バリュープロポジションとは? キャンバスの作り方、具体例

バリュープロポジションとは、顧客にとっての商品価値のことです。その重要性や定義、メリットやフレームワーク、注意点や具体例などについて、見ていきます。

1.バリュープロポジションとは?

バリュープロポジションとは、顧客が商品やサービスを手に入れた結果、得られる明確な利益やメリットのこと。競合他社の商品では得られない、唯一の価値を顧客にもたらせるのがバリュープロポジションであるとも考えます。

顧客が商品を購入してくれなければ利益は得られません。そのため顧客を集める段階より以前に、バリュープロポジションを検討しておく必要があります。

バリュープロポジションの重要性

製品やサービスの差別化を図る状況があるからこそ、バリュープロポジションが重要とされています。競合他社が増えるほどそれと差別化するため、顧客のニーズや求める価値からかけ離れた製品やサービスが多くなる傾向にあるのです。

その結果、顧客とのズレが生じてしまいます。これを避けるために、バリュープロポジションの考え方が重要となるのです。

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2.バリュープロポジションの定義

バリュープロポジションは次の条件を満たしている必要があります。

  • 顧客のニーズを満たしている
  • 競合と差別化できている

まず競合他社より、顧客のニーズを満たした製品やサービスであることが大切です。また競合他社との差別化は、他社のもたらしているバリュープロポジションを把握したうえで、まだ顧客が満足していない部分に注目します。

この際、差別化にばかり関心を払っていると、顧客ニーズから離れてしまうので注意が必要です。

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3.バリュープロポジションのメリット

新しいサービスなどを考える際にバリュープロポジションを作る大きなメリットは次の3つがあります。くわしく解説しましょう。

  1. ニーズのズレを正せる
  2. 新しいニーズが見つかる
  3. 自社のブランディングを強化できる

①ニーズのズレを正せる

既存の商品やサービスのバリュープロポジションを考えると、企業が想定しているものと、顧客のニーズのズレを見つけられます。

このズレを顧客のニーズにマッチした商品やサービスへと改善すれば、売り上げを伸ばせるでしょう。優れた製品だと思っているのは企業側だけで、顧客には使いづらかったというミスマッチも少なくありません。

②新しいニーズが見つかる

これまで気づかなかった、顧客が求める本当のニーズを発見できる可能性があります。バリュープロポジションは顧客に商品価値を伝えるだけでなく、商品開発やマーケティング
にも活用できるのです。

新たなニーズが見つかれば、新たな顧客を獲得したり、集客数や売り上げをさらに伸ばしたりできるでしょう。

③自社のブランディングを強化できる

バリュープロポジションを考えると、自社の強みが見えてくるでしょう。そしてこの商品・サービスならこの会社といったブランドイメージを顧客に抱かせられます。ブランドイメージの例は、下記のとおりです。

  • いつも専門スタッフが対応してくれる
  • つねに商品がそろっている
  • 定期的に点検してくれる

他社にない商品を扱っている会社であれば、さらに販路を広げ、売り上げを伸ばせるでしょう。

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4.バリュープロポジションキャンバスの作り方

バリュープロポジションを作る際、バリュープロポジションキャンバスを利用します。それにより自社の製品やサービスと、顧客ニーズのポイントが可視化され、ずれも解消されて、改善点がわかりやすくなるのです。

バリュープロポジションキャンパスは、下記2つのテンプレートから構成されています。

  1. 顧客セグメント「Customer Segment」
  2. 顧客への提供価値「Value Proposition」

続いて書き方を見ていきましょう。

  1. ターゲット
  2. 顧客が持つニーズ
  3. 顧客への提供価値

①ターゲット

まず顧客セグメントに、「どのような顧客に対して商品やサービスを提供するか」といったターゲットを記載します。その際、下記の点を具体的にするとよいでしょう。

  • 年齢や性別
  • 仕事内容
  • 年収
  • 賃貸か持ち家か
  • 休日の過ごし方

事前にアンケートやヒアリングなどを行い、実際の顧客ニーズとのズレを防ぐのも大切です。

②顧客が持つニーズ

顧客セグメントは、次の3つの顧客ニーズから構成されています。そこでそれぞれに内容を記入していくのです。

  • 顧客が解決したい課題「Customer Job(s) 」:顧客の欲求や目的の本質を考える
  • 顧客の利得「Gains」:顧客が課題を解決することで得られるメリット
  • 顧客の悩み「Pains」:課題を解決するにあたっての障害やリスク

③顧客への提供価値

顧客への提供価値は、次の3つからなります。

  • 製品やサービス「Product & Services 」
  • 顧客に利得をもたらすもの「Gain Creators」
  • 顧客の悩みを取り除くもの「Pain Relievers」

製品やサービスは、自社の具体的な商品やサービスです。顧客に利得をもたらす・顧客の悩みを取り除くものでは、顧客の要望を満たす商品やサービスのあり方を記入します。それぞれ記入したら顧客セグメントの内容とずれがないか、確認しましょう。

このようにバリュープロポジションキャンパスを書くと、改善ポイントが可視化できます。

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5.バリュープロポジションのフレームワーク

バリュープロポジションキャンパス以外のフレームワークを3つ紹介します。

  1. 3C分析
  2. STP分析
  3. ジョブ理論

①3C分析

以下3つのCを明確にして分析し、バリュープロポジションを作るものです。

  • 顧客(Customer)
  • 競合会社(Competitor)
  • 自社(Company)

顧客についてどのような動きを取っているかを調べ、把握します。また競合会社の優れたところや特徴ある点を理解するのです。そして顧客と競合相手を分析して、自社について分析し、独自の優れた点を確立後、バリュープロポジションを考えます。

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②STP分析

以下3つの要素を重視して自社を分析します。

  • セグメンテーション(Segmentation)
  • ターゲティング(Target)
  • ポジショニング(Positioning)

まずターゲットの属性を細かくわけ、そこからターゲットにする客層をピンポイントで考えます。その際、年代や生活スタイルなど詳細なものを想定しましょう。そして自社商材の市場での立ち位置を分析します。

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③ジョブ理論

顧客の購買行動の背景にあるメカニズムを説明する理論です。

ジョブ(仕事)とは、抱えている願望や満たされない不満、こなすべき用事などのことで、「片づけたいこと」を意味します。商材を利用し、ジョブを解決することを、「ハイア(雇う)」と呼ぶのです。

たとえばコンビニエンスストアでガムを買ったというハイアがあったとしましょう。この場合のジョブとして、「何か甘いものが食べたかった」「お釣りの小銭が欲しかった」「待ち合わせまでの時間をつぶしたかった」などが考えられます。

「ガムが食べたかった」は求めていることにあたりません。

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6.バリュープロポジションの注意点

効果的なバリュープロポジションを作るためには、何に気をつければよいのでしょう。4つの注意点を解説します。

  1. 顧客の視点を保つ
  2. 根拠をもって設定する
  3. 誰が見てもわかりやすく
  4. 競合との差別化を忘れない

①顧客の視点を保つ

良質なバリュープロポジションのためには、顧客のニーズに焦点を当てて、顧客の目線に立って考えることが重要です。

社内の人間だけで考えていては、ひとりよがりのバリュープロポジションになってしまいます。顧客へアンケートやヒアリングを行ったり、実際に現場で観察したりして顧客のニーズを正確に知りましょう。

②根拠をもって設定する

根拠のないイメージだけで、バリュープロポジションを設定してしまうのは避けましょう。

  • 新婚の家庭はこんな家具を置きたいと思うだろう
  • 収入が高い人は高級車を持ちたいだろう

このように先入観で考えると、顧客のニーズを見失ってしまいます。また商品やサービスを開発した際の理想に流されがちになるので、その点も注意しましょう。

新しい商品やサービスを開発する際は、過去に考えた設定を流用するのではなく、あらためて根拠をもって設定し直します。

③誰が見てもわかりやすく

バリュープロポジションは商材のキャッチコピーだと考えましょう。そして誰にでもわかりやすく、すぐに理解できるようなものにします。ぱっと読んで把握できるようシンプルに書くとアイディアも整理され、誰にでもわかりやすくなるでしょう。

またプロジェクトでは、さまざまな立場から複数の人が参考にする情報が記載されます。一部の人にしか通じない専門用語や業界用語の使用は控えましょう。

④競合との差別化を忘れない

競合他社と比べて差別化が図れているか、チェックします。バリュープロポジションは、競合他社にはない、自社だけができる価値の提供が重要なポイントです。

優位性のない商品やサービスを提供していては、競合他社の二番煎じになってしまいます。顧客ニーズに注視しながら、自社の優位性を検討しましょう。

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7.バリュープロポジションの具体例

バリュープロポジションの具体例を、下記4つから紹介しましょう。

  1. iPhone
  2. Slack
  3. Zoom
  4. Uber

①iPhone

iPhoneのバリュープロポジションは、「スマートフォンは単なる機能の集合体ではない」というもの。機能だけでなく、スタイリッシュで洗練されたiPhoneのデザインは、つねにスマートフォンのデザインをリードしています。

複雑なセキュリティシステムも、これまでは専門家にしか理解できなかった仕組みをわかりやすく提供しました。これにより誰もが気軽に安心してiPhoneを使えるようになったのです。

②Slack

ビジネス用のコミュニケーションツールSlackのバリュープロポジションは、「仕事をよりシンプルに、より快適に、より生産的にする」。Slackを利用すると会社内のコミュニケーションが円滑に進みます。企業では、下記のような効果が見られました。

  • 生産性が向上する
  • 情報の共有と蓄積が容易になる
  • チームの結束が強くなる

信頼性やセキュリティにも定評があります。顧客の求めていることを満たしつつ、競合との差別化をした結果、高いシェアを誇るようになりました。

③ZOOM

新型コロナ感染症の急激な拡大で、リモートワークが一気に広がりました。その際、Zoomの導入によって仕事や人とのコミュニケーションが可能になり、今では企業での利用も定着しているのです。Zoomは下記に価値を置き、サービスを提供しています。

  • 会議に機能を特化
  • 画面操作がしやすい
  • 最大1000人まで参加できる

わかりやすい明確な料金設定で、利用者が本当に必要としている機能を選択できるようになっています。

④Uber

配車サービスのUberは、「ユーザーの利便性」というバリュープロポジションを提供しています。また下記のように、利用者と運転手とのやりとりが最小限で済むのです。

  • 利用者はスマートフォンの操作でかんたんに車を呼べる
  • 運転手はすでに行き先を把握している
  • 運賃の支払いはキャッシュレスである

タクシーのように、配車係と会話をしたり運転手に目的地を説明したりする必要はありません。Uberはそうした手間を取り払い、利便性というバリュープロポジションを顧客に提供して成長したのです。