Win-Winの関係とは?【意味・使い方をわかりやすく】実現方法

Win Winとは「自分と相手の双方に利益があること」を意味するビジネス用語のこと。この記事では、Win Winの使い方や類語などを解説します。

1.Win-Win(ウィンウィン)とは?

Win-Win(ウィンウィン)とは、「自分も勝ち、相手も勝つ」という意味で使われるビジネス用語のこと。双方の会社がともに利益を得る、あるいはそのような関係を意味します。もとは経営学の用語で、双方のメリットを増やして交渉を有利に進める手法を指します。

Win-Winの関係とは?

自分と相手の双方が利益を得られる関係を指し、「共存関係」や「協力関係」「両立関係」などとも言い換えられます。またここには金銭的な利益を得るという事実だけでなく、「満足した」という心理も含まれるのです。

そのため一方が満足していてももう一方に不満が残っている場合、Win-Winの関係とはいえません。

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2.Win-Winの使い方

Win-Winの多くは、ビジネスシーンで使われます。しかし双方がメリットを得るシーンは日常生活でも起こるでしょう。そのためWin-Winを使うシーンは多岐にわたるのです。

一般的な使い方の例

日常生活や自然界などでも、お互いに良いことや得することなどがある状況をWin-Winと表します。ここでは一般的な使い方を3つ紹介しましょう。

「Win-Winが長続きの秘訣だね」

「両者の得意分野が異なり、相手をフォローし合える」という状況は、Win-Winと表せるシーンのひとつ。

たとえば「掃除は好きだけれど料理は苦手」という人と、「料理は好きだけど掃除は苦手」という人が共同生活を営む場合、お互いが得意な家事を担当することで相手をフォローできます。

結婚や友人関係においては、このようなWin-Winが長続きの秘訣といえるでしょう。

「Win-Winの関係で共存しているね」

自然界における共存関係もWin-Winの関係といえます。たとえばイソギンチャクとクマノミの関係などです。

クマノミは毒を持つイソギンチャクに隠れて外敵から身を守ります。一方イソギンチャクは、クマノミに敵を追い払ってもらう、あるいは体の掃除してもらうといったメリットを得ているのです。

こうしたイソギンチャクとクマノミの関係は、Win-Winの関係で共存しているといえます。

「Win-Winになるね」

双方がメリットを得られるような協力関係もWin-Winの関係のひとつ。

たとえばお互いに同じ雑誌を定期購読したいと思っていて、1カ月交代でお金を出し合うケースです。お互い毎月欠かさずに雑誌を読めるうえ、購入代金も全額支払わずにすむという2つのメリットを得られます。日常生活でWin-Winになる例でしょう。

ビジネスにおける使い方の例

ビジネスでは、お互いに利益が出たうえで心理的にも満足している状態のときに、Win-Winが使われる傾向にあります。

「まさにWin-Winですね!」

お互いに利益を得られる提案を行うと、Win-Winな取引が締結できます。

たとえばある会社と飲食店の間で取引を行う際、後押しとしてその店舗を歓迎会や忘年会などで利用すると提案するケースです。この場合、会社側には契約が取れるメリット、レストラン側には売上が生まれるメリットがあり、「まさにWin-Win」となります。

「Win-Winを前提に考えたいですね」

取引を開始する前、「会社同士が末永く良好な関係を築きたい」という希望を示すため、Win- Winを使う場合があります。これはどちらも損をしないようお互いが取り計らい、協力関係を築く意味になるのです。

この「損」には、金銭的な損益のみならず、業務やリソースなどにおける負担や負荷も含まれるのです。「Win-Winを前提に考えたい」と持ちかけられた場合、信用できる取引相手といえるでしょう。

「Win-Winでいきましょう」

会社間の取引において、多くはWin Winつまり双方が何かのメリットを得られることを前提条件としています。自社が損する取引を持ちかけるのは避けたいですし、相手が損をする取引はまず受け入れてもらえないからです。

ただしさまざまな条件を交渉していくうちに、相手に不利となる条件が出てしまう場合もあります。このようなときには「Win-Winでいきましょう」と言って、相手へのメリットが増大するような条件を検討しましょう。

「Win-Winの関係を目指しましょう!」

企業間同士の取引にて、「こちらは相手のメリットや利益も考えている」という姿勢を表すために、Win-Winという語を用いる場合があります。

たとえば初めての取引先と交渉する際、まずは相手の信用を得る必要があるでしょう。このとき「この取引ではWin-Winの関係を目指しましょう」と伝えると、「自社だけでなく、貴社も損をしないように取り計らう」という意思表示になるのです。

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3.Win-Winの同異義語と反対語

Win-Winという語は英単語で構成されており、日本語にもいくつか似た表現があります。対義語と合わせて知っておきましょう。

Win-Winを日本語で言い換えると?

Win-Winにおける日本語の類語、あるいは日本でなじみのある表現として挙げられるのは、下記のようなものです。

  • 相互利益:お互いが相手に利益をもたらすこと
  • 互恵:お互いが相手の恩恵や便宜をはかること
  • 共存共栄:お互いが助け合ってともに繁栄すること
  • ギブアンドテイク:お互いが譲り合いや与え合いを行うこと
  • 持ちつ持たれつ:お互いが対等な立場で助け合うこと
  • 三方良し:売り手も買い手も得をして、さらに社会貢献にもなるという商売の理想型

「三方良し」は日本で古くから使われてきた語です。江戸時代から明治時代にかけて行商していた近江地方(滋賀県)の商人の考え方が発祥といわれています。

Win-Winの反対語は?

Win-Winの対義語や反対語は、日本語だけでなく英語でも存在します。WinやLoseを用いた英語の対義語においてはのちほど解説しましょう。ここでは関連する日本語あるいは専門用語を紹介します。

  • とも倒れ:お互いが競争した結果、両者とも立ち行かなくなること
  • 痛み分け:お互いが損害を受け、決着がつかず引き分けること
  • 不利:両者のうち一方の形勢が悪化すること
  • ゼロサム:一方が利益を獲得したときに、もう一方は同じ分の損益を被ること

ゼロサムはもともと経済理論で用いられていました。

たとえば外国為替取引である国の為替レートが上昇した場合、ある人は利益を得ますが、ある人は損失を被ります。このように全体的な利益と損失を見たときに、プラスマイナスゼロとなる状態をゼロサムと呼ぶのです。

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4.Win-Win以外の種類とWin Win構築のためのプロセス

自社と取引相手との関係にてWin-Winの関係を構築するためのプロセスや、Win-Winの関係以外になるケースを5つ解説します。

Win-Win以外の関係

Win-Winは、「自分も勝ち、相手も勝つ」こと。しかしこの関係は、あくまでも理想形に過ぎません。実際はスポーツ試合のように「どちらかが負ける」というケースもあるからです。ここではWin-Win以外の関係を5つ解説します。

  1. Win-Lose
  2. Lose-Win
  3. Win-Win or No Deal
  4. Lose-Lose
  5. Win

①Win-Lose

「自分は勝って相手は負ける」こと。誰かの犠牲のうえでないと自己の利益を得られないという考え方です。

どうしても一方の犠牲が回避できず、結果的にもう一方へ利益がもたらされるというケースもあります。しかし取引相手や協力会社においてはできる限り避けるべき状態といえるでしょう。

またWin-Loseを肯定する人は「自分がよければ相手のことなど知ったことではない」という考え方を持っている恐れがあるので、注意が必要です。

②Lose-Win

「自分が負けて相手が勝つ」こと。「誰かが犠牲になるのであれば、自分が犠牲になろう」という自己犠牲的な考え方です。たとえば同僚が嫌がる仕事を自分が引き受ける、あるいは労働条件が厳しくても我慢をして争わないというケースが挙げられます。

しかしLose Winのような状況が続くといつかは我慢の限界に達してしまうもの。体調を崩す、あるいは同僚や家族に八つ当たりしてしまう可能性も高いです。

③Win Win or No Deal

「自分も勝って相手も勝つ、そうでなければDeal(取引)をしない」こと。お互いに利益が得られない場合、その取引を一旦取りやめるというケースをいいます。

ただし今後一切取引しないのではなく、Win-Winの関係が構築できるまで取引を保留し、双方にとってメリットのある解決策を考案するのです。

たとえば金額の大きい契約にて、当初の条件が相手に受け入れられなかった場合を例に見てみましょう。この場合、どうにかして締結させようと相手に対して好条件を提示し、結果的にこちらの利益を減らして契約を締結するケースが見られます。

しかしここでNo Dealを選べば、よりよい条件で締結する可能性を残せるのです。

④Lose-Lose

「自分も負けて相手も負ける」こと。日本語の「共倒れ」や「痛み分け」といった表現が当てはまるといえます。ビジネスにおいてLose-Loseを好んで選ぶ人はほとんどいないでしょう。

しかしWin-Lose思考の人がLose-Loseを目指す場合があります。たとえば「自分の力では相手に勝てない。しかし自分だけ負けるのはしゃくに触るので、相手も勝てないよう足を引っ張ってやろう」と考えるケースです。

このような人は意図的にLose-Loseへ持ち込もうとして、嫌がらせや妨害などを行いかねません。

⑤Win

「自分だけが勝つ」こと。この語には相手との関係性が含まれないため、「自分だけ利益が出れば、ほかがどうなろうと構わない」という考え方といえます。

しかし他者を顧みない姿勢は「思いやりがない」や「身勝手」といった印象を与えるため、ビジネスで信頼や信用を得るのは難しくなるでしょう。

Win-Winの関係の構築プロセス

相手とWin-Winの関係を構築するには、「3つの準備+交渉」の4ステップが必要といわれています。

  • ステップ1:先方のWinを把握したのち自社のWinを設定する
  • ステップ2:自社側の交渉可能な幅を設定して、その交渉幅を上司や関係者と共有する
  • ステップ3:社側の交渉可能幅を設定共有したうえで、先方に依頼できるアイデアを用意検討する
  • ステップ4:先方との取引交渉を行い、先方のWinを再確認しながら話し合いを行って合意を得る

先方が望む条件をそのまま受け入れると、自社にとって不利益をもたらす場合もあります。そのため先方のWin、つまり相手が求めるWinの本質を把握し、それを叶えたうえで自社にとっても利益につながる方法を考えなければなりません。

また自社のWinで譲れる部分と譲れない部分を決めておくと、先方の出方によって柔軟に調整できます。

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5.Win-Winの実現に必要なものとは?

Win-Winな関係を築くためには、両者の事情や環境、価値観なども考慮したうえで、双方によい結果を導く方法を探さなければなりません。Win-Winな関係を実現するために必要な視点を解説します。

  1. 相手よりも努力する気持ち
  2. 異なる価値観を認め合う気持ち
  3. 駆け引きの道具として使わない

①相手よりも努力する気持ち

お互いに「相手以上の努力をする」という気持ちを持っていないと、本来のWin-Winな関係は築けません。Win-Winの誤った考え方のひとつに「双方とも同等に協力し合い、平等に利益を得る」が挙げられます。

このような考え方では「相手よりも余計に努力をしたら損をする」と感じ、相手の出方に合わせてしまいかねません。また相手の利益が大きい場合、不公平感を覚えてしまうのです。

期待どおりの結果を得るためには、相手をリードするくらいの気持ちで努力する必要があります。

②異なる価値観を認め合う気持ち

相手にとってのWinを理解するには相手の考え方や信念、ビジョンなどを含めた「価値観」の理解が必要です。相手の価値観とこちらの価値観には少なからず相違が生じます。

お互いの価値観のズレや違いを把握していないと、相手が望んでいることまったく違った的外れな交渉になる可能性も高いです。

たとえば相場よりも高い料金を提示したにも関わらず難色を示されたとしましょう。相手は金銭的な利益を期待していないかもしれないのです。相手が望む利益を探るためにも、相手の価値観を今一度洗い出す必要があります。

③駆け引きの道具として使わない

Win-Winを目指す交渉は駆け引きと異なります。そもそも駆け引きとは、相手の状況や出方を見て、自分にとって都合のよい結果へ導くための戦術。つまり自分が勝って利益を得ることを念頭に置いた考え方といえます。

Win-Winはお互いが利益を得ることを目指すため、相手を思って行動するという考え方や姿勢を忘れてはなりません。

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6.Win-Winについて深く知りたい人におすすめの書籍

Win-Winについて詳しく書かれた書籍はいくつかあります。なかでもおすすめは『7つの習慣』という書籍です。この書籍について解説しましょう。

『7つの習慣』

『7つの習慣』とは、スティーブン・R.コヴィー氏が提唱した「成長プロセス」を解説した書籍です。1989年に出版されてから世界的なベストセラーとなり、一時は20世紀に最も影響を与えたビジネス書ともいわれました。

この本の第4の習慣に「Win Winを考える」が挙げられています。スティーブン・R.コヴィー氏は、競争ではなく「協力する舞台がWin Win」で、Win Winだけが相手との長期的な関係を実現できると述べているのです。

またWin Winを築けるようになるためには個人の成長が必要で、それには第1から第3の習慣を身につける必要があると推奨しています。

著者であるスティーブン・R.コヴィー氏とは?

著者であるスティーブン・R.コヴィー氏は、アメリカ合衆国ユタ州出身の作家兼経営コンサルタント。同氏は1932年生まれで1952年にユタ大学を卒業し、その後1957年にはハバード・ビジネス・スクールでMBAを取得しました。

1976年にはブリガムヤング大学で博士号を取得しています。その後1983年にフランクリン・コヴィー社の共同創設者となり、同社はアメリカと日本でコーチングやコンサルティングなどのサービスを提供しているのです。

『7つの習慣』以外にも、リーダーシップやキャリア形成、マネジメントなど、多数のビジネス関連書籍を執筆しています。