パラレルキャリアとは? 意味、似ている用語、背景、メリット・デメリット、企業の導入事例について

パラレルキャリアとは、本業以外の仕事を持って、本業とそれ以外のキャリアを両立させるという生き方のことです。

1.パラレルキャリアとは?

パラレルキャリアとは、P・F・ドラッカーが提唱したもので、「本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと」と定義されています。

従来の「企業と人」の関係とは異なりつつある労働環境。これからはそれぞれの働き手が「自らの望むように働き、その能力が発揮できる」という多様で柔軟な働き方が必要とされており、パラレルキャリアが注目されているのです。

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2.パラレルキャリアの人口

実際にパラレルキャリアを築いている人は、どれほどいるのでしょうか。

2017年の総務省の「就業構造基本調査」によると、副業をしている人口は雇用者全体の2.2%に当たる128.8万人いるとされています。また副業を希望している人は約385万人いました。副業をしている人、希望している人のいずれも年々増加しているのです。

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3.パラレルキャリアと似ている用語

パラレルキャリアと似た言葉に下記の2つがあり、それぞれパラレルキャリアとは位置づけや意味合いが異なります。

  1. 副業・ダブルワーク
  2. スラッシュキャリア

①副業・ダブルワーク

パラレルキャリアも副業・ダブルワークも複数の職業を持つという点では同じです。では何が違うのでしょうか。大きな違いは「目的」にあります。

パラレルキャリアは、キャリアアップやスキルアップ、本業では得られない経験などを目的としたもので、必ずしも収入が伴うとは限りません。ボランティア活動といった社会活動も含まれるからです。

一方、副業・ダブルワークの目的は副収入です。報酬を得るために行うもので、自己実現やスキルアップが伴わない場合もあります。

②スラッシュキャリア

スラッシュキャリアは、ひとつの職業に特化せず、複数の肩書や経歴によってキャリア形成すること。複数の肩書のどれがメインでどれが副業というわけでなく、すべてにおいて同じ割合で力を注ぎます。

たとえば「ITエンジニア/フリーライター/アロマテラピスト」といったように複数の肩書で自分のキャリアを表記するのです。その際、肩書の間に「/(スラッシュ)」が入るため「スラッシュキャリア」と名付けられました。

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4.パラレルキャリアが注目される背景

昨今、パラレルキャリアが注目されており、従業員の副業を認める企業や、実際に副業を行う人たちも増えてきました。その背景にあるのは、下記3つです。

  1. 多様な働き方への関心
  2. 副業の解禁
  3. 終身雇用制度の崩壊

①多様な働き方への関心

従来の日本では終身雇用制が当たり前で、勤続年数が長いほど優遇されていました。しかし近年、「フレックスタイム制度の導入」「リモートワークの普及」「転職の増加」などによって、多様な働き方が広まったのです。

各自が自分らしい人生設計をするなか、パラレルキャリアへの取り組みが注目されるようになりました。

②副業の解禁

厚生労働省は2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定。モデル就業規則を改定して副業・兼業に関する規定を新設したのです。

また複数就業者が安心して働けるよう労災保険制度も見直され、従業員の副業や兼業・認める企業も増えてきました。このように、社会全体に副業や兼業を推進する流れができつつあります。

③終身雇用制度の崩壊

政府が副業を認め、企業も賛同するようになったのは、終身雇用制が崩壊したためです。今後、副業や兼業をしている従業員は、「自分のスキルは自分のもの」としてフリーランスや請負に近い感覚を持つようになるでしょう。

従来のような従業員を完全に雇用して束縛するといった概念は徐々になくなり、会社と個人が個々に業務契約を結ぶといった形が広まっていくかもしれません。

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5.企業におけるパラレルキャリアのメリット

パラレルキャリアの取り組みは、企業にとってもメリットがあります。下記5つについて解説しましょう。

  1. 従業員のスキルアップ
  2. 本業との相乗効果
  3. 既存人材の定着
  4. 人手不足の解消
  5. 優秀な人材の確保

①従業員のスキルアップ

企業が従業員のパラレルキャリアの取り組みを認めると、「副業で違う仕事をすると新しいスキルを身に付ける」「収入につながらなくとも、業務外の学習や趣味、社会活動などを行うことで視野が広がる」などが期待できます。

パラレルキャリアで得られたスキルや経験を生かせば、本業においても生産性が向上するため、企業にもプラスとなるでしょう。

②本業との相乗効果

従業員がパラレルキャリアを行うと、「本業ではできない経験で、視野を広げたりさまざまなスキルを身に付けたりできるく」「多くの人と接して話す技術やプレゼンテーションを上達させる」「社外に出るため人脈が増え、新たな仕事につながる」などのプラス効果があります。

これにより、本業の業務にも良い効果をもたらすのです。

③既存人材の定着

従業員のパラレルキャリアを認めると、すでにいる人材を定着させられます。

従業員が本業とともに、「副業・家事や育児、介護・学習や資格取得・趣味の活動・ボランティアといった社会活動」などを行いたくとも難しかったとしましょう。その際、これらが可能な別の企業に転職してしまう可能性は高いです。

パラレルキャリアを認めていれば、人材が流出することはありません。

④人手不足の解消

人材不足に悩む企業がパラレルキャリアで副業希望者を受け入れると、人材が確保できます。

また「新規のプロジェクト」「商品企画やプロモーション」などを社内の人材だけでは実行できない場合、パラレルキャリアにたずさわる人材を登用すると問題を解決できるのです。

⑤優秀な人材の確保

「パラレルキャリアを認めている」という方針を打ち出すと、パラレルキャリアの希望者を採用しやすくなります。

優秀な人材ほど、現状に甘んじず、向上心を持ちスキルアップに努めるもの。採用した人材がパラレルキャリアによって身に付けたスキルで、企業に大きく貢献すると期待できるのです。

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6.企業におけるパラレルキャリアのデメリット

パラレルキャリアを容認すると、企業にデメリットが生じる場合も考えられるのです。下記の4つについて解説しましょう。

  1. 本業への支障
  2. 情報漏えいの危険性が生じる
  3. 人材の流出の懸念
  4. 事務コストが増大する

①本業への支障

従業員のパラレルキャリアを認めると、本業の業務に支障が出る可能性も高まります。

たとえば「本業の労力や労働時間を確保しにくい」「従業員がパラレルキャリアにより多忙・過労のため、健康状態が悪くなる」「従業員がパラレルキャリアを行った際にケガをして、本業を休業しなくてはならなくなる」などです。

②情報漏えい

パラレルキャリアは、従業員が別の場所で活動するため、情報漏えいが起きるリスクもあります。本人が注意していても、うっかり流出させてしまう危険性があるのです。

従業員が社内情報などを持ち出せないよう、あらかじめ対策を取っておく必要があります。たとえば従業員と守秘義務契約を交わしておくといった方法です。

③人材の流出

パラレルキャリアによって従業員の成長が期待できます。その一方、従業員の視野が広がり本業から転職を考える場合があるかもしれません。

パラレルキャリアをした結果、「本業を辞めて集中して打ち込みたい」「待遇がよいのでそちらを本業にしたい」などの理由で本業を退職してしまったら、企業にとって貴重な人材を失ってしまうでしょう。

④事務コストの増大

パラレルキャリアを認める際、「パラレルキャリアで報酬が発生すると副業扱いになるので副業禁止の規定があれば改正する」「従業員が十分な休養時間を取れるよう配慮して、就業時間を改正する」といった就業規則の改正が必要になる場合もあります。

それにより、事務コストが増えてしまう可能性は高いのです。

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7.パラレルキャリアの導入事例

副業容認の流れが進んだ結果、パラレルキャリアを取り入れている企業が増えています。下記2つの事例について解説しましょう。

  1. サイボウズ
  2. ドン・キホーテ

①サイボウズ

サイボウズは、従業員の離職を減らすために副業を解禁。人事制度の方針を「100人いれば、100とおりの人事制度があってよい」とし、従業員の個性を大事にする取り組みを始めました。

また働き方の多様化チャレンジとして、副業(複業)の自由化という制度を導入。その結果、離職率が下がり、売上高が上昇したのです。

②ドン・キホーテ

ドン・キホーテでは、従業員が事業所内保育施設と兼業するケースで、労働時間通算を試験的に導入しています。その背景があったのは下記の2つです。

  • 「事業所内保育施設でも働きたい」という従業員の要望があった
  • 当該保育施設に確認すると人手不足だった

「保育施設は人手不足が解消でき、受け入れ可能児童数が増加する」「ドン・キホーテは、子育て中の優秀な従業員を確保できる」という好循環が期待されています。

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8.パラレルキャリアを進めるために企業がやるべきこと

パラレルキャリアを容認するために、何を準備すればよいのでしょう。それは下記の2つです。

  1. 就業規則の改定
  2. 相談体制の構築

①就業規則の改定

企業には、従業員への安全配慮義務があります。副業・兼業によって業務量が増えたり長時間労働になったりする際、何らか対応をしなくてはなりません。「業務に支障が出る場合、副業や兼業を禁止または制限できる」旨の就業規則にしておきましょう。

また「秘密保持義務」「競合する業務を副業・兼業しない」などの取り決めも必要です。

②相談体制の構築

パラレルキャリアについて相談できる体制づくりも必要になります。

「副業や兼業のメリット、デメリット」「問題が起きたときの対応」「従業員自身の健康管理」など、さまざまケースで身近に相談できる場があると、パラレルキャリアを成功させやすくなります。