支払調書とは? 主な種類と書き方のポイントや提出方法について

支払調書とは、所得税法や相続税法上で提出が定められている法定調書のひとつです。ここでは主な支払調書の種類や書き方、提出方法について解説します。

1.支払調書とは?

支払調書とは、報酬や料金を支払ったり、投資信託の分配金を支払ったりした際に税務署に提出する書類のこと。

源泉徴収票と同じ「法定調書」の一種であるため、税務署への提出が義務付けられています。源泉徴収票の事業者版、と位置付けるとイメージしやすいでしょう。

法定調書について

法定調書とは、所得税法、相続税法、租税特別措置法および内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の規定によって、税務署への提出が義務付けられている資料のこと。

未施行のものも含めると約60種類もの法定調書があり、その多くが「源泉徴収票」もしくは「支払調書」に分かれます。主な法定調書の提出義務者は、給与を支払うほう、つまり事業者側です。

また原則として、支払が確定した日の属する年の翌年1月31日までに、提出しなければなりません。

源泉徴収票とは

源泉徴収票とは、その1年間に会社から支払われた給与額の合計と、それに対して支払った税金額の合計が記載された書類のこと。会社は従業員の退職時や年末調整後に、源泉徴収票を作成して配布します。

源泉徴収とは、会社が従業員の年間所得にかかる所得税をあらかじめ差し引き、従業員にかわって国に治める仕組みのこと。

所得税は概算で天引きされており、12月に年末調整という形で正確な所得税額の計算を行います。その結果を記載したのが源泉徴収票なのです。

源泉徴収票と支払調書の違い

源泉徴収票と支払調書には類似点も多く混同されがちですが、2つの違いは次のように整理できます。

  • 源泉徴収票:事業者が従業員に交付し、1通を本人、1通を税務署に提出する義務がある
  • 支払調書:事業者が個人事業主等に交付し、税務署に提出する義務があるが、原則として報酬を受け取った者への交付義務はない

広義には源泉徴収票も支払調書の一種です。相手に支払った給与や報酬、それに対する税額を記載した書類、という意味ではどちらも同じといえるでしょう

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2.主な支払調書の種類

報酬を支払ったり投資信託の分配金を支払ったりした際に提出する支払調書には、いくつかの種類があり、それが変われば支払い内容や記載項目も変わるのです。そんな支払調書の特徴を代表的なものから見ていきましょう。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

一般的に支払調書と呼ばれるものが「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。身近なものには個人事業主などに依頼した原稿やデザインにかかる報酬、料金などが挙げられます。

支払調書は、原則として個人に支払われた報酬・料金に対して必要となるため、対象者は外交官や税理士、プロスポーツ選手や芸能人などさまざまです。また支払調書の提出に必要な年間支払額もそれぞれ異なります。

不動産の使用料等の支払調書

「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲は、不動産や借地権のように不動産の上にある権利を借りた際に対価を支払う法人と不動産業者である個人です。

なお不動産業者である個人が建物の賃貸借の代理や仲介を主な目的とする事業を営んでいる場合、提出義務はありません。事務所の家賃や駐車場の地代、権利金や更新料などで同一人に対し年間15万円を超える貸借料を支払った場合、この支払調書を提出します。

不動産等の譲り受けの対価の支払調書

「不動産等の譲り受けの対価の支払調書」の提出範囲も、不動産の使用料等の支払調書と同じです。不動産や不動産の上にある権利を譲り受けた際、対価を支払う法人と不動産業者である個人が対象になります。

同一人に対する年間支払金額の合計が100万円を超える場合は、この支払調書を作成します。なお使用料等も譲り受けも、支払金額の合計は消費税及び地方消費税の額を含めて判断するのが一般的です。

不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書

不動産や不動産の上にある権利などについて、売買代金やあっせん手数料を支払った場合は「不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書」の提出が必要です。提出義務者はすべての法人と不動産業を営む個人です。

作成基準は、同一人に対する年間支払金額の合計が15万円を超える場合となります。こちらも不動産業を営む個人が建物の賃貸借代理や仲介を主な目的とする事業を営んでいる場合、提出義務はありません。

支払調書には60もの種類があり、一般的に「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を指します

3.支払調書の書き方

支払調書のフォーマットは、種類によって若干の違いがあるものの、基本的な書き方は同じです。ここでは支払調書の書き方や金額の計算方法、間違えやすい点などを項目ごとに解説します。

なおそれぞれのフォーマットは国税庁のホームページからダウンロードできますので、確認してみてください。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の記入方法

数ある支払調書のうち、ここでは「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を例に上げて記入項目を解説します。

提出範囲は区分により異なりますが、多くの企業に関連するのが弁護士や司法書士などへの報酬や、原稿料や講演料、デザイン料などでしょう。その際、一人につき年間5万円以上の報酬を支払った場合は、支払調書を提出しなければなりません。

支払を受ける者の住所や所在地、氏名や企業名簿

まずは支払いを受ける者、つまり会社側が支払った相手先の情報を記入します。

  • 住所(居所)または所在地
  • 氏名または名称、企業名簿(法人の場合は法人名、個人の場合は屋号ではなく個人の氏名)

支払調書を作成する日の現状に合わせてこれらを記載します。契約書などを確認しながら、間違いのないよう記入していきましょう。

支払を受けるもののマイナンバーまたは法人番号

平成28年1月1日以降、報酬の支払いに対する支払調書にはマイナンバー(個人番号)や法人番号の記入が必要になりました。個人番号又は法人番号の欄に、支払いを受ける者の法人番号もしくはマイナンバーを右詰で記載します。

マイナンバー(個人番号)や法人番号を記入するのは、税務署に提出する分のみです。支払相手に控えとして交付する際は、番号法上の特定個人情報の提供制限を受ける場合があるため、法人番号とマイナンバーともに記載しないよう、注意しましょう。

報酬や料金の名称

区分として、報酬や料金の名称を記入します。国税庁では「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」において、以下の記載例を挙げています。

  • 原稿料、印税、さし絵料
  • 翻訳料、通訳料
  • 脚本料、作曲料
  • 講演料、教授料
  • 著作権や工業所有権の使用料
  • 放送謝金、映画・演劇の出演料
  • 弁護士報酬、税理報酬
  • ホステス等の報酬
  • 契約金
  • 広告宣伝のための賞金、競馬の賞金
  • 診療報酬

報酬や料金の支払回数などの明細

報酬や料金の名称に関連した詳細な区分を記載します。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 印税:書籍名
  • 原稿料、さし絵料:支払回数
  • 放送謝金、講演料、出演料:イベント名や作品名
  • 弁護士報酬:関与した事件名
  • 広告宣伝のための賞金:賞金の名称
  • 教授料、指導料:講義名

区分より更に細かい内容を「細目」の欄に記入します。

支払金額

当該年度で確定した支払額を「支払金額」の欄に記載します。ここに記載するのはすべての支払い額が対象です。控除額以下で源泉徴収の対象にならなかった報酬や、未払いの報酬も対象となりますので、計算漏れのないよう注意しなければなりません。

支払調書の作成日現在で未払いの金額がある場合、各欄の上段に未払額を内書きします。

源泉徴収税額

「源泉徴収税額」の欄には、当該年度中に源泉徴収するべき所得税と復興特別所得税の合計額を記入します。支払調書の作成日現在で未払のものがある場合は、支払金額と同じく未徴収税額を内書きするのです。

なお災害による被害を受け、報酬・料金等に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収の猶予を受けた税額がある場合は、その税額を含めずに記載します。

支払者の住所や所在地、氏名や企業名簿

報酬、料金等を支払う側の情報を記載します。

  • 住所(居所)または所在地
  • 氏名または名称、企業名簿(法人場合は法人名、個人の場合は屋号ではなく個人の氏名)
  • 電話番号

支払者の情報も、支払調書を作成する日の現状にあわせて記入します。支払調書の作成に定型のフォーマットを使用している場合は、記載内容に変更、修正がないかその都度確認しましょう。

支払者の個人番号または法人番号

支払調書には、支払者の情報としてもマイナンバー(個人番号)または法人番号の記入が必要です。支払者の項目にある「個人番号又は法人番号」の欄に右詰で記載しますが、税務署に提出する分のみの記載となります。

控えとして支払相手に交付する分には、マイナンバーと法人番号ともに記載の必要はありません。

支払調書記入の注意点

支払調書の「支払金額欄」は、原則として消費税および地方税を含めた金額の合計額を記入します。なお消費税などの金額が報酬額と明確に区分されている場合、この限りではありません。

なおマイナンバーの記載では、「その番号が正しい番号である」「正しい持ち主である」ことを必ず確認しましょう。

またマイナンバーは重要な個人情報に紐付くため、教えることに抵抗を持つ個人事業者も存在します。マイナンバーを提示しないことによる罰則規定はないものの、支払調書へのマイナンバーの記載は義務になっている旨を支払者に伝えるとよいでしょう。

それにより、マイナンバーが記載されていない支払調書の提出が防げます。

支払調書の書き方に特段難しい項目はありませんが、マイナンバーは重要な個人情報に当たります。取り扱いには十分注意しましょう

4.支払調書の提出方法

作成した支払調書および法定調書は、次のいずれかの方法で管轄税務署に提出します。

  1. 書面で提出する
  2. CD、DVDなどの光ディスクで提出する
  3. e-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出する

それぞれの特徴や注意点を見ていきましょう。

 ①書面で提出する

規定の書式に基づいて作成した支払調書を書面で提出する場合、事前の申請や申し込みは必要ありません。作成した書類を税務署宛てに郵送もしくは持参します。

期限直前ですと、窓口が混雑したり不備があった際に修正が間に合わなかったりする恐れがあります。書面で提出する際は、必ず余裕を持って準備しておきましょう。なお郵送の場合、消印の日付が提出期限内であれば問題ありません。

②CD、DVDなどの光ディスクで提出する

支払調書をCDやDVDなどの光ディスクで提出する場合、事前に税務署への届出が必要です。支払調書を光ディスクなどで提出しようとする日の2か月前までに、所轄の税務署長宛てに「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書」を提出します。

提出の日から2か月を経過する日までに何らかの通知がなければ、2か月を経過する日に承認があったものと見なされます。

③e-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出する

法定調書の種類によっては、提出枚数が膨大な枚数に及ぶ場合もあるでしょう。当該法定調書の提出枚数が1,000枚以上のものは、インターネットを利用したe-Taxを使用するか、光ディスクなどで提出しなければなりません。

なお現行は1,000枚以上ですが、令和3年1月1日以降に提出すべき法定調書については、提出義務の判定基準が100枚以上に引き下げられます。

e-Taxとは

e-Taxとは、2004年に施行された「行政手続オンライン化法」に基づいて整備された国税電子申告・納税システムのこと。書面による申告書等の持参、もしくは送付による提出方法に加えて、インターネットを通じたデータ形式で送信できるようになったのです。

e-Taxを利用すると、自宅やオフィスにいながら、支払調書を含む法定調書の申請や申告、所得税や復興特別所得税の納税などが可能になります。

支払調書は書面、光ディスク、e-Taxいずれかの方法で管轄の税務署に提出します。どの提出方法を選ぶかは、原則として自由です

5.支払調書の提出期限

支払調書を税務署に提出する期限は、原則として支払った年の翌年の1月31日です。

先に挙げた「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を含む4つの支払調書は、支払確定日が属する年の翌年1月31日までに、支払事務を取り扱う事務所や事業所の所在地を管轄する税務署長宛てに提出しなければなりません。

提出が間に合わなかった場合

支払調書は納税にかかわる書類ではないため、提出が遅れたとしても基本、罰則はありません。しかし税務署は、法定調書合計表を納税者との対応の基礎資料にします。決して虚偽の申請は行わず、正直に記載しましょう。

偽りの申請があった場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。

提出後に支払調書の誤りに気づいた場合

支払調書を税務署に提出したあとで合計表の誤りに気付いた場合はどうすればよいのでしょうか。この場合、すみやかに正しい内容の支払調書を作成して税務署に提出しなおす必要があります。

支払調書に関して指摘される場合の多い項目は、以下のとおりです。

  • 消費税込みと消費税抜きが混同している
  • 支払調書の金額そのものが間違っている
  • 支払調書のあるものだけを売上として計算している

支払調書の再提出

支払調書を再提出する際は、まず先に提出した支払調書を無効にするための手続きが必要です。次のものを用意したうえで、再度税務署に提出しましょう。

  • 先に提出した「法定調書」の写し
  • 無効分の「合計表」
  • 正しい「法定調書」
  • 訂正分の「合計表」

支払調書を提出する際は、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。期限の直前に慌てないよう、できる部分は年内のうちから準備を始めるとよいです

6.支払調書におけるマイナンバー制度導入の影響

支払調書を作成する際は、マイナンバー(個人番号)の取り扱いに注意しなければなりません。マイナンバー制度の導入は、支払調書の作成にどのような影響を与えたのでしょうか。支払調書に記載するうえでのマイナンバー取り扱いについて、見ていきます。

マイナンバーとは

マイナンバーとは、マイナンバー法に基づいて日本国内に住民票を持つすべての個人に割り当てられた個人番号の通称で、住民票コードを変換した12桁の固有番号が割り当てられます。目的は、1人1つの番号を通知して行政の効率化、国民の利便性を高めることです。

マイナンバー取り扱いの注意点

税務署に提出する支払調書にはマイナンバーの記載が必要です。しかし報酬を支払った相手に送付する支払調書にマイナンバーは記載できません。これは、その行為が番号法上の特定個人情報の提供制限にふれるためです。

個人情報保護法では、事前に本人の同意があれば特定個人情報の第三者提供が可能です。一方、番号法ではたとえ本人の同意があっても特定個人情報の第三者提供は認められません。

相手に送付する支払調書にマイナンバーを記載する行為は、この部分において番号法違反になる可能性があります。

税務署に提出する支払調書のみマイナンバーが必要

税務署に提出する支払調書には、マイナンバーの記載が必要です。しかしなかには、支払先からマイナンバーの提供を受けられない場合もあるでしょう。

その場合、安易に未記入のまま提出せず、マイナンバーの記載が法律上の義務である点を伝えて提供を求めます。それでもなお提供を受けられない場合は、提供を求めた経過などを記録し、単なる義務違反ではない点を明確にしておきましょう。

重要な個人情報であるマイナンバーを取り扱う際は、十分な注意が必要です。提供を受ける際は、利用目的を明確にして本人に伝えることが義務付けられています