コンプライアンス研修とは?【必要な理由】テーマの具体例

コンプライアンス研修とは、法令遵守を徹底するための研修です。企業に属する従業員一人ひとりが企業のブランドや信頼を背負う立場であり、従業員が法令遵守に則った行動をすることが企業の信頼を高めることにもつながります。

今回はコンプライアンス研修について、必要な理由や目的、研修のテーマ例や実施の流れ・ポイントを詳しくご紹介しましょう。

1.コンプライアンス研修とは?

コンプライアンス研修とは、社会の規範や道徳、ルールを守るための法令遵守を徹底するための研修です。

従業員一人ひとりが企業の名前や価値を背負っているため、一人でも法令遵守に逆らった行動をとり、大きな問題になるほど企業の名前・価値に傷がついてしまいます。

また、コンプライアンスを守れない企業・従業員は信頼性や透明性が低いとして、ステークホルダーからの信頼を損ねかねません。

コンプライアンス研修では、そもそもコンプライアンスとはなにか、違反した場合にどのような影響があるかなど、コンプライアンスを守るうえで押さえておくべき知識や法令の内容などが学べます。

そもそもコンプライアンスとは?

コンプライアンスとは、法令遵守のこと。公正や倫理の確保を目的とする取り組みであり、法律に従って行動することがコンプライアンスの基本です。

従業員はコンプライアンスを守ったうえで、社会規範や企業倫理を守ることが求められています。なお、コンプライアンスは広義で「お互いが気持ちよく過ごすための決まりごと」ともいえるため、コンプライアンスを守るうえではマナーを守ることが必要です。

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2.コンプライアンス研修が必要な理由

従業員一人ひとりが企業の名前と責任を背負っていると自覚し、コンプライアンスを守った行動を取るためにもコンプライアンス研修が必要です。まずは、コンプライアンス研修が必要な主な理由をみていきます。

コンプライアンス違反によるリスクが高いため

コンプライアンス違反が起こると、取引先や顧客からの信頼を失い、最悪のケースでは倒産につながります。

帝国データバンクによると、2020年度にコンプライアンス違反が原因で倒産した企業は182件です。たった一度の不祥事で多くの人からの信頼を損ねるだけでなく、回復には時間がかかるもの。

どんな大企業でも、一人の従業員が大きな不祥事を起こせば、それだけで企業全体の信頼を喪失します。リスク管理の一環としても、コンプライアンス研修が欠かせません。

従業員に法令遵守の行動を身につけてもらうため

近年は社内の不祥事だけでなく、企業外・業務外におけるプライベートな行動が炎上し、結果的に個人が所属する企業に飛び火するケースも少なくありません。

SNSやインターネットの普及によってコンプライアンス違反に当たる行動も拡大傾向にあるため、一人ひとりがコンプライアンスを理解する必要性が高まっています。

コンプライアンスは法律や企業規範だけでなく、一般常識や倫理観を守ることも含まれるのです。法律や企業規範で明文化されていないルールも物事の適切・不適切を見極めて行動することが求められます。

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3.コンプライアンス研修の目的

コンプライアンス研修の目的は、主に以下4つです。コンプライアンス研修がどういった観点で企業に効果をもたらすのかをみていきましょう。

  1. リスクマネジメント
  2. 企業価値の向上
  3. 遵守すべき法令・ルールの共有
  4. 企業文化の醸成・強化

①リスクマネジメント

企業の信頼は、たった一人の従業員のコンプライアンス違反で崩れる恐れがあるもの。罰金・罰則が課せられるだけでなく、取引先や消費者からの信頼を喪失するなど大きなダメージを受けてしまいます。

研修では、どのような行動がコンプライアンス違反にあたるのか事例をとおして具体的に学べます。

とくに、法律は知らないで済まされず、責任を免れるのはできません。従業員一人ひとりの行動を企業側が細かくコントロールはできないためコンプライアンス研修によって本人たちが正しい行動を選択できるよう促す目的があります。

②企業価値の向上

従業員のコンプライアンスへの意識向上は、企業の価値向上にもつながります。企業価値は従業員一人ひとりが作り上げた結果であり、逆をいえば一人の行動が価値を低下させる恐れがあるものです。

大手企業であってもコンプライアンス違反により、ブランド価値を毀損している事例は少なくありません。

一人ひとりのコンプライアンス意識が高まれば、法令や規範、一般常識や倫理から外れた行動を取ることはなくなり、企業としての信頼性を高めてくれます。

③遵守すべき法令・ルールの共有

コンプライアンス研修として機会を設けると、法令や自社で作成したコンプライアンスルールなどをしっかりと共有可能です。一般常識や倫理観は万人に共通するものですが、適応する法律や企業規範は企業ごとに異なります。

また、独占禁止法や不正競争防止法、消費者保護法や個人情報保護法、労働に関する法律など、ビジネスには多数の法律・規則が絡むもの。

コンプライアンス研修では、その存在と違反しない重要性を理解し、違反しないためにはどうすればよいか、何をしたら違反になるのかを正しく身につけることが可能です。

④企業文化の醸成・強化

コンプライアンス研修をきっかけに、自社の倫理観や価値観を組織全体に浸透させられます。

コンプライアンス違反が起こると企業におよぶ影響を理解でき、自分が企業に影響をおよぼすいち従業員であると自覚できれば、正しい倫理観や価値観、責任感や誇りを持って業務に取り組めるでしょう。

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4.コンプライアンス研修のテーマ例

コンプライアンス研修のテーマは、業種や職種によってさまざまです。ここでは、どの企業でも共通して理解を深めるべき代表的な4つのテーマを例にご紹介します。

  1. 法律、一般常識
  2. 情報セキュリティ
  3. ハラスメント
  4. SNSの取り扱い

①法律、一般常識

法律は知らなかったでは済まされないもの。そして、一般常識はビジネスパーソンとして適切な行動を取るために押さえるべき基本的な知識です。ひとくちに法律違反といっても、個人レベルのものから組織レベルで起こるものまでさまざまあります。

企業規則や知的財産法、労働基準法など全社員が共通して学ぶべき法律から、著作権法や雇用対策法、下請法など部署・役職ごとに学ぶべき法律まで、業務に関連のある法律はしっかりと押さえることが大切です。

②情報セキュリティ

情報社会である現代では消費者も敏感になっていることから、個人情報の取り扱いについてはとくに慎重です。コンプライアンス研修では、個人情報保護や情報漏洩など、実例やケースワークなどを用いて学習します。

またリモートワークや在宅ワークが増えているため、オフィス外で仕事する時のセキュリティ対策について学ぶ需要も増加。一般的な法律だけでなく、自社で設定した情報の取り扱いに関するルールも徹底しましょう。

③ハラスメント

ハラスメントは管理職や中堅社員など、年次の高い従業員が主な対象となるテーマです。ひとくちにハラスメントといっても、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、モラルハラスメント、アルコールハラスメントなど、種類はさまざま。

悪意なく無意識下でハラスメントしてしまっている可能性もあるため、何がハラスメントにあたるのか、どういったリスクがあるのかを理解してハラスメントを回避することが重要です。

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④SNSの取り扱い

近年は、プライベートで起こった炎上が企業に飛び火する事例もみられます。匿名性が高いSNSでも、個人情報や機密情報の流出につながるケースも少なくありません。

業務に関係ないプライベートな行動はコントロールが難しいからこそコンプライアンス研修で一人ひとりがリスクを理解したうえで行動できるようにすることが重要です。基本的なテーマだからこそ、今一度しっかりと学ぶことが大切です。

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5.コンプライアンス研修のネタの集め方

法律に改正があるように、コンプライアンスの事例もトレンドによって変わります。近年でいえば、SNSの取り扱いやハラスメントが主なトレンド例です。

コンプライアンス研修のネタは基本的には過去事例から探します。できるだけトレンドに合わせて探しましょう。下記は、コンプライアンス研修のネタの集め方の一例です。

  • 同業界、業種の事例から探す
  • 新たに制定、改正された法令から探す
  • 自社で発生したコンプライアンス違反の事例から探す
  • 最近ニュースでやった最新の事例から探す
  • 関係省庁、関係団体の情報から探す

まずはテーマを決め、該当する事例がある場所や業界・業種、ニュースなどから探してみましょう。

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6.コンプライアンス研修実施の流れ

コンプライアンス研修は、以下の流れで実施します。

  1. コンプライアンスの認識・理解レベルの調査
  2. テーマの決定
  3. 研修実施方法の決定
  4. カリキュラムの策定・実施
  5. 振り返り

①コンプライアンスの認識・理解レベルの調査

まずは、全従業員を対象にコンプライアンス意識調査を実施します。自社の従業員がどれだけコンプライアンスについて理解しているか、普段意識して行動できているかを調査しましょう。この時、アンケートツールを活用すれば効率的に調査可能です。

②テーマの決定

調査結果を分析して違反リスクの高い内容を洗い出し、優先的に実施すべきテーマを研修内容に設定します。認識レベルが高い項目も研修に盛り込むと、さらなるコンプライアンス意識の向上につながるでしょう。

また、意識調査の結果だけでなく、自社に関連する法令の改正も早いうちに研修に入れ込みます。法務担当者を中心に法改正の動きをつね常にチェックしておくとよいでしょう。

③研修実施方法の決定

研修の実施方法も下記のようにさまざまです。

  • オンライン(eラーニング)
  • 社外研修
  • 社内研修
  • 派遣講師を呼ぶ

従業員のリソースや研修に割ける時間など、従業員からも意見を聞いたうえで実施方法を選定しましょう。

④カリキュラムの策定・実施

受講者の役職や部署、階層に合わせてカリキュラムを策定し、カリキュラムに合わせて研修スケジュールを調整します。自社で研修を企画・実施する場合は、一回あたりの研修時間や回数、頻度なども合わせて決めておくとよいでしょう。

⑤振り返り

研修は実施して終わりにせず、実施後は振り返りのアンケートやフィードバックを実施しましょう。あわせて、コンプライアンス意識調査も定期的に行い、コンプライアンス研修の効果を検証することが大切です。

コンプライアンス研修をしたからと、すぐにコンプライアンス意識が身につくわけではありません。研修と調査は繰り返し行い、研修の効果検証と意識の定着を確認しながら、徐々に意識を高めていきましょう。

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7.コンプライアンス研修実施のポイント

コンプライアンス研修が適切に実施できれば、企業の信頼を守る・高めていけるでしょう。ここでは、コンプライアンス研修の効果を高めるためのポイントも解説します。

実践的な研修を行う

座学で体系的に学ぶだけでなく、討論やロールプレイングなど実践的に学べるカリキュラムも導入しましょう。自分ならどうするか、他人はどう考えるのか、実際に思考・行動する場を設けてお互いの価値観を理解し合うことが可能です。

身近な問題をベースとしたケーススタディも効果的であり、自社でのヒヤリハットや他社事例を活用することもオススメです。

適切なタイミングで実施する

突発的に実施するのではなく、タイミングを見極めて実施することがポイントです。適切なタイミングとは、自社や同業界・業種で違反が起こったときやトレンドの違反が発生したときなど。

コンプライアンスを自分ごとと考えて意識を高めるためにも実際にコンプライアンス違反が起こってしまい「気をつけなければならない」という状況での実施が効果的です。

対象者によってテーマを変える

すべての従業員に同一のテーマで研修を行うのではなく、対象者に合わせて変更することもポイントのひとつ。

役職 テーマ例
新入社員 コンプライアンスの基礎知識
中堅社員 実際の違反例をもとにした対処法
管理職・経営層 違反を起こさないための仕組みづくり

対象者を階層別に分類し、その階層で必要となる知識や期待する行動を明確にしたうえでテーマを設定しましょう。段階的に学ぶと基礎から知識が定着し、自分の立場に必要となる知識・行動が身につきます。

継続的に実施する

コンプライアンス研修は、単発的に実施してもあまり意味がありません。定期的に実施するとコンプライアンス意識が徐々に高まり、コンプライアンス意識の高い風土が形成されます。そのためにも、従業員全員が継続的に受講できる仕組みづくりが必要です。

集合研修だけでなくeラーニングも取り入れて忙しい人でも受講できるようにしたり、研修外でも定期的なMTGで事例を共有・注意喚起したりと、コンプライアンス研修の実施方法やコンプライアンスとのかかわり方を工夫してみましょう。