チャンクダウンとは?【意味・やり方を簡単に】シート、コツ

チャンクダウンとは、問題を細分化し、具体的なアクションへ落とし込む思考方法のこと。メリット、やり方、シートなどについて解説します。

1.チャンクダウンとは?

チャンクダウンとは、大きいあるいは漠然とした問題を小さな課題(チャンク)へ分割していき、具体的な解決策を考案していく思考方法のこと。「Chunk」は「かたまり」を意味します。

大きいあるいは漠然とした問題に取り組むとき、どこから着手すればよいか迷いがちです。チャンクダウンを使うと、問題を小さく切りわけて、それぞれのアクションに落とし込めます。

チャンキング

物事をまとまりやかたまりとしてとらえ、理解しやすくするための思考方法のこと。チャンクダウンのほか、「チャンクアップ」や「チャンクスライド」なども存在するのです。これらの違いは後述します。

チャンキングを活用すると、膨大な情報を簡潔かつ効率的に整理できるのです。

チャンクダウンの具体例

たとえばチームビルディングをテーマに、チャンクダウンする際の例を解説します。

まず「ゴール(解決すべき問題)」を定め、ここでは「チームの絆を強める」としまししょう。次にそれを達成するために「必要な行動(チャンク)」について検討した結果、「コミュニケーション機会を増やす」が必要だと判明。

最後に「具体的な方法」として、提案された施策のなかから「アクティビティを実施」を採択しました。

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2.チャンクダウンシートとは?

チャンクダウンを考える際に用いる9マス×9マスのチャートのこと。「マンダラート」とも呼ばれます。

チャンクダウンシートを使用すると目標や課題が明確になり、モチベーションアップにもつながるのです。紙に書き出して作る方法もあるものの、エクセルや専用のアプリなどを使うとかんたんに作成できます。

チャンクダウンシートの使い方

チャンクダウンシートの作り方および使い方は次のとおりです。

  • 3×3が9つ並ぶマスを用意する
  • 中心に「達成したい目標」を記入する
  • 目標の周囲の8マスに、「達成するために必要なこと」を記入する
  • さらに周囲の9マスの中央に、上記の「達成するために必要なこと」をそれぞれ記入する
  • 上記の周囲の8マスに、その「達成するために必要なこと」を実現するための具体的な行動を記入する

マンダラチャート(マンダラート・曼荼羅シート)とは? 書き方
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3.チャンクダウンとチャンクアップ、チャンクスライドとの違い

チャンクダウンとチャンクアップ、チャンクスライドは、いずれも物事をとらえる際に使われる異なる思考方法です。いずれも共通して問題解決やコミュニケーションの向上に役立ちます。これらにおける大きな違いは「導かれる結論」です。

チャンクアップとの違い

チャンクアップとは、具体化された対策からチャンクを作り、本質的な問題を見出す思考方法のこと。

目的は「その対策を行う目的は何か」「なぜそのチャンクを解決する必要があるのか」などの問いを繰り替えし、最終的に解決すべき大元の問題にたどり着くことです。

一方チャンクダウンは、問題をより具体的な行動やタスクに細分化することを目的としています。

ただしチャンクダウンとチャンクアップは、互いに補完し合う関係です。チームでプロジェクトを成功させるため、チャンクダウンで具体的なタスクを明らかにし、チャンクアップで目標やビジョンを共有するといった活用をします。

チャンクスライドとの違い

チャンクスライド(スライドアウト)とは、チャンクを横方向に展開し、同レベルの選択肢を増やす思考方法のこと。目的は新たな視点やアイデアを得ることです。たとえば会議で見られる「ほかに意見はありますか」といった質問がチャンクスライドにあたります。

チャンクダウンの目的は、ひとつの問題を分解して具体的な対策を決定すること。しかしより多くの対策案を集めたいときに、チャンクスライドが必要となります。よってチャンクスライドもマスターしておいたほうがよいでしょう。

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4.チャンクダウンを行う意味

チャンクダウンを行うと、複雑な問題を整理して扱いやすいチャンクに分割できるため、それぞれの進捗を管理しやすくなります。また問題解決につながる効果的なアプローチを見つけて、実行に移せるようになるのです。

  1. 具体的な行動の明確化
  2. 現状の整理
  3. 部下の成長促進

①具体的な行動の明確化

チャンクダウンは、抽象的な問題を具体的な行動に落とし込むために使われます。

たとえばチーム目標を提示しただけでは、個々のメンバーは自分が何をしたらよいのか、わかりません。チャンクダウンを活用すると、目標達成にはどのような行動(チャンク)が必要で、それを達成する方法は何かを考えられるのです。

あとは具体的な行動計画を作成して各メンバーへ振りわければ、個々が行う実際のアクションが決まります。

②現状の整理

チャンクダウンは、現状の把握と整理を行うために活用します。

たとえば売上の低下という問題に取り組む場合「販売数を増やす」という答えにたどり着きがちです。

しかしほかにも考えられる要因は多数あるでしょう。チャンクダウンで要因をチャンクとして切りわけていくと、それぞれ各要因がどれほど影響しているかを整理できるのです。

③部下の成長促進

チャンクダウンは、部下の成長を促進する目的でも活用されます。上司や先輩がチャンクダウンを用いて具体的な指導を行うと、部下は自分の改善点を理解でき、すぐに改善行動をとれるからです。

また部下自身もチャンクダウンの手法を学ぶと、自分で問題を分析して具体的な行動に落とし込む能力が身につきます。たとえば自分でスキルアップといった目標を定めたら、実際の学習計画まで作成できるようになるでしょう。

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5.チャンクダウンを実施するメリット

チャンクダウンのメリットは、複雑な問題や大きな問題であっても要点を明らかにでき、解決に導く具体的な対策まで考案できること。そのため対策にも取り組みやすいのもメリットです。ここでは3つのメリットを解説します。

  1. 根本的な原因の可視化
  2. 取り組み難易度の低下
  3. 信頼関係の構築

①根本的な原因の可視化

チャンクダウンを行うと、問題の根本的な原因を特定しやすくなり、適切な対策を立てられます。問題解決までの時間を短縮でき、組織全体のパフォーマンスも向上するでしょう。

やるべきことが明確になるため、対策を実行するメンバーのモチベーションもアップしやすいのです。

また根本原因の特定ができれば、将来的に同じ問題が再発するリスクを減らせます。チャンクダウンの活用で、問題解決の効率や効果を最大化できる可能性があるのです。

②取り組み難易度の低下

チャンクダウンを活用すると、大きな問題に取り組みやすくなります。大きな問題のままでは、解決までに途方もない時間や労力がかかるように見えるからです。

問題を小さなチャンクに分解すれば実現的な解決方法を見つけやすくなり、さらに具体的な対策まで見いだせるため、大きな問題へ取り組むモチベーションを保てるのです。

また対策実行が完了するとチャンクを解決していけるため、小さな成功体験を積み重ねられます。この点もモチベーションの維持向上につながるでしょう。

③信頼関係の構築

チームで問題に取り組む際にチャンクダウンを使うと、メンバー間の信頼関係を強化できます。

複雑あるいは大きな問題であっても、チャンクダウンで細分化して問題解決のプロセスと対策を可視化すれば、多数のメンバーへの共有が可能です。また問題の全体像をとらえやすくなるため、新たなチャンクや対策が見つかることもあります。

さらにチャンクの達成で小さな成功体験を積み重ねると、メンバー全員が自信や達成感を持てるのです。このようにチャンクダウンでひとつの目標に向かって協力するという状況は、メンバー同士の信頼関係を構築しやすくなります。

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6.チャンクダウンのやり方

チャンクダウンの基本的なやり方は、質問をとおして問題を深堀していくこと。そのため質問の投げかけ方で、チャンクダウンの効率や効果が変わってきます。ここでは質問の具体例を含めてチャンクダウンのやり方を解説しましょう。

具体性のある質問

チャンクダウンを始める際は、具体性のある質問を用います。具体的な質問を投げかけると、相手が詳細な情報を提供しやすくなるからです。

たとえば「具体的にどのような問題が発生していますか」「どの部分が難しく感じますか」のように、5W2Hを聞き出せるオープンクエスチョンが適しています。相手の回答を絞り込みつつ詳細を聞き出せるからです。

質問の例

チャンクダウンに使用できる質問の例を、以下に紹介します。

  • 課題解決のために、何をするべきですか
  • いつまでにしますか
  • 誰が担当しますか
  • 優先順位が高い課題はどれですか

これらの質問を繰り返すと、解決策を発見しやすくなるでしょう。

問題点の深堀

オープンクエスチョンを用いて相手から引き出した情報を細分化し、具体的な対策に到達するまで掘り下げます。チャンクダウンの質問を駆使して、さまざまな意見や考察を行うと、気づかなかった原因が見つかるかもしれません。

そのためできるだけ多くのメンバーへ質問を行うとよいでしょう。

具体的な対策まで決定できたら、実行に向けたアクションプランを策定。アクションプランには、改善の目標や期限、担当者や必要なリソース(費用・人員・時間など)を明記します。またアクションプランの進捗や状況を可視化し、チーム全体で共有しましょう。

考える過程の例

チャンクダウンを用いて考える際の過程を紹介します。

  • 目標の設定:解決すべき問題を提示します。「チームの雰囲気を改善する」
  • チャンクダウンの実施:目標を具体化するために、チャンクダウンを行い、実現可能な取り組みを考えます。
    • チャンク①「チームの会話を増やす」
    • チャンク②「メンバーの負担を軽減する」
  • 決定とアクションプランの策定:提案されたアイデアから、最も効果的と思われる取り組みを選択し、実行に移すためのアクションプランを策定します。
    • チャンク①「会議中に質問の時間を別途設ける」「フリーアドレスを導入する」
    • チャンク②「効率化ツールを導入する」「個別面談を実施する」

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7.効果的にチャンクダウンするコツ

効果的にチャンクダウンするためのコツは、実行可能な行動レベルまで細分化し、チャンクや対策を図解などで可視化すること。

適切に細分化されていると、標達成に向けた明確な行動計画を立てやすくなります。また図解を用いると全体を一目で把握しやすくなり、目チーム内での齟齬も減らせるのです。

  1. 行動レベルまで細分化
  2. 図解による可視化

①行動レベルまで細分化

チャンクダウンの目的は、実行可能なレベルまで具体的に落とし込むこと。行動を起こすには「何を」「いつ」「どうするのか」を明確にする必要があります。

たとえば「売り上げを向上させる」目標がある場合、チャンクダウンで、「新規顧客獲得のために、来月から月に2回のセミナーを開催する」といった具体的な行動に落とし込みましょう。

目標設定が漠然としている場合はチャンクダウンをやり直して、明確な行動計画が立てられるまで掘り下げるべきです。

②図解による可視化

チャンクダウンした要素や対策を可視化するため、図解を活用するのも視野に入れましょう。チームで共有しやすくなり、話し合うべきポイントや優先順位も整理できるからです。また全体が把握しやすくなるため、チャンクや対策のずれなども防げます。

チャンクダウンを図解でまとめる際は、マインドマップやフローチャート、ロジックツリーなどのフレームワークが便利です。