雇用保険被保険者証をもらっていないときの対処法とは?

雇用保険被保険者証をもらっていない場合、どのように対処したらよいのでしょう。ここではその方法や雇用保険被保険者証の概要について、解説します。

1.雇用保険被保険者証をもらっていない場合の対処法とは?

もし退職したにもかかわらず、雇用保険被保険者証を企業から交付してもらえない場合、問い合わせのうえ郵送で送ってもらうとよいでしょう。

雇用保険被保険者証は、労働者が雇用保険に加入したときに、ハローワークから発行される証明書です。最初に就職した企業が発行の手続きをし、紛失を防ぐため企業がそのまま預かるケースも多くみられます。

退職する際、事業主は労働者本人に預かっている雇用保険被保険者証を渡さなければなりません。

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企業には雇用保険被保険者証を渡す義務がある

雇用保険被保険者証は労働者が雇用保険の被保険者だと証明するもの。そのため、本来、被保険者である労働者が保管します。

しかし実際の発行手続きは事業主が代理で行う場合も多く、さらに紛失を防ぐ目的もあり、証明書は事業主が保管していることも少なくありません。

もし事業主が雇用保険被保険者証を保管している場合は労働者が退職する際に返却をしなければなりません。これは、労働者が返却を希望する・しないにかかわらず行われます。

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2.雇用保険被保険者証とは?

労働者が雇用保険に加入した際に発行される証明書のこと。雇用保険被保険者証の特徴について解説します。

離職票との違い

離職票は、正式名称を「雇用保険被保険者離職票」といいます。それぞれの特徴を一言で表すと、以下のとおりです。

  • 雇用保険被保険者証…雇用保険に加入した際に発行される証明書
  • 離職票…退職した事実を証明するもの

また離職票は雇用保険被保険者証と異なり、転職先で提示を求められることはほとんどありません。

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発行時期

雇用保険の加入手続きは、被保険者となる要件を満たした月の翌月10日までに行います。翌月10日が休日の場合、翌開庁日となるのです。たとえば、5月15日に被保険者の対象となった場合は、6月10日までに資格取得手続きを行います。

資格取得手続きを行う際、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」という書類を提出するのです。この書類には、被保険者の氏名、生年月日、マイナンバーなどを記入します。電子申請や郵送でも手続き可能です。

有効期限

退職してから7年以上経過、つまり7年以上雇用保険適用下で働いていない状態が続いた場合、雇用保険被保険者証に記載されている被保険者番号がハローワークのデータから抹消されます。

たとえば、出産を機に退職した人が7年以上無職となり、子どもが成長したので再び働き始めようとしたとき、雇用保険被保険者証の期限が切れていることになるのです。

この場合、再就職先の企業が新たに雇用保険被保険者証の発行手続きを行い、新しい被保険者番号を取得します。

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3.雇用保険被保険者証が必要な場面

雇用保険被保険者証が必要とされる以下の場面について、それぞれ解説します。

  1. 教育訓練給付金の支給申請
  2. 65歳未満の人の厚生年金を裁定請求するとき
  3. ③転職するとき

①教育訓練給付金の支給申請

教育訓練給付金とは、労働者がスキルアップを目的として指定された教育訓練を受講したときの費用の一部が支給される制度のこと。対象は、雇用保険に3年以上加入している在職中、または離職した人です。

教育訓練給付金をハローワークで申請する際、雇用保険被保険者証が必要になります。

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②65歳未満の人の厚生年金を裁定請求するとき

65歳未満の人の厚生年金を裁定請求する際、雇用保険の被保険者番号を証明する書類を添付しなければなりません。このときに添付する代表的な書類が、雇用保険被保険者証です。

もし、雇用保険被保険者証を紛失して手元にない場合、ハローワークで被保険者証の再交付をしたうえで、老齢年金の年金請求書に添付します。

また雇用保険被保険者証以外にも、「雇用保険受給資格者証」「高年齢雇用継続給付支給決定通知書」を添付して提出するのも可能です。雇用保険に加入したことがない場合、雇用保険被保険者証を添付できない旨の事由書を記入のうえ提出します。

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③転職するとき

転職先の企業は、転職者から提出してもらった雇用保険被保険者証で被保険者番号を確認し、転職者の雇用保険を申請します。

そのため一般的に、労働者が転職する際は、転職先の企業から雇用保険被保険者証の提出を求められるのです。前職の企業が被保険者証を管理している場合、退職後、確実に受け取っておきましょう。

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4.雇用保険被保険者証をもらっていない場合に考えられる理由

もし雇用保険被保険者証をもらっていない場合、どのような理由が考えられるでしょうか。

そもそも雇用保険に入っていない

退職したにもかかわらず、企業から雇用保険被保険者証をもらえない場合、そもそも雇用保険に加入していない可能性があります。

企業が雇用保険に加入していないものの、もし「加入の対象なのではないか」と疑われる状態なら、労働者自らがハローワークに行き、雇用保険の加入対象となっていたか、問い合わせるとよいでしょう。

雇用保険の加入条件

雇用保険の加入条件について見ていきます。

31日間以上働く見込みがある

「31日間以上雇用が継続しない」と明確に提示されている場合を除いてすべてが該当します。

もし雇用契約書に、「更新の可能性がある」という規定があり、31日未満で雇い止めする内容が明確に示されていない場合、「31日間以上働く見込みがある」ことになるのです。

雇用契約に更新規定がなくとも、労働者が実際に31日以上雇用された実績があれば、この条件に当てはまります。

所定労働時間が1週間に20時間以上である

所定労働時間が1週間に20時間以上であれば、雇用保険の加入条件に当てはまります。
労働時間には「法定労働時間」と「所定労働時間」があり、それぞれ次のような特徴があるのです。

  • 法定労働時間…労働基準法で決まっている労働時間で、週40時間、1日8時間とされている
  • 所定労働時間…法定労働時間の範囲内で自由に決めた労働時間

法定労働時間で働いている労働者はもちろん、パートやアルバイトなどの所定労働時間でも、週20時間以上であれば、雇用保険の加入対象者として検討されるのです。

学生ではない

原則、学生は雇用保険に加入できません。ただし、「学生はすべて雇用保険に加入できない」かというと、そうではないのです。

卒業見込証明書を持っていて卒業前に就職した学生(企業から内定をもらっている学生)、かつ卒業後も引き続き同じ企業で一般労働者と同じように働く予定である場合、雇用保険の加入対象者になります。

また通信教育や夜間、定時制の学生でも雇用保険の加入対象になるのです。

アルバイトやパートも雇用保険に入れる

雇用保険はパートやアルバイトであっても加入の対象となります。

雇用保険の対象となれば、事業主や労働者本人の意思とは関係なく雇用保険の被保険者となる、強制保険の制度です。つまり雇用保険被保険者証はアルバイトやパートといった働き方をしている労働者でももらえます。

前職が公務員だった

公務員はそもそも雇用保険に加入できず、国家公務員退職手当法のもと退職手当が支給されます。よって公務員を退職しても雇用保険被保険者証をもらえないという例外的なケースになるのです。

転職した場合、前職が公務員であると転職先が理解していれば問題ありません。もし雇用保険被保険者証の提出を求められたときは、「公務員だったため雇用保険に入っていなかった」旨を伝えるとよいでしょう。

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5.雇用保険被保険者証をもらっていないときは再発行も可能

雇用保険被保険者証は、労働者が退職するまでは企業が預かり、退職したときに渡されるケースがほとんどです。

もし「以前勤めていた企業から雇用保険被保険者証をもらっていない」「急ぎで雇用保険被保険者証が必要」「何らかの事情で送付してもらうのが難しい」場合、ハローワークで再発行(再交付)してもらうのも可能です。

また被保険者証を紛失した場合も再発行できます。雇用保険被保険者証再交付申請書という申請書に必要事項を記入し、ハローワークに提出すると、再発行が可能です。

再発行に必要なもの

雇用保険被保険者証を再発行する手続きの際、下記が必要です。

  • 顔写真つきの本人確認書類1点(運転免許証)、もしくは顔写真なしの本人確認書類2点(健康保険証と住民票の写しなど)
  • 退職した企業の名称、所在地、電話番号
  • 印鑑

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6.雇用保険被保険者証をもらっていなくても問題がないケース

転職する際に雇用保険被保険者証が必要とされるのは、記載されている「被保険者番号」を確認するため、というケースも多いです。

もし、転職先が被保険者番号だけを必要としている場合、必ずしも雇用保険被保険者証を持っていなければいけない、わけではありません。

離職票にも被保険者番号が記載されているので、それを転職先に提出するのも可能です。「被保険者番号」という記載のある場所にある11桁(4-6-1)の数字が、その番号になります。