ペーシングとは?【意味を簡単に】ラポール、ミラーリング

ペーシングとは、非言語的伝達手段によるコミュニケーションスキルです。ここでは、ペーシングについて解説します。

1.ペーシングとは?

ペーシングとは、非言語的伝達手段を用いて信頼関係を構築するコミュニケーションスキルのこと。たとえば、下記のようなことです。

  • 話をする速度
  • 声の高低
  • 声の大小
  • あいづちの頻度とタイミング
  • うなずき

ペーシングは、カウンセリングでも使用されている心理学の専門用語です。昨今、ビジネスの世界でも応用され、活用されるようになりました。

医療分野におけるペーシング

ペースメーカーによる治療のこと。一般にペーシング療法と呼ばれます。電気エネルギーであるペーシングパルス電気刺激として心臓に伝え、心臓のリズムを整えるのです。

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2.ペーシングの目的「ラポール形成」とは?

ラポール形成とは、相手に対して親密・信頼しているという関係を築いた状態のこと。ラポールが形成されていれば、人間関係のストレスを減らせるのです。

しかし本来、ラポールは、無意識に心を通わせられる精神世界の感覚を意味する言葉。つまり、説明がつかない自然に導かれた感覚に近いものと理解できます。そのようなラポール形成の3原則について、解説しましょう。

  1. 尊重
  2. 類似性
  3. ペーシングとリーディング

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①尊重

相手を尊重したり相手の価値観に共感したりするスタンスです。とはいえ自分の価値観を失うのではありません。相手の気持ちを把握し、敬意を払うことを意味するのです。

②類似性

共通点を見つけること。互いの共通部分を意識させると、一体感や安心感、好感や親近感が沸きます。それにより相手の警戒心を解けるのです。

③ペーシングとリーディング

「相手の言語だけでなく非言語にも合わせる」「目的に向かってコミュニケーションをリードする」などで、お互いの距離感を縮められます。

ビジネスシーンにおける効果

3原則のビジネスシーンにおける効果は、下記のようなものです。

  • 初対面の相手とも安心感を与えながらコミュニケーションがはかれる
  • 不安を取り除きながら信頼を構築することで、頼られる存在になる
  • その結果、成約率やリピート率、成功率やアポイントメント率、販売実績などを高められます。

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3.ペーシングによる効果と活用シーン

ペーシングがもたらす主な効果は、下記のようなものです。

  • 警戒心を取り除く
  • 肯定感を満たす
  • 安心感を与える
  • 重要感を満たす
  • 信頼関係を構築する

ビジネスにおける活用シーンは、営業時の交渉やプレゼン、部下の指導など幅広くなっています。また夫婦や親子関係といったプライベートのさまざまなシーンでも役立つスキルといえるのです。

ビジネスでもプライベートでも活用できる、万能のスキルともいえるでしょう。

営業

営業でページング効果を発揮しやすいのは、話し方といわれています。

たとえば、地方に営業所がある企業であれば、その地域出身、つまり方言を話せる営業担当者を配属させると、距離が縮まりやすくなります。同郷という面で意気投合し、交渉が進めやすくなる可能性も高まるでしょう。

ほかにも、「クライアントの担当者が女性であれば、女性の営業担当者を付けて同調しやすくする」「クライアントの話を傾聴して、『話を聞いてくれている』と思ってもらい、気持ちを開いてもらう」なども活用法として挙げられます。

マーケティング

マーケティングでは下記のような活用ができます。

  • 感情や価値観、信念を共有したマーケティングを行う
  • 趣味や職業、困りごとなど、ターゲットと共通の話題を見つけて、ラポールを築く糸口にする
  • 悩み事に共感する姿勢を示し、解決までリードすることで深い信頼関係を構築する

部下の育成

下記のような活用ができます。

  • 部下の話すペースや感情のレベル、表現や口癖、態度や呼吸、姿勢やジェスチャーなどに合わせる
  • どのようなときもしっかり話を聞いて受け止めているというサインを送る
  • 信頼関係を構築したあと、目標まで自身のペースで到達できるよう、部下を導く

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4.ペーシングと関連するテクニック

ペーシングと関連する6つのテクニックがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. ミラーリング
  2. マッチング
  3. バックトラッキング
  4. キャリブレーション
  5. チューニング
  6. VAK

①ミラーリング

相手の姿勢や表情、動作などを鏡のように真似すること。相手が腕を組んだら「自分も腕を組む」のように、さりげなく動作や表情を合わせていくことがポイント。特に重要なのは、まばたき・口角の動きなども含めて合わせることです。

②マッチング

話をするスピード、声の大きさや高さ、声色などを丁寧に観察してペーシングしていくことで、非言語のペーシングです。これにより相手は、「自分のペースに寄り添ってくれる」「自分を理解してくれる」と認識、信用していきます。

③バックトラッキング

相手が話した言葉を繰り返すこと。単なる繰り返しではなく、相手が満足するタイミングでオウム返しをすると、好感を生み出せます。言葉を言い換えたり入れ替えたりキーワードを取り入れたりといった応用を行うと、より効果的です。

④キャリブレーション

相手の表情や動き、呼吸や声などから心情を読み解くテクニックです。

積極的な発言をしていても内心は後ろ向きの気持ちになるときも。またその心理状態が表に出てくるときがあります。それを見逃さず、キャッチしてペーシングにつなげるのです。

⑤チューニング

相手の持つ思考や雰囲気、ムードやオーラなどに寄り添うこと。人の感情は、潜在意識にも影響します。無意識に表れる感情に寄り添うと、相手との共感を創造できるのです。ポイントは、相手よりも少し客観的な目で現状を把握すること。

⑥VAK

人の五感を、視覚の「Visual」聴覚の「Auditory」身体感覚の「Kinesthetic」に分類したものです。相手の得意な五感に合わせたアプローチによりペーシングにつなげていきます。
たとえば、視覚分野が得意であれば、グラフや作図でコミュニケーションをはかります。

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5.ペーシングを実践するときのコツ

ペーシングを実践するときのコツがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 相手のしぐさを真似する
  2. 相手の呼吸に合わせる
  3. 相手の声や話し方に合わせる

①相手のしぐさを真似する

いわゆるミラーリング効果を実践して、表情や動作などを鏡に映したように真似します。ただし時差がなく真似をすると、相手に真似をしていると気づかれてしまうでしょう。そこで少しタイムラグを置いてから真似していきます。

②相手の呼吸に合わせる

コミュニケーションが上手な人は、相手の呼吸に合わせるのが上手です。短時間で呼吸のリズムをつかみ、同じリズムで呼吸をして心をつかみます。テクニックとしては難易度が高いです。まずは相手の呼吸を観察することから始めるとよいでしょう。

③相手の声や話し方に合わせる

話をするスピードや話をするリズム、声のトーンや大きさ、抑揚などを徹底的に観察して合わせます。難しくとも、意識していくと自然に関係が構築できるでしょう。相手の持っている感情や感覚を大事にする姿勢を見せることがポイントです。

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6.ペーシングを実施するときの注意点

ペーシングを実施するときの注意点5つを、解説します。

  1. 「ペーシング、ラポール、リーディング」はセットで
  2. 相手に気付かせない
  3. 相手をコントロールしようとしない
  4. 否定しない
  5. 内面のペーシングを重視する

①「ペーシング、ラポール、リーディング」はセットで

ペーシングで相手の歩調を合わせ、ペーシングを続けてラポールを築きます。そして形成されたラポールで信頼関係を維持しながら相手に働きかけ、リーディングで相手を次の世界へ連れていくのです。

②相手に気付かせない

「真似されている」「おかしな動きをしている」と相手が気づけば不信感が生まれ、ペーシングを築くのは難しくなるでしょう。ペーシングを実施していると相手にさとられないよう、タイミングをずらす自然なふるまいを心がけます。

③相手をコントロールしようとしない

ペーシングは、相手をコントロールする手法ではありません。相手を尊重して、親和的な関係性を構築することに注力します。

④否定しない

開口一番に否定的な発言をされれば、誰でも嫌な気持ちになるもの。ペーシングでは、相手を否定しないよう気をつけましょう。否定的な意見を言うときは、最初は同調し、その後反論します。つまり、同調をクッションにするのです。

⑤内面のペーシングを重視する

単に仕草を真似して言葉を繰り返すだけでは、本当の意味でペーシングを実施できません。ペーシングを実施するときは、相手が持っている内面的価値観に寄り添い、共感しましょう。それがペーシングを実現する近道になります。