採用証明書とは? 採用証明書の書式や必要になるとき、採用証明書の添え状について

採用証明書は、失業者が再就職したことを証明する書類で、再就職手当を申請するために必要です。採用証明書提出によって受けられる手当の概要や注意点を見てみましょう。

1.採用証明書とは?

採用証明証とは、失業保険受給中の失業者が再就職した際にハローワーク(職業安定所)へ申請する証明書のこと。失業保険の受給停止や再就職手当を受けるために必要な証明書となっています。

採用証明書の概要、再就職手当を受ける方法、さらには再就職手当の仕組みについて解説しましょう。

採用証明書は雇用保険を受給停止するためにある

休職していて雇用保険(失業保険、または失業手当)を受給している人の就職が決定した場合、雇用保険の受給を停止しなければいけません。この手続きに採用証明書が必要となるのです。

なお雇用保険の受給を停止するには、採用証明書とあわせて「雇用保険受給資格証」、「失業認定申告書」の3点が必要となります。原則、働き始める前日までにこの手続きを完了させる必要があります。

採用証明書は再就職手当の申請に必要になる

採用証明書は、再就職手当の申請時にも必要です。雇用保険の受給期間中に再就職が決定した場合、再就職手当を申請でき、この手続きの際に採用証明書を提出します。

再就職手当は、失業保険給付期間中に再就職内定を得た場合に申請できる、いわば国からの再就職お祝い金です。ここでは再就職手当の受給対象者、申請方法を解説します。

再就職手当の受給対象者

再就職手当を受けるには、設定された条件すべてを満たす必要があります。

  • 失業保険受給手続き後、7日間の待期期間を満了した後に再就職した
  • 失業手当の支給残日数が、1/3以上残っている
  • 再就職した会社が以前退職した会社とはつながりのない会社
  • 自己都合退職により3カ月の給付制限がある場合、1カ月目はハローワークまたは人材紹介会社、エージェントの紹介で就職を決める
  • 再就職先に1年以上勤務する見込みがある
  • 雇用保険の被保険者となっている
  • 過去3年以内に再就職手当、または常用就職支援手当を受けていない
  • 受給資格決定後に内定した

再就職手当の申請方法

再就職手当を申請するには、就職日から1カ月以内に、再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格証をハローワークへ提出します。

再就職手当に必要な書類は、失業給付受給停止申請時にもらえるので、失業給付受給停止時に再就職手当申請に必要な書類をしっかり確認しておきましょう。

再就職が決定すると雇用保険の失業給付は停止します。しかし再就職が早く決まれば決まるほど再就職手当で給付される金額は高くなるのです。再就職の内定が決定したら、日時を空けず速やかに再就職手当を申請しましょう。

採用証明書は、再就職が決定した際に提出する書類です。「雇用保険(失業手当)の受給を止めたいとき」「再就職手当を受給するとき」に必要となります

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2.採用証明書と関係する雇用保険の目的

雇用保険は、失業した際に所得がなくなった人の生活を支えたり、再就職を促進する失業給付などを支給したりする保険のこと。

「雇用保険は、働いていると引かれている税金や保険の類」といった認識の人もいるでしょう。しかし雇用保険は「仕事を失ったときに備える公的保険」なのです。ここでは雇用保険の目的について解説します。

生活の安定を図る目的がある

フルタイムでの勤務かつ、その仕事で生計を立てている人が失業した場合、給与所得を失います。それは生活に大きな影響をおよぼすでしょう。雇用保険は、失業によって給与所得が無くなった人を経済的負担から救済するための措置なのです。

再就職を促す目的がある

就職活動では少なからず費用がかかるもの。就職活動中の生活はもちろん、面接に使う服装の準備や交通費、資格などを取得しようとすればさらに出費が増えるでしょう。

雇用保険は、失業期間中、対象者に雇用保険で一定額を給付してを行って再就職活動をサポートしているのです。このように雇用保険は、失業した労働者を守る重要な仕組みであるため、日本政府が管掌する強制加入制度となっています。

雇用者は、加入条件に当てはまる従業員を雇用保険に必ず加入させなければなりません。

雇用保険は「仕事を失ったときに備える公的保険」です。必ず加入しておきましょう

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3.採用証明が必要な再就職手当について

再就職手当は、失業者の再就職が決定した際に受けられる手当です。しかし再就職手当を受けるには採用証明書が必要ですし、いくつかの条件があります。ここでは、再就職手当の条件や支給までの期間について解説します。

再就職手当には支給条件がある

再就職手当を受けるには、採用証明書の提出だけでなく、「再就職手当の受給対象者」で述べた8つの条件をすべて満たしていなければなりません。失業保険の待期期間や離職理由も条件に含まれるので注意が必要です。

なお事前に失業保険受給の手続きを終えて再就職手当受給条件を満たしていれば、ハローワークの紹介以外で再就職が決定しても、再就職手当を受けられます。

派遣社員の場合に注意する

再就職手当の支給条件には、「再就職先で1年以上の雇用が見込まれる」点が含まれています。つまりアルバイトやパートでもその条件を満たせば、支給されるのです。

ただし派遣社員の場合、1年以内の派遣契約や契約更新が無い派遣契約では再就職手当を受けられない可能性があるのです。派遣社員は、契約期間に注意しましょう。

待期期間は7日間

失業保険は、申請後に7日間の待期期間が発生します。この待期期間は自己都合退職と会社都合退職のどちらのケースでも「7日間」発生します。待期期間が終わる前に就職が決まると、失業認定前に再就職したとなるため、再就職手当は受けられません。

ただし待期期間中でも就職活動はできます。待期期間中に内定が出て待期期間間満了後に勤務を開始する場合は、失業認定後の再就職と認められるため再就職手当を受けられます。

自己都合退職とは?

自己都合とは、俗にいう「一身上の都合による退職」です。一般的には、結婚や転居、介護や病気、自身のキャリアアップといった理由が挙げられるでしょう。

自己都合退職の場合、待期期間が7日プラス3カ月、失業給付金支給日数は90日〜150日となり、失業給付金最大支給額は約118万円です。

なお自己都合退職した人が再就職手当を受給する場合、待期期間中の7日と1カ月目まではハローワークで紹介している募集先にて再就職できた場合のみ該当します。

会社都合退職とは?

会社都合退職とは、自分の意思に反したやむを得ない理由での退職です。リストラや倒産はもとより、いじめやハラスメントなど会社からの不当な扱いや労働時契約の著しい相違などが理由の退職、退職勧奨や希望退職の承諾などが該当します。

ただし懲戒免職での退職は自己都合退職となりますので、注意しましょう。会社都合退職の場合、待期期間は7日間のみで、失業給付金支給日数が90日〜330日、失業給付金最大支給額は約260万円となります。

再就職手当の支給額について

再就職手当の支給額は、基本手当支給額と失業保険の支給日数によって決定します。計算式は、「支給残日数×給付率×基本手当日額」。給付率は、支給残日数が3分の2以上残っていれば70%、3分の1以上残っていれば60%となります。

たとえば自己都合退職で120日間の所定給付日数があり、再就職が決定した時点の給付残日数が残り90日間だった場合、90日は120日の3分の2以上を占めるため、給付率は70%になるのです。そして「90×70%×基本手当日額をかけた金額」が再就職手当に該当します。

基本手当日額

基本手当日額とは、失業中に受け取れる1日あたりの失業手当支給額のこと。失業時の前職の給与と、直前の半年間の月給(賞与を除いた)の合計を180で割った金額を日額賃金とし、この日額賃金の50〜80%が基本手当日額になります。

また基本手当日額は、年齢ごとに上限が定められているのです。

  • 30歳未満:6,850円
  • 30歳以上45歳未満:7,650円
  • 45歳以上60歳未満:8,370円
  • 60歳以上65歳未満 7,189円

なお基本手当日額は雇用保険受給資格者証に記載されています。確認してみましょう。

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基本手当期間

基本手当期間は基本手当を受給できる期間で、原則、離職日から1年間です。基本手当を受給できる期間は、最低90日間・最高360日と幅があり、勤続年数や年齢、退職理由(自己都合退職か会社都合退職か)で大きく変わってきます。

なおけがや病気、出産や育児などですぐに就職できない場合、受給期間の延長申請ができ、最大3年間まで伸ばせるのです。

再就職手当は採用証明書を持っていくだけではなく、8つの条件を満たしていなけれればなりません。再就職手当の申請条件には、7日間の待期期間も含まれていますので、申請のタイミングには注意が必要です

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4.採用証明書の書式と提出期限

採用証明書には、就職先の事業主に書いてもらう項目があります。ハローワーク提出時に記載漏れがあると受け付けてもらえない可能性も。採用証明書の書き方と提出期限について事前にしっかり確認しておきましょう。

採用証明書の書き方と記載項目

採用証明書の書き方に定型はありません。採用証明書は、ハローワークでもらう「受給資格者のしおり」に同封されています。就職先の事業主に持っていって、項目について記載してもらいましょう。

就職先が採用証明書を用意している場合は、必要事項をおさえており、かつA4用紙1枚に収まっているかを確認します。記載が必要な事項は下記のとおりです。

  • 支給番号(就業先は支給番号について把握していないので、自分で記載する)
  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 電話番号
  • 入社予定日
  • 従業員数
  • 就職先企業の業種
  • 過去に就職先での就業経験
  • 採用経路
  • 雇用形態
  • 雇用期間
  • 就業先企業の名前・代表者名・印鑑
  • 就業先の住所

採用証明書の提出期限

採用証明書の提出期限は、就職日から1カ月以内です。一般的に、内定が決まってすぐに採用証明書をハローワークに持参します。しかし就職が決まって平日に時間を取れない人は、郵送で提出しても問題ありません。

なお企業によっては、本社に採用証明書を送って返送を待つケースもあります。しかし就業日から1カ月以内の提出に間に合わない恐れもあるでしょう。そういった事態を防ぐために、ハローワークへ事前に電話してその旨を伝えておくとよいかもしれません。

採用証明書は内定先に記載してもらい、就業日より1カ月以内にハローワークへ提出します。「受給資格者のしおり」に同封されているものを利用するとよいでしょう

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5.採用証明書は郵送でもいいのか

採用証明書は、前述のとおり郵送も可能です。ハローワークは平日の8時半から18時までと時間が限られていますので、内定が決まって即入社すると、平日にハローワークへ行く時間が取れない場合も出てくるでしょう。

その場合、事前にハローワークに電話して郵送で送る旨を伝えれば、郵送でも採用証明書を送付できます。再就職手当申請の場合、採用証明書のほかに失業認定申告書と雇用保険受給資格者証が必要になりますので、郵送の際は注意しましょう。

派遣会社の場合はどうするのか?

再就職先が派遣会社だった場合、就業先の派遣先企業ではなく「雇用契約のある派遣元」が採用証明書に記載します。

本社や専用部署に郵送して返送してもらうケースが多いため、派遣会社の担当者に事情を説明し、自分で送るか派遣会社から本社へ送るか、確認しておきましょう。自分で送る場合は、郵送時に添え状と切手を貼った返送用封筒を同封するのが一般的です。

採用証明書は郵送でも受け付けています。派遣会社で就職した場合は、本社へ送るのか担当者に任せるのか、担当者と相談しましょう

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6.採用証明書の添え状

添え状とは、送付状やカバーレター、頭紙とも呼ばれる同封されている書類で、誰からどの部署の誰に当てられた書類かを記載したものです。ビジネスでは書類郵送時やFAX送付時のマナーでもあるため、添え状について知っておきましょう。

添え状の書式

採用証明書の添え状には、下記の項目を記載して送るのです。基本、上から順に記載します。

  • 投函する日付(採用証明書を記載してもらった日付、内定日ではない)
  • 宛名
  • 差出人
  • 挨拶文
  • 用件
  • 同封書類名

添え状はビジネス書類の郵送にはもちろん、就職活動で応募書類を郵送する際にも使います。添え状は手書きでも作れますが、パソコンでフォーマットを作成しておくと、必要になったときに内容を書き換えてすぐに添え状を作成できるので便利です。

添え状の作り方と種類

添え状は、ExcelやWordでも作成できますし、インターネットでフォーマットを探す方法もあります。インターネットで「添え状/フォーマット」と検索して、無料でダウンロードできる添え状のテンプレートを探してみるのもオススメです。

添え状の目的はビジネスマナーのほか、「いつ」「誰が」「どの部署の」「誰に」「何を」送ってきたのかを伝えるものでもあります。書類送付の際は、社会人として添え状を同封するように心掛けましょう。

添え状は社会人としてマナーであり、発送日や宛先、郵送物などを伝える書類です。インターネットから無料でダウンロードできる添え状フォーマットを活用すると、効率よく作成できるでしょう

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7.採用証明書を再就職先の会社に書いてもらうには

採用証明書の記載を再就職先にお願いする際、新しい環境の上司へ採用証明書の記載をお願いすることになるため、気が引けるかもしれません。しかし再就職手当の申請や失業手当の停止のために採用証明書は必須の書類です。

就職先の担当者も慣れている場合が多いので、気後れせず勇気を出して依頼しましょう。

採用証明書記入の依頼文から必要な項目などを紹介

採用証明書の記入を依頼する場合、「給付金手続きのため、ハローワークから採用証明書の提出を求められています。」点を素直に伝えて記入を依頼しましょう。

本部などへ郵送する場合は添え状に同様の文章を記載し、必要事項を記載した採用証明書と切手を貼った返信用封筒を同封して郵送するのです。

郵送前に担当部署へ事前連絡で事情を説明しておくと、採用証明書の記入と返信がスムーズに進みます。返送されたら項目や押印などに不備が無いか、しっかり確認しましょう。

採用証明書の記載は入社してすぐに現場担当者や担当部署に口頭や郵送でお願いします。郵送の場合は添え状に記載依頼の旨を記入し、返信用封筒とハローワークで受け取った採用証明書を同封して郵送しましょう