ピッチとは? 意味、上手に行うための心得、メリット、日本の主要ピッチイベントについて

ピッチとは、投資家に対して自社の製品やサービスを紹介するプレゼンテーションのことです。ここではピッチを上手に行うための心得やメリット、日本における主要なピッチイベントなどについて解説します。

1.ピッチとは?

ピッチとは、短いプレゼンテーションを指す用語のこと。英語でのつづりはpitchで、語源は「突く」という意味を持つ「picchen」です。

Pitchには、「的などに向かって投げる」「投げ捨てる」「打者に向かってボールを投げる」「ピッチャーを務める」「真っ逆さまに落ちる」といった意味もあります。

強さなどの度合いを示す際や、野球の投球、サッカーの競技場や製造周期など、さまざまな意味合いで使われるのです。

一般的には一定間隔で繰り返し行う動作の回数や速度を意味するピッチ。ビジネスシーンでは短時間で分かりやすい提案をするプレゼンテーションが、ピッチと呼ばれます。

創業や起業の立ち上げに向けて、展開される多くのプレゼン。そのなか使用されたのが始まりで、徐々に日本のIT業界やマスコミのあいだでも使われるようになりました。

発祥はアメリカのシリコンバレー

ピッチの発祥は、世界のIT業界の中心地、アメリカ・シリコンバレーだとされています。サンフランシスコ・ベイエリアの南部に位置するシリコンバレーといえば、世界的に知られる一流企業誕生の地としてもおなじみです。

GoogleやApple、FacebookやTwitterなど、世界に名だたる企業がこのシリコンバレーに本拠地を構えています。

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2.ピッチの種類とプレゼンテーションとの違い

エレベーターピッチ

エレベーターに乗って移動するわずかな時間で、自分自身や自社ビジネスなどについてのプレゼンを行うことから「エレベーターピッチ」という言葉も生まれました。

シリコンバレーでは、実際に15秒から30秒程度のわずかな時間でプレゼンつまりエレベーターピッチを行う例もあります。エレベーターピッチは営業活動だけでなく、自己アピールにも活用できるスキルです。

そのほかのピッチ

短時間で自社の魅力や分かりやすい提案を行うピッチは、さまざまなシーンで用いられています。

  • コンテストピッチ:投資家が集まるイベントなどで行われるピッチコンテスト。本物のリング上で事業を競い合うイベントや、年齢制限を設けたイベントなどさまざまな催しがある
  • ツイッターピッチ:ツイッターなどを活用して一言で事業を想像させるピッチ。比喩表現を用いるとより効果的なピッチになる
  • インベスターピッチ:30分程度のまとまった時間で投資家に行うピッチ。検討が進んだ際のマネジメント・プレゼンテーションも含まれる

ピッチとプレゼンテーションの違い

ピッチとプレゼンテーションの違いは

  • 時間
  • 内容
  • 相手

です。

プレゼンテーションでは、一般的に多数の相手に時間をかけて詳しい説明・提案を行います。相手に理解してもらい、投資や契約といった具体的な行動を起こしてもらうことがゴールです。

一方、ピッチにかける時間は短時間で、アイデアを売り込む相手も少数。なかには前例がないものや、相手が専門分野でない場合もあるため、一般的で分かりやすい言葉を使います。目的はサービスや製品を投資家に売り込んで資金やサポートを得ることです。

短時間で少人数に向けて行われるピッチは、特定の顧客に行われる場合が多いです。プレゼンテーションに比べて不特定多数、初見の相手に対して行われます

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3.ピッチを上手に行うための心得

ピッチを成功させるためには、どうしたらよいのでしょうか。ここではピッチを上手に行うためのコツや心得などについて解説します。

  1. GTCメモの作成
  2. GTCメモを参考に構成を練る

①GTCメモの作成

GTCメモとは、相手と話している最中に会話の目的を忘れたり、盛り上がり過ぎて伝えたいことが話しきれなかったりといったトラブルを防ぐためのメモ。

「Goal(ゴール:自分の目的)」「Target(ターゲット:相手の目的)」「Connect(コネクト:自分と相手の一致点)」それぞれの頭文字を取った言葉です。

Goal(ゴール:自分の目的)

Goal(ゴール)では文字どおり自分の目的、プレゼンのゴールを明確にします。「既存顧客を利用した新規ビジネスの提案」「外出先からでもアクセスできる顧客管理ソフトの提案」といったように、自分のニーズと目的を設定する段階です。

Target(ターゲット:相手の目的)

Target(ターゲット)では、プレゼンをする相手が何に関心があり、どのような結論を望むのかをイメージします。ピッチは短時間で自分のアイデアや提案を伝える場ではあるものの、自分志向だけで相手は動きません。

先に定めた「G(Goal)」は、プレゼンする相手にとっては他人事に過ぎないからです。相手が何を望むのか、どんなニーズを持っているのかのイメージが必要になります。

Connect(コネクト:自分と相手の一致点)

G(goal)とT(target)の一致点を見つけるのがConnect(コネクト)です。自分のアイデアや提案と、相手のニーズの一致する点を見つけ出して、成約や関係構築といった具体的な次のアクションを目指します。

自分のしたいことを相手に伝え、かつそれが相手のニーズに合致していることが理想的なピッチの形です。

②GTCメモを参考に構成を練る

作成したGTCメモを参考にして、具体的なピッチの構成を練っていきます。その際注意したいのが、先に作成したGCTメモをT→C→Gの順番で話すこと。一般的にG、つまり自分の欲求や目的から話し始める人の提案を聞きたいとは思いません。

ピッチは作成したGTCメモを参考に「フック(導入)」「ポイント(提案)」「クロージング(行動喚起)」の3段階で構成します。

フック(導入)

まずはスムーズに本題に入るための前置き、フック(導入)から。話の冒頭に相手が興味を持つような一言を置き、話を聴くモードに切り替えてもらいます。

「〇〇の件について意見を伺いたいのですが」「〇〇に対してお困りはありませんか?」というように、疑問や共感を織り交ぜると効果的です。

ポイント(提案)

続いてC、自分と相手との一致点に該当するポイント(提案)を行います。30秒という短時間にて行われるエレベーターピッチでは、提案を1つに絞って伝えるのが定番です。

だらだらとした印象を与えないよう、提案するポイントを少なくして要点をまとめます。「結論から先に話す」「具体的な数字を示し、長文にしない」などを意識するとよいでしょう。

クロージング(行動喚起)

最後にようやくG、自分の目的に該当するクロージング(行動喚起)を行います。「ご興味があればこちらまでご連絡をお待ちしています」「改めて詳しいお話を伺ってもよろしいでしょうか」など、次につながる言い回しです。

相手がすでに関心を持っている場合は、一言二言の短い説明で十分でしょう。次の具体的な行動を促すため「残りが少ないのでお早めに」「有名な大手企業からも好評です」といった言い方を用いるのも効果的です。

練習を重ねる

GTCメモを作成し、3段階の構成をイメージしたら、あとは練習を繰り返しましょう。海外企業のなかには、社員教育の一環としてエレベーターピッチの実練習を行う企業もあるといわれています。

練習を重ねる際は、頭の中でピッチをイメージするだけでなく、声に出して練習するとより効果的です。ボイスレコーダーを使って自分のプレゼンを録音したり、同僚やチームメイトに練習相手になってもらったりしましょう。

ピッチの例文

いくつかの例文に触れておくと、より具体的にピッチをイメージできます。

社内で新しい取り組みを提案する際

  • チーム内のコミュニケーションがうまくいっていないと悩んでいませんか? (フック)
  • 短時間で的確にプレゼンするピッチが、コミュニケーションの効率化に役立つ可能性も高いです(ポイント)
  • 各チーム内でピッチ導入を検討してみてください(クロージング)

人事部で新施策を提案する際

  • モチベーションの低下による生産性の低さが課題になっています(フック)
  • ピッチコンテスト大会を開催すれば主体性の向上につながるのではないでしょうか(ポイント)
  • 来週は大会の具体的なプランを取り決めてみましょう(クロージング)

ピッチを上手に行うための心得は、「GTCメモの作成」「GTCメモを参考に構成を練る」の2つです

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4.ピッチのメリット

短時間でプレゼンを行うピッチにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは4つの側面からピッチのメリットについて解説します。

  1. 話を聞いてもらえるチャンスが増える
  2. どんな場面でも伝えたい内容を簡潔に伝えられる
  3. コミュニケーション能力が高まる
  4. 信頼性が高まりやすい

①話を聞いてもらえるチャンスが増える

相手に投資や契約といった具体的な行動を起こしてもらうためには、製品やサービスについて十分に伝える必要があります。しかし実際のところ、数時間・数十分の時間を割くのは難しい人もいるでしょう。

数十秒のピッチに落とし込み、相手が傾聴しやすくすれば、その後の行動につながる可能性が出てきます。

②どんな場面でも伝えたい内容を簡潔に伝えられる

「話しているうちに何を伝えたいのか見失ってしまった」「話題があちこちに飛んでしまった」経験を持つ人も多いでしょう。

ピッチの練習を重ねると、情報を整理する能力がつきます。それと同時に話す内容をシンプルにまとめられるのです。

③コミュニケーション能力が高まる

伝える力と聞き取る力、すり合わせが不十分なままだと、せっかくのプレゼンも時間と労力を無駄に消費するだけで終わってしまいます。

エレベーターピッチができるようになると、要件を簡潔に伝えられるため、時間とコストともに発生するコミュニケーションロスを減らせるのです。

④信頼性が高まりやすい

「この人の話は分かりやすい」「整理された情報を短時間にまとめられる人なら仕事も信頼できる人なのではないか」と感じてもらえれば、自ずと相手からの信頼感も高まるでしょう。

ピッチにはほかにも「話にメリハリを持たせられる」「言葉を選ぶ力が身に付く」「シンプルだからこそ相手の興味を引ける」といったメリットがあります

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5.ピッチイベント

ピッチイベントとは、スタートアップ企業が投資家などに対して自社のサービスをプレゼンテーションするイベントのこと。目的は、サービスの認知拡大や資金調達、パートナー企業の発見です。

ピッチイベントの一例

日本ではどのようなピッチイベントが開催されているのでしょうか。ここでは起業家にとっての登竜門ともいわれるピッチイベントの一例を紹介します。

TechCrunch Tokyo

新進気鋭のスタートアップが一堂に会する「Tech Crunch Tokyo」は、日本最大級のスタートアップの祭典です。その年に最も輝いたスタートアップを選ぶピッチコンテストや、国内外の著名ゲストスピーカーを迎えてのセッションなどが行われます。

出場のハードルは高いもののスポンサー企業は多く、力試しとしては最高の舞台といえるでしょう。

INNOVATION LEADERS SUMMIT

プロジェクトニッポンが運営する「INNOVATION LEADERS SUMMIT」は、200社以上のスタートアップピッチや150社以上のスタートアップショーが行われる、アジア最大規模のオープンイノベーションサミット。

発足の目的は、資金調達より、スタートアップのアイデアやテクノロジーと大手企業のアセットをマッチングさせ、グローバルイノベーションを生み出すことです。

国際イノベーション会議HackOsaka

「国際イノベーション会議HackOsaka」は、オープンイノベーションシティを掲げる大阪市が年に一度開催する国際イノベーション会議です。

起業家や投資家、大企業から学生までさまざまなプレイヤーが主役として参画します。次々とイノベーションが巻き起こるヒントを、世界の先行事例から学ぶピッチイベントです。

スタートアップ・カタパルト

「スタートアップ・カタパルト」の対象は、社会課題を解決するユニークなプロダクトやアーリーステージのスタートアップ、そしてサービスを有するシード。

第一線で活躍する審査員に対して、1社あたり7分間のプレゼンテーションを行い、最も注目を集めるスタートアップが選出されます。目的は、トップリーダーとのCo-Creationの場を提供して、産業発展に貢献することです。

Slush Tokyo

「Slush Tokyo」は2008年にSlush発祥の地、フィンランドで始まりました。スタートアップ・カンファレンスで、Slushといえば、テクノロジー系イベントとしては異色ともいえるダイナミックな演出が特徴。

今の日本を代表するキーパーソンだけでなく、中国や韓国、インドの企業も次々と登場し、ハイレベルなピッチを繰り広げています。

これらのピッチイベントは、一視聴者としても他者の提案や考えに触れられる絶好のチャンスです。難しいイベントと考えず、気軽に足を運んでみましょう