同一労働同一賃金ガイドラインとは? 概要、待遇差の解消に向けた支援

同一労働同一賃金ガイドラインとは、労働者の雇用形態にかかわらない均等かつ均衡な待遇を確保する制度のことです。

1.同一労働同一賃金ガイドラインとは?

同一労働同一賃金ガイドラインは、2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」の柱のひとつとして打ち立てられた施策のこと。労働者の雇用形態にかかわらず、均等かつ均衡な待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現に向けて策定されました。

同一労働同一賃金とは?

同一労働同一賃金の主な対象は、以下の労働者です。

  • パートタイム労働者
  • 有期雇用労働者
  • 派遣労働者(協定対象派遣労働者を含む)

同一労働同一賃金の目的は、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用者のあいだにある不合理な待遇差を解消すること

「労働者がどのような雇用形態および就業形態を選択しても納得が得られる待遇を受けられる」「多種多様な働き方を自由に選択できるようにする」などを目指しています。

同一労働同一賃金とは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差をなくすために策定されたルールです

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2.同一労働同一賃金ガイドラインの概要を解説する

続いて同一労働同一賃金ガイドラインの概要について、見ていきましょう。同一労働同一賃金ガイドラインでは、基本給や各種手当、賞与などの賃金にとどまらず、福利厚生や教育訓練の待遇体系についても述べています。

  1. 基本給についての指針
  2. 昇給についての指針
  3. 賞与についての指針
  4. 手当についての指針
  5. 教育訓練・福利厚生などについての指針

①基本給についての指針

まずは基本給についての指針から見ていきましょう。同一労働同一賃金ガイドラインでは、基本給について以下のように明記しています。

「基本給が、労働者の能力または経験に応じて支払うもの、業績または成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない」

つまり能力や経験などが同じであれば、正社員と同一の賃金を支給しなければならないと定めているのです。

②昇給についての指針

昇給においても、ベースとなる考え方は基本給と同じです。昇給が労働者の勤続による能力の向上に応じて行われるものならば、短時間労働者や有期雇用労働者でも、通常の労働者と同一の昇給を行わなければなりません。

また勤続による能力の向上に一定の相違がある場合、その違いに応じた昇給を行う必要があります。

③賞与についての指針

賞与、つまりボーナスについての指針も同様です。その賞与が会社の業績などに対する労働者の貢献に応じて支給されるものならば、短時間労働者や有期雇用労働者であっても、通常の労働者と同一の支給を行わなければなりません。

また貢献に一定の相違がある場合、その違いに応じた賞与(ボーナス)を支給する必要があります。

④手当についての指針

役職手当が役職の内容に対して支給されるものならば、同一内容の役職には同一の、違いがあればその違いに応じた支給を行わなければなりません。なお業務内容が同一であれば、以下の各種手当についても同一の支給を行う必要があります。

  • 特定の地域で働く労働者の補償として支給する「地域手当」
  • 業務の危険度または作業環境に応じて支給される「特殊作業手当」
  • 所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った場合に支給される「時間外労働手当の割増率」

⑤教育訓練・福利厚生などについての指針

これまで日本企業の文化にて、無期雇用フルタイム労働者(正規雇用労働者)は、有期雇用労働者(非正規雇用労働者)より良い待遇で働けることが当たり前とされていました。

しかし「現代社会にて仕事の負担や条件が同じ場合に格差が生まれることは望ましくない」として想起されたのが「同一労働同一賃金」です。

同一労働同一賃金ガイドラインでは、教育訓練や福利厚生、病気休職や法定外有給休暇などについても言及しています。いずれも基本、正規雇用労働者と同一の利用および付与を実施しなければなりません。

福利厚生施設の利用に関して

これまでパートタイム労働者や有期雇用労働者に対する福利厚生施設の利用は、企業側の努力義務に過ぎませんでした。

しかし今回の法改正により、福利厚生施設の利用も均等待遇が義務化されました。食堂や休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用は、契約社員やパートタイマー、派遣社員にも利用の機会を与えなければなりません。

また転勤の有無など要件が同一の場合、転勤者用社宅や慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除や有給保障についても同一に付与しなければなりません。

教育訓練に関して

同一労働同一賃金ガイドラインでは、キャリアアップを考えているパートタイム労働者、有期雇用労働者にも活躍の場が与えられます。

教育訓練が現在の職務に必要な技能および知識を習得するために実施するものならば、短時間労働者、有期雇用労働者にも正規雇用労働者と同一の教育訓練を実施しなければなりません。

また必要な技能や知識に違いがある場合、違いに応じた教育訓練を実施する必要があります。

病気休職に関して

「病気休暇(病気休職)」とは、長期にわたる治療が必要な疾病などを抱え、治療を受けながら就労する労働者をサポートする休暇のこと。

病名や症状に制限なく、負傷または疾病の療養のために休暇を取らなければならない場合、賃金や仕事を失わずに申請できる休暇です。こちらも労働契約が終了するまでの期間をふまえて、正規雇用労働者と同一の付与を行わなければなりません。

法定外の有給休暇そのほかの休暇に関して

慶弔休暇や夏季・冬季休暇など、法定の年次有給とは別の特別休暇を付与している会社は、こちらも同一の付与が必要です。

勤続期間に応じて法定外の有給休暇およびそのほかの休暇を認めている場合、無期雇用フルタイム労働者、有期雇用労働者ともに同一の勤続期間であれば、同一の付与を行わなければなりません。

また契約社員やパートタイム労働者などに有期労働契約を更新している場合、当初の契約期間から通算した勤続期間の評価が必要になります。

同一労働同一賃金ガイドラインでは、「基本給や賞与、各種手当や福利厚生いずれも同一の利用、付与を行わなければならない」と定めています

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3.同一労働同一賃金ガイドラインにて待遇差の解消にあたるうえでの注意点

同一労働同一賃金ガイドラインは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者のあいだにある不合理な待遇差の解消を義務付けたものです。企業は客観的かつ具体的な説明なしに不合理な待遇差をつけられません。ここでは待遇差の解消にあたって注意すべき点について解説します。

  1. 職務の内容などを分離している場合
  2. 労使の合意が必要
  3. すべての雇用管理区分に属する正規雇用労働者が対象
  4. 定年後に継続雇用された有期雇用労働者
  5. 賃金の決定基準・ルールの相違がある場合

①職務の内容などを分離している場合

無期雇用フルタイム労働者(正規雇用労働者)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者や有期雇用労働者)との間で職務内容を分離した場合でも、双方のあいだにある不合理な待遇差は解消しなければなりません。

また待遇の決定基準自体に違いがある場合、企業は求めに応じて待遇差の内容やその理由について説明することが義務付けられています。

②労使の合意が必要

無期雇用フルタイム労働者(正規雇用労働者)の待遇を不利益に変更する場合、原則、労働者と使用者での合意が必要です。また就業規則の変更によって合意なく不利益に変更する場合でも、その変更は合理的なものでなければなりません。

いずれにせよ、労働者と使用者での合意がないまま正規雇用労働者の待遇を引き下げるのは望ましい対応といえないため、注意が必要です。

③すべての雇用管理区分に属する正規雇用労働者が対象

同一労働同一賃金ガイドラインにもとづいた不合理な待遇差の解消が求められるのは、すべての雇用管理区分(社員タイプ)に属する、すべての無期雇用フルタイム労働者(正規雇用労働者)です。

雇用管理区分が複数ある場合、「総合職だから待遇差の解消は必要ない」「地域限定正規雇用労働者のみ不合理な待遇差の解消を回避できる」といった特例は認められません。

④定年後に継続雇用された有期雇用労働者

定年後に継続雇用された有期雇用労働者に対しても、パートタイム・有期雇用労働法は適用されます。過去、正規雇用労働者に基本給5カ月分の賞与を支給する一方、定年後の嘱託社員に賞与を支給しなかったという事例がありました。

本件では最高裁判所により、不支給を適法と判断されています。定年後に継続雇用された者である点だけを理由とした不合理な待遇差はつけられません。

⑤賃金の決定基準・ルールの相違がある場合

無期雇用フルタイム労働者(正規雇用労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者)とのあいだに賃金決定の基準、ルールの相違がある場合はどうでしょう。この場合は、賃金の決定基準、ルールの相違に客観的かつ具体的な実態に合わせた合理的な説明が必要になります。

「正規雇用労働者と有期雇用労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準やルールが異なる」といった主観的、抽象的な説明は認められません。職務内容や配置の変更範囲、そのほかの事情に関する客観的な実態を照らした合理的な理由が必要となります。

同一労働同一賃金ガイドラインは不合理な待遇差を解消するための取り組みです。まずは正規雇用労働者と非正規雇用労働者の仕事内容や役割の差を明確にし、待遇差を合理的に説明できるか見直してみましょう

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4.同一労働同一賃金におけるメリットとは?

同一労働同一賃金は、無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者の不合理な待遇差を解消するためのものです。はたしてこれにはどのようなメリットが存在するのでしょう。ここでは同一労働同一賃金におけるメリットについて解説します。

  1. 非正規雇用で働く人の賃金が上がる
  2. 非正規雇用労働者が活躍できる環境を整えられる
  3. 非正規雇用労働者が待遇に対して納得感を高められる

①非正規雇用で働く人の賃金が上がる

パートやアルバイト、契約社員や派遣労働者などの非正規労働者は年々増加傾向にあります。またこれと同時に、双方の賃金格差の広がりも叫ばれているのです。

同一労働同一賃金が実現されれば、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の格差を解消できるでしょう。これにより非正規雇用労働者の賃金が上がる可能性も高まります。

②非正規雇用労働者が活躍できる環境を整えられる

同一労働同一賃金によって、正規雇用労働者と同様の仕事をする非正規雇用労働者は、正規雇用労働者と同等の人事考課・昇給の対象となります。

また非正規雇用労働者自身がキャリアアップを望む場合、各種教育制度や丁寧なマネジメントによって能力を引き出し、活躍の場を与えていけます。

③非正規雇用労働者が待遇に対して納得感を高められる

非正規雇用労働者における働き方の選択肢が広がります。労働者がどのような雇用形態、どのような就業形態を選んでも納得できる待遇を受けられるようになれば、就労機会は広がり、人材確保も容易になるでしょう。

同一労働同一賃金におけるメリットは、主に「非正規雇用で働く人の賃金が上がる」「非正規雇用労働者が活躍できる環境を整えられる」「非正規雇用労働者が待遇に対して納得感を高められる」の3つです

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5.同一労働同一賃金における処遇改善支援とは?

同一労働同一賃金の実現に向けて、さまざまな処遇改善支援が行われています。ここでは非正規雇用の処遇改善に向けた支援の例について、事業主に対する支援と労働者に対する支援、それぞれの側面から解説します。

事業主に対しての支援を紹介

まずは事業主に対する処遇改善支援をいくつか見ていきましょう。厚生労働省では、同一労働同一賃金の実現に向けて次のような支援策を実施しています。

  1. パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール
  2. キャリアアップ助成金
  3. パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書
  4. 不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル
  5. 職務分析や職務評価の導入支援

①パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール

「パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール」とは、会社の取組状況を点検し、パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善に向けてどのような取り組みを進めるべきかを確認するツールです。

本ツールを活用すると、基本給や賞与、手当における待遇の違い、教育訓練や福利厚生施設の利用などをかんたんにチェックできます。

利用にはユーザー登録が必要であるものの、使用料は発生しませんし、入力情報やチェック結果も一般に公開されません。まずはチェックツールを使って、自社の現状や取り組むべき課題について見直してみましょう。

②キャリアアップ助成金

厚生労働省では、非正規雇用労働者の正規雇用労働者化や処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する 「キャリアアップ助成金」の支給も行っています。

これは非正規雇用労働者の企業内キャリアアップを促進するため、取組を実施した事業主に対して助成を行う制度です。計7つのコースに分けられ、いずれも以下要件を満たす必要があります。

  • 雇用保険適用事業所の事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている
  • 対象労働者ごとにキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けている

③パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書

「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」は、自社の状況が改正法の内容に沿ったものかを点検できるパンフレットです。パートタイム・有期雇用労働法に対応するための要項を漫画で詳しく説明しています。

本パンフレットは記入式となっており、内容に沿って自社制度の記入、点検を行っていくのです。点検の結果、制度改定の必要があれば改定の準備を進めましょう。

過去に起きた具体的な事例や対応の流れも掲載しているため、取り組みに対する具体的なイメージを描けます。

④不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル

「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」とは、パートタイム・有期雇用労働者などの数や割合が高い下記の業界について、点検・検討手順を詳細に解説したものです。

  • 労働者派遣業
  • 福祉業
  • スーパーマーケット業
  • 食品製造業
  • 印刷業
  • 自動車部品製造業
  • 生活衛生業

以上の7業界にくわえて「業界共通編」も作成されているのです。

マニュアルは有識者のみならず、業界団体や労働組合関係者による検討を踏まえて作成されており、第1章から順に読み進めるのをおすすめしています。知りたいことがある場合は項目ごとに読み進めていくのもよいでしょう。

⑤職務分析・職務評価の導入支援

「職務分析・職務評価」とは、無期雇用フルタイム労働者(正規雇用労働者)と有期雇用労働者(非正規雇用労働者)の基本給について、待遇差が不合理かどうかを判断するためのツールです。特に公正な待遇を確保するための賃金制度を検討する際に有効でしょう。

目的は職務分析・職務評価の導入により、基本給に関する均等・均衡待遇の現状を確認し、等級制度・賃金制度を見直すことです。

労働者に対しての支援を紹介

続いて「労働者」に対する処遇改善支援策について見ていきましょう。同一労働同一賃金の実現に向けて、厚生労働省は労働者に対する特別相談窓口を全国に設けています。パートタイマーを含むすべての有期雇用労働者、また事業主も利用できます。

相談窓口の設置

同一労働同一賃金の相談窓口は、各都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)に設置されています。

  • 通勤手当が支給されない理由を「パートだから」と言われた
  • 正規雇用労働者と同じ仕事をしているにもかかわらず、キャリアアップ教育の機会が与えられない

これらのようにさまざまな相談を受け付けているほか、法律のそのほか規定に関する相談にも応じているのです。

相談窓口は労働者だけでなく、事業主からの相談も受け付けています。あらゆる待遇についての不合理な待遇差を感じたら、まずは相談してみましょう