特定派遣とは? 特定派遣と一般派遣、労働者派遣法の改正

特定派遣とは特定労働者派遣のこと。常時雇用として労働者を雇い、発注先へ派遣する事業です。 特定派遣と一般派遣の違いや労働者派遣法の改正について詳しく解説します。

1.特定派遣とは?

特定派遣は、派遣会社の正社員として常用雇用契約を結び、発注先へ労働者を派遣する形態のこと。2008年秋のリーマンショック以降、派遣切りが多発し社会問題へ発展。その際、派遣制度が注目されるようになりました。

不安定な働き方を改めるため、労働者派遣事業制度の見直しが行われ、特定派遣は2015年9月30日に廃止。一般派遣と一本化され、「労働者派遣事業」となったのです。それにともない、労働者派遣法も大幅に改正され、現在の派遣事業の定義になっています。

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2.特定派遣と一般派遣

派遣事業には、特定派遣と一般派遣の2種類ありましたが2015年の法改正により統一され、名称やルールも変更されました。改正の内容を確認する前にまず、特定派遣と一般派遣の特徴や違いを把握しておきましょう。

特定派遣と一般派遣の違い

派遣元会社(所属会社)との雇用形態が違います。

  • 特定派遣:派遣元会社が社員を常時雇用し、発注先へ派遣。発注先での常駐(契約期間)が終わっても派遣元会社との雇用契約は続いているので給料は発生する
  • 一般派遣:登録制という形態で、派遣先が決定した際に派遣元会社との雇用契約が発生する。したがって発注先での勤務期間が終わり、次が決まっていなければ派遣元会社との契約も終了となる

特定派遣事業とは?

派遣元会社の社員として派遣先へ派遣される事業のこと。「常用型派遣」といい、派遣先での仕事が終わっても、次の派遣先が決まるまで仕事を失う心配がない安定した働き方です。

しかし「正社員と同じ仕事量にもかかわらず、正社員よりも待遇が悪い」といったデメリットもあります。

一般派遣事業とは?

登録制の雇用形態をとる派遣事業のこと。「登録型派遣」といい、派遣会社に登録している労働者は働き先が決定した際に労働契約が結ばれる仕組みです。

一般派遣会社のなかには、社員として雇用され、別の仕事の派遣に向かう労働者もいます。この「常用型派遣」と「登録型派遣」の2つを行う事業が一般派遣の特徴です。

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3.労働者派遣法の改正

労働者派遣法が制定されたのは1986年のこと。しかし2012年・2015年・2020年に大幅な法改定が行われました。いずれも派遣社員が安心して働けるよう労働環境の整備を目的として施工されているのです。

労働者派遣法の概要や法改正について見てみましょう。

労働者派遣法とは?

2012年10月1日、正式名称が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改正されました。労働者派遣法はこれまでに数多くの改正が行われています。近年、2021年4月1日の法改正として次の2点が示されているのです。

雇用安定措置に関する派遣労働者の希望の聴取

  • 派遣元事業主が当該雇用安定措置を講じるにあたって、あらかじめ派遣労働者から希望する当該措置の内容を聴取することが義務化(労働者派遣法施行規則第25条の2第3項)
  • 労働者から聴取した内容を派遣元管理台帳に記載する(労働者派遣法施行規則第31条第10号)

マージン率等のインターネットでの提供

  • マージン率等については原則、インターネットの利用による情報提供が必要(労働者派遣法施行規則第18条の2第1項、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針第2の16)

特定派遣の廃止

2015年9月30日をもって特定派遣事業は廃止され、許可制での一般派遣事業のみとなりました。不正を行う会社や悪質な中小派遣会社が増えることを懸念したためです。

労働者派遣法の改正により規制緩和の流れで数多くの業種の派遣が可能になりました。同時に、これまで特定派遣を行っていた企業については制度の見直しが求められたのです。

労働者派遣事業に一本化

2種類あった派遣は、労働者派遣事業として一本化されました。現在、厚生労働省の許可を得ずに労働者派遣事業を行った場合は「無許可派遣」となり、労働局から指導の対象となるほか、事業主名などが公表される場合もあります。

また罰則として、1年以下の懲役または100万円以下の罰則(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第59条第1項第2号)に処されるのです。

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4.特定派遣が廃止になった理由と問題点

特定派遣は一般派遣と違い、期間の制限がないため一見安定しているように見えます。それなのになぜ廃止になってしまったのでしょうか。背景と問題点について詳しく説明していきます。

  1. 特定派遣が廃止された背景
  2. 名ばかり正社員
  3. 特定派遣労働者を会社が解雇する場合も

①特定派遣が廃止された背景

派遣労働者の立場が不安定になりやすい点が原因のひとつとして挙げられます。特定派遣における「常時雇用」の定義は不確かなものだったのです。

常時雇用は、事実上期間の定めなく雇用されている労働者を指します。しかし必ずしも無期契約するという定めはありませんでした。そのため短期間で有期雇用を繰り返す事業者が増え、派遣労働者の立場が不安定になったのです。

②名ばかり正社員

特定派遣では、期間に定めのない雇用契約を結びます。しかし必ずしも正社員で雇用する必要はなく、契約社員や準社員などの雇用形態を取る派遣事業もありました。

たとえばIT業界や製造業の技術者派遣で、特定派遣であるはずが「契約社員」という名目にて3カ月単位での有期契約を繰り返すといった行為です。このように派遣労働者の立場が不安定になったことが法律改定の要因になったとされています。

③特定派遣労働者を会社が解雇する場合も

業績が悪化すると、特定派遣労働者への給与を支払わず人員整理と称して解雇する会社もありました。特定派遣は、派遣先が決まらない間も労働者へ給料の支払いが必要です。労働者にとってメリットがある一方、大きな問題がありました。

業績が悪化すると、支払い義務を逃れるために労働者を解雇する事業者が現れたのです。こういった問題を受け、特定派遣の制度の見直しや、法律の改正につながったとされます。

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5.特定派遣の廃止でダメージを受ける業界とは

特定派遣が認められていたのは専門性の高い26種類の業界です。それぞれの業界が受けたダメージについて説明します。

IT企業や派遣会社が受けた影響

特定派遣制度は、IT企業に対して技術者を派遣するためにできたといわれています。特定派遣は、企業の人材確保において欠かせない理想的な制度だったのです。

しかし特定派遣が廃止になると、一般派遣の許可を得られていない企業は、労働者派遣事業が運営できなくなりました。法改正が進むなか、IT企業はもちろん大手を中心に派遣していた派遣会社は、次第に淘汰(とうた)されるようになったのです。

IT企業以外でダメージを受けた業種

IT企業以外にも特定派遣廃止により、大きなダメージを受けた業種は多々ありました。たとえば次のような業種です。

  • 通訳・翻訳・速記・秘書
  • 整備・機械設計
  • 研究開発
  • 広告デザイン
  • インテリアコーディネーター
  • アナウンサー

これらの業種に就いていた派遣労働者が新しい就職先を探す状況になったといわれています。

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6.特定派遣廃止による影響

厚生労働省が発表した2018年度労働者派遣事業報告書(3万8,128事業所集計)を参考に、特定派遣廃止による影響を3つの項目から見ていきましょう。

  1. 派遣労働者数の減少
  2. 売上高の減少
  3. 派遣労働者の雇用期間への影響

①派遣労働者数の減少

2018年度における派遣労働者数は全国で168万2,531人。一部の地域ブロック別にみると、南関東70万6,105人、近畿26万5,478人、東海23万2,953人です。前年度に比べると全国の人数は4.4%減りました。

特定派遣事業に対する「経過措置」撤廃も労働者数が減少した要因のひとつ。一本化された結果、事業所数も前年より4割近く減少しています。

②売上高の減少

派遣先件数は68万9,720件と前年から2.5%減少しました。年間売上高は6兆3,816億円となり、前年から1.8%の減少。いずれも2年連続で減少しています。

それに対し派遣料金(8時間換算)は、平均2万3,044円(対前年度比8.9%増)。また派遣労働者の賃金(8時間換算)も、平均1万4,888円(対前年度比7.6%増)という結果になりました。労働者の賃金が見直されているとわかります。

③派遣労働者の雇用期間への影響

有期派遣は伸びましたが、無期派遣は微減という状況です。その詳細は、無期雇用派遣労働者が51万815人(対前年度比13.5%増)、有期雇用派遣労働者が117万1,716人(対前年度比10.6%減)。

派遣元が雇用安定措置を講じたことが理由となり、派遣労働者数は無期を中心に伸びているとわかります。

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7. 一般派遣への切り替え時に発生した諸問題

一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業が一本化された結果、2018年9月30日以降に労働者派遣事業を行う場合は労働局に申請を出し、許可をもらわなくてはなりません。一般労働者派遣事業へ切り替えた際に発生した問題点について解説します。

  1. 認可取得の要件
  2. 許可取得できなかった企業はどうなったのか?
  3. 派遣先企業では偽装請負問題も

①認可取得の要件

労働者派遣事業を行うに当たって、以下の条件が必要となりす。

  • 刑事罰といった法に触れていない
  • 特定の企業に対してのみ派遣事業を行う目的ではない
  • 派遣事業を適正に遂行できる能力がある
  • 個人情報の管理を徹底している
  • 適切な雇用管理がなされている
  • 社会保険や労働保険に加入している
  • 資産要件を満たしている

②許可取得できなかった企業はどうなったのか?

IT業界の中小規模システム会社は、要件を満たすのが難しく淘汰(とうた)されました。実際に数値でも件数の減少が見られています。許可が得られなかった企業は、労働者派遣事業が存続できなくなったのです。

③派遣先企業では偽装請負問題も

偽装請負とは、契約書上は準委任契約をしておきながら、発注先側の指揮命令を受けて業務を行うこと。職業安定法第44条では「労働者供給事業の禁止」として労働者派遣事業ではない労働者の供給禁止を定めています。

しかしこの法律の抜け道として、偽装請負が行われるケースも発生。二重派遣といわれ、職業安定法44条だけではなく、労働者派遣法第6条などの法律に抵触するものです。

一般派遣の許認可を得られない会社が増加した場合、偽装請負が常態化してしまう可能性もあります。