まで数回の改正を経ています。改正を経てより派遣労働者がより安心して働き続けられるよう、環境の整備を進めているのです。

労働契約法

労働契約法とは、労働者および使用者の自主的な交渉のもと、「労働契約が合意により成立、変更される合意の原則」「そのほか労働契約に関する基本的事項」を定めて、労働者の保護や個別労働関係の安定に資する法律のこと。

労働契約法の制定によって、労働契約に関する民事的なルールが、広く明らかになりました。

じん肺法

じん肺法とは、じん肺に関して「適正な予防や健康管理、そのほか必要な措置を講ずる」「労働者の健康保持」「そのほか福祉の増進に寄与する」法律のこと。

じん肺とは、鉱石の採掘などに伴い発生する粉塵・アスベストを吸入した結果、肺機能低下が起こる肺病です。職業病であるため、法を制定して対策を講じています。

労働安全衛生法

労働安全衛生法とは、「職場における労働者の安全と健康の確保」「快適な職場環境の形成」を目的とした法律のこと。

また「労働災害を防止する危害防止基準の確立」「責任体制の明確化」「自主的活動の促進措置」についても明記しています。労働安全衛生法は、労働基準法の規定から独立分離したもので、労働基準法と一体の関係にあるのです。

パートタイム・有期雇用労働法

パートタイム・有期雇用労働法とは、同じ会社で同じ仕事をする正規労働者と非正規労働者の間であらゆる待遇の不合理な格差を禁止し、雇用形態にかかわらず、労働者が自らの待遇に納得して働き続けられるようにする法律のこと。

働き方改革関連法のひとつとして、制定されました。

働き方改革は、8つの労働法と密接なかかわりを持っています。働き方改革の推進には、各法律への理解も求められるのです

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5.国が施行する雇用対策法について

国が施行する雇用対策法には、さまざまな施策が盛り込まれています。ここでは下記2つについて解説しましょう。

  1. 雇用対策法の目的を達成するために盛り込まれた施策
  2. 労働者の能力を生かせる施策

①雇用対策法の目的を達成するために盛り込まれた施策

雇用対策法が制定された目的は、「労働者の雇用安定」「経済的社会的地位の向上」「経済および社会の発展ならびに完全雇用の達成」に資すること。この目的を達成するために盛り込まれた5つの施策について解説します。

職業指導・職業紹介の充実化

「労働者各人が、自身の有する能力に適合する職業に就くよう斡旋する・産業の必要とする労働力を充足する」といった施策で、職業指導や職業紹介を充実させます。

こうした施策を充実させて、就職困難者を含めたあらゆる労働者の就労を促進したり、減少する労働人口を適切に補ったりしていくのです。

技能訓練の充実化

技術の進歩や産業構造の変動などに対応できる技能および知識を習得すると、技能訓練の充実化を図れます。

技能訓練にて評価に値する人材を育成するためには、職業訓練や職業能力検定に関する施策の充実が求められます。さまざまな技能訓練を行って、新たな価値を創造できる技能がある人材を育成していくのです。

仕事環境の安定化

仕事環境の安定化とは、「住まいを移転して就職する労働者のため住宅施設を充実・労働者の福祉の増進に必要な施設の充実」に向けた施策を講じること。

地域や企業間での就業期間に生じる不均衡を是正したり、労働者自身の有する能力の有効な発揮が実現できたりするよう、環境の整備が施策に盛り込まれています。

人事異動など措置の徹底化

人事異動など措置の徹底化とは、就職困難者の就職を容易にして労働力の不均衡を是正できるよう、労働者の職業転換や地域間の移動、職場への適応を援助していくこと。

人事異動といった措置を積極的に活用し、より良い就労機会にしていく点が重要だと考えられます。

雇用方法の改善

不安定な雇用状態の是正を図って、雇用方法を改善していきます。雇用状態が不安定な労働者に、雇用形態・就業形態の改善が促進できる施策を実施して、より安定した雇用状態に修正していくのです。

雇用状態の改善によって、労働者自身がもつ能力を最大限に生かした働き方を実現させていきます。

②労働者の能力を生かせる施策

「労働者の能力を発揮」「労働者の能力に見合った評価をする「労働者が意欲的に就業できるようにする」といった目的を達成するため、幅広い見地から施策の実施が盛り込まれています。具体的な施策は、能力の開発や就業機会の創造、就業環境の整備などです。

雇用対策法には、職業指導・職業紹介の充実化や技能訓練の充実化、仕事環境の安定化や人事異動などの措置徹底化、雇用方法の改善といった施策が盛り込まれています