通年採用とは?【わかりやすく解説】メリットデメリット

通年採用とは、時期を特に設けず文字通り年間を通して採用活動を実施する取り組みのこと。通年採用によって企業は、必要な人材を必要とするタイミングで採用できるようになるのです。

1.通年採用とは?

通年採用とは、企業が年間を通して新卒・中途にかかわらず、その時の必要性に応じて自由に採用活動を実施すること。通年採用はもともと、欧米や外資系企業で当たり前に行われてきました。

従来の日本では、春に新卒者を採用する企業が大半を占めていましたが、留学生や帰国子女の増加による採用時期や対象の多様化、新卒獲得が容易でない現状から、国内でも通年採用が注目を集めるようになってきたのです。

留学生など、多様化する人材や採用時期への対応やグローバル人材の必要性が高まる近年、通年採用はさまざまな企業で取り入れられています

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2.通年採用の目的

1990年代前半まで国内の多くの企業は、就職協定に則って4月からの短期間で一斉に採用活動を実施していました。これは採用活動が学業の妨げとならないよう、経団連(日本経済団体連合会)によって採用活動解禁時期や手法などに制限が設けられていたからです。

しかしこれが人材採用の結果を変えることになりました。そのため近年は、通年採用を取り入れる企業が徐々に増加しているのです。

4月の定期採用だけでは、新卒採用者の質と量を充足するのが難しい状態になっています。これが通年採用を取り入れる要因のひとつとなっているのです

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3.通年採用と経団連

2019年4月、経団連は新卒学生の通年採用を拡大する方針を発表しました。従来の春季一括採用に加えて、専門分野を学ぶ学生やインターンに参加した学生たちを卒業後に選考するなど、複線型の採用を進めるというものです。

これは横並びの一括採用と年功序列に象徴される日本独自の雇用慣行が大きく変わる転機にもなり得ます。また、多様性を重視し通年採用を進めることで、これまで当たり前に行ってきた、春の一括採用を見直す動きが浸透していくでしょう。

経団連と大学が発表した内容

本発表では、ギャップイヤー(猶予期間)の導入を検討する旨やデータ分析、語学、教養を習得しグローバル化に対応した教育を目指す、さまざまな採用形態を導入する、などの内容が報告されました。

今回の報告で経団連と大学は、4年間の大学教育だけでは高い能力を持つ人材を育成するのに不十分だと訴えています。政府は、2021年春入社の学生を対象とする就活ルールを決めているため、通年採用は22年以降に大きな広がりを見せると予測できるでしょう。

複線型の採用活動が広がることで、学業の妨げになる事態も想定されています。経団連と大学側は大学4年時を浪費しないよう、卒業要件を厳しくするように徹底すべきだとの見解を発表しました

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4.通年採用の現状

2017年に就職みらい研究所が発行した「就職白書2017 -採用活動・就職活動編-」によれば、2018年卒の新卒採用方法(予定)として職種別採用やコース別採用が挙げられています。そのうち通年採用の実施予定は22.1%。全体の5分の1を占める割合です。

2017年卒と比較すると「通年採用」は、「採用直結と明示したインターンシップからの採用」と「コース別採用」を抜いて、最も増加幅の大きい項目となりました。

留学生や帰国子女の秋採用の増加、内定辞退者の補てんなどさまざまな理由から、継続的に採用活動を行う企業は増加傾向にあります

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5.通年採用と一括採用の違い

通年採用と一括採用には以下のような違いがあります。

特徴

  • 通年採用:1年を通して採用活動を行う
  • 一括採用:経団連の協定にならって同時期に一括して行う

活動期間

  • 通年採用:通年
  • 一括採用:3~7月の5カ月程度

内定辞退への対応

  • 通年採用:補完計画を立てやすい
  • 一括採用:予定採用数に満たないことがあるため内定者フォローが重要

海外大学生や留学生の採用

  • 通年採用:対応しやすい
  • 一括採用:対応しにくい

一括採用は集中的に採用活動を行うためコスト軽減が図れる一方、採用計画の見直しが発生するといった欠点もあります

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6.通年採用の種類、特徴、タイプ

ここでは通年採用の具体的な種類や特徴、通年採用のタイプについて紹介します。

採用の時期

通年採用はその名の通り一年を通して行う採用活動です。通年採用の時期には以下のケースが多く見られます。

  • 春(4月)と秋(9月または10月)の年2回採用
  • 春と夏(7月または8月)と秋、もしくは春と秋と新年(1月)の年3回採用
  • 春の一括採用時期のほか一年中いつでも

また採用時期が春と秋の場合、以下のようにターゲットを分けることもあります。

  • 春:国内大学卒業の新卒者
  • 秋:海外大学卒業の留学生や帰国子女、第二新卒や就職浪人などの転職者

内定辞退

当初は、上記に挙げた通り、留学生や帰国子女などを対象にした募集が目的でした。しかし、内定辞退者が出た際、フォローしやすいということもあって通年採用を取り入れる企業が増えてきたのです。

内定辞退は、新卒採用における課題のひとつ。内定者をしっかり押さえておかないと、万が一辞退された際、追加コストが発生してしまいます。通年採用によって内定を辞退する学生がいても、時期に左右されず補完することができます。

新卒者以外の採用

これまで行われていた一括採用の場合、企業が応募した学生に会えるのは指定した時期のみになります。

従来国内の大学は春に入学・卒業するのが一般的でしたが、グローバル化の流れを受けた昨今、9月に入学・卒業する「秋入学」を導入する大学も珍しくなくなってきたのです。

外国の大学を卒業した人、第二新卒、日本の企業を希望する外国人留学生など新卒労働市場は大きく変化しています。大学が秋入学制度を導入したことも、通年採用が広まったきっかけのひとつです。

国内の新卒労働市場は大きく変化しています。通年採用の導入によって企業は多様性のある新卒学生を採用できるようになるでしょう

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7.通年採用のメリット

ここでは通年採用のメリットについて、掘り下げて紹介します。

就職希望者側のメリット

まずは通年採用を導入したことで受けられる就職希望者側のメリットです。

スケジュールに余裕ができる

通年採用の導入によって、就職希望者はスケジュールに余裕を持つことができます。一括採用は学生にとっても短期決戦。毎日のように説明会や面接が行われるためスケジュール管理が煩雑になりがちです。

時には複数企業の選考日が重なってしまうことも珍しくありません。通年採用は採用時期の幅が広いため、選考予定が重なる可能性が下がります。それにより、余裕を持って就職活動を進めることができるのです。

準備に時間をかけることができる

一括採用は短い期間内に複数企業の選考を並行して進めなければなりません。それは必然的に1つの企業に対しての準備時間が少なくなるということ。通年採用は採用時期が分散されているため、1社に集中して挑む準備ができるのです。

企業側のメリット

続いて通年採用を導入することで生まれる企業側のメリットを紹介します。

さまざまな人材と出会える

通年採用にはさまざまな人材に出会えるといったメリットがあります。前述の通り、一括採用では指定時期に応募してきた学生にしか出会うことができません。

また、スケジュール通りに採用活動を進めることが求められるため、一人ひとりにじっくり向き合う時間がつくりにくいのです。

その点通年採用では複数回の選考を通して応募者と向き合います。それにより、企業の求める人材となり得るかどうかをじっくり見極めることができるのです。

新卒者以外の採用もスムーズに

通年採用は、春の一括採用では出会いにくい留学生や既卒者を採用したい場合に有効です。

外国語が堪能な人材や専門的な資格を保有している人材、風土や文化の異なる企業での就労経験を持つ中途社員など、多様化への対応やグローバル人材を求める企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。

自社にとって必要な人材を欲しいと思ったタイミングで採用できることも、通年採用のメリットです

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8.通年採用のデメリット、問題点、課題

それでは反対に通年採用のデメリットや問題点、課題を見ていきましょう。

就職希望者側のデメリット

まずは通年採用を導入したことで起きる就職希望者側のデメリットです。

一括採用よりも能力が求められる

通年採用の導入によって、一括採用よりも選考基準が高くなります。通年採用は企業側にもスケジュールの余裕ができるため、採用コストと人材への期待度のバランスをよりシビアな目で測るようになるのです。

自発的な就職活動が必要

通年採用では、企業ごとに独自の採用活動が展開されます。そのため就職希望者は自発的に活動を行わなくてはなりません。

一括採用は周囲の学生も同じようなスケジュールで活動するため、その流れに乗って行動すればいいといったある種受動的な面がありました。しかし通年採用は自ら入社したい企業を決め、その企業の採用活動に合わせて就職活動を実施するといった自発的な姿勢が必要になります。

企業側のデメリット

続いて、通年採用を導入することで生まれる企業側のデメリットです。

教育・研修などが難しい

一年を通して採用活動を行うと、採用活動が長期化するため、採用担当者の負担が大きくなります。

また、一連の採用活動には内定者研修に代表される事前教育なども含まれるのです。一括採用はこれらを集中的に実施するため、コストを抑えられましたが、通年採用では教育や研修を適宜行う必要があります。

体制構築とコストが必要

採用活動や事前研修を適宜行うと、さまざまなコストがその都度発生します。選考時期を分散して採用回数を増やすほど、媒体への告知や採用広報、イベントなどのコストがかかるのです。一括採用と比較してトータル的にコストが高くなる可能性があるでしょう。

企業は、採用から教育、研修といったフォローまで柔軟に実施できるよう体制を整えなければなりません。

通年採用活動にはさまざまなデメリットがあります。自社の体制やニーズに合わせて体制を構築しましょう

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9.通年採用の事例

ここでは通年採用を取り入れた企業とその実例について紹介します。

ファーストリテイリング

カジュアル衣料品店のユニクロを運営するファーストリテイリングでは一年中いつでも採用活動を行っています。学年や国籍、新卒、中途を問わないオープンな採用方法にすることで、一人ひとりが主体的に応募できるようにしているのです。

国籍による制約や制限は一切ありません。一定の日本語能力があれば誰でも応募できます。また一年に一度、期が変われば再チャレンジも可能です。不採用になっても再挑戦できるシステムが整っています。

リクルート

リクルートの応募条件は下記の2項目のみです。

  1. 2020年度中に入社できる
  2. 30歳以下である

上記の条件を満たしていれば新卒者、既卒者、就業経験者のいずれであっても、365日通年でエントリーできます。

リクルートは、2018年に国内9社がサブ連結グループ化しました。それまでは各社単位で応募が必要でしたが、これに伴って応募作業が簡略化したのです。また採用プロセスや内定後の配属も、各社の枠にとらわれず配属が実現できるようになったのです。

ソフトバンク

ソフトバンクでは新卒採用をポテンシャル採用、キャリア採用を即戦力採用として通年採用を展開しています。

ソフトバンクでは「必要な時に必要な人材を採用するというのが本来あるべき普遍的な採用」と考えて、2015年から「ユニバーサル採用」をスタートしています。

このほかにも、No.1採用や就労体験型のインターンシップなど多様な選考プログラムを設けています。自社に最適な採用方法や一風変わった採用方法を探している会社には参考となるでしょう。

通年採用の増加に伴ってさまざまな企業がそれぞれの風土に基づいた採用方法を導入しています。時期にこだわらないことで優秀な人材に出会える可能性が高まるでしょう