資本金とは? 平均額、増資、減資、それぞれのメリット・デメリットについて

資本金とは、会社を運営するために必要な元手金のことです。ここでは資本金の平均額や増資、減資について解説します。

1.資本金とは?

資本金とは、会社を設立する際に必要なお金のこと。会社を設立するにあたって必要な運転資金と、株主や投資家などから調達した資金の2種類に分類されます。

会社設立時に株主が出資した金額のこと

会社が事業を行うためにはお金が必要です。しかし創業時に出資を受けるのは、なかなか難しいもの。多くの場合、資本金は創業者が無理のない範囲で投じる自己資金を意味します。

もちろん株主が出資した金額や、金融機関からの融資で調達した金額も資本金です。会社が事業を行うための元手と考えると分かりやすいでしょう。

資本金準備金との違い

資本準備金とは会社に積み立てる準備金のこと。具体的には、将来的に起きるであろう多額の支出や損失の発生に備えた積立金を意味し、会社法第445条によって定められました。

資本準備金では資本金の1/2を超えない額を準備金として積み立てておけます。「利益準備金」とあわせて「準備金」と呼ばれるのです。

資本剰余金との違い

「資本余剰金」とは、その名のとおり資本取引から生じた余剰金のこと。新株発行や会社設立における払込を基礎としているという意味では資本金と同じですが、株主に分配する配当金の減資となるという点では、資本金や資本準備金と異なります。

資本余剰金は、法定準備金のひとつである「資本準備金」と、資本準備金以外の資本取引から発生した「その他資本剰余金」の2つから構成されています。

資本金は会社の体力を表す

一般的に「資本金を見ればその会社の体力がどの程度あるのか理解できる」といわれています。「貸借対照表」で資本の部に属する資本金は、資産の部から負債の部を引いた純資産に値し、純資産は誰かに返済する必要がありません。

つまり資本金の金額が多いほど会社に体力がある、規模が大きくなるのです。

資本金の額で会社の規模が分かる

「資本金の金額が多いほど会社の規模が大きくなる」意味をもう少し詳しく説明しましょう。

中小企業庁では原則、「資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社(製造業は3億円、小売業は5千万円など業種分類によって金額が異なる)」の企業を中小企業と定義しています。そして資本金が5億円以上になった会社が「大企業」となるのです。

最低資本金1円からでも起業できる

2006年の法改正により、資本金が1円でも株式会社・有限会社を設立できるようになりました。中小企業の育成と発展を進める目的で、最低資本金に規定する商法の一部を設立から5年間除外するよう定めた特例です。

とはいえ起業にあたってまったく資金が必要ないわけではありません。設立には定款に貼付する印紙代や公証人の定款認証料、登録免許税などが発生します。

資本金とは会社が事業を行ううえで必要な元手金のことです。「資本金を見ればその会社の体力と規模が分かる」といわれています

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2.資本金の平均額は?

資本金をある程度用意しておくと、スムーズに経営を進められます。しかし資本金の平均額はいったいどのくらいの金額になるのでしょうか。総務省統計局では「経済センサス‐活動調査」において資本金額別の企業数、常用雇用者数を報告しています。

一般的な資本金の平均額

平成24年の「経済センサス‐活動調査」によると、最も多いのは資本金を300万円から500万円未満(37.4%)。次に1,000万円から3,000万円未満が36.0%、500万円から1,000万円未満が13.2%と続きます。

つまり資本金300万円から1,000万円未満の会社が半数以上を占めていたのです。

最低でも300万円は必要

会社を設立する際、自社にとって適切な資本金額の平均を調べておくと安心でしょう。資本金は少なすぎれば信頼性が得にくくなりますし、多すぎても税制の問題で不利になります。

業種による違いはあるものの、全体的に多いのは300万円前後の資本金を用意するケース。300万円あれば売上がまったく発生しなくても、数か月間の費用を支払えます。また特定商工業者の登録基準として、資本金額を300万円以上と明記しているところも。

業種によって許認可に必要な資本金が異なる

業種によっては許認可の取得に最低資本金額が決まっている場合もあります。たとえば第1種旅行業の場合は3,000万円以上、職業紹介事業は500万円以上、人材派遣業は2,000万円など。ほかにも資本金が500万円以上だと許可手続きが楽という業種もあります。

資本金を決める際、許認可取得の最低資本金額を確認するとよいでしょう。

借りたお金は資本金にできない

原則、公的機関の融資制度や信用金庫からの借り入れといった借りたお金を、資本金にするのはできません。融資で調達したお金は会計上「借入金」になります。

ただし日本政策金融公庫の自己資金調達方法には「親・兄弟・知人・友人などからの借入」項目があるのです。つまりこれらは例外として認められています。

業種により異なるものの、資本金の平均額は300万円から1,000万円の会社が半数以上を占めています

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3.資本金を増資する方法

資本金は、会社設立後にさまざまな方法で増資(会社が新たに株を発行して、株主や第三者から出資を受けること)。ここでは資本金を増資する3つの方法について説明します。

  1. 公募増資
  2. 株主割当増資
  3. 第三者割当増資

①公募増資

「公募増資」とは、新たに株式を発行して、証券市場の一般投資家から出資を募る増資方法のこと。株主層の拡大、株式の分散による株式市場の流通向上が期待できます。

公募増資の払込金額は、一般的に時価より低めとなるのです。払込金額の決定には、多くの場合投資家の需要状況を把握して払込金額を決定する「ブックビルディング方式」が用いられます。

②株主割当増資

「株主割当増資」とは、出資金と引き換えに新たな株式が取得できる権利を付与する増資方法のこと。株主割当増資には以下2つの特徴があります。

  • 既存株主に新規株式を割り当てて、買取の可能性を高める(資金調達しやすくする)
  • 株式の持ち分に応じて新規株式を割り当てて、株主の不満や株主総会可決を避ける

③第三者割当増資

「第三者割当増資」とは、資金調達の効果は同じであるものの、新株主の登場によって増資後の株主構成が変化する仕組みのこと。株主であるか否かを問わず、取引先や自社の役職員など特定の第三者に新株を引き受ける権利が付与されます。

相手との関係性を安定させたい場合や、株価が低く通常の増資が期待できない際などに用いられるため「縁故募集」とも呼ばれているのです。

公募増資および第三者割当増資において新株を有利な価格で発行する際は、既存株主に対する利益保護の観点から株主総会の決議が必要になります

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4.資本金を増資するメリット

資本金を増資すると、会社はどのようなメリットを受けられるのでしょうか。資本金を増資するメリットについて説明します。

  1. 企業信用度の向上
  2. 金融機関からの信用が高まる
  3. 債務超過の防止
  4. 人材採用のアピールポイントに

①企業信用度の向上

はじめての会社と取引する際、「与信」と呼ばれる手続きで会社の信用度を見ます。与信では決算書や登記簿謄本、資本金の額などを見て総合的に会社の信用度を図るのです。

前述のとおり、資本金の額は大きいほど会社に資金力があると証明されます。資本金を増資すると経営の母体が強いと判断され、会社に対する信用が高くなるのです。

②金融機関からの信用が高まる

資本金の額が多いほど金融機関からの信用が高まるため、さまざまな融資の基準をクリアできるようになります。

融資を受けやすくなれば事業経営に余裕が生まれ、会社は潰れにくくなるでしょう。また新たな事業も展開できます。資本金の増資は経営の安定に欠かせないのです。

③債務超過の防止

債務超過とは負債額が総資産額を超過している状態のこと。債務超過状態の企業に金融機関はよい印象を抱きません。結果として企業は融資を受けにくくなります。

また債務超過には上場廃止のリスクもあるのです。資本金を増資すれば、資金繰りの悪化による過剰債務を抱えずに済むでしょう。

④人材採用のアピールポイントに

少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少により、資本金額の少ない企業ほど採用難の傾向にあります。とりわけ中小企業や小規模事業者の人材不足は強まる一方です。

人材市場において、資本金額を会社選びの基準とする学生も少なくありません。つまり資本金の大きさ、資本金の増資は人材採用のアピールポイントになり得るのです。

資本金を増資すると、会社の支援者も増えやすくなります。支援者や出資者が増えれば周囲からの評判もよくなり、新たな事業に挑戦できるでしょう

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5.資本金を増資するデメリット

資本金の増資にはさまざまなメリットがあるものの、いくつかのデメリットも存在します。資本金を増資するデメリットについて、下記3つから解説しましょう。

  1. 税負担が増える
  2. 義務事項が増える
  3. 株主に左右されやすくなる

①税負担が増える

増資に成功して資本金が増えれば、おのずと税金の負担も大きくなります。たとえば「資本金が1,000万円を超えると設立1期目から消費税の課税事業者となる・資本金が1億円を超えると法人税の税率が上がる」など。

ただし資本金額が1億円以下の場合は、中小企業に対する税負担の軽減措置が適用される場合もあります。

②義務事項が増える

資本金が5億円を超えると、会社法上の大会社に該当します。中小企業の優遇措置が適用されなくなるばかりか、コーポレートガバナンスに関するさまざまな制約も課せられるようになるのです。

コーポレートガバナンスとは、組織ぐるみの不祥事を防ぐために経営を監視する仕組みのこと。株主は経営に対して監視体制を敷き、株主の利益を保護しなくてはなりません。

③株主に左右されやすくなる

増資では新株を発行するため、増資で新たに発行した株式を取得しない限り、既存株主の持ち株比率が低下します。よって経営者以外の株式保有比率が高まると、新たな株主の影響力が大きくなるのです。

増資の手続きに「登録免許税・司法書士報酬」といった各種手数料がかかる点も、デメリットとして挙げられます

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6.資本金を減資する方法

資本金は「公募増資」や「株主割当増資」などによって増資できる一方、減資(資本金の金額を減少させること)も可能です。ここでは資本金を減資する方法について説明しましょう。

原則、株主総会での特別決議が必要

資本金を減資するには原則、株主総会での特別決議が必要です。株主総会では以下の事項を定めなければなりません。

  • 減少する資本金の額
  • 資本金の額の減少が効力を生ずる日
  • 減少する資本金のすべてまたは一部を準備金とするときは、その旨および準備金とする額

なお株式の発行と同時に資本金額を減少させ、かつ減資の効力発生日後の資本金額が効力発生日前の資本金額を下回らない場合、取締役会の決議でもよいとされています。

有償減資

「有償減資」とは、会社の純財産の一部を株主に返還し、結果として会社の資本金を減額する方法のこと。

「有償減資」は株主への財産の払い戻しを目的とした一時的な対処として行われるのです。取締役会などで意思を決定したあと、株主総会の特別決議による承認が必要になります。

無償減資

「無償減資」とは、実質的な会社の財産を減らさずに帳簿上での手続きを踏む減資方法のこと。欠損補填による経営の立て直しを目的としたこの減資方法は「名目的減資」とも呼ばれます。

無償減資の手続きも、有償減資と同じく取締役会などで意思を決定したあとに、株主総会の特別決議による承認が必要になるのです。

減資は、「資本金5億円以上の大会社となるのを避けたい・欠損填補をする・税務的な観点から資本金を抑えたい」ときなどに利用されます

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7.資本金を減資するメリット

「資本金を見ればその会社の体力と規模が分かる」とまでいわれる資本金。減らすとどのようなメリットが得られるのでしょう。ここでは資本金を減資するメリットについて解説します。

  1. 累積赤字の補てん
  2. 節税
  3. 配当

①累積赤字の補てん

事業赤字は貸借対照表上「繰越利益剰余金のマイナス」として計上されるのです。つまり企業に累積赤字があるという証で、これは株主への印象や事業融資において大きな痛手となります。そこで減資し、資本金を減らして累積赤字を補てんするのです。

②節税

現在の日本における税制では、資本金が1億円以下の場合中小企業の扱いとなるため、さまざまな優遇税制を受けられます(軽減税率の適用・少額減価償却資産の損金算入・繰越欠損金の全額控除など)。

減資によって中小企業の優遇税制を受けられれば、数百万円もの税務に関するメリットが得られる場合もあるのです。

③配当

現行の会社法には、株主への配当は分配可能額までしか配当できないという制限があります。累積赤字が続いて株主に利益配当ができない場合、資本金を減資するとそのほか資本剰余金を発生させられるのです。それにより、株主に配当できます。

万が一利益が発生せず、事業の継続が難しい状況でも減資によって余剰金を作り、配当を支払えるのです。

資本の金額によって税務上の取り扱いは大きく異なります。中小企業の優遇税制が受けられる点は減資による大きなメリットでしょう

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8.資本金を減資するデメリット

資本金の減資には、デメリットもあるのです。デメリットを2つお伝えしましょう。

  1. 会社の財産が減る
  2. 信用の低下

①会社の財産が減る

会社は株主から調達した資本金をもとに事業活動、固定資産の購入などを行います。資本金を減資し、会社の財産が減少するのはつまり経済活動の縮小や将来投資に充てる資金の減少を意味するのです。結果、会社の成長が滞る可能性も高まります。

②信用の低下

本来、会社の信用力は資金の大小に影響されません。しかし会社の信用を資本金額で判断する目が多いのも事実。とりわけ詳細な情報開示がされていない未上場会社はこの傾向が顕著です。

また「資本金を減資した」と聞けば、マイナスのイメージを持つのが一般的。信用力の低下により新規取引が困難になる可能性もあります。

資本金の減資には会社にとってプラスになる部分も多い一方、企業財産の減少や信用の低下といったリスクもあります