「意味ない」「時間のムダ」と感じる場合、その1on1は失敗しています。しかし、1on1の失敗には、何らかの理由があるのです。1on1と失敗について、
- 1on1が失敗する理由
- 部下に必要とされる1on1に変えるための条件
- 1on1が成功するためのポイント
などから解説していきます。
目次
1.1on1が失敗する理由
1on1とは、上司と部下が直接、定期的、あるいは頻繁にコミュニケーションを図ること。そんな1on1の失敗には、何らかの理由があると考えられるのです。1on1が失敗する理由について見ていきましょう。

1on1ミーティングとは? 効果を高める質問や1on1シート
ヤフーが導入したことでも注目されている1on1ミーティングとは何でしょうか?
定期的に上司と部下が行う1対1の面談のことで、以下のような効果や有用性から話題となっています。
部下が自分の仕事を定期的...
新たな人事施策への抵抗感が強い
1on1を人事施策として実施した場合、上司は部下と面談の機会を新たに設けなければなりません。
その際、「忙しいから仕事を増やしたくない」という感覚に加えて、「自分の仕事の中に新しい仕事が増えることに抵抗感がある」といった感情が上司の心に芽生えることも。こうした人事施策への抵抗感が、1on1の成功を阻害してしまうのです。
業務上で1on1の優先度が低い
1on1を導入し始めた頃によく聞かれるのが「1on1に取り組む時間がない」という声です。
これは、「物理的な時間がない」というよりも、「1on1より優先順位の高い仕事からやっている」「1on1の優先順位がほかの仕事より低い」ということを意味しています。
1on1の優先順位が低くなれば、当然のことながら1on1が適切に実行できなくなり、失敗に終わってしまうでしょう。
上司が1on1を避けたがる
1on1を実施する上司として指名されるのは、中間管理職です。しかし中間管理職は、自己の業務と管理職の業務を兼務することも多いため、下記のような後ろ向きの姿勢になってしまいやすいのです。
- 言われたからやっている
- できれば部下の不満は耳にしたくない
すでにマネジメントを適切に実施しているので、これ以上余計なことはしたくない
上司に1on1の経験がない
1on1を実施する立場の上司は、下記2つに大別できます。
- 自分の上司が1on1を実施していた経験を活かして1on1を実施できる
- 自分の上司が1on1を行っていなかったので、やり方そのものが分からない
自信に1on1を受けた経験がない場合、部下を持っても1on1に対して適切な取り組みができないのです。
2.部下に必要とされる1on1に変えるための条件
部下に必要とされる1on1に変えるための条件を3つ、まとめて解説します。
- 毎回完璧な1on1にしなくていい
- 部下が笑顔になれる場にする
- 答えを与えようとしすぎない
①毎回完璧な1on1にしなくていい
1on1を実施した後、「自分のスキル不足でうまくできなかった」「部下のせいでうまくいかなかった」などのように自他を責める必要はありません。それよりも、「うまくいかなかった」とだけ認識する、完璧な1on1を目指さないようにしましょう。
②部下が笑顔になれる場にする
正しい1on1を実施しようとするあまり、「1on1はこうあるべき」「部下はこう応えるべき」など、堅苦しい雰囲気が生じてしまうことも。1on1で上司と部下が密なコミュニケーションを図るには、部下が心を開けるような場の提供が必要です。
③答えを与えようとしすぎない
「上司たるもの、常にお手本であるべき」と意識した結果、部下を変えようとしすぎてしまい、誘導や説得に終始して部下に違和感を持たれてしまう場合があります。
答えを与えようとしすぎず、肩の力を抜いて、自分以外のリソースを活用しながら実践することが1on1継続の鍵となるのです。
3.意味のある1on1を実施するには? 成功のポイント
1on1を実りの多い、意味のあるものにするためにも心掛けたい3つのポイントがあります。
部下の本音を探るために自分がオープンになる
信頼関係には、相互理解が不可欠。上司が自己開示することで部下も心を開くようになり、お互いがより深いレベルで本音を言える関係になっていくのです。
部下に本音を話してほしいのならまずは上司から、言いたくない話や出したくない情報を部下に開示しましょう。
自主的に部下が1on1に参加するよう仕向ける
会社が部下に対し1on1を強制すれば、部下は1on1に対して「後ろ向きな感情」を持ってしまいます。
このようなアウトサイドイン型の施策ではなく、「あくまで部下の自主性を尊重する」「推奨という形で実施していく」ようにしましょう。それにより、部下の自主性を引き出せます。
効果的なタイミングで1on1を実施する
上司とコミュニケーションを取りたいと部下が考えるタイミングを的確に把握しましょう。そして状況に応じて定例以外の時間を設け、コミュニケーションを取っていきます。これにより、部下にとって1on1がなくてはならない時間になっていくのです。