サービス業とは|種類、業種一覧、将来性、役立つ資格などを解説

サービス業とは、顧客に対して「サービス」という形のない商品を提供する仕事のことです。ここでは接客業との違いやサービス業が抱える課題、役立つ資格などについて解説します。

1.サービス業とは?

サービス業とは、文字どおり顧客に対してサービスを提供する業種のこと。来店者と会話して商品を提案する販売員や、接客による形のないサービスを提供するホールスタッフ、家具や車を貸し出すレンタル業など幅広い業種が含まれます。

サービス業は、サービスを提供する業種です。幅広い業種が含まれます

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2.サービスとは?

「サービス(service)」とは給仕や接待、貢献や奉仕などさまざまな意味を持つ言葉です。日本語のサービスは英語のserviceを語源とする外来語ですが、serviceはラテン語のservusを語源としています。

日本で初めてサービスという言葉を使ったのは大正末期の自動車業界といわれているのです。そんなサービスには「IHIP」と呼ばれる4つの特徴があると考えられています。ここではサービスという言葉が持つ4つの特徴について解説しましょう。

  1. I(Intangibility):無形性
  2. H(Heterogeneity):異質性
  3. I(Inseparability):生産と消費の同時性
  4. P(Perishability):消滅性

①I(Intangibility):無形性

「無形性」とは、物や実体として確認できないため、作り置きや在庫を確保できない特徴のこと。有形財ではない点から「非有形性」と呼ばれる場合もあります。

物体を取り出してアピールできる有形財と比べて、物理的に存在しないサービスの特徴を顧客に伝えるのは困難です。目に見えないサービスをどう顧客にアピールするかが課題となっています。

②H(Heterogeneity):異質性

同じサービス内容でも提供者や提供のタイミングによって品質は多少異なります。これをサービスの「異質性」あるいは「非均一性」と呼ぶのです。

たとえば同じ美容師でもつねに同じパフォーマンスが発揮できるわけではありません。その日のコンディションによって仕上がりが変わったり、顧客が求める仕上がりにならなかったりします。この不確実性がサービスのリスクとなる場合もあるのです。

③I(Inseparability):生産と消費の同時性

サービスの提供と消費が同時になされるという特性が「生産と消費の同時性」です。サービスはその場で提供されるものが多い点に起因しています。

学習塾なら講師なしの授業は成立しませんし、移動というサービスを提供する鉄道は、移動する電車でしかサービスを受けられません。サービスのほとんどは「生産と消費」そして「距離的・人員的問題」を同時に発生させます。

④P(Perishability):消滅性

サービスは提供と同時に消滅します。サービスを保存して時間を改めた提供はできません。この特徴をサービスの「消滅性」と呼ぶのです。

自動車製造業では製造した自動車を保存して、複数の顧客に商品をアピール・販売できます。しかしホテル業では顧客が宿泊しない日の売上は発生しません。在庫が持てない点はサービス業のメリットでもあり、貯蔵ができないデメリットでもあるのです。

サービス業と接客業の違い

モノではない無形物を提供するサービス業は、イコール接客業と思われがちです。しかし厳密にいえば接客業はサービス業のひとつで、形のないサービスを提供する業務という意味ではサービス業も接客業も同義といえます。

目に見えない商品で顧客のニーズを満たすサービス業のなかでも、特に顧客と対面で接触する機会が多い業種を接客業と呼ぶのです。

サービスという言葉が持つ4つの特徴は、「I(Intangibility):無形性」「H(Heterogeneity):異質性」「I(Inseparability):生産と消費の同時性」「P(Perishability):消滅性」です

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3.サービス業の分類

ひとことで「サービス業」といってもホテルスタッフやハローワークの相談員、保育士や学習塾講師など業界は多岐にわたります。それぞれどのような仕事を指し、どのような特徴を持っているのでしょうか。ここではサービス業の分類について説明します。

経済産業省では14種類

総務省ではサービス業をそれぞれの特徴に応じて次の14種類に分類しています。これを「日本標準産業分類の大分類体系」と呼ぶのです。

  1. 情報通信業:情報の伝達や加工
  2. 運輸業および郵便業:位置の移動
  3. 卸売業および小売業:商品の流通
  4. 金融業および保険業:金の流通
  5. 不動産業および物品賃貸業:不動産や商品の使用権流通
  6. 学術研究および専門・技術サービス業:専門知識の提供
  7. 宿泊業および飲食サービス業:宿泊または食事の提供
  8. 生活関連サービス業および娯楽業:技能の提供
  9. 教育および学習支援業:教育の提供
  10. 医療および福祉:医療技術と福祉の提供
  11. 複合サービス事業
  12. サービス業(ほかに分類されないもの)
  13. 公務(ほかに分類されるものを除く)
  14. 分類不能の産業:立法、司法、行政

個人向けと法人向け

先に挙げた14種類のサービス業は、さらに「個人向け」と「事業所向け」の2つに分類されます。

  • 個人向けのサービス業:宿泊業および飲食サービス業、生活関連サービス業および娯楽業、教育および学習支援業など
  • 事業所向けのサービス業:学術研究および専門・技術サービス業、立法、司法、行政など分類不能の産業など

飲食店や宿泊施設などの個人向けサービス業の多くは、土日に休みを設けていないのが特徴です。

代表的なサービス業一覧

前述した「日本標準産業分類の大分類体系」からも、サービス業には接客業だけでなく多くの業種が含まれていると分かります。しかしいずれも「目に見えないサービスを提供する」といった点では共通しています。

ここでは「日本標準産業分類の大分類体系」を7つに分けて、各サービス業の具体的な職種について説明しましょう。

  1. 接客・販売
  2. 飲食・宿泊
  3. 教育・学習支援
  4. 医療・福祉
  5. 不動産業・物品賃貸業
  6. 金融・保険
  7. 生活関連・娯楽

①接客・販売

サービス業と聞いて最初に思い浮かべる人も多いのが、接客や販売を通じたサービスの提供です。具体的には以下の業種が含まれます。

  • レストランや居酒屋などのホールスタッフ
  • アパレルやスーパーなどのショップ店員
  • キャビンアテンダント
  • 娯楽スポーツ施設接客

単なるマニュアルどおりの接客ではなく、顧客に応じたサービスの提供が求められます。いずれも顧客とのコミュニケーションが重要視される業種です。

②飲食・宿泊

顧客の注文に応じた料理の提供や、公衆および会員に対する宿泊の提供もサービス業のひとつです。以下の業種がこれに分類されます。

  • パティシエやシェフ、すし職人
  • 旅館主やホテル・旅館のフロントスタッフ
  • 持ち帰り飲食サービス業

顧客一人ひとりが持つ「気持ちよく宿泊したい」「おいしい食事を楽しみたい」といった要望を叶えるために欠かせない仕事です。

③教育・学習支援

教育や学習支援にかかわる業務も広義にはサービス業の一部となります。具体的には次のような業種です。

  • 小学校、中学校など教育業に携わる業種
  • 語学や音楽、スポーツといった習いごとの講師および運営スタッフ
  • 学習塾講師や運営スタッフ

教育や学習支援を通じて技術や能力を身に付けさせたり、学力を向上させたりする業務の全般がここに分類されます。

④医療・福祉

人の命や健康を守り、当事者やその家族をサポートする医療・福祉に携わる業務もサービス業です。具体的には以下の業種が含まれます。

  • 医師や看護師、助産師
  • 高齢者施設職員
  • 保健所職員
  • 保育士

私たちが健康的な生活を送るためには、医療・福祉業務に携わる人たちの力が必要です。人の命とかかわるこれらの仕事には高い専門性と責任感、倫理観が求められます。

⑤不動産業・物品賃貸業

不動産の売買や交換、賃貸や管理などを行う業種、また産業用機械器具や事務用機械器具、自動車などの物品を賃貸する業種がここに分類されます。具体的には以下のような業種です。

  • 不動産会社
  • レンタルビデオ店
  • 総合リース業

映画や演劇用品などの物品を賃貸する事業所や、自動車を駐車するための場所を賃貸する事業所も含まれます。

⑥金融・保険

貸し手と借り手のあいだで資金の融通を行い、資金取引を仲介する事業所を「金融業」といいます。したがって次の業種が「金融業」に分類されるのです。

  • 銀行業
  • 中小企業等金融業や農林水産金融業を営む預金取扱機関
  • クレジットカード業などの非預金信用機関

また不測の事態に保険金を支払う事業所を「保険業」といいます。生命保険や損害保険の保険業、保険サービス業を営む事業所などです。

⑦生活関連・娯楽

生活に必要なサービスを提供する業種、および娯楽のためのサービスを提供する業種ももちろんサービス業のひとつとなります。具体的には次のような業種です。

  • 美容業や理容業
  • エステティック業や家事サービス業
  • 結婚式場業や葬儀業
  • 映画館や劇場、スポーツ施設提供業

職種によっては土日休みが取れなかったり、24時間体制が必要だったりします。

「日本標準産業分類の大分類体系」を7つの分野に分けると、各サービス業の具体的な職種は、「接客・販売」「飲食・宿泊」「教育・学習支援」「医療・福祉」「不動産業・物品賃貸業」「金融・保険」「生活関連・娯楽」となります

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4.サービス業における課題

一般的にイメージされる接客業だけでなく、サービス業にはさまざまな業種があると分かりました。私たちの生活に深く密着しているサービス業には、賃金問題や年次有給休暇の取得、時間外労働などいくつかの課題があるのです。

  1. 年次有給休暇
  2. 長時間労働
  3. 賃金
  4. 生産性

①年次有給休暇

厚生労働省が2017年に発表した「就労条件総合調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の年次有給休暇取得率は32.5%。調査対象となった16業種のなかでもっとも低い数値であると分かりました。

問題の解決には単なる人員不足の解消だけでなく、仕事量の見直しや振り分けが必要なのです。

②長時間労働

リクルートワークス研究所が実施した調査によれば、サービス業の労働時間はほか業種に比べて長い傾向にあります。

特に飲食業では週の平均労働時間が45時間以上を超える割合が6割を超え、長時間労働が常態化していると分かりました。人員が足りず早出や残業が多くなった結果「働きにくい業界」になっているのです。

③賃金

低賃金の問題も避けてとおれません。東京の最低賃金は2019年に1,013円まで上がったものの、国全体で見れば902円。アメリカの10.95ドル(約1,200円)に比べてもまだまだ低い金額だと分かります。

数が少なくなったとはいえ、低賃金や長時間労働を美徳とする文化が日本に根強く残っているのも事実です。国を挙げての啓蒙、低賃金やサービス残業に対する厳しい取り締まりなどが求められます。

④生産性

公益財団法人日本生産性本部が発表したデータによれば、日本サービス産業の労働生産性はアメリカに比べてわずか30~40%。サービスの「質」を考慮しても約50%の労働生産性しかないと報告されているのです。

これには「おもてなし」の言葉に代表される過剰品質、過度の無料サービス提供による生産性の押し下げなどさまざまな原因があると考えられています。目に見えないサービスや情報を有料化し、生産性を高める仕組みが必要でしょう。

サービス業の課題は、「年次有給休暇」「長時間労働」「賃金」「生産性」の4つです。課題を解決するための取り組みが必要といえます

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5.サービス業の将来性

サービス業はさまざまな課題を抱えるものの、多くの可能性を秘めた業界でもあります。事実、日本においてもサービス業の需要は年々増加傾向にあるのです。ここではサービス業の将来性について説明します。

IT技術による影響

サービス業はとりわけIT技術の進歩で成長が見込める業種といわれています。患者とのコミュニケーションが重要な医療分野を完全に機械化することはできません。またエンターテインメントや娯楽の分野にはAIでは補えない人間の想像力が必要です。

一方、サービス業でも思考力や想像力を必要としない職種は、IT技術の影響を受けやすいと考えられています。事実、タッチパネル式の注文用端末やセルフレジの利用なども増えてきました。

医療・介護業界は安定傾向

GAFAが力を入れている影響もあって、ヘルスケア事業や医療・介護業界は今後も安定が見込まれています。

総務省の推計によれば、2020年の時点で65歳以上の占める割合は28.7%。4人に1人が65歳以上となった時代、AIやIT技術によるサポートには限界があり、高齢者に対する丁寧なケアにはどうしても人の手が必要です。

また新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、ワクチン関連やオンライン診療も世界的に注目を集めています。

人材の多様化

近年、都内のコンビニエンスストアで外国人労働者の姿を多く見かけるようになりました。厚生労働省の報告によれば、2020年の外国人雇用者数は前年同期と比べ4.0%の増加で、その人口は172万人にのぼると報告されています。

人手不足の解消と人材のグローバル化を推進するため、外国人労働者は今後ますます増加するものと見られます。人材の多様化に合わせたサービスの価値創造が必要でしょう。

サービス業はIT技術の進歩で成長が見込める業種といわれています。医療・介護業界は安定傾向にあるものの、人材の多様化に合わせたサービスの価値創造が必要でしょう

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6.サービス業で役立つ資格

形のないサービスを提供するサービス業は資格や経験を不問としている職種が多いため、パートやアルバイトで気軽に始められるといった側面があります。

そんなサービス業でも役立つ資格を身に付けたいと考えた場合、どのような資格を取得すればよいのでしょうか。ここではサービス業で役立つ4つの資格について説明します。

  1. 販売士(リテールマーケティング)
  2. 接客サービスマナー検定
  3. 接客販売技能士
  4. JASPAセールスプロフェッショナル資格

①販売士(リテールマーケティング)

「販売のプロ」として30年以上前から実施されているのが「販売士(リテールマーケティング)」の検定資格です。試験では販売に必要な商品知識や販売技術やマーケティング、仕入れや在庫管理など専門的な知識を持つ人材の育成を目指しています。

小売業従事者はもちろん、製造業や卸売業など幅広い分野で活躍できる定番の資格です。

②接客サービスマナー検定

「接客サービスマナー検定」では、ワンランク上の上質な接客サービスが求められる業界での立ち振る舞いや、接客サービスの基本能力を判定します。

目的はエアラインやホテル、ブライダル業界といったビジネスの世界ではもちろん、普段の生活でも好印象をもってもらえるような人材を育成すること。

試験では敬語や席順、電話の応対などの基礎問題をはじめ、外国人顧客への対応やシチュエーションに応じた対応なども判定します。

③接客販売技能士

「接客販売技能士」は、働くうえで必要な技能の習得レベルを評価する国家検定制度「技能検定職種」のひとつです。小売業の国家検定として資格合格者には、作業や等級に応じた「接客販売技能士」の称号が付与されます。

「レディスファッション販売」「メンズファッション販売」「ギフト販売」の3つに分かれており、それぞれ販売経験に応じた3つの等級があるのです。

④JASPAセールスプロフェッショナル資格

「JASPAセールスプロフェッショナル資格」は一般社団法人日本プロフェッショナル販売員協会(JASPA)が、販売員の能力向上と長期的キャリアの形成の促進を目的に創設した資格です。

受験資格は対面販売の実務経験を5年以上持つ販売員。資格を取得すると販売員は、プロフェッショナルである点に誇りと自信を持てます。

サービス業で役立つ資格は「販売士(リテールマーケティング)」「接客サービスマナー検定」「接客販売技能士」「JASPAセールスプロフェッショナル資格」の4つです