雇用とは? 雇用者の推移と動向、形態、待遇、助成金

雇用とは、労働する人を雇い入れることです。ここでは、雇用の定義、雇用の動向、形態、待遇などについて説明していきます。

1.雇用とは?

雇用とは、事業主が労働者を雇ってから退職に至るまでの一連の流れです。労働者の採用後、配置や育成、処遇といった管理を行います。

また労働者を雇用した際、企業は健康診断を行うと義務付けられているのです。さらに法にもとづいて定められた、最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

雇用の定義

雇用の際、雇用主と労働者の間で契約を結びます。民法第623条では雇用を「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えると約束して、その効力を生ずる」と定めています。

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2.雇用契約とは?

雇用契約とは、民法第623条で定義された「雇用」に関する契約のこと。労働者が労働に従事し、雇用主が報酬を払うと約束する契約です。労働者は報酬のみならず、労働基準法や労働契約法上の保護を受けられます。

雇用契約の方法

雇用契約は、雇用主と労働者が雇用契約書を取り交わして行われます。労働条件を記載した雇用契約書を作成し、労働者に明示するのです。

労働基準法第15条第1項には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間そのほかの労働条件を明示しなければならない」と規定されています。

雇用契約書について

雇用契約書は、雇用主と労働者の両者間で、労働条件を明らかにするために交わす契約書で、労働契約書ともいわれます。両者が内容を確認後、署名・捺印し保管するもので、正社員のみならず、パートタイムやアルバイトなどでも必要です。

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3.日本の雇用者の推移と動向

近年、日本の就業者数と雇用者数ともに増加傾向にあります。2017年のデータを見ていきましょう。

就業者数は、前年から65万人増加して6,530万人で、就業率は前年よりも0.7%ポイント上昇し、58.8%に。雇用者数は、前年から69万人増加して5,819 万人になりました。また女性の労働参画も進んでいます。

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4.雇用形態とは?

雇用形態にはさまざまな種類があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 正規雇用
  2. 非正規雇用
  3. 直接雇用
  4. 間接雇用
  5. ジョブ型雇用
  6. メンバーシップ型雇用

①正規雇用

一般的に正社員と呼ばれる雇用形態のこと。原則、雇用期間の定めがなく、雇用保険・社会保険の加入義務があります。つまり安定した雇用形態です。正規雇用には、フルタイム社員と短時間正社員があります。

フルタイム正社員

企業が定める就業規則の所定労働時間の上限、1日8時間・週40時間まで働く人のこと。会社の中心として働き、管理業務も行うのです。将来は昇進があったり役職についたりする場合もあります。

短時間正社員

フルタイム正社員と比べ、所定労働時間(日数)が短い雇用形態で働く人のこと。雇用期間の定めがなく、時間あたりの基本給や退職金の算定方法といった点はフルタイム正社員と同じです。

事情があってフルタイムで働けない社員も、短時間正社員によって柔軟に働き続けられます。

②非正規雇用

雇用期間の定めがある雇用形態のこと。一定期間の雇用契約で働くことを前提としており、長期雇用は保障されていません。労働時間はフルタイム正社員と同等か短いうえ、給与や福利厚生面は正規雇用と比べて充実していないケースが多いです。

非正規雇用には「派遣労働者」「契約社員・嘱託社員」「パートタイム労働者」があります。

派遣労働者

派遣労働者は、雇用主と就業先が異なります。労働者派遣業・人材派遣業事業者と契約し、別の派遣先企業で働く形態です。報酬は、派遣元事業主から支払われます。
派遣労働には下記の種類があるのです。

  • 登録型派遣:派遣先が存在するときにだけ派遣業者と雇用関係が生じる
  • 常用型派遣:派遣先の有無にかかわらず派遣業者と雇用契約が結ばれている

契約社員・嘱託社員

2つの違いは、下記のとおりです。

  • 契約社員:期間の定めがある労働契約(有期雇用)を結び、契約内容による仕事を行う人。雇用期間は最長3年と決められている
  • 嘱託社員:定年退職した人が、定年退職前の企業に再び雇われて就業する形態

パートタイム労働者

パートタイム労働者とは、フルタイム社員よりも短い時間や日数で働く人のこと。アルバイトも同じ雇用形態となります。

企業がパートタイム労働者を雇う際は、「パートタイム労働法」に則し、労働条件の明示・文書の交付をしなければなりません。パートタイム労働者も、一定の要件を満たせば社会保険に加入できます。

③直接雇用

働く企業と直接雇用契約を結ぶこと。正規社員、契約社員・嘱託社員、パートタイム労働者などが該当します。 労働者派遣法では、以下のとおりに定められているのです。

原則、1年を超えて派遣労働者を雇用する場合、本人が希望すれば企業は直接雇用する

派遣期間の制限がない業務にて3年以上雇用している派遣労働者がいる場合、その業務で直接雇用の求人をするならば、その派遣労働者の直接雇用を優先する

④間接雇用

人材派遣会社や請負会社などが間に入り、労働者と雇用契約を結ぶこと。企業と労働者のメリットは、「企業は労務管理や福利厚生の負担がない」「労働者は、自分の条件に合わせ柔軟に仕事を選択できる」などです。

⑤ジョブ型雇用

仕事内容を特定して、雇用すること。欧米では一般的でスキル重視で年齢・学歴は関係なく、新卒の一括採用という概念はあてはまりません。採用が発生するのは、職務の空きが発生したり新規事業で新たな職務が発生したりしたときになります。

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⑥メンバーシップ型雇用

日本型雇用ともいわれ、新卒を一括で採用し、育成していく雇用のこと。新卒を複数人・一括で採用したのち、業務内容や勤務地、仕事をローテーションしながら、企業に合った人材を長期に渡り育成していきます。

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5.雇用関係のない業務形態

雇用関係がなく、働く形態があります。下記2つについて見ていきましょう。

  1. 業務委託(請負)契約
  2. 家内労働者

①業務委託(請負)契約

注文主(企業)から仕事を委託され、業務の指揮・命令は受けない雇用形態のこと。委託を受けた仕事の完成物に対し報酬が支払われます。

原則、「事業主」であるため、労働基準法の保護対象ではありません。しかし働き方の実態から「労働者」と見なされれば労働基準法の保護対象となります。

②家内労働者

委託を受けて、物品の製造または加工などを個人で行う人のこと。家内労働者は「事業主」として扱われまし。しかし委託者との関係が使用者と労働者の関係に似ていることから家内労働法が定められているのです。

委託者が家内労働者に仕事を委託する場合、家内労働手帳の交付や最低工賃の順守など、家内労働法にもとづいた対応が必要となります。

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6.雇用形態による待遇の違い

雇用形態によって待遇に違いがあります。ここでは下記3つについて説明していきます。

  1. 社会保険の適用範囲
  2. 年金制度
  3. 同一労働同一賃金

①社会保険の適用範囲

社会保険の適用範囲は、労働時間によって変わります。

  • 従業員が501人以上の会社で週20時間以上働く人は、加入
  • 従業員が500人以下の会社で労使間の合意がある場合、社会保険に加入

②年金制度

パートタイム労働者でも、健康保険と同じ条件で厚生年金制度に加入できます。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 1カ月の賃金が8.8万円以上
  • 1年以上の雇用が見込まれる
  • 学生ではない

③同一労働同一賃金

同一労働同一賃金ガイドラインとは、正規雇用・非正規雇用関係なく同じ仕事量であれば公平な待遇をするよう定めたもの。パートタイム労働者などの短時間・有期雇用労働者・派遣労働者に対し不合理な待遇は禁止されています。

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7.雇用に関する助成金・給付金制度

雇用に関する助成金や給付金制度があります。下記5つについて見ていきましょう。

  1. 高年齢者雇用継続給付
  2. 雇用調整助成金
  3. 特定求職者雇用開発助成金
  4. 育児休業給付金
  5. 介護休業給付金

①高年齢者雇用継続給付

60歳以上65歳未満の人の就労意識を高め、就労継続を援助するためのもので、2種類あります。

  • 高年齢雇用継続基本給付金
  • 高年齢再就職給付金

②雇用調整助成金

経済上の理由により事業を縮小せざるを得ない状況下でも労働者の雇用を維持し、労働者に休業手当などを支払った場合、その一部を助成するもの。申請手続は、事業所の所在地を管轄するハローワークで行っています。

③特定求職者雇用開発助成金

雇用されるのが特に困難な障がい者や高齢者、ひとり親家庭などの人たちを、継続して雇用する企業を助成する制度のこと。助成要件は以下の2点です。

  • ハローワークや民間職業紹介事業者などから雇い入れる
  • 雇用保険被保険者として雇い入れ、継続して雇用する

④育児休業給付金

育児休業中に得られない賃金収入を補填するために、国から支給される助成のこと。育児休業後の復職を後押しする目的もあります。

  • 育児休業の取得が母親の場合、父親の場合、両方の場合
  • 1歳で保育所に入れない場合

などで違いがありますので、よく確認しておきましょう。

⑤介護休業給付金

家族の介護のために介護休業を取得した場合、一定の条件を満たすと支給されるもの。支給額は「賃金日額×支給日数×67%」で計算できます。また同じ家族については93日を限度に3回までとなっているのです。

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8.コロナ禍での雇用

長引くコロナ禍で雇用が不安定になる一方で、新しい雇用形態が注目されています。下記2つについて紹介しましょう。

  1. 雇用型テレワーク
  2. プロ契約

①雇用型テレワーク

事業主と雇用契約をした労働者が在宅で仕事をすること。「通勤時間がない」「育児や介護で中抜けでき、ワークライフバランスが実現できる」などのメリットがあるのです.

一方、労務管理の困難さから長時間労働を招きやすい点もあり、今後の課題となっています。

②プロ契約

スキルを持った個人が雇用契約せず対等な関係で業務委託契約をすること。新規事業立ち上げの際、急に高いスキルのある人材を求める際に有効です。人材、新しい人脈や高い知識を持ち、企業に刺激を与えるのもメリットでしょう。