DX推進指標とは? 【わかりやすく解説】活用のメリットとステップ

経済産業省は2018年からDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を提唱しています。しかし「DXを推進したい」と考えてはいても、着手すべき取り組み方やアクションがわからないという企業は少なくありません。

そのような場合は、経済産業省から公表された「DX推進指標」というツールの活用がおすすめです。本記事ではDX推進指標の内容や活用方法、メリットなどについて解説します。

1.DX推進指標とは?

DX推進指標とは、DXへの取り組みの状況を自己診断するためのツールで、2019年に経済産業省が策定しました。DXとはデジタルデータやICT(情報通信技術)を活用し、組織や業務の改革をおこなうことです。

近年、規模の大小を問わず各企業においてDX推進によるビジネスモデルの改革が進められつつありますが、自社の課題を自ら把握、改善し、成果を上げることは簡単ではありません。

そこでまずはDX推進指標を活用し、自社のDXがどの程度の成熟度なのか確認。そのレベルを加味したうえで、取り組みの方向性や方法を決定していくのです。

またDX推進指標の活用は、企業価値向上や税制優遇などのメリットがあるDX認定の取得にも役立ちます。

参考 デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました経済産業省

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2.DX推進指標とそのガイダンスとは?

『「DX推進指標」とそのガイダンス』とは、DX推進のための具体的な要件を詳細にまとめ上げたレポートで、2019年7月に経済産業省より公表されました。

このガイダンスでは、企業がDX推進に取り組む際に行う自己診断について詳しく解説されています。その内容は次の通りです。

  • 国内のDXにおける現状や課題
  • DX推進指標の目的や使い方
  • 指標項目の解説や取り組み状況
  • ITシステムの構築

なおIPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、自己診断をサポートするツールとして「DX推進指標自己診断フォーマット」を提供しています。円滑な自己診断のためにも活用がおすすめです。

参考 「DX推進指標」とそのガイダンス経済産業省 参考 DX推進指標 自己診断結果入力サイトIPA(独立行政法人情報処理推進機構)

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3.DX推進指標を利用する4つのメリット

DX推進指標の活用には大きく分けて次の4つのメリットがあります。それぞれ具体的に見ていきましょう。

  • 取り組みに対する共通認識の醸成
  • 継続的なアクション
  • 進捗管理および評価ができる
  • 他者との比較検討が可能になる

①共通の認識が生まれる

DX推進指標を活用すると、企業において組織や部署を横断した共通認識を醸成できます。というのも、DX自体が全社的に取り組むことが推奨されており、DX推進指標はその考え方をベースにつくられているからです。

そのためDX推進指標をうまく活用すれば、自社のDX推進がおのずと全社的な活動になってきます。

課題や施策などの認識が社内で共有できれば、DX推進にむけた議論の活発化が図れます。施策取り組み時の認識の不一致を防止や実行の円滑化にもつながるでしょう。

②次のアクションにつながる

DX推進指標での自己診断をとおして、自社が取り組むべきアクションが見えてきます。DXは企業にとっても前例のない取り組みのため、他社の事例などをもとに手探りで始めてしまいがちです。しかし他社の事例が自社にも適用できるとは限りません。

そこでまずはDX推進指標にて自社の現状や課題を把握し、自社が行うべき取り組みの方向性を十分に検討するのです。

自己診断項目で達成できていないものがあれば、それらは実施すべき取り組みとなります。また取り組みを議論するだけで終わらず、実際に実施することが大切です。

③施策の進捗管理や評価ができる

DX推進指標は、現在進められている取り組みの進捗管理や評価などにも利用できます。DX推進指標のうち「定性指標」では成熟度を診断できるため、自社のDXの取り組みレベルを確認できます。

一方「定量指標」は数値から算出される具体的な指標であるため、評価や効果測定に役立てられます。たとえば定量指標には以下のものが挙げられます。

  • 製品開発スピード:新製品開発の企画段階からから商品化までの期間
  • 新規顧客獲得割合:新規顧客からの売上の割合
  • 決済処理スピード:決算処理日数などの会計処理としての効率

なおIPAは毎年1回は自己診断を行うことを推奨しています。昨年の定性指標と定量指標の結果をもとにPDCAサイクルを回せば、より効率的な改善につながるでしょう。

④他社との比較ができる

DX推進指標にもとづいて実施した自己診断の結果をIPAが運営する「DX推進指標自己診断結果入力サイト」へ提出すると、IPAが集計したベンチマークを入手できます。

つまり他社との違いを比較し、自社の状況を客観的に把握できるのです。ベンチマークの内容は、DX推進の概要や定性指標、売上規模や従業員数などです。

参考 DX推進指標 自己診断結果入力サイトIPA(独立行政法人情報処理推進機構)

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4.DX推進指標を利用する際の注意点

DX推進指標とそのガイダンスでは、指標策定にあたっての留意点として「指標をアクションにつなげること」と「企業の改革を表すものであること」を挙げています。

よい点数をとることが目的ではない

各指標でよい点数をとることを目的と勘違いしてしまいがちですが、指標から明確にされた課題に対して的確なアクションを起こすことが大切です。

たしかに各指標を改善すれば点数は上がっていきますが、各指標でよい点数をとることはDX推進において最終目的ではありません。

それよりも自己診断の結果をふまえて企業内の各部門や経営層など関係者が共通認識を得て議論を行い、アクションを実施していくことが何よりも重要なのです。

ビジネスモデルを評価するものではない

DX推進指標で、企業のビジネスモデルを評価する必要はありません。なぜならDX推進指標では、どのようにビジネスモデルを改革していくかを重視しているからです。

そのためDX推進指標の達成を目的にしてはなりません。あくまでもDX推進指標は、経営目標を達成するためのひとつの手段だからです。

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5.DX推進指標の活用のステップ

DX推進指標を活用する前に、具体的なステップを確認しておきましょう。ここでは自己診断の結果をIPAへ提出するまでの流れを解説します。

① 『DX推進指標とそのガイダンス』の確認

経済産業省のホームページから『DX推進指標とそのガイダンス』をダウンロードし、指標に関する目的や考え方、具体的な実施内容などを理解しましょう。DX推進は全社的な活動であるため、経営層や関連部署はもちろん、全社的に共通認識をもつことが大切です。

② ガイダンスをもとに自己診断

ガイダンスをもとにDX推進指標に回答し、自己診断を行います。DX推進指標で回答する9つのキークエスチョンと26のサブクエスチョンをとおして、現状の取組状況や課題を把握し、全社的に議論をしたうえで実施すべき対策を検討しましょう。

③ 自己診断の結果を「DX推進指標自己診断フォーマット」に記載

自己診断の結果を、IPAが提供しているExcelファイルの「DX推進指標自己診断フォーマット」へ記載しましょう。

フォーマットには「アクション欄」が設けられているので、現状と取り組みの双方を一覧で確認できます。また一覧で確認できるシートが付属しているので回答の抜け漏れが防げるでしょう。

④ ③をDX推進ポータルから提出

入力したDX推進指標自己診断フォーマットをIPAのDX推進ポータルへ提出しましょう。DX推進ポータルとは、DX認定制度のWeb申請システムで、ポータルを利用する際には、GビズID(gBizID)が必要です。

入力方法は難しくありませんが、手順を図解したDX推進ポータル利用マニュアルがあるので戸惑わずに進められるでしょう。

⑤ 自己診断結果とベンチマークを比較

自己診断結果を提出すると、提出した年のベンチマークを入手できるようになります。このベンチマークはIPAが各企業の診断結果をまとめ、作成したものです。

自社の診断結果と比較すれば、自社の現状をより客観的に把握できるでしょう。また次年度の計画や施策にも活かせます。

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6.DX推進指標における6段階の成熟度

DX推進指標では、自社の現状と取り組むべきアクションを明確にするために、DX推進の成熟度を以下の6段階に分けています。

  • レベル0(未着手):DXに対して無関心、あるいはまったく取り組んでいない
  • レベル1(一部での発散的実施):企業意志としての戦略が定まらず、一部部署などでの限定的な実施にとどまっている
  • レベル2(一部での戦略的実施):企業の戦略が策定され、一部の部署で取り組んでいる
  • レベル3(全社の戦略に基づく部門横断的推進):全社的な戦略に沿って部門を横断し取り組んでいる
  • レベル4(全社の戦略に基づく継続的実施):定量的指標を活用して施策の改善に取り組んでいる
  • レベル5(グローバル市場におけるデジタル企業):DX推進によるビジネスモデルの改革に成功し、競争上の優位性を獲得している

DX推進による企業の国際競争力の向上を主眼としているため、もっとも高いレベルはグローバル市場において勝ち残れる新しいビジネスモデルを構築した企業となります。

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7.DX推進指標の内容

DX推進指標には、9つのキークエスチョンと26のサブクエスチョンが用意されています。キークエスチョンはDX推進やITシステム構築の枠組みを決めるための大項目で、経営者自らが回答すべきです。

一方サブクエスチョンはキークエスチョンの詳細情報とも言える指標で、経営者と関連部門が議論して回答します。

また回答にあたっては、根拠を明確することを意識しましょう。根拠が客観的かつ明確であれば、DX推進の担当者が変わる、もしくは外部のアドバイザーを利用する際に、情報共有がスムーズになります。これにより素早い施策の実行が実現できます。

「DX推進のための経営のあり方、仕組み」に関する指標

ビジョンの共有

DX実現のビジョンを社内外で共有できているかを確認する項目です。

DXの推進では、社内外のステークホルダーとのビジョンの共有が重要になります。DX推進によってどのような課題を解決し、どのような状態になっているかを明確にしなければ、「AIを使って解決する」のような手段の目的化が起こり得るためです。

また現場レベルでDX必要性や生み出すべき価値が理解できていないと、途中で計画が進まなくなってしまう懸念があります。

こうした事態を防ぐためにも、ビジョンがどれくらいのレベルで明確化できているのか、どの範囲で共有できているのかを確認する必要があるのです。

危機感とビジョン実現の必要性の共有

DXを実施しない場合のリスクの危機感や、ビジョン実現の必要性を社内外で共有できているかを確認する項目です。

全社的にDX推進に取り組むには、危機感とビジョン実現の必要性を従業員に共有し、従業員の理解を得る必要があります。DXにはビジネスモデルから企業風土いたるまで総合的な変革が求められるからです。

変革において企業内で大小なりとも抵抗が生じるのは避けられません。この抵抗を軽減するためにも「なぜDX推進に取り組まねばならないのか」を伝える必要があるのです。

経営トップのコミットメント

ビジョンの実現に向けた施策が、経営層のリーダーシップのもと明確化、実行されているかを確認する項目です。

DX推進では、経営トップのコミットメントが重要です。コミットメントとは、目標達成に向けて当事者意識をもって取り組むことを意味します。

たとえば経営トップが「DXを進めろ」というだけでは、コミットしているとはいえません。DX実現のため経営者自ら指揮を取り、全社を動かしながら、変革を根付かせるための仕組みづくりを率先してこそコミットできているといえるでしょう。

経営者が行うべき仕組みづくりには、たとえば「必要な権限を各部門や担当者へ委譲する」や「人事体系や評価の見直す」などが挙げられます。

マインドセット・企業文化の構築

DX実施に欠かせないマインドセットと企業文化が構築できているかを確認する項目です。

DX推進では失敗を学びに活かすマインドセットと企業文化が重要になってきます。市場やトレンドが急速に変化する環境では未来予測が難しく、施策が必ずしも成功すると限らないからです。このため、失敗を素早く学びにし、施策に活かす「仮説設定→実行→検証→仮説修正」のプロセスの実行が重要になってきます。

このサイクルを実行することが当たり前とする企業文化や、それを可能とする仕組みが確立しているかどうかが、DX推進のカギとなるのです。またこの仕組みづくりは、行き当たりばったりの施策防止にもつながります。

推進・サポート体制の構築

DX推進にあたり必要な人材とその数、役割が明確になっているのか、また必要な権限が与えられているかを確認する項目です。

DXはどのような形であれ、さまざまな部署を巻き込んで推進します。この際に重要なのが次の要素です。

  • 役割の明確化
  • 権限の移譲
  • 必要数な人材・人員の充填

 

もしもこれらが実行されない場合

  • 責任の所在が不明になる
  • 検討やアクションの度に確認や協議が必要になる
  • 人材・人員不足でプロジェクトが進まない

などDX推進に支障が出てしまいます。現場レベルのスムーズなオペレーションのためにも、企業としてのサポートが出来ているかどうかを確認しましょう。

人材育成・確保

DX推進に必要な人材の育成や確保に向けた取り組みができているかを確認する項目です。

DX推進において、人材の育成や確保は重要な経営課題のひとつです。解決にはまず「どのような人材が必要なのか」や「どの部門でいつまでに何人必要か」など、理想と現実のギャップを明確化する必要があります。

このとき必要となる人材のスキルセットやキャリア、特性などのプロファイルをまとめておくと、採用時のミスマッチが防ぎやすくなるでしょう。

DX推進のためにはビジネスとデジタルの双方に精通している人材が望まれますが、DXに適した優秀な人材は、従来通りの人事制度では発見や育成が難しいかもしれません。その場合は評価制度や報酬体系、キャリアパス制度など、人事制度の改変が必要となります。

DX人材とは? 求められる8つの職種とスキル、人材育成の要点
経済産業省による後押しが実施されるなど、国を挙げて進められているDX(デジタルトランスフォーメーション)。デジタル競争の激化や新型コロナウイルスなどの影響もあり、推進に力を入れる企業が増えています。 ...

事業への落とし込み

DXによる改革に対して、経営者がリーダーシップを発揮し取り組んでいるかを確認する項目です。

DX推進において、経営者自らがリーダーシップをもって取り組み、事業へ落とし込まなければなりません。経営者が改革の必要性を現場へ共有しなければ、DXがただの業務効率化で終わってしまう恐れがあるからです。

DX推進指標を達成目標として活用し、ビジネス変革のための戦略やロードマップを明確に示しましょう。また社内だけでなく外部のステークホルダーに対して、DX推進の必要性やDX推進がもたらす価値などを経営者が十分に説明することも重要です。

「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」に関る指標

ビジョン実現の基盤としての IT システムの構築

ビジョン実現のために、既存のITシステムにどのような改善が必要かを認識し、対策ができているかどうかを確認する項目です。

DX推進でビジネスを変革するには、既存のITシステムの見直しや新たなシステムの構築などのアクションが必要です。

ITシステムとは、デジタル技術を活用してビジネス環境の改善や効率化を図るための仕組みのこと。DX推進におけるITシステムには、以下の要素が求められます。

  • データをリアルタイムで活用できる
  • 変化に素早く対応できるスピード感
  • 部門横断で全社的に活用可能

しかし多くの企業では、部門や事業拠点によって遂行される業務や作業が異なるために、ITシステムのカスタマイズが個々に行われています。その結果システムがブラックボックス化し、次のような問題が生じているのです。

  • データが最適化されておらずスピーディーに活用しにくい
  • システムの維持管理コストがかかりすぎてしまい、IT予算を価値創造に活用できない
  • 運用保守を担う人材がおらずデータ損失などのリスクが高まる

このようにシステムのブラックボックス化はDX推進を妨げる要因となりえます。これを防ぐためにも自社のITシステムにおける課題やレベルをDX推進指標をもとに、経営者自らが把握する必要があるのです。

ガバナンス・体制

ビジョン実現に向けたIT投資において、技術的負債を減らしつつ、新たな価値創出につながる資金や人材を配分できているか確認する項目です。

DXでは既存事業と新しい価値を創出する事業の両立を両立させることが重要です。そのためには全体最適に向けたガバナンス(管理のための仕組み)が効いた体制と経営トップの意思決定が必要になってきます。

ガバナンスが効いた体制ができていれば、

  • どのような価値を生むために何に投資するか
  • その予算をどのように捻出するのか

など投資やコスト管理が全社横断的かつ効率的に考えやすくなります。また施策への落とし込みもスムーズになるでしょう。

一方でガバナンスが効いていないと既存事業を回すことでいっぱいなり、DX推進の足かせとなってします。既存・新規ビジネスの両立のためにも全体最適のための仕組み化は必要不可欠な施策といえるでしょう。