圧迫面接とは? 予防・対策、具体例、するべきではない理由

圧迫面接とはどういう面接のことを指すのかご存じですか?

ここでは、

  • なぜ圧迫面接が行われるのか
  • 実際にどのような面接が行われたのか
  • て圧迫面接を受けた際の対策
  • 企業サイドでできる、圧迫面接にならないような方法

などについて、詳しくお伝えします。

1.圧迫面接とは?

圧迫面接とは、面接官が面接を受ける人に行きすぎた質問や指摘をする、威圧感のある雰囲気を醸し出す面接のこと。あるアンケートによると、就職活動した人の多くが「圧迫面接の経験がある」と答えています。

圧迫面接は、面接官の行きすぎた質問に対してどのようなリアクションを起こすのかを見極める意図があると考えられていますが、企業イメージを損ねてしまう場合もあるので、なるべく避けたほうがよいでしょう。

面接では、企業が学生を選考するのと同時に学生も企業をジャッジします。つまり面接の場では、企業も学生に対して適切なPRが必要なのです。それにより優秀な学生の採用も見込めるでしょう。

圧迫面接は、面接を受ける者のストレス耐性や打たれ強さを見ているといわれていますが、その効果は疑問視されています

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2.なぜ圧迫面接が行われるのか?|圧迫面接の目的と意味

圧迫面接には、2つの意味があるといわれています。

受験者を知るため

面接官がさまざまな角度からたくさんの質問を繰り返すのは、学生自身のことをもっと詳しく知りたいからです。なぜなのかと繰り返し聞かれた場合、それぞれの質問の答えが不明瞭だったのかと考えられます。

たとえば、所属サークルに入った経緯についての質問に「面白そうだったから」などと答えれば、面接官は「どんなところが面白そうだったのか」「どんな点に興味を持ったのか」などを知りたくなります。そのため、「なぜ?」を繰り返すのです。

面接官の能力不足

質問に一生懸命答えても、面接官が理解できなければ先に進みません。何度も同じような質問が繰り返されれば、答えるほうはどんどん追い込まれてしまうでしょう。

また、思った通りではない、面接官の意図に反している答えが返ってきた際、怒鳴ったり否定したりする面接官もいます。これらは、面接官の完全な能力不足です。面接官は事前に心得や臨む姿勢をしっかり認識しておかなければなりません。

何度も同じ質問を繰り返したり怒鳴ったりするなど、ストレスを与えるような面接は圧迫面接と認識されています

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3.圧迫面接の内容と事例

圧迫面接を経験したことのある人の割合、かけられた言葉や高圧的な態度など、具体的な内容や事例をご紹介しましょう。

圧迫面接を体験した人の割合

新卒の就活生に聞いたアンケートでは、圧迫面接を経験したことがあるかという問いに対して、「ある」と答えたのは、

  • マイナビの調査では23.0%
  • リクナビの調査では63.7%

具体的には、

  • 恐ろしい人相の人に大声で怒鳴られた
  • ひじを机に置き、常に怒った口調で質問をしてきた
  • 態度が横柄だった
  • 自分の意見を完全に否定してネチネチ言われた
  • 下を向いていて、答えたことに反応しない
  • 常に「なんで?」と問いかけられた

などの回答がありました。実情を見ると、信じられないような高圧的な面接が行われています。このような面接では、自分の見てほしいポイントをアピールする余裕もなく、残念な結果を招いてしまう可能性が高くなるでしょう。

圧迫面接の事例

圧迫面接の事例について、実際に行われた面接の事例からご紹介します。

  1. 否定
  2. 質問攻め
  3. 怒鳴る
  4. 無視・無関心
  5. 態度が悪い
  6. 説教

①否定

面接は議論をする場ではなく、学生の考えを知り確認をする場。学生の意見を否定して考えを修正させる、ディベートをするというのは本来の目的に合っていません。

たとえ学生の答えに矛盾や誤りがあっても、学生の真意に近づくよう探っていくのが面接官の仕事です。相手を否定してその反応を見るのはあまり意味がありません。

②質問攻め

たとえば、下記のようなものです。

  • 1つの返答に対して何度も何度もたたみかけて掘り下げてくる
  • 学生の答えに対し、「なぜ?」と「もし無理だったら?」と繰り返し質問する
  • 学生が答えに困って沈黙をしているのに、何のフォローもしてくれない
  • 答えづらい質問や掘り下げてくる質問内容が、違う質問でも連続する
  • 面接官の態度や言動が明らかに高圧的であり失礼である、無視をする

③怒鳴る

面接を受ける者に対して、突然怒鳴りつける、罵る、暴言を吐くといった、まるで面接をストレスのはけ口にしているかのような、信じられない面接官も存在します。中には「あなたはうちの会社に向いていない」などと発言をする面接官もいるようです。

このような態度を取る面接官がいるような会社は、ミスをしたときに怒鳴ったり暴言を吐いたりなど社員の人格を否定するような発言をして精神的に追い詰めるような社風である可能性が高いでしょう。

④無視・無関心

否定こそしないものの、面接を受ける者の回答に対して、全く関心を持たず、意図的に会話が続かないような「へぇー」とか「そうなんだ」などの受け答えをするタイプの面接官もいます。

これでは受験者が不安になって、本来の自分をアピールできなくなってしまうでしょう。こういった無関心も圧迫面接の事例として挙げられます。

⑤態度が悪い

椅子にふんぞり返って足を組み、ひたすら舌打ちやため息をついてくる面接官は、言語道断です。

このようなタイプに多いのは、「無意識にそのような態度を取ってしまう人」と考えるでしょう。しかし実際には、受験者よりも年齢が上だというだけで偉そうに振る舞ってしまう面接官も存在するのです。

⑥説教

出会って数分の相手であるにもかかわらず、性格を否定したり、成績について指摘をしたり、説教を始めたりする面接官もいるようです。初対面の人に性格を否定されるのは誰にとっても大きなストレス。

もし出会ってしまった場合は、ショックを受けても、「面接官の人格にこそ問題がある」と考え方を切り替えて、その場をやり過ごしましょう。

面接官の中には、人をジャッジするという立場になったことで、とても偉くなったような錯覚をしてしまう人も。緊張の中、ストレスを感じてしまいますが、できるだけ受け流しましょう

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4.圧迫面接への対策

こうした驚くような圧迫面接に予期せず遭遇してしまったとき、どのように対応するとよいのでしょうか。

圧迫面接が始まったら

面接が始まって、「これは圧迫面接かも」と感じたら、これから紹介する対策を頭の中に思い浮かべて心の準備をしてください。

努めて冷静に

面接官につられて感情的にならないよう、冷静さを保ちましょう。相手にしていても意味がないと感じたら、心を「無」にします。瞑想をするように心静かに無の境地に達すれば、どんな罵倒をされても心に傷を負わず乗り越えられるのです。

夕食は何を食べようかなど、全く別のことを考えて、とにかくその場を乗り切るという方法もあります。真正面から取り合わず、自分が今置かれている場所からスライドして気持ちを落ち着かせます。深い深呼吸をして気持ちを整えるのもいいでしょう。

質問してみる

「うちの会社に向いていないのでは」「学校で学んだこと。ここでは活かせないよ」「その性格だとすぐに辞めてしまうと思うよ」「そんな考え、我が社では通用しないよ」など、会社の体質と相性が合わないと否定される場合があります。

緊張して面接を受けている際にこんなことを言われたらショックを受けて慌ててしまうかもしれません。しかしここは冷静に対処しましょう。

試してみてほしいのが、「なぜそう思ったのか」と理由を聞くこと。もし、そこで見解の相違があれば説明し直すこともできますし、否定している部分が明確になれば、そこを補完するような発言もできるでしょう。

伝える

想定される質問を設定して、どんな質問攻めにも対処できるようにしておくのも方法です。事細かに聞かれそうな質問には切り返しを考えて深掘りをしておくと、気持ちに余裕も生まれます。

たとえば志望動機が「受験する企業の製品開発に携わりたい」だけでは、「理由は?」「どうして?」などと突っ込まれる可能性があります。

「なぜ製品開発をしたいのか」「どのような製品を開発したいと思っているのか」など、派生して聞かれそうな質問に対する答えを複数、自分の思いに沿って考えておきましょう。マニュアル通りの答えではないことで、面接官の印象に残りやすくなります。

笑顔を保つ

「面接官が圧迫面接を用いるのは、わざと受験者を感情的にさせて本性を探りたいから」と心得て、笑顔で切り抜けるようにしてください。

  • 学生のノリだね
  • そんな甘い考えじゃやっていけないよ
  • ほかを受けたら?

などきつい言葉を返されても、笑顔を絶やさず対応していれば、面接官の態度が変わる可能性は高いです。

また、やり込めようと攻めていた面接官も、どんな質問にも明るい笑顔で答えてくる受験者にはこれ以上攻めようという気持ちがなくなるでしょう。質問者の目を見てニコニコとはっきり答えることを念頭に置きましょう。

経験と思って割り切る

「貴重な経験をさせてもらってありがたい」と達観するのもひとつの手です。自分の成長のために面接官も仕事で仕方なく厳しい質問をしているのだと考えて、感謝の気持ちを持つようにします。

なかなか難しいことですし、初めは慌てて、そのような考えになれないかもしれません。しかしそのように振る舞ううちに落ち着いて対処できるようになります。

また面接をゲームだと思って、難関ポイントに対峙している自分をイメージするのもよいかもしれません。楽しみながら突破する方法を模索してみると、気持ちが軽くなるでしょう。

圧迫面接の後は?

何とか切り抜けた圧迫面接の後に内定をもらうことがあります。入社すべきか迷うところだと思いますが、いわゆるブラック企業に入らないためにはどうすればよいのでしょうか。

情報を集める

圧迫面接をするような会社に入社しても大丈夫なのか、という視点は忘れずに持っておきましょう。その上で、SNSや同じ面接を受けた人の声を集めるなど、自分なりに情報収集をします。

圧迫面接だったものの実は面接官はとても理解のある人で、わざと厳しくして入社後のリアルな姿を見抜こうとしていたという場合もあるのです。よって「圧迫面接=ブラック企業」と考えるのは早計といえます。

辞退後に、「入社してみたらとても良い会社だったよ」などの情報が入ってきた場合、後悔するのは間違いありません。決断前の情報収集はしっかり行いましょう。

内定については真剣に考える

「圧迫面接=ブラック企業」ではありませんが、入社してから「実はブラック企業だった」と気付いては手遅れです。インターネットやSNS、働いている人の声などを聞いた上で、じっくり考えて決断しましょう。

面接のことを振り返り、改めてやりとりを分析するというのもお勧めです。

さほど大した質問でなくても、緊張していて答えにくかったという思いから圧迫面接のように感じてしまうこともあるでしょう。反対に、理不尽な質問を上手に切り抜けてしまうと、圧迫面接であったのに記憶にその認識が残らないことも。

入社を軽く捉えず、決断前には冷静になるよう努めましょう。

面接だけでは判断できない点も考慮

圧迫面接だったからといって、それが会社のすべてとは限りません。

  • その日に、面接官の部下が大きなミスをしたなど、何らかのストレスを抱えていて機嫌が悪かった
  • 面接官が正しい面接の仕方を知らなかった
  • わざと不測の事態を起こして、受験者がどのように反応するかを観察していただけだった

など、圧迫面接になってしまう理由はいろいろと考えられます。面接の場こそ張り詰めた空気だったものの、社内はとてもアットホームで居心地の良い会社ということもあります。安易に「圧迫面接=ダメな会社」と決めつけないようにしましょう。

圧迫面接でとても不快な思いをしたら、その会社に入社したくないと思ってしまいます。しかし冷静にジャッジすることが大切です

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5.企業が圧迫面接をするべきでない理由

SNSが浸透している昨今、企業にとって圧迫面接をすることはプラスにはなりません。その理由を解説します。

企業や担当者の名前が晒される可能性も

今は、SNSを使って誰もが簡単に情報を発信できる時代。

  • 「●●社は酷い圧迫面接をする会社だ。受けないほうがいい」
  • 「●●社の△△という面接官は圧迫面接をするので要注意」

など、即座に書き込まれてしまう可能性も高いです。圧迫面接をされた受験者は頭に血が上っているため、実際よりも話を盛った形で酷い面接だったと書き連ねるかもしれません。

こうしたマイナスな情報が拡散されれば、次の年に受けたいと思っていた学生の意欲を削ぎ、優秀な人材獲得の機会を失ってしまいます。企業は受験者がSNSという武器を携えていることを肝に銘じておきましょう。

訴訟を起こされる危険性

質問の内容や、面接官が行った対応によっては、面接後にパワハラやセクハラを行ったとして訴えられてしまいます。

とはいえ訴訟は、時間やコストもかかるため、実際にそこまでする受験者は少ないでしょう。しかし、スマートフォンや高性能の録音機なども出回っているため、面接内容が録音されている可能性は考えられます。

訴訟になれば、多額の賠償金を要求されるだけでなく、企業イメージダウンにもつながります。つまり圧迫面接で受験者を試そうとしたり、威厳を見せたりするのは得策ではないのです。

ストレス耐性を見抜くという目的のためだけの圧迫面接であれば、別の方法を考えましょう。たとえば、企業が求めるストレス耐性はどんなものかを明確にした上で、適性検査を実施するといったものです。

優秀な人材を獲得しにくい

当然ですが、圧迫面接により内定辞退は増えます。優秀な人材や自社にマッチした人材に対して圧迫面接を行ってしまえば、獲得できる機会は失われてしまうのです。

優秀な人材は、他社でも内定をもらっている可能性が高いもの。昨今、受験者間で「圧迫面接をされた」という情報を共有する状況は多いです。獲得したい人材に圧迫面接をしていなくても、情報によって内定辞退といったことにもなりかねません。

また、面接を受ける受験者数が極端に減ってしまうということも考えられます。ただでさえ少子高齢化が進み人材確保が難しい時代。1回の圧迫面接が会社の未来を左右すると言っても過言ではありません。圧迫面接のリスクについて改めて考えましょう。

圧迫面接をされたほうは不愉快になりますし、リスクも増えます。誰も得をしない圧迫面接はやめておきましょう

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6.企業が圧迫面接を防ぐ方法

企業はどのように圧迫面接を防げばよいのでしょう?その方法をご紹介します。

  1. 傾聴
  2. 身だしなみ
  3. アイスブレイク

傾聴

傾聴とは、相手を理解することで、話す人が自分への理解を深めつつ建設的な行動が取れるようサポートすること。カウンセリングにおけるコミュニケーション技能のひとつです。

傾聴で大切なのは、姿勢やしぐさ、表情、声の調子など、言葉以外の面にも注意を向けて理解を進める点。また、「言葉によるメッセージを最後まで聴いて理解するよう努める」「言葉の背景にある感情も受け止めて共感を示す」などもポイントです。

自分が聞きたいと思うことを聞くのではなく、相手が話したい、伝えたいと考えているであろうことを、受容的かつ共感的な態度で真摯に聴く行為や技法が傾聴なのです。

そして相手が自分への理解を深めて納得のいく判断や結論に到達できるようにサポートします。

傾聴とは?【意味・目的ややり方を簡単にわかりやすく解説】
傾聴とは、「耳」「目」「心」を傾けて真摯な姿勢で相手の話を聴くコミュニケーションの技法。相手との信頼関係を築くだけでなく、傾聴を通して自分自身を知り、感情のコントロール等精神的成長を促すきっかけにもな...

身だしなみ

面接官の身だしなみを清潔感のあるものに勧めることも重要です。しわしわのスーツを着たり汚れた靴を履いていたりすれば、「いい加減に扱われているのかな」「憧れていた姿はこうじゃない」など受験者に悪い印象を与えてしまいます。

昨今、喫煙は敬遠される傾向にあるため、タバコの匂いのする面接官は嫌われてしまう場合も。前日の深酒でお酒の匂いがするなども言語道断でしょう。

面接官自身の意識の低さから受験者の不信感が募り、その態度を見た面接官が圧迫面接を始めてしまう……という負の連鎖を食い止めるためにも、身だしなみには気を付けましょう。

アイスブレイク

アイスブレイクとは、初対面の人同士が出会った際の緊張をほぐす手法で、集まった人を和ませてコミュニケーションを取りやすい雰囲気をつくります。

参加者の不安や緊張を氷にたとえ、硬い氷を溶かす、壊すという意味からアイスブレイクと呼ばれているのです。

アイスブレイクは、受験者が着席したタイミングで行うのが理想。面接官から話し始め、道に迷わず来られたか、天気やトレンドなどの世間話を振って、気軽な会話からスタートしましょう。

ただ、アイスブレイクが長いと緊張感がなくなってしまいます。数分程度で切り上げるなど適度に行いましょう。

【採用面接】アイスブレイクとは? 自己紹介の例、積み木式、他己紹介など
初対面の人同士が集まった時にできる緊張感は、耐え難いものがありますね。人事担当者として採用面接を行う際、応募者の自己紹介の声が震え、緊張で本来の自分を出せないのは残念に思います。相手の緊張をほぐす、ア...

面接官も受験者も圧迫面接をしっかり理解することが重要です。理解した上で有効な面接につなげようという認識を頭に入れておきましょう