スキルトランスファーとは? メリット、属人化の予防、進め方、事例

スキルトランスファーとは、施術や技能の移転のことです。ここでは、スキルトランスファーについてさまざまな角度から解説します。

1.スキルトランスファーとは?

スキルトランスファーとは、業務や技術を引き継ぎ、蓄積した技術や知識を教えること。「技能や技術」を意味するskillと「動かす、移す、移動させる」を意味するtransfer
を組み合わせた言葉です。

スキルトランスファーは、ちょっとしたノウハウを同僚に教えるといった軽微な場面で用いる場合もあります。

スキルトランスファーの類語

スキルトランスファーの類語は、「知識」を意味するknowledgeと「移動させる、移転」を意味するtransferを組み合わせたナレッジトランスファーです。2つはほぼ同じ意味で、用いられています。

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2.スキルトランスファーのメリット

スキルトランスファーのメリットは、スキルを伝える側・受け継ぐ側・スキルトランスファーを実施する組織、すべてに良い影響を与えること。良い影響とは、下記のとおりです。

  • 知識や技術を伝える側は、伝えることで知識や技術を整理できる
  • 知識や技術を受け継ぐ側は、新たな知識や技術を習得し、キャリアアップできる
  • 蓄積した技術やノウハウを伝承し、組織のメンバーが共有すると、組織全体の生産性が向上する

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3.スキルトランスファーで属人化を予防

スキルトランスファーにて知識や技術を伝えると、特定の人でないと業務が進められない状態を属人化が予防できます。

少子高齢化で労働人口が不足し、知識や技術を引き継ぐ人材を確保できず、特定の人を頼らざるを得ない状況が発生している昨今。長期的かつ組織的にスキルトランスファーを実施すれば、組織全体で仕事をしていく体制が構築できます。

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4.スキルトランスファーの進め方

スキルトランスファーの進め方は5つです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 連続移転
  2. 近接移転
  3. 専門知移転
  4. 遠隔移転
  5. 戦略移転

①連続移転

組織が担った業務から得た知見を同じ組織・同じ業務で活用する方法のこと。個人に蓄積されている暗黙知を組織で集め、改善や修正を加えて伝承すべきスキルとするのです。連続移転では下記のポイントを押さえるとよいでしょう。

  • 暗黙知を共有するためのミーティングを定期的に開催する
  • 批判や非難を避ける
  • 議事録を作成する
  • 強固なチームワークを発揮する

②近接移転

組織内で構築してきた知見を、別の組織や定型業務で活用する方法のこと。ただし別組織であるスキル移転先の業務が、移転元の業務に類似していることが前提になります。成功のポイントは、下記のとおりです。

  • 情報共有ツールを利用してスキルを伝達する
  • 移転スキルを活用する対象者や対象業務の範囲を限定する

③専門知移転

業務に関する専門的な形式知を、個人や組織の中で移転させる方法のこと。専門知移転の場合、題材ごとに区分けして電子フォーラムを開催すると、該当する専門業務に従事しているメンバーの招集・参加を促せます。

ただし専門知移転で取り上げられるスキルは経営上重要なスキルも多いです。よって・何を移転させるか、誰に移転するかについて、検討が必要となります。

④遠隔移転

組織が蓄積したスキルを別の組織や類似した業務に移転させる方法のこと。このような性質を持つスキルトランスファーの進め方に、近接移転があります。

この遠隔移転が近接移転と異なるのは、「移転するスキル」「業務の質」の2点。「移転するスキルが暗黙知である」「務が非定型的である」という条件に合致するのが、遠隔移転です。

⑤戦略移転

まれにしか発生しないような頻度の低い非定型業務に関するスキルを移転する方法のこと。代表的な事例は、M&Aに代表されるような企業を買収する案件です。

業務が発生する頻度の低さから、スキルを持っている社員が限られます。よってスキルの収集や解釈、整理や伝承などは、その道のスペシャリストに頼る形になるのです。

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5.スキルトランスファーのポイント

スキルトランスファーに関して押さえておきたいポイントがあります。

  1. 移転しやすい環境の整備
  2. 経営主導での進行
  3. 担当者と移転範囲の決定
  4. 時間と心理的コストの削減
  5. 研修の実施

①移転しやすい環境の整備

スキルトランスファーは、個々の社員が持つ暗黙知としてのスキルを組織間で移転します。よって社員がスキルを公言できるうえ、組織間でスキルを授受しやすい環境を整備しなければなりません。

そこで手順書の作成やルールの設定、情報共有できるツールの導入などで準備します。

②経営主導での進行

スキルトランスファーを実際に導入する際、最初は経営主導で行うとよいでしょう。プロジェクトやチームといった小単位で試験的にスキルトランスファーを取り入れても、その重要性を社員で共有できないからです。

経営主導ならスキルトランスファーの重要性を社員も認識できます。よって社員自身も当事者意識を持って取り組めるのです。

③担当者と移転範囲の決定

スキルトランスファーは、まだ社会に浸透していません。そこでスキルトランスファーについて知識を有する専任の担当者を決め、スキルトランスファーを確実に進めるのです。

移転させるスキルについて内容や範囲、レベルを適切に見極め、本当に移転・伝承する必要のあるスキルだけを選定して移転させます。

④時間と心理的コストの削減

なかには、個人が持つ暗黙知を組織で共有することに抵抗を持つ社員もいるでしょう。組織間でスキルの移転をスムーズに行うには、社員の心理的負担を減らす必要があります。

またスキルの移転に時間を割かれる点も問題です。手間をかけずにスキルの移転を実現させるためにも、ツールやテンプレートなどを積極的に活用しましょう。

⑤研修の実施

高いスキルを持つ専門職の中には、トランスファーの技術に精通していないケースも少なくありません。そのような場合には、スキルトランスファーに関する研修を実施します。

研修でスキルトランスファーについて手順や押さえるポイント、数値化など伝承・移転方法を伝えれば、より高い専門性のスキルを移転できるでしょう。

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6.スキルトランスファーの事例

ホワイトプラスでは、ネット宅配クリーニング「リネット」でスキルトランスファーに取り組んでいます。目的はチームメンバーが増える点に対応するためです。下記のような事柄を進め、スキルトランスファーに対する共通認識を構築しました。

  • スキルトランスファーの対象外のスキルを含めたスキルマップの作成
  • トランスファーするスキルとしないスキルの境界線の明確化

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7.スキルトランスファーに使えるツール

スキルトランスファーに使えるツールがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. Stock
  2. NotePM
  3. esa

①Stock

Stockは、かんたんに情報共有できるツールです。「ノート機能を活用してテキスト情報、画像、ファイルなどの情報を残す」「タスクやメッセージ機能の利用で、ノート上にあるテーマについてコミュニケーションを図る」などができます。

特徴は「IT関連の専門知識がなくても使用できる」「シンプルな機能でかんたんに情報を残せる」点です。

Stockの料金

料金は下記のとおりで、それ以上の人数で利用できるプランもあります。

  • フリープラン(お試しプランでノートやテンプレート、メール自動転送機能が使える)は、人数制限なしで無料
  • エントリープランは5人以下の利用で月額1,980円
  • スモールプランは10人以下、月額3,480円
  • ミドルプランは20人以下、月額6,480円

プランが上がるにつれ、利用できる容量や機能が増えていきます。操作が直感的で誰にでも使いやすくなっているのです。

②NotePM

社員が技術や知識、ノウハウといったさまざまな情報を書き込んで共有すると、知りたい情報にアクセスできます。

マニュアル作成や検索機能、動画共有やマルチデバイス対応、変更履歴の記録やレポート作成、API対応や柔軟なアクセス権限なども自在にできる使い勝手のよいツールです。

NotePMの料金

料金は下記のとおりで、どのプランも「初期費用0円」「ストレージ容量追加オプションは10GB追加ごとに月額1,500円」となっています。

  • スタータープランは3ユーザー限定で容量5GB、月額1,000円(税込)
  • ベーシックプランは8ユーザー、10GB、月額3,600円(税込)
  • スタンダードプランは15ユーザー、15GB、月額5,700円(税込)
  • プレミアムプランは100ユーザー、100GB、月額3万円(税込)

③esa

esaは、「不完全でも公開する(Share)」「何度も更新して情報を育てる(Develop)」「情報が育ったらきちんと整理する(Organize)」スタイルのツールです。

履歴も残るため、最新のアップデート情報をメンバーに伝えられます。「情報を育てる」という視点から、完璧な情報を求めるあまり埋もれてしまうスキルを途中段階でも拾い、共有できるのです。

esaの料金

料金は、1ユーザー月額500円で、クレジットカードにも対応しています。

またチーム作成後の2カ月間は無料で利用できるのです。たとえば6月にチームを作成した場合、8月末まで無料でesaを利用できます。使用感を知りたい人は無料トライアルを利用するとよいでしょう。