【注意】安全配慮義務とは?「精神的損害」が近年増加! 賠償請求の傾向

労働災害事案で問題になるのが使用者による安全配慮義務です。安全配慮義務には労働契約法と労働安全衛生法の2つで定められています。今回は労働契約法を中心に安全配慮義務についてご紹介いたします。

安全配慮義務とは

労働契約法第5条では「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働ができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定められています。

つまり、安全配慮義務とは労働契約に付随して、使用者が労働者に対して当然に負う義務であり、就業場所や使用する機器や器具の管理、使用者の指示の下で労務を提供する過程において身体や生命を保護するように配慮し、労働者の安全を確保すべき義務が認められています。

そのため、労働者が労務を提供している最中に、身体や生命に損害が発生した際には使用者に対して損害賠償を請求することができます。


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労働契約法第5条と労働安全衛生法の関係

従業員の身体や生命を保護する法律に労働安全衛生法があります。労働安全衛生法は労働契約法とは別の視点で定められたものと考えられていますが、具体的な内容は重複している部分があります。

労働安全衛生法は、労働者の安全だけでなく労働者の健康、快適な職場環境の確保、労働者の精神的な健康の保持を目的としています。

一方で労働契約法の安全配慮義務は、防災や防犯を目的とした労働者の安全を目的としています。2つの法律は性質上明確に分離できるものではありません。

それは、最高裁でも「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」(電通事件、最高裁平成12年3月24日判決)という判決内容にて裏付けされています。

人事部全体で、労働契約法と労働安全衛生法について理解を深め、職場環境の改善や社員の健康管理に取り組みましょう。

労働契約法第5条 安全配慮義務に違反するとどうなる?

安全配慮義務違反とは、労働契約に付随する安全配慮義務を使用者が労働者に対して怠った状態をいいます。その際には債務不履行を原因とする、損害賠償を使用者が労働者に支払わなければなりません。また、労働安全衛生法12章により、違反内容により刑事罰が科せられます。

近年増えているのは、精神的損害です。精神的損害は労災保険制度ではカバーできない部分も多いため、民事訴訟を起こされ、多額の損害賠償請求をされるケースが増えてきています。

衛生管理者による健康診断結果や勤怠表のチェック、長時間勤務をしている社員と産業医との面談、安全衛生委員会の開催で職場環境の問題点を話し合うといった基本的なことを「義務だから」ではなく、問題意識を持って行いましょう。衛生管理者や産業医を導入する義務のない企業では、人事を担っている人が旗振り役になって安全配慮義務を怠らないようにしましょう