従業員エンゲージメントが高まる人事制度の構築方法とは?

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エンゲージメント向上に効果的な人事制度とは、経営者と従業員が相互に尊敬・期待し合える関係を制度として設計したものです。ギャラップ社の調査では日本の熱意ある社員の割合はわずか6%と世界最低水準であり、人事制度の見直しは急務といえます。本記事では、エンゲージメントに影響する6つのポイントと、制度構築の具体的な考え方を解説します。

1.従業員エンゲージメントを高める人事制度とは?

エンゲージメントを高める人事制度とは、従業員と企業が双方向に信頼・貢献し合う関係性を制度として設計したものです。

エンゲージメントを高める人事制度とは、従業員と企業が双方向に信頼・貢献し合う関係性を制度として設計したものです。

従業員エンゲージメントが高い企業に共通するのは、すべての従業員が企業のビジョンを共有し、壁を作らない活発なコミュニケーションがなされているという点。人事制度には経営者と従業員がお互いに尊敬しあえる、期待しあえる関係作りが求められます。

従業員エンゲージメントは会社と従業員の双方向に関係を問うものなので、従業員から見た一方向的な「従業員満足度」とは異なります

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2.エンゲージメント向上に直結しない人事制度だと……?

エンゲージメント向上に直結しない人事制度とは、従業員の意欲や帰属意識を高める仕組みが欠如した制度のことです。

エンゲージメント向上に直結しない人事制度が引き起こす課題

課題 具体的な状況 根本原因
新卒の早期離職 入社2〜3年で辞めてしまう従業員が後を絶たない 海外に比べて低い従業員エンゲージメントが離職環境を生んでいる
若手のモチベーション低下 キャリア目標達成の見込みが持てず意欲が下がる 事業と直接関われる機会や市場を体感できる仕事が不足している

エンゲージメント向上に直結しない人事制度とは、従業員の意欲や帰属意識を高める仕組みが欠如した制度のことです。

エンゲージメント向上に直結しない人事制度が引き起こす課題

< 導入した施策がエンゲージメント向上に直結しない人事制度だった場合、どのような事態を招くのでしょうか。ここでは従業員エンゲージメントの向上が必要と感じた企業が抱く課題点、人事のリアルな声をいくつか紹介します。

入社3年で退職する新卒が多い

日本の会社における従業員エンゲージメントの水準は、海外に比べて非常に低いと分かっています。

入社を検討している学生により魅力を感じてもらえるよう、新卒採用に相当な労力をかけているにも関わらず、入社して2〜3年程度で辞めてしまう従業員が後を絶ちません。

従業員エンゲージメントの向上に結び付かない人事制度は、優秀で貴重な人材が離れていく環境を生み出している要因の一つといえます。

若手従業員のモチベーションを維持できない

若手従業員の不満として多く挙げられているのが、「自身のキャリア目標達成の見込み」。つまり企業は、若手従業員のモチベーションを保てていないのです。

既に実施されている人事制度が、「もっとダイレクトに事業と関わりたい」「市場を体感できる仕事に携わりたい」という若手従業員の欲求を満たせているのか、この機会に一度見直してみましょう。

従業員エンゲージメント低下の原因に漠然とした見解しか持てず、若手従業員に起きている変化を捉え切れていない企業も少なくありません
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3.従業員エンゲージメントに影響するポイントとは?

従業員エンゲージメントに影響するポイントとは、リーダーシップ・業務量・ストレス・上司・目標・ミッションの6要素を指します。

従業員エンゲージメントに影響する6つの要素

要素 主なポイント
リーダーシップ 日本では大企業ほどランクが低い傾向にあり、恵まれた労働環境が要因とされる
業務量 過不足のない適切な量が健全な就労状態の前提となる
ストレス 長時間労働は生産性低下だけでなく、心身を壊す要因にもなりうる
上司 経営層の目標を現場に伝達する信頼関係の構築が重要となる
目標 明確かつ柔軟に見直せるゴール設定がエンゲージメントに直結する
ミッション 企業イメージの発信や社会貢献をミッションに組み込むことが有効である

従業員エンゲージメントに影響するポイントとは、リーダーシップ・業務量・ストレス・上司・目標・ミッションの6要素を指します。

従業員エンゲージメントに影響する6つの要素

①リーダーシップ

日本における従業員エンゲージメントの重要な要素トップ5には、リーダーシップが入っていません。リーダーシップのランクが低いことは、中小企業より大企業に多く見られます。原因とされるのは、恵まれた労働環境に囲まれている点です。

②業務量

従業員エンゲージメントを継続的に高くキープするには、健全な就労状態かどうかが欠かせません。業務量は、過不足のない適切なものになっているでしょうか。定期的に業務量のバランスを見直し、流動的な就労スタイルを導入していくとよいでしょう。

③ストレス

かつての日本では、「会社への貢献のためなら長時間労働もやむなし」という風潮が蔓延していました。今でも違法な長時間労働がなくならず、指摘される企業も数多く存在します。また貢献意欲が高まれば、ついつい業務量が増えてしまうかもしれません。

しかしそれは生産性の低下につながるだけでなく、ストレスとなって従業員の心身を壊す要因にもなり得るのです。

④上司

組織において上司と部下の関係性は非常に重要です。経営層の目標や会社の目的は、上層部から中間管理職、そして現場の従業員へと伝わります。間違った伝達が行われたり意思疎通が上手くいかなかったりしては、意味がありません。

従業員エンゲージメントの向上には、組織運営に携わる全員に確かな信頼関係が構築されているかが重要となります。

⑤目標

ゴールのないマラソンは苦痛以外の何ものでもありません。これはビジネスの世界においても同じです。ゴールや目標は適切に、また明確に設定されている必要があります。

また流行り廃りの早い時代です。エンゲージメントを向上させる人事制度には、柔軟に経営戦略を見直したり変更したりするなども併せて求められています。

⑥ミッション

企業のイメージと企業のミッションは、従業員に浸透しているでしょうか。企業イメージを発信して企業価値を高めましょう。また社会に対する貢献方法を企業のミッションに組み込むと、従業員エンゲージメントの向上につながります。

世界で共通する従業員エンゲージメントに影響するポイントは、「リーダーシップ」「業務量」「ストレス」「上司」「目標」「ミッション」の6つです
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4.従業員エンゲージメントと人事制度

従業員エンゲージメントと人事制度の関係とは、経営者の本気のバックアップのもとで人事部門が推進主体となり、従業員の自己実現を支援する仕組みを構築することです。

エンゲージメント向上における推進主体と役割

推進主体 主な役割
経営者 従業員の自己実現と育成に対して本腰を入れてバックアップする
人事部・総務部 即効性の高い現場レベルの取り組みの企画・管理を担う
現場管理職 上司と部下の信頼関係を構築し、目標や方針を正しく伝達する

従業員エンゲージメントと人事制度の関係とは、経営者の本気のバックアップのもとで人事部門が推進主体となり、従業員の自己実現を支援する仕組みを構築することです。

即効性の高い、現場レベルでの取り組みが重要と考えられているため、従業員エンゲージメントに関する取り組みを管理しているのは、人事部や総務部などが多いようです。

エンゲージメント向上のための人事制度

従業員エンゲージメントの向上は、数日でどうにかなる問題ではありません。旧来的な従業員との関係性を見直さなければならないのですから、当然でしょう。

人事部や総務に任せっきりではいけません。経営者が従業員の自己実現と育成に対して本腰を入れてバックアップしなければ、従業員エンゲージメントの向上は難しいでしょう。

具体例

ヤマト運輸では従業員エンゲージメントを高める施策として、2008年11月から「満足ポイント制度」を導入しています。企業からの評価や周囲の評価、自己評価などをポイントで蓄積をして、バッジを入手できるという独自の制度です。

この制度の素晴らしいところは、従業員同士がお互いのいい面を引き出しながらポイントを積み上げていく点。その結果、従業員間の信頼関係が強くなるだけでなく、従業員エンゲージメントの向上にも成功しています。

即効性が大切と考えられているため、人事部などが従業員エンゲージメントに関する取り組みを管理している場合が多いです。しかし経営者が従業員の自己実現と育成に対して本腰を入れてバックアップしなければ、従業員エンゲージメントの向上は難しいでしょう
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5.エンゲージメント向上を目指した人事制度の構築シミュレーション

※以下は、エンゲージメント向上を目指した人事制度の構築プロセスをイメージしていただくために作成した架空の事例です。「桜台テクノロジーズ株式会社」は実在せず、数値もあくまで想定値ですが、施策のステップは実際の中堅IT企業でよく採られる手法をもとに構成しています。

企業概要(想定)

桜台テクノロジーズ株式会社(従業員450名・受託システム開発業)

課題

従業員エンゲージメントスコアが業界平均を下回り、入社3年以内の離職率が28%に達している。退職者ヒアリングでは「経営方針が見えない」「評価基準が不透明」「キャリアの先が想像できない」という声が多かった——という状況を想定します。

施策

STEP.1
エンゲージメントサーベイの実施と要因分析
全社員対象のエンゲージメントサーベイを実施し、部門別・年次別のスコアを可視化。離職リスクの高い層(入社2〜3年目・開発部門)と、スコアが低い要因(評価への不信感・ビジョン共有の不足)を特定。
STEP.2
人事評価制度の再設計
評価基準を「成果」と「行動指針の体現度」の2軸に再構築し、全管理職に評価者研修を実施。四半期ごとのフィードバック面談を義務化し、評価の透明性を確保。
STEP.3
経営ビジョンの浸透施策
四半期タウンホールミーティングを新設し、経営陣が事業方針と人材戦略を直接説明。月次の社内ニュースレターで戦略の進捗を全社に共有。
STEP.4
キャリアパスの可視化
等級ごとの役割・スキル要件を明文化し、社内公募制度を新設。キャリア面談を半期に1回実施し、本人の意志と組織の期待をすり合わせる機会を制度化。

想定される効果

このモデルケースでは、2年間でエンゲージメントスコアが15ポイント改善し、3年以内離職率が28%から15%に低下——という成果を想定しています。実際の効果は企業規模や業種によって異なりますが、「現状把握→評価の透明化→ビジョン浸透→キャリア支援」という流れは多くの企業に応用できます。

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6.関連する調査データ・改善事例

以下では、本テーマに関連する調査データと企業の取り組み事例を紹介します。

【調査】厚生労働省「働く人のワークエンゲージメント向上に向けた支援事業」調査

厚生労働省が令和6年度に全国1万社を対象に実施した調査(三菱総合研究所受託)では、従業員の働きがいを高める人事制度の導入・改善がエンゲージメント向上に有効であることが示されています。制度の整備だけでなく、運用の質と従業員への浸透度が成果を左右するという知見も報告されており、目標設定・フィードバック・評価の一貫した仕組み化が企業競争力に直結すると結論づけられています。制度を形骸化させず現場の実態に合わせて継続的に改善し続けることが、長期的な組織力の向上と従業員の働きがい増進につながります。こうした知見は、従業員エンゲージメントと連動した人事制度の設計・運用を考えるうえで重要な指針となります。

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【事例】トヨタ輸送株式会社

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よくある質問

エンゲージメントと従業員満足度の違いは何ですか?

エンゲージメントは会社と従業員の双方向の関係性を問うものであるのに対し、従業員満足度は従業員から見た一方向的な評価です。エンゲージメントが高い従業員は企業のビジョンに共感し自発的に貢献する姿勢を持ちますが、満足度が高くても必ずしも貢献意欲が伴うとは限りません。

エンゲージメントを高める人事制度は中小企業でも導入できますか?

導入できます。大規模なシステム投資は必ずしも必要ではなく、経営者と従業員の対話機会の確保、目標の明確化、ストレス要因の軽減といった施策は企業規模を問わず着手可能です。まずは従業員エンゲージメントに影響する6つの要素のうち、自社で最も課題が大きい領域から取り組むとよいでしょう。

エンゲージメント向上の効果はどのくらいの期間で現れますか?

一般的に、制度の導入から効果が実感できるまでに半年から1年程度を要するとされています。旧来的な従業員との関係性を見直す取り組みには時間がかかるため、短期的な指標の変動に一喜一憂せず、継続的にサーベイで状況を把握しながら改善を繰り返すことが重要です。


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