シナジーとは? シナジー効果の種類や企業事例について

シナジー(synergy)とは、2つ以上のものなどが、相互に作用し合い、1つの効果や機能を高めること。ビジネスにおいては、複数の企業が連携することにより、単独で行うよりも大きな結果を出すことを指します。

ここでは、

  • シナジーとは何か
  • シナジー効果の種類
  • シナジー効果の企業事例

などについて、詳しく解説します。

1.シナジー(synergy)とは?

シナジー(synergy)とは、2つ以上のもの、人、事柄が相互に作用し合い、1つの効果や機能を高めることで、「相乗作用」という意味です。このことを「相乗効果」「共同作用」といい、シナジーはその意味でも使用されます。

経営戦略においては、販売・設備・技術などの機能を二重三重に活用することで利益が相乗的に生み出されるという効果を指しています。シナジー効果とも呼ばれ、ビジネスでは複数企業の連携や共同運営により単独よりも大きな結果を出すことを指しているのです。

シナジーという言葉は、経営戦略の父として知られるアメリカの経営学者、イゴール・アンゾフが使い始めた言葉として知られ、その著書によってこの概念が広く周知されました。

シナジー(synergy)とは2つ以上のものが、相互に作用し合い、1つの効果や機能を高めることを意味します

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2.各分野におけるシナジーの意味

シナジーはもともと薬学や生理学、生物学分野において用いられていた専門用語として使われていましたが、次第に「相乗作用」を意味するカタカナ用語として一般化されたのです。

現在は経営学における用語や一般語としても用いられており、ビジネスでは主に、経営戦略を立てる場面で使用されますが、使用される分野は特に限定されていません。

たとえば、医薬品業界では相乗作用のことを指す場合があり、工学系分野においては、「シナジーセラミックス」「シナジーマテリアル」などの機能性材料を表すときに使われているのです。

生理学・生物学におけるシナジーの意味
生理学・生物学分野においてシナジーとは、筋肉や神経など2つ以上が連携して作用することにより、相乗効果を生むことを指します。

この分野においては、シナジーは「筋シナジー」などの用語で使用され、この用語は多数の筋の活動に見られる協調構造を意味しており、分かりやすくいえば複数ある筋の同時活動のことです。

一般語としてのシナジーの意味
一般語としてシナジーが使われる場合、「1+1」が2以上の効果を生むような全体的な効果に寄与するために行われる協力活動や共同活動のことを指します。

使用例としては、「Aさんの奇抜な発想力とBさんの応用力を合わせれば、凄いシナジー効果を得られるに違いない」などがあります。

経営学におけるシナジーの意味
経営学におけるシナジーとは、販売・設備・技術などの機能を二重三重に活用することにより、利益が相乗的に生み出されるという効果(=シナジー効果)のこと。

複数の企業が連携したり共同で運営を行ったりすることで、単独で行動するよりも大きな結果を出すことを意味するのです。また企業活動において、分業化などの職能分担によって個々の活動を合わせる以上の相乗効果を生むことをいいます。

たとえば、企業において今まで別個に使っていた2つの技術を結び付けて新たな製品を作り出せば技術上のシナジーが得られたこととなります。

このような意味合いでシナジーという言葉を使い始めたのは、経営戦略の父として知られるアメリカの経営学者、イゴール・アンゾフです。

シナジーという用語は、もともと生理学・生物学分野において使われていましたが、現在は一般語、経営学分野においても使用されています

3.シナジー効果(synergy effect)とは?

シナジー効果とは、複数の企業や企業内の異なる事業部門が協働して得られる相乗効果のこと。主に経営学で用いる用語で、英語でいうところの「synergy effect」を指します。

組織や企業、人などが共同し1つとなることで、個々で発揮していた力よりも、その効果がさらに上回ることを意味しているのです。

複数の企業や事業のアライアンスにより、単独の場合よりも価値が大きくなることが特徴といえるでしょう。企業のM&Aや共同運営、共同投資、業務提携などがその代表的な例です。

反対語:アナジー効果の定義

「シナジー」の反対語として「アナジー」という言葉があります。企業同士の連携などは、必ずしも成功するわけではありません。企業同士が相乗効果を狙って提携や統合などをした結果、双方にデメリットが目立ち価値が減少することをアナジーと呼ぶのです。

相互マイナス効果のことを意味しており、ほかには「マイナスシナジー」「ネガティブシナジー」「負のシナジー」「ディスシナジー」などと表現することもあります。

企業における事業部門の協働や統合の場合においても、同一の評価基準で異なる事業を評価して弊害を招いたり、本社部門による各事業の統制により意思決定のスピードが落ちたりする場合もアナジーといえるでしょう。

たとえば、2つの事業の価値がそれぞれ100とすると、協働や統合によって価値が200以上になる場合がシナジー、180または150などに減ってしまう状態がアナジーです。

ピュアカンパニー化とは?

ピュアカンパニー化とは、規模拡大で膨張した多角化企業で生じていたアナジーを解消するために、本来の姿である特定の分野に限定した専業企業に戻そうという動きのこと。

たとえば、複数のメーカーから電子機器の生産を受注するEMS企業や、総合電機メーカーから分離した半導体専業メーカーなどです。

総合化によってシナジーを追い求めるのではなく、逆の方向に経営のかじを切ってアナジーの解消を狙った動きは現在注目されています。

これまで規模拡大で膨張を続けてきた多角化企業を、競争力のあるコア事業に絞り込んで事業構造を変化させると同時にバリュー・チェーン(価値連鎖)の短縮化などを目的として、ピュアカンパニー化が一気に進んだのです。

シナジー効果とは、企業や事業が協働することによって得られる相乗効果のこと。シナジーの反対語はアナジーといい、相互マイナス効果を意味します

4.ビジネスにおいてシナジー効果が求められる理由・背景

ビジネスにおいてシナジー効果が求められる理由は企業価値の向上と競争力の強化。企業価値の向上により、資金調達や人材確保が容易になり、経営の安定につながるのです。企業価値は主に時価総額で示されます。

また、シナジー効果を狙ったM&Aや事業提携が成功すれば、自社の競争力を強化でき、競合他社との競争を優位に進められます。シナジー効果を存分に発揮させれば、企業の持続的な成長にもつながるでしょう。

企業価値の向上

上場企業において、時価総額の上昇とはすなわち株価の上昇を意味します。経済がグローバル化し、ビジネス課題が多様化する中で先々の企業の方向性を見出し、新たな事業を手掛けることは、日本の株式市場において好材料と判断されます。

経営多角化戦略を打ち出し、積極的にM&Aを行う企業は、株価が高くなる傾向にあります。なぜなら株価が上昇することで企業イメージが高まり、資金調達や人材確保が有利となるからです。

競争力の強化

ビジネスの世界は基本、市場原理による競争で成り立っています。競合他社に対する競争力を持っていなければ、たちまち市場を奪われるでしょう。

市場ニーズが多様化する中で、企業は1つの事業を続けることは難しくなっており、新たな技術革新による破壊的イノベーションによって市場を奪われる危険性も高まっているのです。

もしシナジー効果を狙ったM&Aや事業提携、経営多角化戦略がうまくいけば、自社の競争力を強化でき、競合他社との競争も優位に進められます。シナジー効果の発揮は、安定的かつ強固な財務基盤の構築や企業の持続的な成長につながるのです。

ビジネスにおいてシナジー効果が求められる理由は、企業価値の向上と競争力の強化です。それにより、経営が安定し、持続的な成長が可能となります

5.シナジー効果の種類

経営学でシナジー効果を説明する場合、シナジーが生み出される対象によって言い方が分類されることがあるのです。シナジー効果の種類には、下記の3つがあり、その中でもさらに効果は分けられます。

  1. 事業シナジー
  2. 財務シナジー
  3. 組織シナジー

①事業シナジーとは?

事業シナジーとは、事業の推進に対するシナジー効果のこと。複数の事業者が合同することにより実現し、得られる効果は、「コスト削減」「スケールメリット」「人材獲得」の3つに分類できます。

コスト削減

「コスト削減」効果とは、複数の事業者が合同することにより、各事業において重複している部門の見直しやカット、また重複して投資している箇所を削減すること。

具体例として、事業規模の拡大で大量仕入れを可能として仕入れコストを削減、物流を統一して物流コストを削減などが挙げられます。

スケールメリット

「スケールメリット」効果とは、複数の事業者が合同で1回の生産量を多くして、1商品にかかる費用を減らし、純利益を増やすこと。規模の経済、規模の優位性ともいいます。

スケールメリットによって得られる効果は、経営効率化やコスト削減、競合他社に対する優位性など。業種や職種を問わず、多様な経営環境に当てはめることができるため、ビジネスのあらゆるシーンで使用されます。

人材獲得

「人材獲得」効果とは、複数の事業者が合同して必要な人材を獲得し、技術やノウハウを取り込んで業績をアップさせ、競争力を強化させること。

M&Aにおいては、優秀な人材を獲得できるため、人事面での活性化を図ることができます。そのためには、自社もしくは買収先でどのような人材が必要なのか、正確な把握が必要性です。

②財務シナジーとは?

財務シナジーとは、企業のお金や税金に対するシナジー効果のことで、特に企業のM&Aにおいてその効果が得られます。得られる効果は、「余剰資金活用」「節税効果」の2つです。

余剰資金活用

「余剰資金活用」効果とは、企業のM&Aにて合併や買収を行い、余剰資金を有効活用すること。上場企業の場合、過度に余剰資金をだぶつかせておくのは得策ではありません。

将来有望なベンチャー企業に資本参加したり、優秀な人材を確保したりするために資金を使えば、将来的にそれが何倍にもなって返ってくる可能性があるのです。

節税効果

「節税効果」とは、企業のM&Aにおいて、繰越欠損金などの債務を受け継いである程度の節税効果を見込むこと。

たとえば、買収先の企業に過去の繰越欠損金が積み上がっている場合、その欠損金を自社に計上すると、黒字であれば利益額を圧縮できます。つまり、課税の対象となる金額を小さくできるため、節税効果が得られるのです。

③組織シナジーとは?

組織シナジーとは、個人が互いに連携・協力し、1つの組織として活動して得られる効果で、これこそが生産性の向上です。

生産性向上

「生産性向上」効果とは、個人が互いに連携・協力し、1つの組織として活動することにより、関係する個々人の総和以上の生産力を発揮すること。

よく耳にする言葉で置き換えると「チームワーク」で、具体例としては、業務の効率化、社員のモチベーションアップなどが挙げられます。

業務の効率化では、連携・協力により、個々がレベルアップして、短時間で効率よく利益が生み出せるようになり、モチベーションアップでは、連携・協力によって個々が切磋琢磨できるようになります。その結果、生産性が向上するのです。

経営学でシナジー効果という場合、その種類は、事業シナジー、財務シナジー、組織シナジーの3つに分類されます

6.企業がシナジー効果を生み出す方法

企業がシナジー効果を生み出すためには、何らかの方法で他社、もしくは企業内の他事業部と協働、もしくは合同する必要があり、それには下記4つの方法が挙げられます。

  1. 業務提携
  2. M&A
  3. 多角化戦略
  4. グループ一体経営

4つの方法についてどのようなものなのか、その詳細について見ていきましょう。

①業務提携

業務提携とは、異なる商品・サービス、技術を持つ企業同士が事業提携して、相互補完を実現し、それぞれの経営課題の解決を目指すこと。

業務提携によりノウハウを共有し、企業価値を高めることで、シナジー効果を得られます。特に経営ノウハウの共有は、生産性の向上や市場の開拓などに高いシナジー効果を発揮できるでしょう。

②M&A

M&Aとは、企業を買収、合併して、スケールメリットや新たな価値の創造、節税効果を目指すこと。

具体的には、スケールメリットによる仕入れのコスト削減、生産性向上による新たな価値の創造、事業譲渡における繰越欠損金の特例などが挙げられます。M&Aにはそのほかにも売り上げアップやリスク分散、財務力の向上など多くのメリットがあるのです。

③多角化戦略

多角化戦略とは、企業全体の売り上げや収益を向上させるために、主力事業とは別の分野に進出し、シェアの獲得および拡大を目指すこと。

多角化戦略は、「水平型多角化戦略」「垂直型多角化戦略」「集中型多角化戦略」「集成型多角化戦略」の4つに分類でき、この中から自社に合った戦略を構築できます。

特に水平型多角化戦略は、自社が持つ技術やノウハウをもとに新規市場を開拓する有効な方法としてシナジー効果が期待できるでしょう。

水平型多角化戦略

「水平型多角化戦略」とは、蓄積してきた技術やノウハウを活用し、既存と同様の顧客を対象として新製品を投入する多角化戦略のことで、現在ある製品・市場と同じ分野へ多角化するものです。

例として、オートバイメーカーが自動車の生産・販売を行う場合などが挙げられます。企業がすでに持つ生産技術やマーケティング能力を活用できるので成功しやすいといえるでしょう。

垂直型多角化戦略

「垂直型多角化戦略」とは、バリューチェーンの川上から川下、または川下から川上へと領域を広げる多角化戦略のことで、川下へ広げることを前方的多角化、川上へ広げることを後方的多角化といいます。

飲食チェーン店のように生産、流通、加工、販売のすべてを担う業態がこれに該当します。また、製造業やメーカーが選択しやすい多角化戦略です。

集中型多角化戦略

「集中型多角化戦略」とは、技術、対象顧客のどちらか、もしくは両面で関連性を有する多角化戦略のこと。具体的には、食品メーカーがバイオ事業に進出する、といった戦略が挙げられます。

現在あるものと新しいものを技術面などで関連付け、新規の市場に進出する多角化戦略は、特殊な技術などを持つ企業が経営資源を効果的に活用することでシナジー効果が期待できます。

集成型多角化戦略

「集成型多角化戦略」とは、企業が既存の事業に関連のない新規分野に進出する多角化戦略のこと。この多角化は比較的リスクが高いとされていますが、成功すれば企業の成長する方向性を大幅に広げられます。

例として挙げられるのは、カメラ関連事業の企業が、直接関連のない人工衛星や医療分野に進出するなどです。

④グループ一体経営

グループ一体経営とは、複数のグループ会社を持つ企業体が、共通業務の一本化によってコスト削減などを行い、経営のスリム化を目指すこと。共通のニーズを持つ顧客へアプローチの強化を図ることも可能です。

共通する業務やノウハウが多い金融業界においては、グループ一体経営が最適といえるでしょう。同業種の事業を集約させることで、スケールメリットも生まれやすくなります。

企業がシナジー効果を生み出すための方法には、業務提携、M&A、多角化戦略、グループ一体経営の4つがあります

7.シナジー効果の企業事例

最後にシナジー効果を狙った企業の事例を見ていきましょう。

業務提携によるシナジー効果の事例:トヨタ自動車・スズキ

業務提携によるシナジー効果を狙った事例として挙げられるのが、トヨタ自動車とスズキの業務提携です。2017年2月、トヨタ自動車とスズキが業務提携に向けた検討を開始。2018年8月には、両社の資本提携が発表されました。

両社は長期的な提携関係の構築・推進を目的として、相互に株式を取得しました。自動運転分野など新たなフィールドで協力関係を構築し、自動車産業における多様な課題を解決し、持続的な成長を実現させるのが主な狙いです。この業務提携は次の3点において、シナジー効果を狙ったものと分析できます。

  1. トヨタの電動技術とスズキの小型車技術を組み合わせることで、より競争力のある製品開発を目指す
  2. スズキの持つ、インドでの圧倒的な市場シェアを共有する
  3. 部品などの調達を共有化して、コストを下げる

M&Aによるシナジー効果の事例:大正製薬

M&Aによるシナジー効果を狙った事例として挙げられるのが、大正製薬によるドクタープログラムの買収。

2016年12月、大正製薬はドクタープログラムを全株式取得により買収し、大正製薬はドクタープログラムを完全子会社化すると同時に、事業資産、全従業員を継承しました。

ドクタープログラムは、機能性基礎化粧品「トリニティーライン」を中心としたスキンケア領域を主軸に事業展開している会社です。このM&Aは次の2点において、シナジー効果を狙ったものと分析できます。

  1. ドクタープログラムの特徴である通販事業を大正製薬の既存事業に組み合わせ、新規の販売ルートでシェアの拡大を図る
  2. 大正製薬のブランド戦略などのノウハウを活用するとともに、買収により時間を買うことで、迅速にスキンケア領域においても拡張していく

多角化戦略によるシナジー効果の事例:ファミリーマート

多角化戦略によるシナジー効果を狙った事例として挙げられるのが、ファミリーマートです。2018年2月、ファミリーマートは24時間フィットネス「Fit&Go」を既存のファミリーマート店舗に併設する形でオープン。

同年3月には、次世代コインランドリー「Famima Laundry(ファミマランドリー)」を、やはり既存のファミリーマート店舗に併設する形でオープンしました。これは、次の3点において、シナジー効果を狙ったものと分析できます。

  1. フィットネスジムの併設により、運動の前後に必要なアイテムや飲食料品の店舗での購入を促し、新たな収益につなげる
  2. フィットネスがもたらす健康的なイメージを、ファミリーマートのブランドイメージの向上につなげる
  3. 雨天時に利用客数が増えるコインランドリーを併設することで、雨天時に来客数が減る傾向にあるコンビニエンスストアに来客を促し、新たな収益につなげる

グループ一体経営によるシナジー効果の事例:LIXILグループ

グループ一体経営によるシナジー効果を狙った事例として挙げられるのが、2012年7月子会社105社の会計システムの統合を行ったLIXILグループです。

もともと建築材料・住宅設備機器の大手5社が統合し、多数のM&Aを経てきた経緯があり、各社異なる会計システムを用いていました。その会計システムを統合して、各社の歴史や文化、システムなどを1つに合わせていったのです。

また、グループ経営とグローバル展開のスピードアップも目的の1つとされました。このグループ一体経営は、次の2点において、シナジー効果を狙ったものと分析できます。

  1. 会計はほとんどの作業が各社で共通するため、システムの統合により会計部門の共通化(シェアードサービス)を推進できる
  2. 各社の業績をリアルタイムで把握できるようになり、経営判断が素早くできる

日本の多くの企業が業務提携、M&A、多角化戦略、グループ一体経営を実践して、高いシナジー効果を発揮しています