アダプティブラーニングとは? eラーニングとの違い、企業の活用法、注意点、主なツールについて

アダプティブラーニングとは、学習者一人ひとりの進捗にあわせて学習内容を提供する学習方法のこと。ここではeラーニングとの違いや注意点などについて解説します。

1.アダプティブラーニングとは?

アダプティプラーニングとは、一人ひとりに最適な学習内容を提供して、より効率的に学習を進める方法のこと。アダプティプラーニングによって、学習者それぞれによるきめ細かな学習指導が可能になります。

アダプティブラーニングは、教育業界にてIT技術の活用とともに注目されるようになった学習方法です。アダプティブ(adaptive)とは、直訳すると適応する能力があること。文部科学省では以下の点からアダプティブラーニングの推進を唱えています。

  • 一人ひとりの状況に応じた、きめ細かな教育指導を促進する
  • 学習者一人ひとりの理解度や興味などを考慮した、学習活動の充実
  • 学習以外の指導を含めた、きめ細かな配慮

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2.アダプティブラーニングはEdTech(エドテック)の一つ

アダプティブラーニングはEdTechのひとつとして位置付けられています。

EdTechとはITを活用した教育スタイルのこと。Education(教育)とTechnology(テクノロジー)をあわせた造語で、この2つを統合して生まれた新たな教育サービス・新しいビジネス領域として近年、注目を集めています。

EdTechとeラーニングの違い

eラーニングという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。eラーニング(e-learning)とは、パソコンやスマートフォンを活用し、インターネット技術を用いて学習するシステムのこと。日本では2000年頃から、各企業で注目されるようになりました。

eラーニングが一方的な講義スタイルであるのに対して、EdTechでは双方向のコミュニケーションが可能です。テクノロジーの力で教育にイノベーションが起こるようにする取り組み全体をEdTechといいます。

そのほかアダプティブラーニングの関連用語

EdTechやeラーニングのほかにも、アダプティブラーニングと混同しやすい用語はいくつかあります。ここでは下記3つについて説明します。

  1. 利用者の意欲向上やロイヤリティーの強化を図るゲーミフィケーション
  2. 学習管理システムを指すLMS
  3. 能動的な力を養うアクティブラーニング

①利用者の意欲向上やロイヤリティーの強化を図るゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションとは、競争やレベルアップなどのゲーム要素を応用して、利用者のロイヤリティーや意欲向上の強化を図る手法のこと。英語のgamificationから来ています。

日本でも2010年頃から主に教育の分野で活用されているのです。表面的なゲームデザインを設計するだけでなく、相互の関係性強化やゲームのように夢中にさせる行動など、一連の行動をデザインします。

②学習管理システムを指すLMS

LMSとはLearning Management Systemの略で、直訳すると「学習管理システム」という意味になるのです。

近年、LMSを単なるeラーニングの配信だけでなく、学習の促進および管理するために必要な機能を備えた総合的なプラットフォームとして位置付けています。

レポート回収機能やプロセス管理機能などを備え、業務効率の改善やモチベーションアップにつなげるシステムです。

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③能動的な力を養うアクティブラーニング

アクティブラーニングの目的は、自ら能動的に学ぶこと。

  • アダプティブラーニングは学習効率を高めるためのシステム
  • アクティブラーニングは自ら学ぶための力を養う学習プログラム

と区別できます。

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3.企業におけるアダプティブラーニング

企業はどのようなシーンでアダプティブラーニングを活用できるのでしょうか。具体的な活用方法、実際に導入した企業の実例を解説します。

アダプティブラーニングは社員教育に有効

企業においてアダプティブラーニングの効果が期待できるのは、社員教育のシーン。入社段階で、すでに社員の学習してきた内容や理解度は一人ひとり異なります。

「個人に合わせた教育方法を行うと、より生産性やモチベーションのアップにつながる」というのが企業におけるアダプティブラーニングの考え方です。同時に人材教育にかかる人的コストの削減、早期戦力化の意味もあります。

時間が取りにくい社員でも学習できる

アダプティブラーニング導入のメリットとして、効率的な学習内容の定着および弱点の克服があるのです。アダプティブラーニングでは学習者一人ひとりの進捗状況や理解度、達成度を分析し、それぞれに最適な学習プログラムを提案します。

システム側は学習者の理解度や正誤情報を分析し、それにもとづいて振り返りを提案するため、短時間での知識習得や弱点の克服が可能になるのです。

人材早期育成

短時間での知識取得が可能になれば、人材の早期戦力化も実現できます。激しい市場変化や人手不足に伴い、人材教育では教育にかかる人的コストの削減、早期戦力化させるための仕組みづくりが叫ばれているのです。

アダプティブラーニングを導入すれば、社員一人ひとりの進捗や理解度に合わせた同時教育が可能になります。

学習状況の「見える化」

アダプティブラーニングのシステムを活用すれば、学習ログの記録が可能です。システム上では学習した内容や学習にかかった時間、正解率などが記録できるため、管理者側は学習者の苦手分野や理解度などの学習状況をかんたんに把握できます。

苦手とする分野や理解不十分な箇所を管理者が把握できれば、その情報をフィードバックに利用して適切なアドバイスにつなげられるでしょう。

均質的な教育ができる

営業職の心構えやスキルの底上げなどは、上長や先輩などから指導を受けて習得していくのが従来のスタイルでした。しかしこれには多くの時間と経験が必要になるだけでなく、習熟度にも個人差が生まれます。

アダプティブラーニングを実務に併用すれば、個人差のあったノウハウを全員が均質的に学習できるのです。

研修コストを削減できる

社員研修や人材育成の効率化は多くの企業が頭を悩ませています。従来の集合型研修では開催のたびに参加人数を把握し、会場の予約、内容に応じた外部講師の手配などを行わなければなりませんでした。

学習者の立場やスキルに応じた教材を用意するには、膨大な手間とコストがかかるもの。アダプティブラーニングを導入すれば、これらにかかる人的・時間的コストを軽減できるのです。

アダプティブラーニングの活用方法

アダプティブラーニングを導入すると、学習機会の均等化、生産性やモチベーションアップが期待できます。学習者にとっては「時間や場所を選ばずに学習できる」「有用な知識の収集やスキルアップにつなげられる」といったメリットが得られるのです。

ここではアダプティブラーニングの具体的な活用シーンについて説明しましょう。

新人教育

新入社員はビジネスマナーや業界の専門用語など、仕事を始める前に知っておきたい知識が数多くあります。

「知識があいまいなまま現場に行く」「必要最低限のビジネスマナーを知らないまま取引先と会う」などの事態を引き起こさないよう、アダプティブラーニングを活用して必要な知識を効率よく確実に蓄積していきましょう。

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、社員一人ひとりに合った学習プログラムを提供すること。社員それぞれが持つスキルや知識、経験などを一元管理して、適材適所な人材配置、育成や教育に活用する方法です。

アダプティブラーニングは社員一人ひとりの進捗や理解度に合わせて学習プログラムを提供するシステム。つまりアダプティブラーニングの導入が、タレントマネジメントの推進につながるのです。

企業の導入事例

企業におけるアダプティブラーニングの活用は始まったばかりです。しかしすでに国内企業のなかにもアダプティブラーニングを導入して成功している企業があるのです。ここでは実際にアダプティブラーニングを導入した企業の事例について説明します。

JR西日本

西日本旅客鉄道(JR西日本)ではこれまで、運転マニュアルなどのペーパーレス化を目的とした取り組みを進めていました。多岐にわたる業務内容や知識の発信と共有をさらに効率よく行えないかと考え、検討したのがアダプティブラーニングの導入です。

同社はシステムを導入した結果、職員の学習意欲が高まったと述べています。「繰り返し学習が的確に行えるようになった」「知識の高め合いにつながった」事例でしょう。

三菱UFJ銀行

さまざまな知識が必要になる銀行業務にて、新入社員一人ひとりに対してしっかりと研修を行うには時間も人員も確保が難しく、結果として理解度に差が生じるという課題を抱えていました。

そこで社員それぞれの苦手分野を分析し、それに応じた問題を出題して完全理解を促すアダプティブラーニングを導入。学習者に合わせたスピードで効率的に知識が取得できるため、結果として個人の理解度が深まったのです。

企業がアダプティブラーニングを導入すると、効率的な学習の実現やタレントマネジメントの推進、研修コストの削減が期待できます

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4.アダプティブラーニングの注意点

企業がアダプティブラーニングを導入する際、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここではアダプティブラーニングを導入する際の注意点3つについて、説明します。

  1. モチベーションの維持が難しい
  2. 初期投資にコストがかかる
  3. 不向きな分野がある

①モチベーションの維持が難しい

従来の一堂に会する集合研修には、強制力や集中力があります。一方、学習者の自由度が高いアダプティブラーニングには「やる気が出なかった」「忙しくてやるのを忘れてしまった」というようにメリハリをつけ難い面があるのです。

受講を促す働きかけや社内キャンペーンなど、モチベーションを維持するための取り組みが別途必要でしょう。

②初期投資にコストがかかる

アダプティブラーニングの導入にはインターネット環境と使用端末が必要です。自社のインフラ状況によっては受講環境の整備が必要になるため、初期投資に大きなコストが生じる場合も。

またノウハウがないなか、アダプティブラーニングの教材を作成のは困難です。場合によっては効率よく学習できる学習教材作成を外部に依頼する必要もあります。

③不向きな分野がある

アダプティブラーニングは学ぶ対象がデータ化されているため、医療現場の技能取得や非言語領域の学習などには不向きなシステムです。導入を検討する際は、学習者に習得させたい内容とアダプティブラーニングシステムの相性を確認しておくとよいでしょう。

また一般的にリーダーシップ能力やコミュニケーション能力の向上には不向きな分野といわれています。

アダプティブラーニングには「モチベーションの維持が難しい」「初期投資にコストがかかる」「不向きな分野がある」といった注意点が存在します

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5.アダプティブラーニングの主なツール

一言でアダプティブラーニングシステムといってもさまざまなツールがあり、特徴や得意分野などはそれぞれ異なります。導入を検討する際は、自社の課題や目的に合わせたツールを選択しましょう。

ここではアダプティブラーニングの主なツール5点の特徴や得意分野について説明します。

セレゴ

Cerego(セレゴ)は科学的根拠に基づいて学習者に最適な学習内容を提供するプラットフォーム。

米サンフランシスコに拠点を持つこのツールは、看護学から天文学まで豊富な分野の教材テンプレートを取り揃えているのです。機能性は国内でも高く評価され、すでに多くの企業が導入しています。

Core Learn(コアラーン)

Core Learn(コアラーン)は学習者一人ひとりの苦手分野を分析し、理解度に応じた出題で完全理解を促すことに長けています。提供科目は主に金融業界に向けた「法務」「税務」「財務」「外為」の4科目。

1週間後や1か月後など、課題を忘れそうになるタイミングで復習を促す「完全定着」の仕組みを得意としています。

ノウン

NTTアドバンステクノロジが提供する「ノウン」は、アナログ学習とデジタル学習の利点を併せ持ったオンライン学習プラットフォームです。

学習コンテンツ上に直接メモを書き込めるため、繰り返し学習だけでなく紙の書籍を使用した際のような記憶の定着が期待できます。

すらら

アダプティブな対話式ICT教材「すらら」は、すでに多くの塾や学校に導入されているのです。

ゲーミフィケーションを取り入れ、問題集にゲームや動画配信を組み合わせた教材では無学年学習システムを採用。得意分野を次々伸ばせるうえ、苦手分野は何年もさかのぼって復習できます。

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もちろん蓄積された学習履歴やテスト結果にもとづく学習コンテンツも、自動的に推奨。生徒の主体性を育み、気付きを導くためのツールとして注目されているのです。

アダプティブラーニングの活用は今後ますます本格化するものと見られます。自社の課題や目的に合わせたツールの導入を検討してみましょう