自己開示とは?【苦手を克服する方法】コツ、デメリット

自己開示とは、ありのままの自分を相手へさらけ出すことです。ここでは自己開示とは何か、意味や効果、やり方、苦手を克服する方法、具体例などを解説します。

1.自己開示とは? 意味と目的

自己開示とは、自分に関する情報や考え、価値観などを、そのまま率直に相手へ伝えること。内容には、自分の強みだけでなく、悩みや弱みなどの弱点も含まれます。

目的は、相互理解を深めること。一方が自己開示すると、相手も自分について話しやすくなるため、相手と信頼関係を構築しやすくなります。そのため自己開示は、営業や面談などで相手の本音を引き出すときにも使われるのです。

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2.自己開示はビジネスコミュニケーションでなぜ重要なのか?

自己開示は基本、心から信頼している相手へ行います。そのためビジネスシーンで自己開示をすると、「あなたのことを信頼している」という気持ちを伝えられるのです。

また相手の気持ちや悩みを話してもらいたいときも同じといえます。自己開示の返報性を活用し、まずは自分の気持ちや悩みを伝えましょう。そうすれば相手も安心して自分のことを打ち明けてくれます。

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3.自己開示の返報性とは?

「相手がしてくれたことに対して、自分もお返ししなければ悪い」と感じる人間の心理のこと。返報性の原理は次の4つに分類できます。

  1. 好意の返報性
  2. 敵意の返報性
  3. 譲歩の返報性
  4. 自己開示の返報性

①好意の返報性

相手から「何かをもらう」「施しを受ける」など好意を受け取ったときに生じる、「自分もお礼やお返しをしなくてはいけない」という心理のこと。たとえばプレゼントをもらったら、同程度のお返しをする人は多いでしょう。

また、ことわざ「情けは人のためならず」は「善い行いは、いずれ回りまわって自分に返ってくる」という意味。日本人は、昔から好意の返報性を意識していたとわかります。

②敵意の返報性

相手から敵意を向けられたら、自分も相手へ敵意を向けたくなる心理のこと。たとえば「態度が悪い店員に対して、自分も不愛想になってしまう」といったもの。日本のことわざでは「目には目を、歯には歯を」が街頭します。

ただし敵意を受けた相手へ直接敵意を向けるとは限りません。たとえばSNSや口コミサイトなどでフォロワーに拡散といった、間接的に敵意を返す方法もあります。このように返報性の原理は、好意だけでなくネガティブな感情にも働くのです。

③譲歩の返報性

相手が自分のために譲歩してくれた際、自分も同じように譲歩したくなる心理のこと。ビジネスシーンでは、譲歩の返報性を活用した「ドア・イン・ザ・フェイス」というテクニックがあります。

ドア・イン・ザ・フェイスとは、最初に大きな要求をして相手に断られたあと、本命の「小さな要求」をするコミュニケーション手法のこと。こちらが譲歩したと思わせて相手を譲歩させると、こちらの要求がとおりやすくなります。

④自己開示の返報性

相手が情報や秘密、悩みなどを打ち明けてくれたら、同程度に自分のことを伝え返したくなる心理のこと。

初対面で会話をする際、どこまで自己紹介するか悩んだときは、自分から先に相手へ情報を開示しましょう。たとえば相手の家族構成を聞き出したければ、まず自分の家族構成を伝えるのです。

相手も「包み隠さず話してくれたのだから自分も話そう」という気持ちになり、お互いに心を開きやすくなります。

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4.自己開示のメリット

自己開示は、相手との信頼関係を築くうえで欠かせません。自己開示を活用すると、以下のメリットが期待できるからです。ここでは、自己開示のメリットについて説明します。

  1. 踏み込んだ話が可能
  2. 心理的安全性の向上
  3. ミスマッチのない採用が可能

①踏み込んだ話が可能

自己開示を繰り返すと、自分に対して相手が心を開くようになり、より踏み込んだ話がしやすくなります。人は自分に心を開いている相手に対しては、自然と自分も心を開いて話す、という自己開示の返報性が働くからです。

たとえば「上司が部下と面談する」「初めての顧客と商談する」際は、上司や営業担当者が先に自己開示しましょう。相手からの信頼性が高まり、相手の希望や悩み、ニーズや価値観などを引き出しやくなります。

②心理的安全性を向上

自己開示は「心理的安全性(自分の意見や考えを発言でき、さらに行動に移せる状態)」を向上させます。心理的安全性が高まると、組織に以下のメリットが生まれるのです。

  • 自分らしさを発揮した仕事ができるため、職場全体が活性化する
  • 従業員の個々のスキルを発揮できる環境になる
  • 従業員のモチベーションアップにつながる
  • 業績向上につながる
  • 働きやすい環境になるため優秀な人材の離職を防止できる

自分の意見が受け入れられない、つまり心理的安全性が低い環境は、組織力の低下を招きます。心理的安全性を高めるためにも、お互いに自己開示して本音を話せる環境作りが必要でしょう。

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③ミスマッチのない採用が可能

自己開示すると、ミスマッチのない採用が可能になります。「思った環境と違った」「自分の働き方に合わない」などのミスマッチは、離職につながる場合も多いです。

採用担当者が面談時に自己開示すれば、求職者の緊張もほぐれ、本音を聞き出せるようになります。それにより求職者の考え方や価値観などと自社の相性を判断できるのです。

また求職者が質問しやすいオープンな雰囲気を作れるため、求職者も仕事内容、職場の雰囲気、企業理念などを聞き出して自分が働きやすそうな企業か、確認できます。

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5.自己開示のデメリット

自己開示は自分のプライベートな情報を伝える行為です。そのため以下のようなデメリットが生じ得る可能性もあります。デメリットから信頼関係を大きく損なうリスクもあるので、注意が必要です。

  1. プライベートな内容を悪用される可能性
  2. 過度な自己開示は信用を損失

①プライベートな内容を悪用される可能性

自己開示は自分のプライベートな情報を相手に伝えるため、相手が開示した内容を悪用、あるいは流出する可能性があります。まださほど信頼できていない相手が自己開示してきたときは、本当に信頼できるかを見極めてから自分も自己開示しましょう。

また「この人と仕事をしたら利益が生まれる」などビジネス上のメリットがあっても、好感を持てず信頼関係を築こうと思えない相手がいるかもしれません。自己開示してきた相手に対して、自分も自己開示をするかどうかは自分で決めてよいのです。

②過度な自己開示は信用を損失

過度に自己開示を行い過ぎると相手の信用を失う恐れがあります。自分ではプライベートな情報を伝えているつもりでも、相手によっては自慢話に感じる人もいるからです。

自己開示は信頼関係を築く手段であって、自己開示自体が目的ではありません。不快になるほどの自慢話とならないよう注意が必要です。自己開示をしたくない場合は、上手に相手の話を聞き膨らませる「聞き上手」役に徹するとよいでしょう。

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6.自己開示が苦手になる原因と克服方法

自己開示が苦手な人は、「恥ずかしがり屋」「内向的な性格ゆえに会話自体が苦手」など性格的な要素が影響しているのかもしれません。克服方法としては次の2つが挙げられます。それぞれの方法において具体的な行動を解説しましょう。

  1. ゆるい弱点を開示
  2. 信頼できる人と交流

①ゆるい弱点を開示

自己開示が苦手な場合、親しみやすい「ゆるい弱点」から話してみましょう。弱点の自己開示には、「そんな弱みがあったのか」と相手に親近感を与える効果があるからです。

たとえば「道を覚えるのが苦手でよく迷うからカーナビが必需品」といった、深刻度の低いエピソードがよいでしょう。相手も「実は自分も……」と、心を開いて話しやすくなります。

②信頼できる人と交流

相手の情報を得たい場合、自分から積極的に自己開示を実行する必要があります。しかしいきなり初対面の人へ自己開示するのは、抵抗があるかもしれません。

まずは自分をよく理解していて信頼できる人を相手に、自己開示してみましょう。相手が信頼できる人なら、自己開示してもトラブルに発展する心配はありません。普段から仲がよい人であれば会話を続けやすく、自己開示も成功しやすくなります。

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7.自己開示を成功させるコツ

自己開示を成功させるためのコツとして、次の3つが挙げられます。それぞれについて説明しましょう。

  1. 小さな話題から自己開示する
  2. 関係性と「お返し」の負担を考慮する
  3. 自分側の話を入れながら相手に質問する

①小さな話題から自己開示

自己開示を成功させるには、小さな話題から開示するのがオススメです。とくに日常会話で気軽に自己開示できる話題が適しています。たとえば好きな食べ物やお気に入りのドラマ、行きたい旅行先などです。

小さな自己開示でも積み重ねていけば相手の信頼感が高まり、より深い内容の自己開示をしてもらえるようになります。

②関係性と「お返し」の負担を考慮

自己開示を成功させるためには、返報性の原理を活用するのも有効的です。ただし相手との関係性をしっかりと見極め、そのうえでギブ&テイクのバランスを考えましょう。

相手がまだ心を開いていないうちに踏み込むような質問をしてしまうと、相手に嫌悪感を抱かせてしまったり、警戒されたりする恐れもあります。また「自分も話したのだから」と相手へ自己開示を強要すると、かえって心を閉ざされてしまうでしょう。

③自分側の話をいれながら相手に質問

自己開示は、ただ自分の話をすればよい訳ではありません。相手のことを知りたいならまず、自分の情報を開示して信頼させてから、相手に質問をして話を聞き出すのです。

たとえば上司が「自分は今、こんなことで悩んでいる」と先に自己開示すると、部下も「実は自分も悩みがあって」のように打ち明けやすくなります。自己開示を成功させるには、自分の話をしつつ相手の話を聞くことが重要なのです。

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8.自己開示の注意点

自己開示は相手の信頼感を高めるために行うもの。一方的に自分の情報を相手に伝えたり、話したくないのに無理して自己開示したりすると、相手との関係が悪化する恐れもあります。ここでは、自己開示をするうえでの注意点を2つ説明しましょう。

  1. 一方的過ぎる自己開示は注意
  2. 無理は禁止

①一方的過ぎる自己開示は注意

自己開示をする際、一方的に自分の話ばかりすると、相手との距離が広がってしまう恐れもあります。

最初のうちは「よく話す人だな」「話がおもしろいな」と興味をもって聞いてくれても、それが続けば「自己中心的な人」や「自分勝手な人」といったイメージを持たれてしまうかもしれません。

自分の情報を開示することは大切です。しかしときには相手の話にじっくりと耳を傾けて、聞き役に徹しましょう。

②無理は禁止

自己開示を成功させたいからといって、無理して話す必要はありません。自分のことを話したくない相手に話したり、本当は伝えたくない内容を無理して話したりすると、自己嫌悪に陥りやすくなるからです。

自己開示をする際は、無理のない範囲で自主的に話したい相手、話したい内容のみを開示しましょう。同時に相手に対しても自己開示を強要してはいけません。

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9.自己開示のやり方と具体例

自己開示のやり方はさまざまあります。ここでは2つの方法を紹介しましょう。2つは、面談や商談などビジネスシーンでも大いに役立つ方法です。

  1. あいさつ文を準備
  2. 返答にプライベートな要素をミックス

①あいさつ文を準備

初対面の人への自己開示をスムーズに進めるには、自己紹介が盛り込まれた「あいさつ文」を準備するのがオススメです。

出身地や趣味、好きな食べ物など、親しみやすい話題を定型文として作っておきましょう。また自己紹介だけではすぐに話題が尽きてしまう場合、時事ネタに関連する趣味を話す方法もあります。

②返答にプライベートな要素をミックス

会話で返答する際にプライベートな話題を足す方法は、ビジネスコミュニケーションのコンサルティングを行う安田正氏が推奨しています。

たとえば「今日は天気がよいですね」と相手から話題を振られたとしましょう。「そうですね。」とだけ返してしまうと、そこで会話が終了してしまいます。

しかしそのあとに「このような日は遠くへ散歩したくなります。普段お散歩や運動はされますか。」と言えば、自分は「散歩が好き」という自己開示をしつつ相手の自己開示を促す会話にできるのです。