オブザーバーとは?【ビジネスでの意味】アドバイザーとの違い

ビジネスシーンでたびたび登場するオブサーバーという言葉をご存じでしょうか。オブザーバーについて、本来の意味や役割と必要性、またアドバイザーとの違いなどを解説します。

1.オブザーバー(observer)とは?

オブザーバー(observer)とは、傍観者を意味する言葉で、投票権や議決権を持たない会議を見守る人のことです。基本的に発言等は行いませんが、会議の内容に対する客観的・専門的な意見が必要な場合は、発言を求められることがあります。参加者がオブザーバーを意識することで、効率的な会議の進行につながります。

英語のobserveの意味

英語の「observer」は名詞で、動詞は「observe」です。意味は、「陪席する」「観察する」「注意する」「監視する」「観測する」、「良く見る」などになります。

ビジネスシーンで頻繁に使われるオブサーバーの役割を知る際、「observe」の「陪席する」を知っておくと、より理解が深まるでしょう。

オブザーバーと似た言葉

オブザーバーと似た下記3つの言葉について、意味や仕事の内容、役割やどのような業界、分野で使用されているのかなどを説明します。

  1. アドバイザー
  2. オブザーバーパターン
  3. スーパーバイザー

①アドバイザー

アドバイザーの意味は、忠告者や助言者、顧問など。意味が示すようにビジネスシーンでのアドバイザーは、これまでの経験で得た専門的な知識をもとに、会議などの参加者に対して助言や忠告などの意見を発言できる立場の人となります。

主観的な立場で意見が言える上、参加者からは専門家としての助言も求められるのです。

②オブザーバーパターン

オブザーバーパターンとは、コンピュータプログラム内で、オブジェクトの「状態」が変わるのを観察して、ほかのオブジェクトへ通知する仕組みのこと。

通知するオブジェクト側が、通知されるオブジェクト側に観察(observe)される仕組みとなるため、こう呼ばれています。状態変化に応じたし処理を記述する際に有効です。

③スーパーバイザー

スーパーバイザーには、監督者や管理者という意味があります。会社では役職や肩書きとして使用される場合が多く、「SV」と略されるときも。さまざまな業種、業種にある役職で、それぞれ業務も異なります。

たとえばコンビニエンスを展開する企業のスーパーバイザーは、複数の店舗を担当して売り上げやサービスなどを管理します。

「アドバイザー」「オブザーバーパターン」「スーパーバイザー」どれもオブザーバーと似ていますが、それぞれ異なる意味を持ちます。ビジネスシーンでよく聞かれる言葉なのでしっかり理解しておきましょう

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2.オブザーバーの役割と参加する意味

オブザーバーは会議などに参加しても意見をする側ではなく、会議で出たさまざまな意見を聞くことに徹する側です。ではオブザーバーが会議に参加する意義とは、何でしょう。オブザーバーの役割や必要性について詳しく解説します。

オブザーバーの役割

オブザーバーの役割は、あくまでも会議の進行を見守ること。ほとんどの場合、会議での発言権はなく、意見を求められることもありません。発言権がある場合でも、参考意見を述べる程度です。

特定の人に肩入れするような主観は持たず、さまざまな意見を客観的な視点で静かに見守るというのがオブザーバーの大切な役割です。

発言の責任

オブザーバーが会議に出席すると参加者は、客観的な視点で監視されている意識を持ちます。そのため自分の発言に責任を持つようになるのです。

よって無責任だったり一般常識から外れたりといった発言がなくなり、充実した議論が展開されるでしょう。

発言の公平性

オブザーバーは第三者である点を自覚して、参加者たちの意見を平等に観察する重要な役割があるため、会議やプレゼンなどで特定の参加者に肩入れするような発言は許されません

参加者たちの意見が割れたとしても、その状況を正しく見極めなくてはなりません。そして自分の感情や主観に左右されず、事実のみを捉えてまとめる力が求められるのです。

各分野の専門家からのアドバイス

オブザーバーは会議などの傍聴人として、発言権がほぼない立場で参加することがほとんどですが、各分野の専門家をオブザーバーとして招く場合もあります。たとえば新規事業を立ち上げる際、参入する業界に詳しい社員がいないなどです。

オブザーバーの必要性

オブザーバーが会議に参加すると参加者たちは、客観的な視点から監視されている意識が高まるため、充実した議論が展開され会議の質が上がるのです。そのほかにも、オブザーバーの存在が必要とされる3つの目的を紹介しましょう。

第三者視点で監視させる

第三者視点で監視させると参加者たちに適度な緊張感が生まれ、一般常識から外れた発言などが防げます

また特有の都合で決定事項が決まったり、例年の慣例を根拠に十分な議論もせずに決定したりといった会議もあるでしょう。それらを防ぐために、発言権がなくても客観的に会議を見守るオブザーバーが必要なのです。

知識の習得が図れる

新入社員やほかの部署から異動してきた社員をオブザーバーとして参加させると、日常業務では知り得ない最新の情報といった知識が習得できます。会議ではさまざまな議論が展開され、紙の資料では分からない情報が得られるからです。

会社のプロジェクト進捗状況の把握

会社のプロジェクト担当者がオブザーバーとして参加すると、進捗状況を把握できます。実務を担う人は、会議の当事者ではなくても、今後の方針やスケジュールを決定する会議に参加すると、現場での業務に迅速に対応できるのです。

会議で発言権や議決権がなくても、重要事項が決定される経過を知ると、今後の対応を考える際に役立ちます

客観的に会議を見守るというだけで参加者の意識を変える役割、会議の質を上げるためにもオブザーバーの存在は必要です

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3.オブザーバーとアドバイザーの違い

オブザーバーとアドバイザーは、言葉は似ていますが、その役割はまったく異なるものです。オブザーバーは監視者、一方のアドバイザーはアドバイスする人です。アドバイザーの意味とオブザーバーとの違いを解説しましょう。

アドバイザーの役割

アドバイザーとはアドバイスする人のことで、助言者や忠告者、顧問など助言を行う専門家です。ビジネスシーンでは、顧問や相談役のことをアドバイザーと呼ぶ場合もあります。

アドバイザーは、これまでのスキルや経験により得た知識をもとに会議の参加者に助言、アドバイスをすることが大きな役割です。そのためアドバイザーは会議に積極的に参加し、有益な情報を提供します。

第三者として参加するオブザーバーとは、会議での介入の度合いや参加者との距離感が異なるのです。

アドバイザーとの違い

オブザーバーとアドバイザーの大きな違いは、会議の進行に関与する意見が言えるかどうか

オブザーバーはあくまでも第三者として会議に参加しているだけの傍聴者で、一方のアドバイザーは、会議の参加者たちから、専門家として積極的な助言や忠告を求められます。もしオブザーバーが意見を求められても、参考程度となるのです。

オブザーバーは第三者として会議に参加する傍聴者です。アドバイザーは専門家として積極的な助言や忠告を求められます

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4.オブザーバーの日本的意味、言い換え方

オブザーバーは、第三者的な立場として会議に出席して、さまざまな意見を客観的な視点で見守ることが役割です。そう考えると以下のような意味合いもあります。下記の意味について解説しましょう。

  1. 傍聴者
  2. 監視者・監視人
  3. 陪席者
  4. 視察者
  5. 意見参考人

①傍聴者

傍聴者とは、会議などを聞くために許可を得てその場に参加する人のこと。傍聴人ともいい、主に裁判で使用されます。傍聴者の場合、会議や裁判などに参加はできるものの、議決権だけでなく発言権も持っていません。

参議院、都道府県や区市町村などの地方公共団体の議会においても傍聴者を受け入れています。

②監視者・監視人

監視者・監視人とは、会議など話し合いをする中でそれぞれの意見や議題の方向性が変わっていくのを監視する人のこと。議決権を持つ参加者は中立的な立場ではいられないため、監視者・監視人である第三者が会議の内容を監視するのです。

またプールや海などで遊泳者を監視する人などは監視員といいます。遊泳者に事故が起きないように見張る人です。

③陪席者

陪席者とは、陪席裁判官のこと。具体的には、裁判員制において共同して評議を行う裁判員と裁判官組織体(合議体)の裁判長以外の裁判官を指します。

裁判所の風景で、中央に座る裁判長の左右に座っているのが陪席者です。陪席者は発言権や裁判長と議論する権利はありますが、進行役の中心は裁判長のためオブザーバー的存在となります。

④視察者

視察者とは、現場や現地に足を運び、実際の様子や状況を把握する人のこと。たとえば下記のように使われます。

  • 災害の状況を把握するため、被災地に視察者が来る
  • 会議にはさまざまな企業から視察者が訪れる
  • わが社からも視察者を出す

ビジネスシーンでは、視察に来る外部の人をオブザーバーと呼ぶ場合があります。

⑤意見参考人

意見参考人とは、会議に参加している人たちの参考のために、意見を述べる人のこと。たとえば、下記のような例があります。

  • 新入社員の研修に意見参考人として参加を求められた
  • 今回の会議には意見参考人として課長にも出席してもらうことになった
  • 裁判長は意見参考人の出頭を求め尋問し、判決の判断材料とした

オブザーバーには発言権や決議権などがありません。しかし多岐にわたって意味を持ち、ビジネスシーンでも広く多用されています

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5.ビジネスシーンにおけるオブザーバーの意味

ビジネスシーンにおけるオブザーバーとは、会議に参加するけれど、発言権や議決権、投票権などを持たない人を指す場合が多いです。しかし業種や業界、会議によってオブザーバーの役割も多少異なります。2つの例からご紹介しましょう。

例文1

「本日の会議には関東支部よりオブザーバーが参加する予定です」といった案内がある会議では、同じ企業ではあるものの、第三者として会議を主宰する支部とは別の支部の社員が参加するという意味になります。

社内の支部の社員が参加する会議なので、研修のような内容が多いでしょう。しかし本部からオブザーバーが参加するとなると、日常業務の監視という意味が強くなります。

例文2

「ウズベキスタン、ユーラシア経済連合(EEU)のオブザーバーとして参加」というニュース(2020年4月)が報じられました。オブザーバー資格を得ることで、ウズベキスタンはユーラシア経済連合の各種会議への参加が可能になります。

さらにはユーラシア経済連合事務局での貿易経済協力や技術、関税など各分野での経常的コミュニケーションの維持、協力や協議などを通して、経済的メリットが得られることになるのです。

ビジネスの場でのオブザーバーは発言権などを持たないケースが多く、会議や業種、業界によって役割は異なります

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6.オブザーバーが心掛けること

オブザーバーは会議を見守る傍観者です。そのため特別なスキルや資格などは必要ありません。しかし会議が円滑に進むためには、オブザーバーが心掛けなければいけない内容があるのです。ここでは、下記について詳しく説明します。

  1. 自分の言葉に責任を持つ
  2. 自分の立場に気を付ける
  3. 第三者としての自覚

①自分の言葉に責任を持つ

オブザーバーは発言権を持たない場合がほとんどです。しかし会社の上層部や直属の上司などがオブザーバーとして参加する場合、発言が認められるケースもあります。

その場合、会議への影響力が大きいため、発言の内容やタイミングによって会議の進行を妨げる可能性もあるのです。そうした立場の人が参加する際は、自身の言葉に責任を持つように心掛けましょう。

②自分の立場に気を付ける

オブザーバーに求められるのは、あくまでも第三者として客観的な目で会議の流れを監視すること。意見を求められれば発言できますが、それは会議の行方を左右するようなものではなく参考程度でしょう。

オブザーバーの立ち位置をしっかりと理解して発言に気を付けなくてはなりません。同じ会議にアドバイザーが参加する場合も多々ありますが、アドバイザーは専門知識を持って議題に対して助言や忠告をするのが役割です。両者はまったく異なる立場にあります。

③第三者としての自覚

オブザーバーは、第三者の視点から物事を見守らなければいけません。会議では参加者たちの議論が白熱し、論点がどんどんずれてしまう状況もあるでしょう。

その際オブザーバーは客観的な観点から発言して参加者たちを冷静にさせ、会議の流れを変えることもあります。参考意見を述べる際も、主観ではなく客観的に見解を述べるよう心掛けるのです。

オブザーバーは第三者としての立場をしっかり自覚し、自分の発言に責任を持つことを心掛けなくてはなりません

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7.オブザーバーを受け入れるために

会議は特定の決まった参加者で行う場合が多く、外部から閉鎖された集団の中で決定事項が決められる場合も少なくありません。そうした環境は、意図せずとも悪い方向へと向かいがちでしょう。そこで客観的に会議を見るオブザーバーの存在が必要なのです。

オブザーバーを受け入れるメリット

オブザーバーを会議に受け入れると、次のようなメリットが生じます。

  • 新人がオブサーバーで参加している場合、「お手本を見せたい」「きちんとした発言をしなければ」などから参加者のモチベーションが上がり、充実した議論が期待できる
  • 企業の上層部、直属の上司などが参加している場合、「適切に意見を伝えよう」「現場の実情を理解してもらえるよい機会だ」など、積極的に会議へ参加するようになる

オブザーバーを受け入れると、参加者たちの心構えに変化が生じるため、充実した会議になるでしょう