【心理学】ツァイガルニク効果とは?【ビジネスでの使い方】

「ツァイガルニク効果」とは、達成できなかったり中断してしまったりした事柄が強く記憶に残る心理現象です。今回はツァイガルニク効果について解説します。

1.ツァイガルニク効果とは?

「ツァイガルニク効果」とは、終えてしまった事柄よりも、途中で挫折してしまったり中断してしまったりした事柄のほうがよく記憶に残る心理現象のこと。

「ツァイガルニック効果」「ゼイガルニク効果(あるいはゼイガルニック効果)」などと呼ばれる場合もあります。

かんたんにいうと、「最後までやり遂げたい」という気持ちになること。たとえば人は試験のあとには、解答できた問題よりも解答できなかった問題の方を思い出す傾向にあります。

これは「正解したかった」という気持ちからツァイガルニク効果が生じた例です。ツァイガルニク効果は、恋愛やマーケティングにも使用されています。

ツァイガルニク効果の由来

ツァイガルニク効果は、ドイツの心理学者クルト・レヴィンと、当時留学生だったソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクが提唱したもの。クルト・レヴィンが仮説を立てました。

その後ブルーマ・ツァイガルニクによって心理実験が行われ、その効果が1931年に実証されたのです。そして研究に携わった人物からブルーマ・ツァイガルニクの名前を取って、ツァイガルニク効果と呼ばれるようになりました。

ツァイガルニク効果とは、「達成できなかったこと」が気になってしまう心理効果のこと。効果を狙って意図的に物事を中断させる場合もあります

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2.ツァイガルニク効果が起きる原因

ツァイガルニク効果が起こる原因にかかわるのは、「心理的リアクタンス」という現象。心理的リアクタンスが高まれば高まるほど、ツァイガルニク効果は発生しやすくなるのです。ここでは、心理的リアクタンスについて解説しましょう。

心理的リアクタンスの意味

「心理的リアクタンス」とは、他人から行動を制限されると、反発して自分のやりたい欲求が高まる心理現象のこと。たとえば休みの日、遊びに行くつもりだったにもかかわらず先に課題をやらないと遊びに行かせてもらえなくなったとしましょう。

自分の行動を制限された結果、反発心が芽生え、余計に遊びに行きたくなるという現象が起こります。これが心理的リアクタンスでよくある例です。

心理的リアクタンスが高まる要因

自身のなかで優先度が高いものや重要なものを制限されると、より高い心理的リアクタンスが生じます。この優先度や重要度は個人の価値観による判断である場合も少なくありません。

そのため状況によっては他人には理解できない内容で、非常に高いリアクタンス効果が発生してしまうのです。

制限によって生じたリアクタンス効果が大きければ大きいほど、ツァイガルニク効果も大きいものとなって現れるでしょう

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3.日常生活におけるツァイガルニク効果

日常生活のさまざまな場面でツァイガルニク効果がかかわっています。それぞれ具体例を見ていきましょう。

仕事

仕事におけるツァイガルニク効果の例として、以下のような状況が挙げられます。

  • 仕事をしているときに、優先しなければならない別の仕事が急に回ってくる
  • 仕事をキリの悪いところで中断する状況になった結果、中断した仕事が気になってしまう

どちらも手を止めた仕事が気になって、割り込んできた仕事を早く終わらせたいという心理が生じています。

勉強

勉強におけるツァイガルニク効果の例として、以下のような状況が挙げられます。

  • 勉強を中断されると、キリのよいところまで進めたくなってしまう
  • 問題を解いている最中に制限時間がきた結果、問題の続きが気になってしまった
  • 問題が分かりそうになかったため飛ばして続きの問題を解いていたものの、飛ばしている問題が気になってしまう

勉強では、解答しきれなかった課題や問題を終わらせたいという心理がよく生じます。

恋愛

恋愛では、破局してしまった場合がツァイガルニク効果の一例としてよく取り上げられます。

  • 相手に振られてしまったが、しばらくたっても相手のことが忘れられない

振られてしまった人は恋愛が急に途中で終わってしまった状態になるので、ツァイガルニク効果が発生します。一方、相手を振った人のなかでは恋愛が完了しているため、ツァイガルニク効果は発生しにくいです。

テレビ・インターネット

テレビやインターネットでも、ツァイガルニク効果を狙ったケースが多く見られます。

  • テレビ番組などでの「続きはCMのあと」「未公開部分はwebで公開しています」「つづきを読む場合はこちらをクリック」というワード

これは「楽しんでいたコンテンツを中断されると続きが気になってしまう」という心理を応用したマーケティング戦略のひとつです。

観光

観光においても、ツァイガルニク効果が発生する場合もあります。例は下記のとおりです。

  • 旅行を計画していたのに天候が荒れ、旅行に行けなくなった
  • イベントに参加しようと思っていたのに、中止になってしまった

このようなときに悔しさを感じて「次こそは楽しみたい」と再度訪れる人も少なくありません。

自身が意識していないだけで、人は日常生活のさまざまな場面にて何度もツァイガルニク効果を体験しています

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4.ツァイガルニク効果のメリット

ツァイガルニク効果をうまく応用すると、仕事を行ううえでのメリットが生じます。一体どのような内容でしょうか。ツァイガルニク効果のメリットを解説します。

  1. 生産性の向上
  2. 仕事のモチベーションにつながる
  3. マーケティングに活用できる

①生産性の向上

仕事が中途半端に中断されてしまうと「キリがよいところまでは仕事を終わらせたい」という欲求が発生し、割り込んだ仕事を早く終わらせたくなるもの。

割り込んできた仕事が多い、あるいは大きいほど、全体の優先順位や手順などを見直すため、生産性の向上につながるのです。

②仕事のモチベーションにつながる

ツァイガルニク効果で生産性が向上すると、仕事に対してのモチベーションの維持や向上にも良い効果が得られます。限られた時間内でより多くの仕事をこなせれば、仕事自体にやりがいが生まれ、モチベーションもアップするでしょう。

また中断した仕事があると終わるまで適度な緊張感が続きます。ツァイガルニク効果でモチベーションを維持させているといえるでしょう。

③マーケティングに活用できる

ツァイガルニク効果は、マーケティングでも効果を発揮します。あえて不完全あるいは中途半端にさせてユーザーを引き付ける手法です。

電子書籍の分野では、途中まで物語を読ませて、続きを読みたい場合は会員登録を促します。キャッチコピーや商品広告などでも、あえて細かい情報を書かずにユーザーの興味を引いているのです。

ツァイガルニク効果をうまく使うと、生産性やモチベーションの向上、顧客の獲得といったメリットが期待できます

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5.ツァイガルニク効果のデメリット

ツァイガルニク効果にはメリットだけではなく、デメリットもあるのです。ここでは、ツァイガルニク効果によるデメリットについて解説します。

  1. ストレスの原因となる
  2. モチベーションを低下させる要因にもなる
  3. 無駄な作業を増やす原因に

①ストレスの原因となる

ツァイガルニク効果を狙って仕事を中断した場合、仕事が未完になるためストレスがたまります。仕事に対する意識が高い人やストレスを感じやすい人、あるいは中断した仕事が多いほど、そのストレスは大きくなってしまうでしょう。

ツァイガルニク効果を狙う際は、相手の仕事量や気質などに注意しなければなりません。

②モチベーションを低下させる要因にもなる

仕事を完遂できない状況が続くと、仕事に対するモチベーションの低下につながります。もし仕事が途中で止まってしまっている社員を見かけたら、一声かけましょう。

どうしても時間内に仕事が終わらない場合は、仕事量を考え直すあるいはツァイガルニク効果の狙いを修正する必要があります。

③無駄な作業を増やす原因に

ツァイガルニク効果を狙って業務を行う際は、きちんとタスク管理を行いましょう。なぜなら継続が必要な作業と継続が不要な無駄な作業をしっかりと分ける必要があるからです。

タスク管理が適切に行われないと、中断した仕事に片っ端から手を付けてしまって、どれも終わらなくなる恐れがあります。

ツァイガルニク効果をうまく利用するためにも、適切な量の仕事を用意し、タスクを整理しましょう

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6.ツァイガルニク効果をビジネスで応用する方法

ツァイガルニク効果をビジネスの場面で応用するには、どうしたらよいのでしょう。ここではツァイガルニク効果を効率的に使う方法を説明します。

必要な課題を絞り、作業時間を決める

ツァイガルニク効果をビジネスで応用する前に、タスクの整理を行いましょう。やらなければならない課題だけを継続的に行えるようにするためです。

また「あと少しで今日中に作業を終わらせられる」という場面でも、無理せずに作業を切り上げます。あえて中断するとツァイガルニク効果が生じるため、翌日へのモチベーションが高まるのです。

こまめに休憩を入れる

キリのよいところまで終わらせるために何時間もかかる場合、集中力が途切れて中だるみしてしまう恐れがあります。

そのような状況に陥る前にあえて中断すると、ツァイガルニク効果によるモチベーションアップが狙えます。キリがよいところまでやって休憩するのではなく、「〇分作業をしたら5分の休憩に必ず入る」というルールを取り入れましょう。

作業の時間を計測する

先ほどツァイガルニク効果を狙うために一定時間で休憩をとるという方法を説明しましたが、休憩を取りすぎて作業がまったく終わらなかったのでは意味がありません。あらかじめ作業時間を予測してから、休憩までの作業時間を決めましょう。

ツァイガルニク効果の活用に役立つのは、作業時間の区切りを決めて、途中になっても必ず休憩を入れるというルールです

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7.ツァイガルニク効果以外の心理学用語の一例

ツァイガルニク効果以外にも、ビジネスの中で活用できる心理効果があり、業務の効率化やモチベーション向上などの効果が期待できます。ここでは下記3つの効果について、解説しましょう。

  1. ハロー効果
  2. 認知的不協和
  3. カリギュラ効果

①ハロー効果

「ハロー効果」とは、ある特徴がその人全体の印象を左右すること。たとえば実際の仕事ぶりを見ていないのに、「この人は高学歴だから仕事ができそう」という印象を持ったときなどです。

ポジティブハロー効果とネガティブハロー効果の2種類があります。先ほどの例はひとつの特徴からよい印象を引き出す「ポジティブハロー効果」です。

一方「身だしなみがだらしないから仕事でも信頼できないかもしれない」と、1つの特徴から悪い印象を抱いた場合は「ネガティブハロー効果」と呼ばれます。

②認知的不協和

「認知的不協和」は、行動や考えが矛盾しているときに不快感が生じる心理的現象のこと。

たとえば参考書を購入して勉強を始めたものの、三日坊主で終わってしまったというケースでは、「やったほうが自分のためになると分かっているのに実行できない」という矛盾が不快感につながります。

認知的不協和が起こった際は、どちらかに考え方を寄せて矛盾を解消しましょう。例の場合、「勉強できないのは仕事が慌ただしいからだ」と考えを切り替える方法があります。

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認知的不協和とは、矛盾する認知を持った時の感情を表す言葉です。その意味、具体例、解消法だけでなく、ビジネスにおける活用術や関連書籍などを詳しく紹介します。 1.認知的不協和(理論)とは? 認知的不協...

③カリギュラ効果

「カリギュラ効果」は、禁止や制限をされるとその行為をしたくなってしまう心理的現象のこと。

「絶対に〇〇しないでください」「○○な人以外は参加できません」「おひとり様○個まで」といった広告などが該当します。これらは行動に制限をかけて興味を引くという、カリギュラ効果を活用したマーケティングです。

ツァイガルニク効果以外にも、ビジネスシーンで使える心理現象は多くあります。上手に活用して業務を効率化しましょう