仕組み化とは?【ビジネスでのやり方】具体例、デメリット

仕組み化とは、属人的ではない業務の方法を構築すること。仕組み化のメリット、デメリット、導入のポイント、具体例などを解説します。

1.仕組み化とは?

仕組み化とは、業務の属人化を防止あるいは解消する方法を構築すること。特定の社員にしかできない状況を避けるため「いつ、どこで、誰がやっても同じ成果が生み出せる手順や手法」などを決め、定着させる仕組みを作ることを指します。

仕組み化を言い換えると?

仕組み化は「システム化」ともいい換えられます。システム化には「ITシステムを利活用する」という意味もあるものの、広義では業務の手順やマニュアルを明確にし、どの社員が担当しても同じ結果が得られる体制を整えることを指すからです。

システム化の実施により、すべての社員が一貫した品質で業務を遂行できるようになるため、仕組み化とも表せます。

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2.仕組み化を行うべき理由

業務の属人化には、デメリットとリスクが多く潜んでおり、業績を左右することも少なくありません。仕組み化を実施すべき理由を説明します。

  1. 属人化によるリスク回避
  2. 社員の力の差を補助

①属人化によるリスク回避

属人化した業務を担当している社員が離職した場合、その業務を進められなくなる可能性があります。とくに優秀な社員による属人化があった場合は、重要な業務が遅滞し、業績の低下につながる恐れもあるのです。

このような属人化によるリスクを回避するためには特定の優秀な社員に依存せず、業務を遂行する仕組みを構築する必要があります。

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②社員の力の差を補助

仕組み化に取り組むと、社員の能力差を埋める効果が期待できます。個々の社員が独自の方法で業務を行うと、一貫性がなくなったり、成長のスピードに差が出たりする場合もあるからです。

このような不安定な状態から脱却しすべての社員が一貫して同じ成果を出せるような仕組みを作れば、会社の持続的な成長が期待できます。

優秀な社員もサポート

優秀な社員が安定的に仕事を遂行できるように、サポート体制(仕組み)を構築することが重要といえます。どれほど優秀な人材でも、日々の体調やストレスの影響を受けると、つねに安定したパフォーマンスを発揮することは難しくなるからです。

属人的な仕事環境では、このような理由による業務遅延が懸念されるため、仕組みで優秀な社の負担を軽減する必要があります。

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3.仕組み化のメリット

仕組み化で業務の属人化を防ぐと、ミスの防止や業務効率化などのメリットを得られます。仕組み化で得られるメリットを4つ説明しましょう。

  1. 業務のブラックボックス化を回避
  2. ミスの減少
  3. 個人とチームの成長を促進
  4. 業務の効率化

①業務のブラックボックス化を回避

仕組み化で誰もが同じ基準で業務を遂行できる環境を整えると、業務のブラックボックス化を防げます。

優れた人材に依存して業務を進めると、業務のプロセスや結果がその人材にしかわからない状況(ブラックボックス化)に陥りやすいからです。また担当者が急に欠勤した場合に代役がいないという問題も生じます。

このような課題を解決するには、業務のマニュアルや手順書を整備し、社内で共有するなど、業務の手順を明確にする仕組み化が有効です。

②ミスの減少

ミスの多くは、社員が業務の流れや手順を正確に把握していないことが原因です。よってマニュアルの整備による仕組み化を行うとこれらのミスを軽減できます。業務の進め方を統一すると、属人化による独自のミスも減らせるでしょう。

③個人とチームの成長を促進

業務を仕組み化すると、若手社員でも一定の品質の業務をスムーズにこなせるようになるため、個人の成長を促進できます。若手社員が成長すれば、ベテラン社員はより高度な業務に着手でき、ベテラン社員の成長にもつながるのです。

このようなサイクルが定着すれば、チーム全体の成長も早まるでしょう。

④業務の効率化

最適な仕組み化によって、業務効率を向上させるのも可能です。たとえばこれまで手作業で行っていた作業を自動化する仕組みを作ると、無駄や不要な手間を削減し、正確かつスピーディーに業務を遂行できるようになります。

従来の手順と比べて遂行できる業務の質や量が高まるため、業務効率が向上しやすくなるのです。

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4.仕組み化を行わないデメリット

仕組み化を行わないと、業務の属人化によるデメリットが生じる可能性もあります。仕組み化を行わない場合に懸念されるデメリットについて説明しましょう。

  1. 不正が起きやすい環境を生成
  2. 経営者の業務が増加

①不正が起きやすい環境を生成

業務が属人化してしまうと他人の目が届きにくくなり、不正が起きる可能性もあります。担当社員がどのように業務を進めているかがわからないため、改ざんやごまかしなどの不正が起こっていてもすぐに気づけず、大きなトラブルにつながる恐れもあるのです。

②経営者の業務が増加

仕組み化をしないため業務に問題が生じた場合、そのしわ寄せが経営者に回ってくる可能性もあります。属人化で一部の社員に業務負担が集中し、そのフォローに追われるという状況に陥りやすいからです。

経営者が社内対応に追われてしまうと、経営にかかわる重要な業務が遅滞し、業績悪化にもつながるかもしれません。このような事態を避けるために、も、社内および経営者自身の仕組み化をまず実施すべきです。

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5.仕組み化を行うべき業務

会社の業務は「感覚型」「選択型」「単純型」の3つにわかれます。

「感覚型」は個々の社員の経験や感覚に依存する業務であり、個別の特性やスキルによって成果が左右されるため、仕組み化は難しいかもしれません。一方「選択型」と「単純型」の業務は、仕組み化に適しています。

Pattern:選択型

いくつかの選択肢(パターン)のなかから選んで業務を進めていくような業務のこと。

仕組み化で業務における選択方法や基準を事前に定めておくと、どの社員でもかんたんに業務を進められます。とくに自動化できる選択型の業務は、仕組み化に向いている業務です。

Routine:単純型

誰が行っても同じ結果が得られる一定の業務のこと。

このような業務は特定の手順やルールにもとづいて繰り返し行われるため、ツールやシステムなどによる仕組み化が適しています。仕組み化すれば業務効率が上がり、生産性や利益の向上につながるでしょう。

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6.仕組み化のやり方

仕組み化を行う際、業務の見える化・仕組み化・改善という流れで進めると失敗のリスクを減らせます。仕組み化を進める4つのステップを説明しましょう。

STEP.1
業務内容の見える化
どの業務を仕組み化するかを決めるため、業務内容を可視化します。

社内の業務を洗い出して「感覚型」「選択型」「単純型」の3つに分類し、それぞれの業務のプロセスにおいて、「誰がどのような手順でどのよう行っているのか」を明確にするのがポイントです。

STEP.2
見える化した業務を標準化
可視化した業務内容から仕組み化の対象を決め、誰がその業務を担当しても一定の成果を出せる方法を確立し、業務を標準化します。

このときのポイントは、属人化している業務を優先的に改善すること。自動化できる業務であれば、ツールの導入も検討しましょう。

STEP.3
マニュアル化や仕組み化
標準化する業務は、誰でも行えるようにマニュアル化します。マニュアルを作成する際に重要なのは、誰が読んでも理解できる内容にすること。

マニュアルの作成が完了したら、ほかの部署や関係者にもチェックしてもらい、寄せられたフィードバックをもとに改善していきます。

STEP.4
仕組み化のメンテナンス
仕組み化を実施したあとは、定期的なメンテナンスを行います。

仕組みを運用したあと、さまざまな問題点や改善点が浮かび上がってくるからです。最初に作り上げた仕組みに固執せず、つねに改善を重ねてブラッシュアップしていきましょう。

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7.仕組み化推進のポイント

仕組み化の構築と運用には一定の手間と時間がかかるため、挫折するケースも見られます。仕組み化を円滑に推進するためのポイントを説明しましょう。

  1. ツールを活用しマニュアルを作成
  2. 従業員に向け仕組み化を周知

①ツールを活用しマニュアルを作成

仕組み化の実施において、マニュアルの作成は必須です。しかし「マニュアルを作成する時間がない」といった理由で、なかなか進まないケースも少なくありません。

効率的にマニュアルを作成するには、ツールの活用が有効です。ツールを使用すれば文章や画像、動画などを使ったマニュアルをかんたんに作成できるため、マニュアル作成にかかる時間を短縮できます。

②従業員に向け仕組み化を周知

属人化から仕組み化への方向転換を実現するためには、まず経営者(経営陣)が自らの行動でその意識を示し、社員に仕組み化の重要性を周知することが重要です。

とくに属人化やワンマンな風土が強く根づいている会社では、周知による社員の意識改革から始める必要があります。経営陣が率先して行動すれば、仕組み化に対する社員の理解や意欲を高められるでしょう。

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8.仕組み化の具体例

仕組み化に取り組む際は、仕組み化に成功した企業の事例を参考にできます。ここでは3社の事例を紹介しましょう。

マクドナルド

マクドナルドはマニュアルの整備を徹底し、新人やアルバイトのみでも店舗運営が円滑に行える仕組みを構築しました。

作業手順を細かく記載したマニュアルを作成し、指導する先輩社員がいなくても、新人社員やアルバイトのみで業務を遂行できる環境を整えたのです。優秀なマニュアルを用いた仕組み作りによって生産性が向上し、業績アップや店舗拡大などを実現しています。

株式会社サッポロドラッグストアー

株式会社サッポロドラッグストアーは、店舗ごとに業務手順や成果にバラつきがあるという課題を抱えていました。そこで同社は「業務基準書」というマニュアルを新たに作成し、全店舗に適用。

会社の統一した仕組みが全店舗に浸透し、全国的な事業展開が可能になりました。この業務基準書は、現場の意見を取り入れながらつねに更新され続けています。

株式会社マエダハウジング

株式会社マエダハウジングは、顧客ごとにオリジナルプランを作成していました。しかし作業時間の増大と、担当者による提案力の差というふたつの課題が生じていたのです。

そこで同社は提案プランのパッケージ化を導入。これにより担当者間の提案レベルが均一化され、短時間で質の高いオリジナルプランを顧客に提案できるようになりました。

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9.仕組み化の理解に役立つ本

仕組み化を成功させるためには、仕組み化の基本や応用を理解しておくことも重要です。ここでは仕組み化の理解に役立つ本を3冊ご紹介します。

現場からオフィスまで、全社で展開するトヨタの自工程完結

日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社の幹部が執筆したビジネス書です。「トヨタ式」として知られるトヨタの業務改善方法や品質管理について書かれており、ビジネスにおける基本的な考え方や仕組み化を学べます。

参考 現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自工程完結Amazon

結果が出る仕事の「仕組み化」

生産性向上などに関する講演を行っている株式会社スタディスト取締役COOの庄司啓太郎氏が、生産性や仕組み化について解説している本です。

「生産性とは何か」「仕組み化とは何か」といった基本的な内容のほか、「仕組み化の進め方」「仕組み化の障壁と克服方法」など実践的な内容も書かれています。

参考 結果が出る仕事の「仕組み化」Amazon

はじめの一歩を踏み出そう

世界で500万部以上の売り上げを誇るビジネス書で、企業の経営や成長に必要な仕組み化を解説している本です。

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