ギグワーカーとは?【わかりやすく】フリーランスと違い

ギグワーカーとは、インターネットを経由して単発の仕事を請け負う労働者のことです。ここではギグワーカーが注目される背景や企業にとってのメリット、デメリットについて解説します。

1.ギグワーカーとは?

ギグワーカーとは、インターネット上のプラットフォームサービスを介して単発の仕事を請け負う労働者のことです。労働者の裁量で自由に時間とスキルを売り切りできます。多くは企業に属さない個人事業主やフリーランスの労働者ですが、企業に雇用されながら副業として取り組む労働者も存在します。

特定の企業に属さず気軽に仕事を請け負える一方、仕事獲得の不安定さ、トラブル時における責任負担などの課題があります。

代表的なものが料理宅配サービスの配達員や、特定のプロジェクト限定で開発を請け負うフリーのエンジニアなどです。

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2.ギグワーカーの意味

これまでにない新たな働き方として注目されているギグワーカーには、どのような仕事があるのでしょう。またほかの雇用形態とどのような違いがあるのでしょうか。

新仕事スタイル、ギグワーカーの意味

2010年代のアメリカにおいて、インターネットを中心とした新しい経済圏「ギグエコノミー」が誕生しました。ギグエコノミーの代表的な仕事は、配車サービスやコンテンツ制作、プログラム開発やデザイン制作などです。

そしてギグエコノミーの台頭にともなって登場したのが、新たなワークスタイル「ギグワーカー」でした。ギグワーカーは特定の企業に属していないため、仕事量や勤務時間、勤務場所を自分の意思で決められます。

英語で”gig”とは?

ギグ(gig)とは、ライブハウスなどに居合わせたミュージシャンが一度限りのセッションを行うこと。「単発の」とも訳されるギグに、労働者を意味するワーカーが付いて、ギグワーカーという言葉が生まれました。

ギグワーカーとして働ける仕事とは

ギグワーカーに多い仕事は以下のとおりです。

  • 配達代行
  • ポスティング
  • 記事ライティング
  • イラスト作成
  • カウンセラー
  • 運転代行
  • 家事代行
  • オンラインレッスン
  • コンサルティング
  • 翻訳

いずれもギグワークの特徴である「単発」「短時間」の条件を持った業務が中心です。コンサルティングやオンラインレッスンなど、専門性の高い業務ほど単価は高くなる傾向にあります。

ギグワーカーとほかの雇用形態との違い

ギグワーカーへとほかの雇用形態を比べると、理解が深まります。ここではギグワーカーとほか雇用形態の違いについて説明しましょう。

アルバイトとの違い

アルバイトとは、おもに学業を本業とする学生や生活の目的を別に持つ労働者が、正社員のサポート的役割として働く雇用形態のこと。学生やフリーターを中心とする若年層が多く、スポット的な働き方が多いです。多くの場合企業と直接雇用契約を結びます。

その点ギグワーカーは、発注企業とのあいだに雇用契約を結びません。給与支払や業務請負は、お互いをつなぐプラットフォームサービスを通して行われるのです。

日雇い労働者との違い

日雇い労働者とは、その名のとおり企業と日々雇用契約を結んで就労する労働者のこと。雇用健康法では次のいずれかにあてはまる労働者を日雇い労働者と呼びます。

  • 日々雇用される労働者
  • 30日以内の期間を定めて雇用される労働者

日雇い労働者は1日単位の契約で雇われるのに対して、ギグワーカーは数分から数時間などさらに短い期間で単発の仕事を請け負います。

1日単位で労働契約を交わす日雇い労働者には、ギグワーカーの特徴である「数時間単位で労働する」という考えかたはありません。

派遣労働者との違い

ギグワーカーも派遣労働者もインターネット上で仕事を探すという点は共通していますが派遣労働者は雇用主と雇用契約を結ばなくてはなりません。

しかし前述のとおりギグワーカーはある特定の企業に属した労働者ではないため、企業とのあいだに雇用契約が存在しないのです。

また企業はギグワーカーの予定をもとにシフトを組んだり、福利厚生の手続きを踏んだりする必要もありません。ただしギグワーカーを正式に自社で採用することが禁じられているわけではないため、仕事の様子を見て雇用の話を持ち掛けるのも可能です。

フリーランスとの違い

ギグワーカーとフリーランスの違いは、仕事の種類と収入の安定性です。ギグワーカーは専門的なスキルを必要としない仕事が多いのに対して、フリーランスは多くの場合専門的なスキルを必要とします。

また仕事を単発で請け負うギグワーカーは収入が不安定になり、先が見えにくいです。フリーランスは案件によって数週間から数か月単位で働けるものもあるため、ギグワーカーに比べて長い単位で仕事を請け負えます。

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3.ギグワーカーの歴史

ここではギグワーカーの歴史について説明しましょう。「ギグ」という言葉が生まれたのは1920年代のアメリカです。

音楽業界の俗語として生まれた言葉で、やがてミュージシャンを副業として働く人を「サイドギグ」と呼ぶようになりました。さらに音楽とは関係のない高度な専門技術を要する仕事にも「ギグ」という言葉が使われるようになったのです。

1990年代にITが普及すると、その流れはさらに加速します。誰もがモバイル通信を利用して、自分の生活を豊かにしてくれる人や商品を即時的に活用できるようになりました。これ流れがギグワーカーの拡大につながっているのです。

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4.ギグワーカーが注目されている背景

ギグワーカーが注目されるようになった要因は、次の3つです。このほかコロナ禍もギグワーカー拡大を後押しした要因といわれています。

  1. 雇用不安
  2. 副業解禁
  3. プラットフォームの普及

①雇用不安

2020年に起きた新型コロナウイルスの流行により、雇用環境は悪化の一途をたどっています。業界によって影響の大小はあるものの、多くの企業がこれまでのような経営を継続できず、労働者は休職や給与カットなどの収入ダウンに見舞われているのです。

そのなか、多くの労働者が「会社に勤めていても生活を支え切れない」「将来性を考えると収入口がひとつしかないのは不安だ」と感じ、ギグワーカーに注目が集まりました。

②副業解禁

働き方改革にともなう副業解禁の動きも、ギグワーカーの活躍を後押ししています。SMBC日興証券やアサヒビール、カゴメなどの大手企業も副業を解禁し、副業を通じた知識アップやスキルアップなどを期待しているのです。
その一方、そもそも社員登用ではなく高い専門性を持つ人材を、業務委託のかたちで積極的に受け入れようとしている会社も増えています。

ヤフーでは2020年7月に募集したギグワーカー約4,500人から、大手企業のエンジニアや上場企業の経営者を含む約100人を選抜し、各分野のスペシャリストとして受け入れているのです。

③プラットフォームの普及

ギグワーカーと仕事をマッチングさせるプラットフォームの普及も、ギグエコノミーの拡大を後押ししているのです。

とりわけ「UberEats(ウーバーイーツ)」や「出前館」「Wolt(ウォルト)」などのフードデリバリー業界の拡大は顕著でしょう。直接企業に雇用されない配達員として生計を立てる人も存在しているほどです。

厚生労働省の報告によれば、これらフードデリバリー配達員は2021年5月時点で、およそ15万7,000人にのぼると発表されています。こうしたギグワーカーの代表的なプラットフォームとして挙げられるのは以下のサービスです。

Timee

労働者が働きたい時間と、企業が働いてほしい時間をマッチングさせるサービスです。本サービスでは企業が望む条件に合った労働者を自動でマッチングさせるため、細かい人材選定や面接設定などを行う必要はありません。

過去に働いた実績が見える評価制度や、突然のキャンセルを防止するためのペナルティ制度もあるため、安心して利用できます。

UberEats(ウーバーイーツ)

ギグワーカーのプラットフォームとして特に有名なのが、今や世界中で展開されているフードデリバリーサービス「UberEats(ウーバーイーツ)」。特徴は、自社では宅配を行っていない飲食店でも配達パートナーを介して注文者に届けられる点です。

また注文完了後には三者が互いを評価する制度を導入しています。これにより、さらに安心安全なサービスの提供が可能になりました。

シェアフル

最短1日から働けるギグワーク仲介サービスです。最短で翌日から求人募集が可能で、成果報酬型になっているため、企業は掲載料が不要になります。

通常は自社内で担当している就業条件明示や勤怠管理、給与代行振込などの労務関連業務も本プラットフォームで行えるのです。またトライアル採用求人を出して中長期雇用を前提とした人材発掘もできます。

LINEスキマ二

その名のとおりLINEアプリを使ってギグワーカーにアプローチできるプラットフォーム。こちらは最短当日の求人掲載が可能です。また急な欠員や人材不足が生じた際にも、条件にマッチした人材をすぐに確保できます。

労務面も本サービスのシステム内で完結するため、人材募集における企業の負担を最小限に抑えられるでしょう。

クラウドワークス

2011年に創業した日本国内最大級のクラウドソーシングサービスです。67万社のクライアント企業と410万人のクラウドワーカーが登録しています(2020年9月末時点)。

クラウドワークスでは、契約から報酬支払まですべての工程がオンライン上で完結。「仮払い」という事前入金システムを導入して、労働者が報酬を確実に受け取れる体制を整えている点も本プラットフォームの強みです。

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5.ギグワーカー:企業側のメリットとデメリット

新たな働き方として注目されているギグワーカーにはいくつかのメリットとデメリットが存在します。ここで企業側から見たギグワーカーのメリットとデメリットについて説明します。

ギグワーカーの企業側のメリット

企業側から見たギグワーカーのメリットは、下記の2つです。

  1. 採用コストの削減
  2. 人材の確保

①採用コストの削減

従来、人材不足を解消するためには、広告を出して人材を募集し、選考を経て採用という流れを経ていました。そしてこれにはさまざまなコストが発生していたのです。

そこで単発にて仕事を引き受けるギグワーカーに依頼すれば、これらのコストを最小限に抑えられるのです。また契約にかかる手続きを最小限に抑え、仕事開始までのスピード感も早められます。

②人材の確保

人手が不足しているからといって、毎回新規採用を進めるわけにもいきません。直接雇用したものの、閑散期に売上が低下して人件費が高くついてしまった、という事態も考えられるでしょう。

そんなときギグワーカーに依頼すれば、単発的に必要な人材を確保できます。優秀な人材に高い報酬を支払っても、短期的であるため直接雇用に比べて人件費を安く抑えられるのです。

ギグワーカーの企業側のデメリット

ギグワーカーは企業にとってコスト削減や人材確保などのメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。

  1. 人材の質のばらつき
  2. ノウハウを社に蓄積できない
  3. 情報漏えいリスク

①人材の質のばらつき

ギグワーカーと企業はインターネット上のプラットフォームを介して、募集や採用などのやり取りを行います。多くの場合、ギグワーカーの信頼性が十分にわからないまま仕事を依頼するため、仕事の品質にばらつきがでる可能性も高いのです。

また突発的に仕事を依頼するため、教育時間を十分に確保するのも難しくなります。企業はあらかじめわかりやすいマニュアルを用意しておく必要があるでしょう。

②ノウハウを社に蓄積できない

優秀なギグワーカーに仕事を依頼できても、直接雇用した人材ではないため、そのスキルや知識は自社に留められません。場合によってはいつまでもギグワーカーに依存してしまいます。

ギグワーカーに仕事を依頼するだけでなく、自社にノウハウを蓄積するため、社員の能力やスキルを高める働きも別途必要です。

③情報漏えいリスク

企業側はギグワーカーの活用にあたって情報漏えいのリスクも想定しておく必要があります。

ギグワーカーは直接雇用の社員と違って、自社の情報機密について教育を受ける機会がほとんどありません。たとえ事前に契約書を結んだとしても、そのリスクは0になりにくいのです。

ギグワーカーを活用する際は、ルールの策定や社内環境の整備を行うなど、情報の取り扱いについてあらかじめ社内で検討確認しておくとよいでしょう。

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6.ギグワーカー:働く側のメリットとデメリット

新型コロナウイルスの拡大により外出を控える人が増え、ギグワーカーの需要はさらに高まりました。ここでは労働者の立場から見たギグワーカーのメリット、デメリットについて説明します。

ギグワーカーの働く側のメリット

労働者から見たギグワーカーのメリットは、下記の3つです。

  1. ストレスフリー
  2. 自由に働ける
  3. 収入が増える

①ストレスフリー

組織に属して自分以外の人と働く以上、人間関係のストレスは避けられません。毎日ストレスフルな環境が続けば、心身を壊す恐れもあります。

その点、仕事を単発で請け負うギグワーカーは人間関係によるストレスを最小限に抑えて働けるのです。仕事を始めるのもやめるのも自分のタイミングで行えるため、ゆったりとした気持ちで働けるでしょう。

②自由に働ける

ギグワーカーは、一般的な会社員と違って働く時間や仕事量、働く場所や仕事内容などを自由に選べます。「今週は一週間フルで働いて次の一週間は休む」「今週は週末の午前中だけ働く」など、会社員では選択しにくい勤務スタイルも可能なのです。

仕事とプライベートの区切りを自由につけられることでもあります。組織に雇われない生き方を望む人にとっては大きなメリットとなるでしょう。

③収入が増える

ギグワーカーは収入が不安定になりやすいとされています。しかし必ずしもすべてのギグワーカーが低収入であるとは言い切れません。

ギグワーカー発祥の地、アメリカでは年収1千万を超えるギグワーカーも存在するからです。特別なスキルや経験を持っているギグワーカーであれば、大幅な収入アップが望めます。

ギグワーカーの働く側のデメリット

労働者の立場から見たギグワーカーのデメリットは、下記の2つです。

  1. 収入が不安定
  2. すべて自己責任になる

①収入が不安定

ギグワーカーはどこか特定の企業に雇用されるわけではないため、仕事がなくなれば必然的に収入が途絶えます。また案件の多くは時給や月給などの固定給ではなく、1件ごとに報酬が支払われる完全出来高制です。

収入を安定させるためには定期的に一定件数の業務をこなさなければなりません。しかしどの案件も長期的な受注が見込めるわけではないため、どうしても収入は不安定になります。

②すべて自己責任になる

会社に所属していない以上、ギグワーカーは通勤手当や有給休暇などの福利厚生を受けられません。病気やけがで働けなくなっても休業補償を受けられないのです。たとえ業務中のけがでも治療に係る費用は基本、全額自己負担になります。

また万が一失業しても、失業保険は受け取れません。配達員の場合、交通事故に遭うリスクを、IT関連業務に就く場合は著作権やセキュリティに関する自己対策を考えたうえで働く必要があります。