採用マーケティングとは? 手法、ファネル、ステップ、事例

採用マーケティングとは、採用活動におけるマーケティングのこと。採用マーケティングの意味や手法、ファネル、ステップ、企業事例を解説します。

1.採用マーケティングとは?

採用マーケティングとは、求職者または求職者になりうる層に向けた、採用活動におけるマーケティングのこと。求職者を分析して需要に沿った戦略をとり、自然と採用が叶う仕組みの構築を目指します。

少子高齢化による労働人口の減少が続く現在、望む人材を採用するのはかんたんではありません。そこで採用マーケティングを活用すれば、「望む人材からの応募増」や「採用コストの削減」が見込めるのです。

実際に近年、採用マーケティングに関する専門職の求人は、増加の一途をたどっています。

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2.採用マーケティングと採用ブランディングの違い

採用マーケティングと採用ブランディングは、目的は同じであるものの、定義と施策が異なります。

  • 採用マーケティング:採用活動におけるマーケティング。望む人材を採用すべく、求職者の需要を分析し、それに沿って採用活動を改善していく
  • 採用ブランディング:採用に有利なイメージを自社に定着させる望む人材を採用すべく、企業情報を継続的に発信し、ブランド化を狙う

採用マーケティングと採用ブランディング、どちらが欠けても効率的な採用は叶いません。むしろ相乗効果を狙い、双方に等しく目を向けていく必要があります。

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3.採用マーケティング注目される理由

少子高齢化により労働人口が減少する昨今、潜在層にアピールできる採用マーケティングへの注目が集まっています。

日本では深刻な少子高齢化が進み、それにともなって労働人口も減少。これまでどおりの採用活動を続けていては、必要な人材の確保は見込めません。そこで課題として浮上してきたのが、これから求職者になりうる「潜在層」へのアピールです。

採用マーケティングは、求職者の需要分析とそれに沿った戦略により、潜在層への効果的なアピールが叶います。この潜在層へのアピール力の強さから、少子高齢化の現状に即した採用手法として近年、注目されるようになりました。

そのほか「新卒採用の早期化と長期化」や「採用手法の多様化」に対応する手段としても、同様に注目を集めています。

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4.採用マーケティングのメリット

採用マーケティングのメリットは主に以下の3つです。ここでは採用マーケティングのメリットについて説明します。

  1. 採用コストの削減
  2. ターゲット人材の応募増加
  3. ミスマッチの軽減

①採用コストの削減

採用マーケティングは、ミスマッチの軽減やそれよる定着率の向上、広告の最適化につながり、結果として採用コストの削減をもたらします。

採用マーケティングを行えば、希望の合致した企業と求職者が出会いやすくなり、定着率も向上。さらに採用広告についても、手段や内容の最適化が見込めます。

また採用マーケティングは、続けたぶんだけ経験や知識の蓄積が可能。改善を重ねながら何度も利用できるため、コストパフォーマンスも高まっていきます。

②ターゲット人材の応募が増加

採用マーケティングは、ターゲット人材へのアピール強化につながり、そこからの応募増加をもたらします。

従来の採用活動は主に、求人サイトに広告掲載したうえでターゲット人材を待つ、というスタンスで行われていました。

しかし採用マーケティングを用いた採用活動では、まずターゲット人材を明確化し、それに対する効果的なアピールを考案。潜在層を含むターゲット人材により強くアピールでき、そこからの応募を効率的に増やせます。

③ミスマッチの軽減

採用マーケティングは、自社にマッチする人材を発見しやすい仕組みにつながり、企業と求職者のミスマッチを軽減します。採用マーケティングを用いた採用活動では、ターゲット人材の明確化により、その後の行動や選択が自然と最適化できるからです。

ターゲット人材からの応募が増えるのはもちろん、自社にマッチする人材を発見しやすくなります。企業と求職者のミスマッチが減るため、内定辞退や入社後の早期退職も従来ほど起こりません。

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5.採用マーケティングの各ファネルと特徴

ファネルとは、もともと漏斗(ろうと)を指す言葉。漏斗は、液体や粉末を口の狭い容器に流し込む、または濾過する際に使用する逆円錐形の器具です。

マーケティングにおけるファネルは「顧客が認知してから購入に至るまでの流れ」を、採用マーケティングにおいては「求職者が認知してから入社に至るまでの流れ」を指します。採用マーケティングのファネルは、以下のとおりです。

  1. パーチェスファネル
  2. インフルエンスファネル
  3. ダブルファネル

ここでは、採用マーケティングの各ファネルと特徴を説明します。

①パーチェスファネル

認知してから購入に至るまでの、顧客の心理的な変遷のこと。採用マーケティングにおいても同じく、認知してから入社に至るまでの、求職者の心理的な変遷を指します。パーチェスファネルは、以下の3層で構成されます。

  • TOFU(Top of the Funnel)
  • MOFU(Middle of the Funnel)
  • BOFU(Bottom of the Funnel)

パーチェスファネルの最上部に位置するTOFUは、求職者に認知してもらう段階のこと。MOFUは中間部の興味関心を抱いてもらう段階、BOFUは最下部の応募を検討してもらう段階です。

効率的な採用を叶えるためには、パーチェスファネルの各層を最大化しなければなりません。

②インフルエンスファネル

購入後に顧客がとる行動のこと。採用マーケティングにおいても同じく、入社後に社員がとる行動を指すのです。インフルエンスファネルは、以下の3層で構成されます。

  • 購入(入社)
  • 紹介
  • 発信

パーチェスファネルのゴールが入社であるのに対し、インフルエンスファネルのゴールは入社に対する前向きなイメージの発信。パーチェスファネルと異なり、上層ほど少なく、下層ほど広く設定されています。

効率的な採用を叶えるためには、入社後も適切にフォローやサポートを行い、社員に満足感を与えなければなりません。

③ダブルファネル

採用マーケティングの効果の最大化を目指して、「パーチェスファネル」と「インフルエンスファネル」を組み合わせたもの。

インターネットで個人の意見がかんたんに発信できる現在、インフルエンスファネルのゴールである購入に対しての前向きな発信は、そのままパーチェスファネルの入り口である認知にもなり得ます。

購入を最大化するためには、「パーチェスファネル」と「インフルエンスファネル」の双方、つまりダブルファネルを活用しなければなりません。

採用マーケティングにおいても同じく、従来どおりの広告やイベントだけでなく、本当に効果的な施策を考える必要があります。

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6.採用マーケティングにおけるペルソナの設定

マーケティングにおけるペルソナとは、自社のサービスや商品を購入する具体的な顧客像のこと。採用マーケティングでは、自社に入社して欲しい具体的な人材像を指します。

採用マーケティングを用いた採用活動では、自社分析をもとに「学歴」「職歴」「専門知識の種類やレベル」「仕事と生活に対してのスタンス」「年齢」など、明確なペルソナを設定するのが一般的です。

このペルソナに設定した行動や選択をもとに、ターゲット人材への効果的なアピールを考案します。応募や入社する人材と企業のマッチングが向上し、効率的な採用が実現するのはもちろん、内定辞退や入社後の早期退職の軽減も見込めるのです。

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7.採用マーケティング実践のステップ

採用マーケティングの実践には、以下4つのステップがあります。採用マーケティングを成功に導くには、各ステップの理解と実践が欠かせません。ここでは採用マーケティング実践のステップを説明します。

  1. 採用の現状分析
  2. ターゲットとペルソナの設定
  3. ターゲットニーズの探求
  4. 具体的なアプローチの決定

①採用の現状分析

採用マーケティング戦略を立てるにあたり、まず自社のあらゆる要素を見直し、採用における強みと弱みを明らかにします。ここで次のような要素を見直すべきです。

  • 企業理念
  • 経営戦略
  • 事業体制
  • 組織構成
  • 労働環境

適切な現状分析がなければ、本当に必要な人材像は見えてきません。たとえばITリテラシーの低さが弱みとして明らかになった場合、ITの技術や知識を持った人材の採用が求められます。

なお現状分析にはSWOT分析といったマーケティングのフレームワークが有効です。適宜活用して、適切な結果を導き出しましょう。

②ターゲットとペルソナの設定

現状分析の結果にもとづき、採用すべきターゲットとペルソナを設定します。採用マーケティングにおけるターゲットは、単なる求職者ではありません。自社への入社が望まれる、理想的な人物像を指します。

ターゲットが定まったら「学歴」「職歴」「専門知識の種類やレベル」「仕事と生活に対してのスタンス」「年齢」などを具体的に深掘りし、各項目の優先順位を設定しましょう。この具体的な人材像が、今後の採用活動を決めるペルソナです。

ペルソナを明確化すると集中的かつ効果的なアピールを実現でき、採用にかかる費用や労力が抑えられます。

③ターゲットニーズの探求

設定したペルソナはどのような企業への入社を望むのか、ターゲットのニーズを探求します。具体的なニーズの探求法は、以下のとおりです。

  • 面接や書類選考、企業説明会でのデータ収集
  • オウンドメディアやSNSでのアンケート
  • 教育機関でのアンケートやインタビュー
  • OB訪問や社員とのランチミーティングでの聞き取り
  • リサーチ会社や求人広告代理店への代行依頼

ターゲットのニーズを正確に把握できれば、アピールすべきポイントが明らかになり、その後の採用活動が適切かつスムーズに進みます。

④具体的なアプローチの決定

ターゲットのニーズにもとづいて、採用活動の各段階における具体的なアプローチを決定します。採用マーケティングにおける段階は、以下4つです。

  • 認知
  • 興味
  • 比較と検討
  • 決定

効果的な採用を実現するには、各段階でターゲットのニーズを満たし、適切なアプローチをしなければなりません。たとえば認知ではメディアやイベントへの出演、興味の段階ではブログやSNSを使った情報発信などが効果的です。

また比較と検討では既存社員と気軽に話せる場、決定の段階では配属先でのランチミーティングなどを設け、入社への気持ちを固めさせましょう。

採用マーケティングの知識や経験は、次の段階、次回以降の採用にも生かせます。実際にアプローチを行ったあとはすぐに成果や課題を分析し、改善につなげましょう。

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8.採用マーケティングで使われるマーケティング手法

採用マーケティングにおけるマーケティング手法には、以下のようなものがあります。

  1. 採用オウンドメディアの運用
  2. SNSの利用
  3. フレームワークの活用

これらの手法を複数組み合わせると、より強固な戦略が構築できます。さらに採用マーケティング未導入の企業でも、比較的かんたんに挑戦できるのです。ここでは、採用マーケティングで使われるマーケティング手法を説明しましょう。

①採用オウンドメディアの運用

採用に特化したサイトで情報発信を続け、自社にマッチした人材の採用を狙う手法です。

採用オウンドメディアとは、採用に特化したオウンドメディアのこと。採用サイトと混同されやすいものの、採用サイトとは目的や更新頻度が異なります。

  • 採用オウンドメディアの目的:求職者へのアピール
  • 採用サイトの目的:採用情報の統括。よって採用オウンドメディアほどひんぱんに更新されない

採用オウンドメディアを運営すれば、求職者に社風や方針を印象付けられ、より自社にあった人材の採用が見込めるでしょう。これは「オウンドメディアリクルーティング」とも呼ばれ、新しい採用手法として近年注目を集めています。

②SNSの利用

SNSを活用して、「求職者とのコミュニケーション」や「企業のブランディング」を図る手法です。

SNSは「情報発信」と「コミュニケーション」の両方が行えるうえ、ほかの手法に比べて費用や手間がかかりません。特に採用にコストをかけられない中小企業、Z世代といった若年層をターゲットとする企業にオススメです。

主なSNSとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • Facebook
  • Instagram
  • Twitter
  • Wantedly

それぞれ特徴や利用者が異なるため、ターゲットにあわせて選定しましょう。

③フレームワークの活用

マーケティングのフレームワークを活用し、採用活動を効率的に進める手法です。

採用は「営業」「オペレーション」「マーケティング」が複合した負担の大きい業務で、一度スタートすると多忙を極めます。採用活動を効率的に進めるには、目まぐるしく変わる状況を迅速かつ簡潔に整理しなければなりません。

マーケティングのフレームワークを活用すれば、「抜けや漏れのない分析」や「思考の整理」などに役立ちます。採用活動に役立つマーケティングのフレームワークは、以下のとおりです。

  • 3C分析
  • 4C分析
  • STP分析
  • AIDMAモデル
  • SWOT分析

適宜活用して、効率的な採用活動を目指しましょう。

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9.採用マーケティング企業事例

ヤマハや国際自動車、ニトリなどの企業では、実際に採用マーケティングを取り入れて成功を収めました。ここでは採用マーケティング企業事例を説明します。

  1. ヤマハ
  2. 国際自動車
  3. ニトリ

①ヤマハ

ヤマハは、採用ページに社員インタビューを掲載し、求職者とのミスマッチの防止に成功しました。社員インタビューという形で、企業風土や働き方、それに対する社員の感想など、自社のリアルな姿を積極的に発信したのです。

求職者のヤマハへの理解も自然と深まり、従来よりも質の高い面接が行えるようになりました。求職者とのミスマッチに悩む企業が、見習うべき事例のひとつです。

②国際自動車

タクシーを中心とした旅客運送を営む国際自動車は、20代の若手を採用活動の中心に据え、ターゲットを明確化。それに沿った斬新な採用活動により、新卒採用を成功に導きました。

従来はタクシードライバーの中途採用を試みていましたが、業界イメージの悪さから難航。2010年からは思い切って、タクシードライバーの新卒採用を始めたのです。初めは上手くいきませんでしたが、4年目に状況が改善しました。

20代の若手を採用活動の中心に据えたことで、採用マーケティングが行われるようになったのです。

国際自動車の採用マーケティングではターゲットを明確化し、「ありのまま採用」「仮面就職」など、それに沿った斬新な採用戦略を立案。新卒採用を成功に導くとともに、離職率も低下させました。

③ニトリ

ニトリは、マーケティング担当者を人事担当者へと抜擢。採用活動にマーケティングの考え方を取り入れているのが特徴です。

従来の応募者は、ニトリ製品のファンまたは流通業界の志望者が中心で、少ない応募者から必要な人材を見つけ出さねばなりませんでした。そこでニトリは求職者をお客様と捉えたのです。

施策ではオウンドメディア「ニトリン」の運営や1対1での面談、フォローが充実したインターンシップなどを展開。その結果ニトリがめざす未来に共感する、質の高い応募者が増加したのです。

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10.採用マーケティングの理解に役立つ本

採用マーケティングを適切に活用するためには、「マーケティング」「分析のフレームワーク」「採用戦略」「求人広告」など、さまざまな知識を学ばなければならないうえ、それをどう生かすかをつねに検討しなくてはなりません。

ここでは採用マーケティングの理解と活用に役立つ本を説明します。

採用に強い会社は何をしているか

LINEやAmazon、リクルートなどで採用に携わった著者による、必要な人材を採用するための指南本です。

有名企業を含む52の具体例とともに、採用活動を成功に導く原理原則を掲載。「リファラル採用」や「内定辞退対策」、「人事ブログやSNSの運用」、「スカウトの文面作成」など、採用担当者が今気になるトピックを幅広く学べます。

参考 採用に強い会社は何をしているかAmazon