ROE(自己資本利益率)とは|計算方法、ROA・ROIとの違いは?

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ROE(自己資本利益率)とは、株主が出資した自己資本を使って企業がどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す経営指標です。計算式は「当期純利益÷自己資本×100」で、目安は10%以上、20%超なら優良企業とされます。

本記事では、ROEの意味とROA・ROIとの違い、2つの計算方法(基本式・デュポン分解)、ROE分析で分かること、ROEを上げる5つの方法、ROEを見る際の2つの注意点を解説します。

1.ROE(Return On Equity)とは?

ROE(Return On Equity)とは、自己資本利益率のことで、株主が出資した資本に対して企業がどれだけ効率よく利益を生み出したかを測る経営指標です。

▼ROE・ROA・ROIの違い早わかり

指標 正式名称 計算式 何が分かるか
ROE 自己資本利益率 当期純利益÷自己資本×100 株主資本に対する収益効率
ROA 総資産利益率 当期純利益÷総資産×100 全資産に対する収益効率
ROI 投資利益率 利益÷投資額×100 特定の投資に対するリターン

ここでは、ROEについて4つのポイントから解説しましょう。

  1. 経営指標のひとつ
  2. 自己資本とは
  3. ROAとの違い
  4. ROIとの違い

①経営指標のひとつ

ROEは、経営指標(企業の経営状態を数字であらわした指標のひとつ)です。経営指標を分析・活用すると、精度の高い経営改善や成長につながる業務改革などに役立てられます。

ROE(自己資本利益率)からは、「自己資本からどれだけ利益を生み出したのか・自己資本に限定した経営効率の程度」などが分かるのです。

②自己資本とは?

自己資本とは、自分のお金のこと。特徴は「返済の必要がない・企業側から見た資金提供者は株主となる・株主は、配当にプラスして上場会社であれば株価上昇を期待している」などです。

具体的な自己資本とは、株主資本と資産の部のうち「評価・換算差額」の項目をいいます。

貸借対照表における「純資産」

貸借対照表における「純資産」とは、自己資本と呼ばれているもので、貸借対照表の右側に書かれています。自己資本(純資産)と他人資本(負債)が合わさったものを総資本と呼び、これは経営の資金源になるのです。

貸借対照表では、資産の合計値と負債・純資産の合計値が一致するようになっています。

貸借対照表とは?

貸借対照表とは、下記のような書類です。

  • 決算時に作成される財務諸表のひとつ
  • 決算までの1年間の財政状況や経営成績が記載されている

貸借対照表には、「企業が保有している資産・返済義務のある負債・総資産から負債を差し引いた純資産」などが記載されているのです。貸借対照表を見れば、企業がどのように資金調達したか・調達した資金をどのように運用したかが分かります。

③ROAとの違い

ROAとは、総資産利益率のことで、Return On Assetsの頭文字を取ったもの。ROAとROEの違いは、下記のとおりです。

  • ROA:総資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示した指標
  • ROE:株主から集めた自己資本をもとにどれだけ儲けたかを示した指標

ROIとの違い

ROIとは、投資利益率のことで、Return on Investmentの頭文字を取ったもの。ROIとROEの違いは、下記のとおりです。

  • ROIは、複数の投資対象の投資利益率を比較する際に役立つ指標
  • ROEは、純資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを測るための指標

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ROEとは、Return on Equityの頭文字を取ったもので、日本語では自己資本利益率のことです

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2.ROE・ROA・ROIの比較表

ROE・ROA・ROIは、いずれも「RO〇」という形式の経営指標で混同されやすい用語です。
3つに共通するのは「投下した何かに対して、どれだけ利益を生み出したか」を測る点ですが、分母に何を置くかによって、見えてくる経営の側面がまったく異なります。

・ROEは「自己資本(株主のお金)」に対する収益効率を測る指標
・ROAは「総資産(負債も含む全資産)」に対する収益効率を測る指標
・ROIは「特定の投資額」に対するリターンを測る指標

以下の比較表で、計算式・測定対象・使い分けのポイントを一覧で確認しましょう。

項目 ROE(自己資本利益率) ROA(総資産利益率) ROI(投資利益率)
正式名称 Return On Equity Return On Assets Return On Investment
計算式 当期純利益÷自己資本×100 当期純利益÷総資産×100 利益÷投資額×100
分母(何に対する利益か) 自己資本(株主資本) 総資産(自己資本+負債) 特定の投資額
測定対象 株主から見た収益効率 企業全体の資産活用効率 個別の投資案件のリターン
目安 10%以上で合格、20%超で優良 5%以上が目安 投資案件ごとに判断
負債の影響 負債を増やすと数値が上がりやすい 負債も分母に含むため影響を受けにくい 投資額のみのため直接影響なし
主な利用者 株主・投資家 経営者・金融機関 事業担当者・投資家
適した用途 株主視点での企業評価・比較 企業全体の経営効率の評価 広告費・設備投資など個別投資の効果測定
注意点 自社株買いや負債増で数値が高くなる場合がある 業種によって資産規模が異なるため同業比較が基本 算出期間や対象範囲の定義が統一されにくい
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3.ROEを計算するには?

ROEの計算方法は、基本式の「当期純利益÷株主資本×100」と、デュポンシステム(3分解)の「売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」の2つがあります。

▼ROEの2つの計算方法まとめ

計算方法 計算式 特徴
基本式 当期純利益÷株主資本×100 シンプルに全体の収益効率を把握できる
デュポンシステム(3分解) 売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ 収益性・効率性・財務構成の3要素に分解して原因を特定できる

①当期純利益÷株主資本

ROEの計算方法のひとつは、「当期純利益÷株主資本」です。

  • 分子にあたる当期純利益は、株主の出資に対する成果に該当する「当期純利益」
  • 分母になるのは資本金、資本剰余金、利益剰余金などで構成される株主資本

株主の出資に対して、1年間で出資先の会社がいくら儲けたのかが計算されます。

当期純利益

当期純利益とは、一般的に税引き後の利益のこと。

当期純利益は、

  • 経常利益から特別損益を加減
  • 法人税や住民税、事業税の控除によって法人税等調整額を加減

によって計算します。ここでいう特別損益とは、「固定資産売却損益・転売以外の目的で取得した有価証券売却損益・災害損失」などです。

株主資本

株主資本とは、貸借対照表にある純資産の部に記載されているもの。「株主から出資を受けた資本金・資本金にならなかった資本剰余金・利益により配当した後の余りの利益で、企業に内部留保された利益剰余金」などです。

このうち「資本金と資本剰余金を元手」「利益剰余金を利益の蓄積」に分類します。

②売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

ROEの計算方法には、「売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」もあります。

通常、ROEは「当期純利益 ÷ 自己資本」で計算されるのです。これを、売上高純利益率と総資産回転率、財務レバレッジといった3要素で分解したものを、デュポンシステムといいます。デュポンシステムはROEの3分解とも呼ばれているのです。

財務レバレッジ

財務レバレッジとは、自己資本の何倍が総資産となるかを表した数値のこと。借入金や社債を梃子(レバレッジ)として使って、自社の総資産が自己資本の何倍となるかを算出します。

これは「資本金や利益、内部留保されている資金といった自己資本すべてが総資産にはならない・企業には、借入金や社債など他人資本が存在する」という点によるものです。

売上高純利益率

売上高純利益率とは、会計期間における当期純利益の売上高に占める割合のことで、売上高当期純利益率や純利益率と呼ばれる場合もあります。売上高純利益率の特徴は、下記のとおりです。

  • 会社の収益性を測る指標のひとつ
  • 数値が高いほど優秀な投資先と認識される
  • 株式投資の際は、売上高経常利益率の方が重視される

総資産回転率

総資産回転率とは、「企業に存在するすべての資産が売上獲得に対して直接貢献した」と仮定したうえで、総資産が何回転した結果、売上高になったかを計算し、調達した資本の有効活用度合いを示すもの。

総資本回転率とも呼ばれ、回転数が多いほど、効率が良いと見なされます。

③ROEの目安

ROEの目安は、10%ほどとされているのです。ROEが20%を超える高い数値が出る企業は、優良企業と見なされます。2018年に経済産業省が出した資料によると、ROEの平均値は下記のとおりです。

  • 日本9.4%
  • 米国18.4%
  • 欧州11.9%

欧米より低い数値である理由は、売上高利益率の低さや内部留保を貯め込みがちな現状にあります。

ROEの計算方法は、「当期純利益÷株主資本」「売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」の2つです
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4.ROEを分析して分かること

ROEを分析すると、企業の倒産リスク・成長速度・株価の方向性が分かり、投資判断や経営改善の指標として活用できます。

▼ROE分析で分かる4つのポイント

分析の視点 分かること 判断の目安
倒産の可能性 自己資本比率から財務の安定性が分かる 自己資本比率40%以上なら倒産しにくい、70%以上が理想
成長速度 借入活用による成長ペースが分かる 自己資本比率100%は安定だが成長は遅い傾向
当期純利益率 本業の収益力が分かる ROEと合わせて確認しないと実態を見誤る
株価 投資家からの評価が予測できる ROEが高い企業は株価が上昇しやすい

①倒産の可能性

自己資本比率は、返済不要の自己資本の全資本調達に占める割合です。一般的には自己資本比率が小さければ不安定経営となり、大きければ安定経営になります。自己資本比率の目安は、「70%以上が理想企業・40%以上が倒産しにくい企業」です。

②成長速度

変化の激しいビジネス社会では、借入によって利息を支払う場面もあります。自己資本比率100%の企業は、無借金経営・倒産リスクが極めて低い点で、優良企業と見なされるのです。

しかし成長速度の観点から見ると、自己資本比率が高い企業は成長速度が遅いと考えられます。

③当期純利益率の確認も重要

ROEを分析する際は、当期純利益率も確認しましょう。一般的な優良企業とは、「業績が伸びている」「売上高当期純利益率が高い」「ROEが高い」企業です。

ROEは、負債を増やし、自己資本を減らすことで数値が変わります。そのためROEだけでなく、当期純利益率もあわせて確認するのです。

④株価

ROEを分析すると株価が予想できます。ROEが高い企業は、1年間当たりの利益や将来期待できる利益が高いです。

そのためROEが高い企業は、投資家たちから注目を集めるため、株価も上昇しやすくなります。つまりROEが高い企業は株価も右肩上がりになっていくと考えられるのです。

ROEを分析すると、企業の倒産の可能性や成長速度、株価の動きが分かります。当期純利益率の確認も重要です
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5.ROEを上げるには?

ROEを上げるには、資産の見直し・コスト削減・総資産回転率の向上・財務レバレッジの活用・当期純利益の増加の5つの方法があります。

▼ROEを上げる5つの方法と対応する計算要素

方法 対応する計算要素 具体的なアクション例
資産を見直す 総資産回転率 不良在庫の処分、遊休資産の売却、売掛金の回収
コストを減らす 売上高純利益率 宣伝広告費の見直し、間接費の削減
総資産回転率を上げる 総資産回転率 売上増加、遊休資産の処分
財務レバレッジを上げる 財務レバレッジ 借入の活用(ただし財務健全性に注意)
当期純利益を増やす 売上高純利益率 販売単価の引き上げ、仕入れコスト削減

①資産を見直す

資産の見直しとは、下記のとおりです。

  • 長期滞留している売掛金や貸付金、未収入金や立替金などを回収する
  • 受取手形をもらわない
  • 売掛金の回収条件や方法を見直す
  • 棚卸により、不良在庫を処分する
  • 固定資産の早期償却を実施する
  • 不明・不要な資産を現金化・損金化する

②コストを減らす

利益は、売上から費用を差し引いたもの。費用すなわちコストを削減すると、手元の利益や自己資本比率が増えるのです。

ただし無計画なコスト削減は売上高の減少につながります。削減は、収益の獲得に直接結び付かない宣伝広告費といったものに絞るとよいでしょう。

③総資産回転率を上げる

総資産回転率は、「売上高÷総資産」で計算します。そこで売上を生み出したり総資産を減らしたりするいう方法があるのです。たとえば総資産を減らす方法に、売上に還元しにくい遊休資産の処分があります。

④財務レバレッジを上げる

財務レバレッジを上げるとは、借入を利用すること。負債を積極活用して、少ない自己資本でも事業を展開できれば、自己資本に対する収益性を高められます。ただし財務レバレッジを上げれば財務の健全性が損なわれるリスクもあるので、注意しましょう。

⑤当期純利益を増やす

当期純利益とは、粗利益のこと。粗利益を増やす方法として挙げられるのは、「販売単価を上げる・仕入れ単価を低くする・広く経費を削減する・役員報酬を見直す」など。つまり従来の経営努力にプラスした経営改善に取り組む必要があります。

ROEを上げる方法は、「資産を見直す・コストを減らす・総資産回転率を上げる・財務レバレッジを上げる・当期純利益を増やす」などです
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6.ROEを見る際の注意点

ROEを見る際の注意点は、単年度の数値だけで判断しないことと、ROEの高さだけで優良企業と判断しないことの2つです。

  1. 単年度だけで判断しない
  2. ROEの高さだけで判断しない

①単年度だけで判断しない

ROEは、資産価格の変動や事業活動以外の影響を受けやすい指標です。そのため「単年度での変動が大きい・利益が増えていない」場合でも、ROEの数値が向上するケースもあります。ROEを単年度だけで判断するのは危険なので控えましょう。

②ROEの高さだけで判断しない

日本企業には、利益を剰余金として資本に蓄積する傾向にあります。業種や業態・資金の調達方法によってもROEの高低に差が出るのです。ROEを見る際は、単体で数値の高低を見るのではなく、複数の経営指標とあわせて総合的な判断材料にしましょう。

ROEを見るときの注意点は、「単年度だけで判断しない・ROEの高さだけで判断しない」の2つです
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よくある質問

ROEがマイナスになることはありますか?どう判断すればよいですか?

はい、当期純利益が赤字(マイナス)の場合、ROEもマイナスになります。ROEがマイナスの企業は、株主が出資した資本を使って利益を生み出せていない状態です。ただし、一時的な特別損失(災害損失や減損処理など)が原因の場合もあるため、単年度の数値だけで判断せず、過去数年間の推移や赤字の原因を確認することが重要です。

ROEとPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)はどう関係していますか?

ROEはPERとPBRを結びつける指標で、「PBR=ROE×PER」という関係式が成り立ちます。ROEが高い企業はPBRも高くなりやすく、株式市場で割高に評価される傾向があります。投資判断では、ROEが高くてもPERが極端に高い場合は割高の可能性があるため、3つの指標をセットで確認するとよいでしょう。

日本企業のROEが欧米企業に比べて低いのはなぜですか?

主な理由は3つあります。第一に、日本企業は内部留保(利益剰余金)を蓄積する傾向が強く、自己資本が膨らむためROEの分母が大きくなります。第二に、売上高純利益率が欧米企業に比べて低い傾向にあります。第三に、借入を抑え自己資本比率を高める保守的な財務戦略を取る企業が多く、財務レバレッジが低くなりやすいです。2014年に公表された「伊藤レポート」では日本企業のROE8%以上を目標とすることが提言され、改善の取り組みが進んでいます。


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