ワークフローの製品例|できること、導入手順、注意点

ワークフロー製品とは、書類の申請から承認までの流れを効率化する製品のこと。業務効率化や生産性向上、費用削減を目的に導入する企業が増えています。テレワークの浸透でその流れは活発化しているのです。

1.ワークフロー製品とは?

ワークフロー製品とは、申請書や稟議書などをウェブやシステム上で処理できる製品のこと。従来、紙ベースで行ってきた申請作業を電子化や自動化できるため、作業効率の向上と迅速な処理を図れるのです。

たとえば書類チェックの自動化で、入力不備による差し戻しを事前に防げますし、進捗状況を可視化して抜け漏れを減らせます。これらは担当者の負荷軽減や作業の時間短縮に有効です。

効率や精度を妨げる部分やボトルネックを可視化できるため、業務プロセスそのものの見直しにも役立ちます。

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企業におけるワークフローとは?

業務のなかで複数階層の従業員がかかわるやりとり、一連の流れや手続きのこと。流れを図式化したものを指す場合もあります。たとえば企業におけるワークフロー運用は経費清算や休暇申請、備品購入などです。

一般的に「申請」「承認」「決裁」の3段階で行われ、重要な内容ほど複数人や役職が高い人の確認が必要です。

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2.ワークフロー製品が必要な理由

従来の紙を利用したワークフロー運用には、業務の妨げや機会損失の弊害を生む3つの理由がありました。それらを解決できるのがワークフロー製品です。それぞれの理由を見てみましょう。

  1. 申請完了までの作業が多い
  2. 申請の遅延が起こりやすい
  3. 紛失や保管といった問題が生じる

①申請完了までの作業が多い

複数の人がかかわる性質上、紙ベースのワークフローは決裁までの工程が多くなりがちです。一般的なワークフローでは、「申請データ作成」から「書類印刷」、つぎに「回覧と捺印の繰り返し」を経て「決裁」と「業務指示」が完了します。

これでは業務のスタートラインに立つまでが遅くなってしまい、現代のビジネス速度からかけ離れてしまいかねません。ビジネスチャンスを逃したり、生産性が低下したりといった恐れも生じます。

②申請の遅延が起こりやすい

紙の書類によるワークフロー運用は、時間のロスが生まれやすいです。適切な申請書類を調べ、提出先の担当者を探し、やっと作成できても場合によっては郵送が必要になる場合もあります。

各段階で少しずつ時間を費やしてしまうと、最終的に大きな遅延となるのです。途中で書類の紛失や見落としが起こった際も、ワークフローが遅延するでしょう。

③紛失や保管といった問題が生じる

紙の書類保管にはスペースが必要なため、保管室や倉庫にかかるコスト、検索したり管理したりする人件費もかかります。また原本を持ち出す回数が増えると、紛失や汚損リスク、コピーによる書類の改ざんなどの危険性が高まってしまうでしょう。

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3.ワークフロー製品を使ってできること

ワークフロー製品は、申請から決裁までを一元サポートします。ここではワークフロー製品でできることや効率化する業務を見てみましょう。

  1. 申請書の作成
  2. 申請書の検索
  3. 承認経路の設定
  4. 通知機能
  5. ほかシステムとの連携

①申請書の作成

ワークフロー製品を使うと、それぞれの企業に合わせた申請書が作成できます。テンプレートを利用してそのまま作成もできますし、項目や入力形式を自由に組み合わせてカスタマイズするのも可能です。

必要書類のファイル添付やコメント記載など、関連する処理をスムーズにする機能も搭載されています。

②申請書の検索

ワークフロー製品では、過去の申請書類をデジタル化して保存できるため、検索や閲覧がしやすくなります。日付やタイトル、申請内容などさまざまな切り口から過去データにアクセスするのも可能です。データ分析により業務改善を図る一助にもなるでしょう。

③承認経路の設定

ワークフロー製品では、申請内容と社内の業務フローに対応した承認経路を設定できます。申請書ごとに条件やルールを設けておけば、設定に応じて必要な関係者に自動で回付していくのです。

申請者はどの部署のだれに提出すべきか迷わずに済みますし、承認者も回覧や差し戻しのためメールを作成する手間もなくなります。

④通知機能

ワークフロー製品では、申請の関係者に対する自動通知が可能です。たとえば進捗共有の通知や、承認が下りない場合の差し戻し通知、承認待ちのアラート通知などの機能が挙げられます。

業務が発生したとき、担当者がすぐに気づき即時対応できるでしょう。ワークフロー製品は、処理の見逃しや承認忘れを防ぐのに有効です。

⑤ほかシステムとの連携

ワークフロー製品とほかのシステムを連携できるため、データを共有できます。たとえば経理や会計システムと連携できれば、ワークフロー製品で交通費精算申請が承認されたあと、経理や会計システムへデータを送れます。

そのほか人事システムや勤怠システム、商品管理システムなどとも連携させると、関連業務が大きく効率化するでしょう。

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4.ワークフロー製品を導入すると得られるメリット

ワークフロー製品を導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょう。それぞれについて見ていきます。

  1. 業務の効率化
  2. 社内統制の強化
  3. コスト削減
  4. 働き方改革の推進

①業務の効率化

ワークフロー製品を利用すると、外出先や移動中でも承認や決裁が可能になります。紙の申請書が手元になくても対応できるため、承認や決裁を行う担当者と直接会う必要がありません。担当者が会議や出張で不在がちな現場でもスムーズに業務が進むでしょう。

テレワークを導入していても、業務効率や生産性を低下させる心配がありません。

②社内統制の強化

ワークフロー製品を使って、申請の各段階にて権限のある人のみが回覧や承認できるように設定すると、内部不正の抑止に効果的です。これは社内統制を強められるというメリットにつながります。

ワークフロー製品上では、申請過程が可視化されるうえに履歴も残るのです。よって「承認担当者の不在を理由に本来権限のない人が承認をする」「書類の改ざんが行われる」といったリスクを排除できるでしょう。

③コスト削減

紙と人件費という2つのコスト削減につながります。まず書類を電子化するため、ペーパーレス化が進み、紙やインクなど印刷にかかる費用が削減可能です。紙の書類を保管するスペースの節約にもなるでしょう。

申請から決裁まであらゆる工程を任意の場所で対応できるため、関係者すべての労力や時間にかかるコストが軽くなります。

④働き方改革の推進

ワークフロー製品は、インターネットを通じて時間や場所を問わず、申請や承認ができます。そのためテレワークや時短勤務など、多様な働き方に柔軟に対応でき、働き方改革推進につながるのです。

育児や介護をはじめ、従業員それぞれが抱える事情を考慮した働き方の実現にワークフロー製品は効果的といえます。

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5.ワークフロー製品を導入するときのデメリットと注意点

ワークフロー製品には、デメリットと注意点もあります。

  1. フロー変更によって設定を変える必要がある
  2. コストがかかる
  3. 定着に時間がかかる

①フロー変更によって設定を変える必要がある

ワークフロー製品は、申請と承認の流れを固定化します。業務ルールや規定に変更があった場合、製品の設定を変えなければなりません。組織変更や配置転換、ルール変更が多いと、頻繁に設定をやり直すため、逆に負担が増えてしまうのです。

②コストがかかる

ワークフロー製品の導入や運用には、一定のコストがかかります。特にオンプレミス型(自社でサーバーやシステムなどを構築する形態)は、初期費用やメンテナンスなどで高額な費用が必要です。

ワークフロー製品の導入費用を抑えたいときは、クラウド型(サービス提供企業のサーバーやシステムを利用する形態)を選ぶとよいでしょう。

③定着に時間がかかる

使いにくい、あるいは操作がわかりにくいワークフロー製品は使用されず、社内に定着しない恐れが高いです。従業員がワークフロー製品を使った申請にいち早く慣れて、使いこなせるようにするには、事前の周知や研修が必要でしょう。

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6.ワークフロー製品を導入する手順

ワークフロー製品を導入する際、5ステップで進めます。各ステップを見てみましょう。

  1. 現状の確認、分析
  2. 目標設定
  3. 導入する製品の選定
  4. 部分的に導入する
  5. 本格運用

①現状の確認、分析

ワークフロー運用ルールや実際のフローとの差異、決裁にかかる時間などを分析し、改善すべき課題を明確にします。そのなかでも承認者とプロセスの見直しは必須です。

承認者の見直し

ワークフローにかかわる承認者とその人数が適切かを再検討します。承認工程が多すぎると時間のロスにつながり、少なすぎると承認作業の過度な集中や、適切な決裁ができなくなってしまうでしょう。

「各過程での承認が必要かどうか」「中身がなく形だけになっている工程はないか」見極め、業務に支障がないようなら省略する判断も必要です。

プロセスの見直し

待ち時間や差し戻しなど、申請プロセスを滞らせる原因や理由を整理します。承認工程で次段階に進むため複数条件を満たす必要があると、待ち時間が発生しやすくなるからです。頻度や時間の正確な把握だけでなく、決まったプロセスが必要か再考しましょう。

差し戻しは添付書類の不足や入力項目の不備など、申請者によるものがほとんど。差し戻しの防止には、申請者の視点に立ったわかりやすい仕組みづくりが求められます。

②目標設定

ワークフロー製品で実現したいことを整理し、目標設定をします。導入目的がはっきりすると、ワークフロー製品に求める機能や要件が定まるからです。

また確実な効果測定のため、計測可能な目標を設定しましょう。「決裁までの平均時間」「手戻りの数」「申請数」などの定量目標が考えられます。

③導入する製品の選定

自社の現状と課題に沿ってワークフロー製品を選定します。目標実現に必要な機能が網羅されていて柔軟な設定ができるのはもちろん、使いやすさやセキュリティについてもしっかり精査しましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型は自社サーバーにソフトウェアを組み込み、社内ネットワーク内で利用します。メリットは「セキュリティが堅牢」「カスタマイズ性が高く、既存システムと統合しやすい」点です。

ただし初期費用が高額である場合も多いです。また自社でのメンテナンスが必要だったり、導入まで時間がかかったりする点は課題でしょう。

クラウド型

クラウド型はオンライン上のサーバーで提供され、インターネットを通じて利用する形態です。設備投資が不要なので、初期費用を抑えてスピーディーに導入できます。メンテナンスやセキュリティ管理は提供側で行うため、社内の専任者不在でも問題ありません。

オンプレミス型に比べてカスタマイズ性は劣るものの、基本機能は網羅しており、オプションで機能を組み合わせるのも可能です。インターネット環境下でのアクセスなど、多様な働き方を想定して使える点も大きなメリットでしょう。

④部分的に導入する

ワークフロー製品を導入する際は、いきなり全社展開せず試験を兼ねて部分的な利用から始めましょう。使い勝手に対する従業員の反応や細かい設定の調整など、効果検証をしながら運用する必要があるためです。

自社との相性を確認できたら、利用範囲を段階的に広げていきます。利用範囲の拡大時は新たな課題が発生する場合も多いので、計画的かつ慎重に行いましょう。

⑤本格運用

最終的には全社導入を目指し、発展的な運用方法も検討します。全社で同じワークフロー製品を利用すれば申請工程の統一や内部統制強化、内部不正の抑止が実現するでしょう。

経理や人事管理システムなどと連携して関連業務のデータを一元化すると、さらなる生産性向上が期待できます。

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7.ワークフロー製品を導入する際の注意点

ワークフロー製品を選定する際、何に注意すればよいのでしょう。5つのポイントから解説します。

  1. 自社業務との相性
  2. 使いやすさ
  3. システム連携
  4. セキュリティ管理
  5. サポート体制

①自社業務との相性

必要以上に多機能なものを選んでも、使いこなせなければ意味がありません。自社に合った内容の製品、または臨機応変に機能が追加できる製品を選定するとよいでしょう。

②使いやすさ

使いやすさは、導入後の活用度を大きく左右するので、かならず考慮に入れます。「画面や説明がわかりやすいか」「直感的な操作が可能か」など、だれでもかんたんに使える製品であるか、確認しましょう。

組織変更や業務追加の反映がかんたんに行えるかどうかも重要です。設定やメンテナンスの負担が大きいと長期的な運用は難しくなってしまいます。

③システム連携

既存システムと連携できれば、関連業務の効率化につながります。さまざまな領域の業務システムと連携可能なワークフロー製品を選べば、導入する際にデータ共有が効率化するでしょう。

④セキュリティ管理

外部からの不正アクセス対策、従業員のアクセス制限など、情報漏えいのリスク管理に長けている製品を選びましょう。IDやパスワードによる一般的なログイン以外に生体認証や二段階認証など、本人以外はアクセスできない仕組みがあると安心です。

⑤サポート体制

導入や運用中にメールや電話、チャットの個別対応、ヘルプページや動画案内などが利用できるかをチェックしましょう。

セミナーやユーザーコミュニティなどがあれば、ワークフロー製品をより活用できる方法を学べます。サポート方法や対応時間は製品によって異なるので、自社に合ったサポートがあるか、事前に確認しておきましょう。