日雇派遣とは? 原則禁止と例外要件について

1999年に労働者派遣が原則自由化されたことを皮切りに、小泉政権時代の2004年にはそれまで聖域とされていた製造業でも派遣労働が解禁されたことで、派遣労働は急速に広がり、多様な働き方のひとつとして広く世間に認知されてきました。「日雇派遣」とは、そんな派遣労働のうち、人材派遣会社などの派遣元と労働者が「30日以内」の雇用契約を結んで成り立つ派遣労働のことです。

その雇用形態の特徴から日雇派遣労働者は、多忙で人手が足りないとき、新規事業の立ち上げで新たな人手が必要なときなど、「必要なとき、必要な分だけで、簡易に集めることのできる労働力」として企業に重宝されてきました。しかし、不安定な雇用形態で働く日雇派遣労働者は「ワーキングプア」となったり、福利厚生などが十分整備されていない環境で働くことも多く、その存在が社会問題化してきました。そのため2012年の民主党政権時代に労働者派遣法が改正され、「日雇派遣」は原則禁止されたのです。

日雇派遣の「原則禁止」とは? - 禁止の背景と理由

日雇派遣の原則禁止とは、「30日以内の派遣労働」が禁止されたことを意味します。禁止の大きなきっかけとなったのは、2008年に起こったリーマンショックとその後に続いた不況でした。この頃、「派遣切り」や「年越し派遣村」、「ワーキングプア」といった言葉がテレビや新聞で大きな話題を集め、社会問題となりました。なかでも派遣労働者が、劣悪な雇用環境・条件で働いていることが問題視され、派遣労働者が中長期に渡って安定的に雇用されることを目指して、派遣労働の中でも特に雇用が不安定な「日雇派遣」が禁止されました。

しかし、禁止されたはず日雇派遣が一部の業務では認められていたり、日雇派遣で働くことのできる人がいるなど、日雇派遣が例外的に認められるケースもあります。以下ではそれらについて、ポイントを整理していきます。

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原則禁止の「例外要件」の解説

禁止された日雇派遣ですが、実は例外的に禁止されていない業務と対象者が存在します。

「日雇派遣」として働くことが例外的に認められている業務は、ソフトウェア開発や機械設計、通訳や秘書などの「専門26業種」と呼ばれる職種です。これらの業務では、日雇派遣として働くことが慣習化しており、労働者保護の点でも問題ないものと判断されています。

また、日雇派遣が例外的に認められている人は、
1.60歳以上の人
2.学生(雇用保険を受けている夜間学生は対象外)
3.主たる業務の年収が500万円以上あり、かつ、副業として働く人
4.世帯年収が500万円以上で、主たる生計者に該当しない人
となります。

1と2はわかりやすいですが、3と4が少し複雑です。それぞれ次のようなことを意味しています。

3は、「メインの仕事(業務)での年収が500万円以上あり、日雇派遣は副業として働く人」のことです。たとえば、3つ仕事を掛け持ちしている人の場合、その人は3つの仕事それぞれで年収を得ていますが、3に該当するのは、「3つの収入の中で最も稼いでいる仕事の年収が500万円を超える人」のことです。

4の「主たる生計者」とは、世帯年収の50%以上を稼いでいる人のことを意味します。つまり4の対象者とは、「世帯年収が500万円以上あり、そのうち自分の年収が49%以下の人」と言い換えられます。たとえば世帯年収が700万円あり、夫が400万円稼ぎ、妻が300万円稼ぐ世帯の場合、4の該当者は妻となります(世帯年収が500万円以上あり、主たる生計者が夫であるため)。

以上が「日雇雇用」が認められている業務・対象者の説明となりますが、この二つは両方とも満たしている必要はありません(業務か人の例外要件どちらかに当てはまれば日雇派遣労働者として働くことができます)。

禁止されてもなお求められる、日雇派遣の「解禁」 

派遣労働者の雇用の安定や労働環境の改善を目指して原則禁止された日雇派遣ですが、早くも解禁を求める声が上がっています。

曰く、「日雇派遣の禁止がむしろ労働者の雇用機会を奪っている」といった労働者視点のものや「フレッキシブルな人材活用戦略の妨げになる」といった企業視点のもの、さらには「そもそも年収500万円稼いでいる人が日雇い派遣で働くはずはない」といった日雇派遣を認められている例外要件への疑問に至るまで、その種類は様々です。

そのため、日雇派遣「解禁」の是非も含め、派遣労働者と企業双方にとって「満足できる雇用環境とは何か」を日々考え、話し合い、地道にその雇用環境を整えるべく努力を重ねていく必要があると考えられます。