ワークフローを電子化するには? メリット・デメリット、手順

ワークフローの電子化とは、業務フローを紙書類の管理から電子データベースでの管理へ移行すること。電子化の目的やメリット、電子化を推進するための手順や注意点を解説します。

1.ワークフローの電子化とは?

ワークフローの電子化とは、業務に関する一連の流れをシステム化すること。たとえば企業でよく見られる書類の申請と認証、さらに決済までできるシステムを導入する、というケースもワークフローの電子化に該当します。

ワークフローの電子化における最大の目的は、ペーパーレスによるコストの削減と、業務プロセスの迅速化。

電子化すれば従来、紙ベースで起票したり回覧したりしていた書類をシステムの電子データとして扱えるため、インターネットや社内ネットワークなどで共有できます。

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2.電子化されていないワークフローの問題点

電子化されていないワークフローの問題点は、一体何でしょう。電子化されていないワークフローの問題点を整理してみましょう。

  1. 処理スピードが遅い
  2. 進捗管理ができない
  3. ハンコや押印が必要
  4. 保管場所が必要

①処理スピードが遅い

電子化されていないワークフローでは、処理スピードの遅さが問題となります。たとえば書類を作成する際、まずフォーマットのコピーを作り、手書きで入力しなければなりません。

また回付する際、実際に相手の部署に赴いて渡し、相手が遠方の場合は郵送するなど、どうしても時間がかかってしまうのです。組織が大きい場合は回覧部署が多いため、その分処理スピードも遅くなってしまうでしょう。

②進捗管理ができない

まずいったん発行した書類は関連部署へ回付します。しかし別部署に処理がわたってしまうと、現在時点でどの部署のだれが書類を管理しているか、あるいは決済完了までどれくらいの時間を要するかなどが不明になりがちです。

また回覧先の担当者が休暇や出張で不在だと、処理が中断する可能性も高まります。

③ハンコや押印が必要

紙ベースの書類を回付した場合、承認や決済の所在を確認するために、ハンコによる押印、もしくは最低限のサインアップが必要になります。

最近、押印の廃止が社会的な話題となりました。しかしワークフローが紙ベースである以上、何らかの確認が必要です。また同時に複数の担当者や責任者に確認を取れないため、この点も非効率的といえます。

④保管場所が必要

書面によるワークフローでは大量の書類が発生するため、保管場所の確保が必要です。またこれらの書類はファイリングが必要ですし、多くの場合、複数部署で書類を複写して保持しなければなりません。

電子化されていないワークフローでは、書類の保管スペースや管理作業に時間を要してしまうでしょう。保管時の確認ミスや手違いなどにより、書類の紛失や持ち出しなどの事故が発生する恐れもあります。

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3.ワークフローの電子化でできること

ワークフローを電子化すると、申請業務の効率や情報の安全性が向上します。ワークフローの電子化でできることを4点説明します。

  1. 申請書の作成
  2. 過去の申請書を検索
  3. 承認ルートの設定
  4. データの連携

①申請書の作成

ワークフローを電子化すれば、申請書の紙フォーマットを探してコピーを取って手書きで申請書類に記入する作業を省略できます。

ワークフローツールやシステムには、多くのテンプレートが用意されているもの。よって使いたいテンプレートを呼び出し、システム上で書類を作成できます。

ツールやシステムによっては、作成した申請書に関連書類を添付する機能や、補足コメントを追記する機能も活用できるでしょう。

②過去の申請書を検索

ワークフローを電子化すると過去の申請書や決裁書類をシステム上で検索できるため、分析や集計などの作業効率がアップします。たとえば残業の申請書から残業時間を計算する際、紙書類の保管だと膨大な書類から該当する書類を手作業で探さなければなりません。

ワークフローを電子化すると申請年月日や申請項目、申請内容や申請者などの条件で、過去に申請や承認された書類をかんたんに検索できるのです。

③承認ルートの設定

承認ルート(申請や承認を求める際に必要な、決裁者の設定と回付の順序)の設定機能も申請業務の効率改善に役立ちます。組織改編や権限規定の変更が生じたら、承認ルートを変更しなければなりません。

承認ルートの変更が生じたと周知されていなければ、次はだれに書類を回せばよいのかわからなくなってしまいます。

ワークフローを電子化すると複雑な承認ルートでもあらかじめシステムに登録しておけるのです。案件ごとに自動的に承認ルートを選択できますし、承認ルートに変更が生じた場合もかんたんに修正できます。

④データの連携

経理や人事、総務などのシステムと連携しておけば、複数の部署にわたる申請も同時に処理できます。データの連携により情報を一元管理できるため、各部署のシステムから欲しいデータをスムーズに探し出せるのです。

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4.ワークフローを電子化するメリット

ワークフローを電子化すると業務プロセスにてコストや時間、安全といったさまざまな面でメリットが得られます。

  1. 承認の効率化
  2. コストの削減
  3. テレワークの推進が可能になる
  4. 内部統制の強化

①承認の効率化

ワークフローを電子化すれば書類の回付や情報伝達、承認や決裁などがスピーディーに進むため、最終決裁までに要する時間が短くなります。企業や組織における迅速な意思決定を実現できるでしょう。

人事部

従業員に関するすべての情報を管理する人事部では、電子化のメリットは大きいでしょう。組織改編や人事異動、従業員データの変更などが生じると、承認ルートの変更が不可欠になるためです。

ワークフローツールやシステムには、新組織の予約登録や、承認者の引継ぎ期間を設けられる場合があります。このような機能を活用すると、組織改編や人事異動で生じる承認ルートの混乱を防げるでしょう。

総務部

総務部におけるワークフローの電子化は、もっとも業務改善効果が高いといえます。総務部は受付や備品の管理にとどまらず、経営にかかわる事務局業務や行政手続きなど、多くの書類を扱う部署だからです。

ワークフローの電子化によって、各種届出や承認決済の処理がスムーズかつ効率良く進むでしょう。

②コストの削減

日々発生する大量の申請書や報告書、各種届出などに使用する紙は膨大な量になるもの。

膨大な量の紙にくわえて、書類を回付するための郵送費や郵送に使用する封筒のコストや、その紙を保管するためのファイリングや書棚、さらに文書管理に関わる人件費などのコストが同時に削減されるのです。

③テレワークの推進が可能になる

ワークフローを電子化すると、インターネットに接続したPCから各種データにアクセスできます。各種書類が紙ベースで保管されている場合、確認や検討のためどうしても社内で業務を行わなければなりません。

しかしワークフローを電子化してしまえば自宅でも業務が可能です。テレワークの推進に直結するでしょう。

④内部統制の強化

内部統制とは、企業が健全に業務を遂行するために必要な仕組みやルールのこと。ワークフローを電子化すると、申請業務に関するルールの遵守と監視を強化できるのです。

たとえば承認者や承認ルートを設定すれば、不在の承認者を飛ばす、あるいは勝手に代理で認証するといった不正を防げます。申請などの履歴管理、検索閲覧が容易になるため管理精度の向上につながるでしょう。

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5.ワークフローを電子化するための手順

ワークフローの電子化を導入する際、多くの企業で主管部署は総務部となります。しかしワークフローシステムを構築して効果的に運用するには、社内すべての部署が協力して推進していく必要があるのです。ここでは一般的な導入手順をご紹介します。

STEP.1
自社の現状を調査・分析
自社の現状を調査して分析するためにまず、システム部門や総務部門などと連携して導入チームを編成します。

そのうえで電子化を推進する帳票や申請書、各種届出などの収集と確認を実施。電子化の対象となる業務の内容や領域をまとめ、電子化の具体的な方針を検討するのです。

STEP.2
目標の設定
現状を分析して洗い出した課題から、ワークフローの電子化を推進するにあたって重視すべき目標を設定します。

ワークフローの電子化を一気にすべて実現させるのは難しいもの。ペーパーレス化によるコストの削減や、承認フローの見直しによる効率化など、電子化の目標をステップ化し、確実にクリアできるような設定が重要です。

STEP.3
システムの選定
洗い出した課題と設定した目標に沿って、最適なシステムを選定します。システムを構築する際にベースとなるシステムは、以下の2種類です。

  • オンプレミス型:システムの構築と運用を自社で行う
  • クラウド型:インターネット経由で提供するシステムを利用する。汎用性が高く低コストで導入可能だが、自社に合わせたカスタマイズができない場合も
STEP.4
テスト導入
電子化の準備を整えたら、本番稼働を前提としたテスト導入を始めます。テスト導入でもシステムの申請フォーマットの作成や承認ルートの整合性、承認権限など必要な設定をすべて整備し、運用を通じて修正・追加するのです。

また実際に運用する際のマニュアルの整備と確認、トラブルが生じた場合の保守体制の構築も重要な作業となります。このとき同時に従業員への教育や周知も進めましょう。

STEP.5
全社導入
テスト導入によるシステム修正が完了したら、全社導入に進みます。混乱を防ぐため一斉導入ではなく数カ月間は従前の方法と併用してみましょう。

全社導入とともに、ツールを使う従業員の意識改革も進行させます。別部署や従業員が使った結果、新たな課題が発見されたら課題の解決も同時に進めていきましょう。

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6.ワークフローを電子化する際のポイント

ワークフローの電子化を成功させるためのポイントは、下記の5つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 自社業務との適性
  2. 操作性
  3. カスタマイズ性
  4. セキュリティ対策
  5. 導入と運用にかかる費用

①自社業務との適性

ワークフローの電子化を推進する際は、導入するシステムが自社の業務形態や業種、運用方法などに適しているか、自社が抱えている課題の解決が望めるか、見極めましょう。自社に適さないワークフローシステムを導入しても、成功は難しくなります。

②操作性

ワークフローを電子化するなら、全従業員が問題なく操作できるシステムやツールを選びましょう。機能は充実しているものの操作が複雑なシステムでは、必ず使いこなせない従業員が出てくるからです。

クリックやドラッグなどかんたんな操作が中心なら、スマホやタブレットなどでも使いやすいでしょう。

③カスタマイズ性

電子化を行ったあと組織の改編や業務内容、テンプレートなどの変更などが生じれば、それにともなってワークフローも変化させなければなりません。そのようなとき柔軟に自社でカスタマイズできると安心です。

④セキュリティ対策

ワークフローを電子化すると、社外からの不正アタックや、従業員からの情報の漏えいリスクが高まります。データの暗号化や改ざん防止、閲覧者の権限設定などの機能を備えたツールやシステムを選びましょう。

⑤導入と運用にかかる費用

自社の業績と経営規模に見合った規模の電子化を検討する必要があるでしょう。たとえば以下のような費用が必要です。

  • 導入準備に向けた計画の費用
  • 初期導入と自社業務に適合させるためのカスタマイズ費用
  • テスト導入と従業員教育のための費用
  • 全社導入に向けたハード面の費用
  • 導入後の保守メンテナンス費用

費用対効果

ワークフローの電子化を導入しても、費用に見合った効果が出なければ意味がありません。まずは目に見えやすいペーパーレス化によるコスト削減効果や決裁までの時間などから、費用対効果を検証しましょう。

なお業務範囲が広く、各地に支社や支店などの拠点を持つ企業であるほど、ワークフロー電子化の効果が高まりやすい傾向にあります。