ステークホルダーとは? 背景や特徴、ステークホルダー・エンゲージメント、企業事例について

ビジネスシーンでよく耳にするステークホルダーという言葉の正確な意味をご存じでしょうか?

  • ステークホルダーの本来の意味
  • 広まった背景
  • 種類、特徴、タイプ
  • ステークホルダー・エンゲージメントとは?
  • 企業事例について

などから、ステークホルダーについて掘り下げます。

1.ステークホルダーとは?

ステークホルダーとは、企業や行政、NPOなどの組織が行う活動により、さまざまな影響を受ける利害関係者のこと。株主、経営者、従業員、顧客、取引先、金融機関、地域住民、行政機関など、組織の活動に関わるすべての人がステークホルダーとなるのです。

ステークホルダーの利害関係とは、利益の一致を意味するものではありません。ある企業が利益を挙げることで、競合する企業は損失を受けるでしょう。利益と損失、どちらかの影響を受けていれば、それはステークホルダーとなります。

組織の活動によって影響を受けるすべての利害関係者をステークホルダーといいます。必ずしも両者の利害は一致しません

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2.ステークホルダーが広まった背景

企業は、利益を追求するだけの組織ではなく、環境活動や地域ボランティア、地域社会との共存など社会に対して貢献する責任もあります。

それにもかかわらず、利益だけを追求する経営者による不祥事が発生する場合も。そうした企業を統治する仕組みであるコーポレートガバナンスとしての役割も期待されているステークホルダーの存在は、非常に重要です。

コーポレートガバナンスは、日本語で企業統治といわれています。企業経営を外部から監視する体制を整えて、企業内で起こる会計上の不正や財務内容の虚偽報告などを防止するのです。

ステークホルダーは企業価値の低下に直結する不祥事を防ぐなど、企業を統治するコーポレートガバナンスとしての役割もあります

3.ステークホルダーの種類、特徴、タイプ

株主、経営者、従業員、顧客、取引先、金融機関、地域住民、行政機関など多岐にわたるステークホルダーですが、さらに2種類に分けることができるのです。

  1. 直接的ステークホルダー
  2. 間接的ステークホルダー

①直接的ステークホルダー

主にユーザーや顧客、従業員、取引先、株主、金融機関など。

組織の活動に直接的な影響を与える人、たとえば絶対的な権限を持つ意思決定者もしくは組織の活動の結果によって直接的な影響を受ける人や団体のことを指します。

②間接的ステークホルダー

顧客、従業員の家族、労働組合、公的機関、地域社会などが間接的ステークホルダーに分類されます。

組織の活動に対して直接的な影響を与えない、もしくは組織の活動の結果によって直接的な影響を受けないが、間接的に相互作用関係にある人や団体のことを指します。

ステークホルダーの多くは、団体やグループなど大きなまとまりです。中には、個人単位や事業部や事業所単位などの場合もあります

4.ステークホルダー・エンゲージメントとは?

ステークホルダー・エンゲージメントとは、ステークホルダーが何に関心を持っているかを企業が理解するために行われる取り組みのことで、各ステークホルダーに対するさまざまな活動が行われています。

下記は、ステークホルダー・エンゲージメントの具体例です。

  • 株主:株主総会や投資家向けの説明会の実施など
  • ユーザーや顧客:お客さま相談室やショールームなどの設置、展示会の開催、商品情報の提供など
  • 従業員:意識調査アンケートの実施、労使懇談会の開催など
  • 取引先:調査アンケート、方針説明会の実施など
  • 地域社会:講演、懇談会、工場見学などの開催、市民団体やNGOとの協働など

ステークホルダー・ダイアログとは?

ステークホルダー・ダイアログとは、さまざまなステークホルダーと直接対話して、ニーズや考えを理解し、ステークホルダーの意見を反映するもので、ステークホルダー・エンゲージメントのひとつです。

大学教授や専門機関の代表、弁護士などを招き、企業側の代表や担当部門の部長などが参加して行われる場合が多いとされています。

これにより企業は、ステークホルダーの利害や関心事、ステークホルダーへの影響を把握でき、ニーズに適した製品の提供などを実現できます。

ステークホルダーが何に関心を持っているか知るためのアンケートや説明会など、各ステークホルダーに対するさまざまな活動が行われています。

5.ステークホルダーと企業、事例

利益や損害といった事柄だけでなく、社会貢献なども含めステークホルダーと企業は関わりを持っています。企業はステークホルダーに対して、どのように考えているのでしょうか。事例を紹介します。

日清製粉

日清製粉は、各ステークホルダーに対して次のような基本姿勢で取り組んでいます。

  • 顧客:生活者、事業者のニーズ・ウォンツを的確に把握して、信頼をベースに安心・安全かつ高品質の製品やサービスを提供
  • 株主:安定的かつ適正な配当、適時・適切・継続的に情報開示を図る
  • 従業員:社員一人ひとりが仕事を通じて喜びと生き甲斐を感じながら、能力と個性を最大限に活かせ、安全で健康的に働ける職場環境づくり
  • 取引先:相互信頼をベースに相手の立場を尊重してその成果を共に分かち合うことにより、共存・共栄を図る
  • 社会:健全な事業活動を通じて社会の発展に貢献

伊藤忠グループ

伊藤忠グループは、ステークホルダーとの対話を重視して取り組んでいます。

  • 顧客・消費者・サプライヤー:公式ウェブサイトを通じて情報提供、お問い合わせ窓口、品質管理やサプライヤー・サステナビリティ調査など
  • 株主・投資家・金融機関:株主総会、公式ウェブサイトを通じて情報提供、説明会、調査・格付け対応など
  • 政府機関・業界団体:政府・各省庁関連委員会、協議会などへの参加、財界・業界団体を通じた活動など
  • 地域社会・NGO・NPO:社会貢献活動、ボランティア活動、事業案件周辺の地域住民との対話、定期的なコミュニケーションなど
  • 従業員:社内報を通じた情報提供、研修・セミナーを通じたコミュニケーション、キャリアカウンセリングの実施、24時間対応の社員相談窓口の設置、意識調査、社員総会など

キリングループ

キリングループはステークホルダーと新しい価値を共創していくことを目指して取り組んでいます。

  • 顧客:食と健康を通じて世界の人々の健康、楽しさ、快適さに貢献
  • 株主・投資家:情報開示の充実、建設的な双方向の対話を実施
  • 地球環境:バリューチェーンから発生する環境負荷を低減させながら、地球が賄うことができる能力とのバランスを考え資源を循環させる
  • ビジネスパートナー:SDGsを心掛けた取引の実施など
  • コミュニティ:事業活動を支える地域社会を大切にし、コミュニティの健全で持続的な発展に貢献
  • 従業員:イノベーションを可能とする風土づくり

ヤマハ

ヤマハグループはステークホルダーとのさまざまな対話の機会を設けて、意見や要望などを企業活動に反映しています。

  • 顧客:製品・サービス別の相談窓口(電話・e-mailなど)の設置、日常の営業活動など
  • 株主・投資家:株主総会、投資家向け説明会の実施、投資家向けウェブサイト・メールマガジンで情報を発信
  • 従業員:経営に関する意識調査アンケート、労使会議・労使協議の実施
  • 取引先:日常の営業・調達活動、生産販売動向報告会、方針説明会、アンケート調査の実施
  • 地域社会:地域・自治体との情報交換会、工場見学、従業員の地域活動への参加

博報堂DYホールディングス

博報堂DYホールディングスは、従業員があらゆるステークホルダーのパートナーとなり、生活者と社会の幸せを目指す取り組みをしています。

  • 国際協力NGOとの世界の子どもたちへの支援など、国際機関や国際条例に関する普及啓発のサポート
  • 政府の国民運動や震災復興事業における企業、団体との取り組み、メディア・コンテンツ製作、活動支援など国内の社会課題への取り組み
  • 自治体・企業・団体・地域の人たちと共に、地域の資源を考え、人材育成を支援し、都市部と地域をつないだ共有価値の創出など、継続的な地域の活性化を推進
  • 従業員が業務で得た知見やネットワークを駆使して、多様なステークホルダーのつなぎ手となり、さまざまなアクションを推進

スクウェア・エニックス・ホールディングス

スクウェア・エニックス・ホールディングスは、ステークホルダーとの関わりを具体的に示しています。

  • 顧客:商品・サービス内容・品質・価格を通じて満足度向上、適正な情報の開示と表示
  • 株主・投資家:財務諸表を作成、経営に関わる重要な情報は適時的確に開示、対話を積極的に進める
  • 取引先:公正な購買、調達、私的目的での金品授受や過剰な接待の禁止、公務員に対し贈賄の禁止。強制労働、児童労働、その他隷属的な労働を排除する
  • 従業員:健康で働きやすい職場環境の整備、従業員の評価・処遇を公正なプロセスに基づいて実施、不正行為を通報できる窓口の設置
  • 社会:知的財産権の尊重、インサイダー取引の禁止、反社会的勢力との断絶、エネルギーと資源の節約に努め、地球環境に対する負担を最小限にとどめることを目指す

企業は利益だけを追求するのではなく、各ステークホルダーと共に社会貢献活動や環境問題に取り組み、社会的責任を果たしています