
形骸化した面談にうんざりしていませんか?
「最近の面談、形式的なやりとりになっているな」そんな経験はありませんか? 人事担当者も現場のマネージャーも、忙しい中で時間を捻出しているのに、手応えのない面談は生産性を下げる一方です。
──「意味のある対話」を生み出すための具体的な「問い」と「見直し方法」を、現場のリアルな声から問い直します。
お話を伺った方々

大手IT企業で長年人事を担当。現在は独立し、コンサルタントとして中小企業を支援

HRBPとしてデータドリブンな人事施策を推進。理論と実践の両面に精通

外資系企業でリモート環境での人事制度設計を経験。現在は組織開発に特化
形骸化した面談に疲れた現場が語るリアル
──「この面談、本当に意味あるの?」と感じたことはありますか?
高橋さん
「アイスブレイクで雑談から始めましょう」と研修では習うのに、実際は「うちの上司、アイスブレイクで終わっちゃったんですけど」という声すらありました(苦笑)。形式的な面談では、お互いに時間を無駄にしている感覚が強かったですね。
木元さん
藤井さん
──お三方とも、研修と現実のギャップに苦労されていたんですね。特にリモート環境では面談の位置づけが大きく変わったように感じます。
HRBP(HRビジネスパートナー):経営戦略に基づいて人事施策を企画・実行し、事業部門と密接に連携しながら組織の成果向上を支援する人事担当者。 ──なぜそのような状況になってしまったのでしょうか? ──面談が形骸化する背景には、タイミングの問題や構造的な課題があることがよく分かりました。高橋さんのリストラの体験談からは、人事施策の重みと責任についても考えさせられますね。 ──そこから、どのような見直しを行ったのですか? ──皆さんそれぞれ異なるアプローチを取られていますが、「業務報告から脱却する」という点では共通していますね。特に木元さんのフレームワーク活用は興味深いです。 タスクアセスメントモデル:仕事に対するモチベーションを4つの感覚で評価するフレームワーク。 ──改革の効果はどのように現れましたか? ──どの取り組みでも、社員の自主性が向上しているのが印象的です。受け身だった社員が能動的に変わる瞬間があったということですね。 ──面談を意味あるものにし続ける工夫は? ──継続の秘訣は「完璧主義からの脱却」と「仕組み化」ということですね。個人のスキルに依存しない制度設計の重要性がよく分かりました。 この座談会で見えた共通点は、面談の「存在意義を再定義すること」でした。 高橋さんの関係性重視、藤井さんのリモート環境での実践知、木元さんのフレームワーク活用──いずれも「何のための時間なのか」を問い直すことから始まったのです。 次の面談の前に、これらを確認してみてください。 あなたの会社の面談は、本当に“意味ある時間”になっていますか? ※参考文献:『ヤフーの1on1―部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社、2017年)目的が不明確なまま進む面談の重さ
高橋さん
さらに人事という立場には宿命的に板挟みもあります。私もリストラを担当したとき、地方工場では「対象者の家族が近所に住んでいる」なんてこともあり、地域で肩身の狭い思いをしました。その経験から「面談は制度のためではなく、本当に社員のためにならなければ意味がない」と痛感しました。
木元さん
特に日本企業では、短期的な成果を求められるプレッシャーが強く、中長期的な人材育成が後回しになりがちです。面談も「やらなければいけないもの」として扱われ、本来の目的を見失ってしまうんです。
藤井さん問いかけを再設計し、面談を再定義する
高橋さん
従来の面談は「評価」や「査定」のイメージが強く、どうしても部下が身構えてしまう。しかし関係性を重視した対話にすると、自然に相談しやすい雰囲気が生まれます。
藤井さん
木元さん
・自己効力感:「やればできる」という自信
・影響感:「自分の仕事が価値を生んでいる」という実感
・有意味感:「この仕事には意味がある」という納得感
・自己決定感:「自分で選択している」という主体性社員が行動を変えた瞬間
高橋さん
特に印象的だったのは、いつも受け身だった若手社員が、自分から「新しいプロジェクトに関わりたい」と提案してきたことです。日頃の面談で関係性ができていたからこそ、本音で話してくれたんだと思います。
藤井さん
木元さん継続のコツは”完璧を求めないこと”
高橋さん
最初はうまくいかなくても、継続することで徐々に質が向上します。「今日は何も話せなかった」という日があっても、それはそれで意味がある。継続することで、相手のリズムや状況が見えてくるんです。
木元さん
マネージャー向けの研修では、完璧な面談を求めるのではなく、「毎回小さな改善を重ねる」ことを伝えています。PDCAサイクルを面談にも適用し、振り返りと改善を継続することが重要です。
藤井さん
仕組み化のポイントは、面談の前後にも工夫を加えることです。事前に話したいことを整理してもらい、事後には次回までのアクションを確認する。このサイクルを回すことで、面談の効果が持続します。まとめ
意味のある面談にする3つのチェックポイント

