工数とは?【計算方法をわかりやすく解説】工数管理、ツール

工数とは、ある作業を完了させるために必要な作業量のこと。工数を管理する重要性やメリット、工数の計算方法、注意点などを解説します。

1.工数とは?

工数とは、完了までに必要な人員数と時間数で作業量を表したもの。ひとりの人員が作業開始から完了までに費やす時間が基準です。工数は「人員数+時間」で表され、主に以下の3種類が使われます。

  • 人時:ひとりが1時間で完了できる作業量
  • 人日:ひとりが1日で完了できる作業量
  • 人月:ひとりが1か月で完了できる作業量

複数人が従事する場合は全員の作業時間を含めるため、2名で3時間かかる作業の工数は6人時(2名×3時間)です。なお英語では「man-hours(人時)」「man-day(人日)」「man-month(人月)」と表します。

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2.工数管理の重要性

工数管理とは、業務遂行に必要となる全体の工数を算出し、進捗状況に応じて工数を調整すること。

プロジェクトのように大規模な業務では、膨大な数の作業が発生します。これらを円滑に進めるには、各作業の工数を把握し、人員を適正に割り振る必要があるのです。

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労働環境の整備

適切な工数管理は、労働環境の整備と改善につながります。工数管理が行われていない労働環境では、負担がかかる業務を現場の従業員に強いる可能性も高いからです。

たとえば5人時かかる作業をひとりの従業員へ振ると、作業完了まで5時間を要します。その日のうちに終わらせなければならない作業の場合、その従業員は残業せざるをえないでしょう。

負担の少ない労働環境を構築するためにも、適切な工数管理は必要です。

利益の確保

工数管理をすれば、利益を確保しやすくなります。正確に工数を見積もると業務に対して適切な人員配置ができ、無駄な人件費を抑えられるからです。

工数を5人月と見積もった作業を5人で進めたのに、実は3人で完了が可能だったとなると、2人分の人件費が余計にかかってしまったことになります。工数管理でこのような人件費の無駄がなくなれば、利益も生まれやすくなるのです。

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3.工数を管理するメリット

工数管理は、労働環境の整備や利益向上などを実現する以外に4つのメリットがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 作業進捗の把握
  2. 見積もり失敗の回避
  3. 取引先からの信頼度が増加
  4. 従業員のモチベーションが向上

①作業進捗の把握

予定していた工数と現在完了している作業量を照らし合わせれば、各従業員の進捗状況を把握しやすくなります。

適正な工数であるにもかかわらず、予定していた工数どおりに完了できていない場合、人員配置ミスや作業トラブルが生じているかもしれません。スケジュールや人員の見直しと調整を行うと、プロジェクト進行の遅延を防げます。

②見積もり失敗の回避

工数管理を行うと、工数の見積もり精度が上がり、見積りの失敗を回避できます。見積りを行うほどプロジェクトや各従業員に関する詳細なデータが蓄積され、改善するべき対象がわかるからです。

従業員自身が過去の工数進捗データを確認すれば、仕事の問題点を振り返れるため、業務の効率や品質の向上にも役立ちます。

③取引先からの信頼度が増加

適正な工数管理はプロジェクトの遅延を防ぎ、顧客からの信頼を高めます。ビジネスにおいてプロジェクトを計画どおりに完了させて納期までに製品を納品するのは最重要事項だからです。

また見積りの精度が高く、適正な工数管理を行っていれば、従業員へ過度な負担を強いるような状況を防げます。そのため従業員の信頼も向上するのです。

④従業員のモチベーションが向上

工数管理を行うと各従業員の進捗や実績は工数表で可視化されるため、従業員のモチベーション向上も図れます。

たとえば自分の作業効率を向上したい場合、工数表で自分の実績や進捗を確認すれば、どの作業にどれほどの時間がかかっていたか、わかります。改善すべき作業が明確になり、作業効率化へのモチベーションが高まるでしょう。

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4.工数管理の注意点

工数管理を行う際に、工数管理そのものが目的とならないよう注意が必要です。ここでは3つの注意点を解説します。

  1. リソースの過多
  2. 従業員の能力への考慮
  3. 目的の明確化

①リソースの過多

工数管理を細分化しすぎて、工数管理自体に多くのリソースをつぎ込んでしまうケースがあります。

たとえば各従業員が、複数のタスクを含む作業の進捗状況を入力するときに、全タスクが入力項目として設定されていると、入力に多くの時間がかかってしまいます。工数管理で不必要な手間が生じると、プロジェクト全体の業務効率が落ちかねません。

「まとまり作業(いくつかの単位作業をまとめたもの)」を基準に作成し、各担当者の入力を効率化するフォーマットを用意するといった工夫が必要です。

②従業員の能力への考慮

各従業員の能力を考慮したうえで、工数管理を行う必要があります。多くの場合、チームには新人や中堅、熟練など能力の異なる従業員が含まれ、同じ作業を担当したとしても同じ時間で終わるわけではないからです。

また就業時間をすべてプロジェクトの作業時間とみなして、一律的に工数を算出しないよう注意します。突発的なミーティングや、プロジェクトに関係ない日々の定型作業など、工数に含まれない作業もあるからです。

③目的の明確化

あくまで工数管理は業務効率化の手段であり、目的ではありません。

工数のチェック自体が目的になってしまうと、その後の業務改善に生かせず、次のプロジェクトでまた同じ失敗を繰り返すでしょう。

従業員へ「業務効率化のために正確な工数を把握することが目的」と伝えておけば、正確な進捗や結果が報告されるようになり、工数の精度も高まります。

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5.工数管理で使用する単位

工数管理で使用する単位として「人時(にんじ)」「人日(にんにち)」「人月(にんげつ)」の3種類です。それぞれの単位について解説します。

人時(にんじ)

ひとりが1時間でできる作業量を1とする単位。ひとりで1時間かかる作業量ならば工数は「1人時」、10人で5時間かかる作業であれば工数は「50人時」です。この工数を実際に投入する人数で割ると、実作業にかかる時間を予測できます。

人日(にんにち)

ひとりが1日でできる作業量を1とする単位。一般的に「人日(にんにち)」と呼ばれ、分野によって「人工(にんく)」と呼ばれます。たとえば10人で5日かかる作業は「50人日」もしくは「50人工」です。

人月(にんげつ)

ひとりが1ヶ月でできる作業量を1とする単位。たとえば100人で1か月を要する場合の作業量は100人月です。システム開発といった、半年以上に渡る中長期的なプロジェクトの工数見積もりでよく用いられます。

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6.工数の計算(見積もり)方法

工数の計算(見積り)方法は、「作業時間×作業人数」です。作業時間のところには「時」「日」「月」のいずれかが入ります。3種類の計算方法について解説しましょう。

  1. 人時
  2. 人日
  3. 人月

①人時

人時は「作業時間(時間数)×作業人数(人)」で求めます。たとえば10人で5時間かかる作業であれば、10時間×5人となり、工数は50人時です。

なお途中で参加した人がいる場合にも計算くわえられます。3人で2時間作業したのちに3人が参加し、6人で3時間作業した場合、工数は以下のように計算されるのです。

(2時間×3人)+(3時間×6人)=24人時

②人日

人日も人時と同様に「作業時間(日数)×人数」で求めます。10人で5日かかる作業ならば、工数は50人日です。また「工数=作業時間×作業人数」の計算式を活用して、工数から作業に要する日数を逆算するのもできます。

たとえば100人日と見積もった作業を5人で完了させる場合、必要な日数は「期間=人日÷作業人数」で計算可能です。100(人日)÷5(人)=20となり、100人日の工数を5人で担当すると20日を要するとわかります。

③人月

人月も「作業時間(月数)×作業人数」で求めます。たとえば10人で3か月を要する場合の工数は30人月です。また「工数=作業時間×作業人数」の計算式を活用して、工数完了までに要する人数の計算も行えます。

完了させるのに50人月かかるプロジェクトを5か月で終わらせる場合、必要な人数は「人数=人月÷作業月数」で計算可能です。50人月÷5か月=10となり、10人を配置すれば5か月で完了できるとわかります。

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7.工数を計算(見積もり)する際のポイント

工数を見積もる際は過去の工数を参照し、余裕をもたせましょう。ここでは3つのポイントを解説します。

  1. バッファの設定
  2. 過去データの活用
  3. 日々の管理の徹底

①バッファの設定

工数を見積もるうえで、バッファ(余裕)を設けるのは重要です。バッファを設けていないと、不測の事態に対応する余裕がなくなり、納期が遅れる可能性も高まるからです。従業員の負荷が高まり、労働環境が悪化するリスクも懸念されます。

たとえば従業員の欠勤うあ機器のトラブル、クライアントからの仕様変更などは、いつでも起こりえます。各工数には余裕のある期日を設定しましょう。

②過去データの活用

過去のプロジェクトで出した工数を参考にすると、工数の見積もりの精度を高められます。

過去に類似のプロジェクトがあれば、「各作業をどれくらいの工数で見積っているのか」「実際どれくらいの工数で完了したのか」「バッファをどれくらいとっているか」などをチェックしましょう。

③日々の管理の徹底

プロジェクトが始まったら、従業員には日々の工数管理を徹底させましょう。各工数は基本、日々の状況や実績を入力していきます。しかし従業員によっては、数日分の工数を後日あるいは月末にまとめて入力したり、そもそも工数を入力し忘れたりするでしょう。

正しく状況を把握できないと、工数がスケジュールどおりに進んでいるか、判断できないのです。気づいたら「ある作業が大幅に遅れていて、そのあとの工数もすべて遅延する」といった状況になっているかもしれません。

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8.工数管理や削減に役立つツール

工数管理を効率化するためにも利便性の高いツールを活用しましょう。ここでは3つのツールを紹介します。

  1. Excel(エクセル)
  2. プロジェクト管理ツール
  3. 勤怠管理システム

①Excel(エクセル)

多くの企業でも使われているExcelを使って、工程管理表(ガントチャート)を作る方法のこと。いちからガントチャートを作成するのも可能ですが、無料のガントチャートテンプレートを使えば作成時間を短縮できます。

ただしExcelファイルは、複数人での同時編集ができません。ブラウザで同時編集が可能なGoogleスプレッドシートに変換して使うことをオススメします。

②プロジェクト管理ツール

工数管理ツールやプロジェクト管理ツールを利用する方法のこと。

工数管理に必要な機能が搭載されているため、工数の自動集計と分析機能、カレンダーなどとの連携機能、実績コスト管理機能などを利用できます。複数人で同時編集が可能なので、すべてのメンバーがリアルタイムに状況を把握できるのです。

有料ツールを選ぶと一定のコストがかかります。しかしその分多くの機能を使用できるため、見積り精度や工数管理の効率も上がるでしょう。

③勤怠管理システム

工数管理機能を搭載している一部の勤怠管理システムを利用する方法のこと。

工数管理機能があれば、従業員は勤怠管理システムへ自分の工数を入力し、管理側は勤務時間と照らし合わせて確認できます。自動集計機能やグラフなどでのレポート機能も備わっていれば、工数の確認や調整にも役立つでしょう。

なお従業員の全勤務時間を特定のプロジェクトへあてている場合、勤怠管理システムで出勤時間と退勤時間を確認するだけでも、正確な工数を算出できます。