持株会とは? 仕組み、メリット、デメリットについて

持株会とは、持株制度により株式を取得する組織のことです。持株会の仕組みや、会社と従業員それぞれのメリット、デメリットを説明します。

1.持株会って?

持株会とは、持株制度により株式を取得する組織のことで、下記のようにさまざまな種類があります。

  • 自社の株を従業員が取得できる従業員持株会
  • 非上場会社の従業員が親会社などの上場会社の株式を取得できる拡大従業員持株会
  • 会社の役員が当該会社の株式を取得できる役員持株会
  • 会社の取引先が当該会社の株式を取得できる取引先持株会

従業員持株会の組織形態は民法に基づく組合で、経営側の役員は加入できません。ここでは従業員持株会に焦点を当てて解説します。

従業員持株会とは、従業員持株制度により自社の株を従業員が取得できる組織です。組織形態は組合のため、経営側の役員は加入できません

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2.持株会の仕組みは?

持株会とは、従業員の給与や賞与から一定の金額を天引きして集めた資金で自社株を共同で購入するものです。従業員は少額の資金で投資ができ、拠出額に応じて配当金を得られます。

そもそも株とは?

株とは、会社がこれから事業を展開していく上で必要な軍資金を調達するために発行しているもので、正式名称を株式といいます。株を購入して保有するというのはつまり、その会社に出資して事業資金を提供するわけです。

それは実質的に出資者(株主)が会社のオーナーの一人になるといえます。会社が業績を伸ばし儲かって成長すると、株価が上昇し、株を持っている株主にも利益を配分する仕組みになっているのです。

株で儲かるとき損するとき

株で儲かるとき損するときを例から見てみましょう。

たとえば、100万円を投資した会社が大きく儲けたので、株は170万円に値上がりしたとします。その場合、株を売却すると70万円の差益が生まれるので70万円の儲けとなるわけです。

逆に、100万円を投資した会社の業績が悪化して60万円に値下がりしたため、下がる前に株を60万円で売却した場合、40万円の損失となります。

株とは、会社が事業のための資金を集める手段です。その会社が儲かると、株を購入した人にも利益を配分します

3.持株会のメリット

自社株の配当が上がれば従業員の資産として還元されるため、従業員のモチベーションアップとして持株会を設定している会社が増えているのです。そんな持株会のメリットを見ていきましょう。

  1. 福利厚生の充実化
  2. 従業員のやる気向上
  3. 安定した株主
  4. インサイダー取引が適用されない
  5. 奨励金支給
  6. 資産形成が楽
  7. 最低売買単位を気にしなくていい

①福利厚生の充実化

従業員持株会は、上場企業のほとんどや一部の非上場企業で採用されており、そうした企業では一般的に福利厚生制度として位置付けられているのです。

株の利益が出て配当を出せば、従業員にその一部が渡ります。そのため従業員の長期的な財産形成を支援でき、福利厚生制度の充実につながるのです。また福利厚生が充実するため、他社との差別化となり優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

②従業員のやる気向上

会社の業績が良くなれば自社株の配当も上がり、株主である従業員の資産として還元されるため従業員のモチベーションアップにつながると期待されます。また自分が勤務する会社の株を保有するため、従業員に経営への参画意識が生まれるでしょう。

自分の会社という意識が強くなるので、より自社の動向に意識を払い、会社の成長を促す効果が見込めるのです。また従業員が勤務する職場を長期的に維持するという意識を持つと、働きがいとモチベーションアップにつながるといわれています。

③安定した株主

株を発行する会社にとって最も重要なのは、会社の運営権を守ること。従業員持株会は、会社側からすれば長期的に自社株を保有してくれる安定した株主となるのです。

従業員持株会は、一般株主よりも自社の経営方針に賛同している好意的な場合がほとんど。そのため第三者の一般株主から自社株を大量に取得される敵対的買収の防止としての効果が期待できます。

多くの従業員が持株会に加入することは会社側にとっては大きなメリットになります。

④インサイダー取引が適用されない

インサイダー取引とは、従業員や役員、大株主などの会社関係者が株価に影響を与える非公表情報を知った上で、株の売却を行うことで、公平な株式市場を守るために規制されています。

しかし従業員株主会は、定期的な株の売買を目的として設置しているため、インサイダー取引が適用されないのです。

⑤奨励金支給

奨励金支給とは、従業員持株会を通じて株を購入する場合に支給されるもので、従業員が保有する株数が増えます。会社によっては拠出金1,000円に対して、100円~150円もの奨励金が出る場合もあるのです。

銀行に預金しても近年は超低金利時代のため、従業員持株会は従業員によって大きなメリットとなるでしょう。奨励金は従業員持株会への加入促進となるため、多くの会社が採用しています。

⑥資産形成が楽

従業員持株会に加入すると、毎月自動的に給料や賞与から一定額が差し引かれ、自社株の購入へ回ります。毎月の収入から定額を貯蓄に回そうと思っても実際には難しく、なかなか貯められないという人でも資産形成がしやすくなるのです。

自己管理が苦手で金融機関の手続きなどが面倒な人には、余計な手間が掛からない従業員持株会の加入は大きなメリットとなるでしょう。また会社に利益が出れば配当金が増えるのでさらに財産が増えていきます。

⑦最低売買単位を気にしなくていい

株は通常、単元という単位で売買されます。何株を1単元とするかは会社によって異なりますが、2018年から全国の証券取引所に上場するすべての株式が100株単位(1単元)での取引に統一されているのです。

1株当たりの金額が高ければ投資したいと思ってもまとまったお金を用意するのは難しいもの。しかし従業員持株会で購入する場合、単元を気にせず1株から購入できます。毎月1株ずつでも株を買っていけば貯蓄感覚で財産を増やしていけるでしょう。

従業員持株会の設置によって得られるメリットは、「福利厚生の充実化」「従業員のやる気向上」「安定した株主」「インサイダー取引が適用されない」「奨励金支給」「資産形成が楽」「最低売買単位を気にしなくていい」の7つです

4.持株会のデメリット

従業員持株会の設置は、従業員と会社側に大きなメリットが得られる、双方をつなぐ仕組みとして採用する会社が増えています。しかし株主総会の議決権問題、自社株しか保有していないため会社の株価が下がると資産が減少するなどのデメリットもあるのです。

  1. 議決権問題
  2. 会社は配当を出し続ける
  3. 資産減少
  4. 給与と資産が会社に依存する
  5. 株主優待はない
  6. 売却時に注意

①議決権問題

会社の株を所有している従業員は、株主総会の議決権も所有できます。少数株主の権利として、3%の議決権を保有していれば帳簿閲覧権、1%以上で提案権、1株以上で代表訴訟提起権が行使可能となるのです。

基本、経営に大きな悪影響を及ぼす場合は少ないですが、安定的な経営が難しくなる可能性も出てきます。そこで従業員持株会に対して、議決権をなくし、配当を優先する株だけを購入するといった対策を取る会社もあるのです。

②会社は配当を出し続ける

従業員持株会を設置している会社では、配当を出し続けることが前提となります。そのため業績が上がらず経営が不安定になっても、配当を出して経営が圧迫されるということも想定されるのです。規模が小さい会社にとってはなおさらでしょう。

また配当が出ないと、従業員持株会に加入している従業員は「会社の業績がよくないのでは?」と不安になります。また配当を目的に加入している従業員のモチベーションも低下しやすくなるでしょう。

③資産減少

従業員持株会で購入するのは、勤務する会社の株のみ。株は通常、安いときに買って価値が上がって高くなったときに売ります。

しかし従業員持株会の場合、毎月自動的に給料や賞与から一定額が差し引かれ、自社株の購入へと回るため、株価が高いときでも自動的に購入されてしまうのです。

たとえば毎月10,000円出資していて1株1,000円なら月に10株購入できますが、1株2,000円になると5株しか購入できず損をした気分になるでしょう。

④給与と資産が会社に依存する

従業員持株会に加入すると、収入と資産が勤務する会社の業績に依存しやすくなります。会社の業績が悪くなって賞与がカットされるときもあるでしょう。その際、株価が下落する可能性も高いため、投資した分の利益を回収できなくなる場合があるのです。

さらに保有資産が減り、最悪の場合、倒産して仕事を失う可能性もあります。資産運用のすべてを従業員持株会に託すのは大きなリスクといえるでしょう。

⑤株主優待はない

株式投資を行う人の中には、株主優待を目的にしている人も少なくありません。たとえば、自社商品の詰め合わせやカタログギフト、施設の優待券など、多くの会社では株主に対してさまざまな優待を行っています。

しかし従業員持株会は自社株の購入を個人名義の証券口座ではなく、持株会の名義で管理しているため、株を購入しても株式優待は受けられません。

⑥売却時に注意

従業員持株会で購入した株は従業員個人の資産ではありますが、預金のように必要な際に引き出すことはできません。また購入する際は1株から購入できますが、株の売却は原則、1単元ごとです。

さらには個人名義の証券口座が必要で、個人口座を作るのに数週間かかります。株価が下がり株を売りたくもすぐに対応できないのです。最低売買数量に達していない株を現金に換える場合は持株会を解約して買い取ってもらう形になります。

従業員持株会のデメリットは、「議決権問題」「会社は配当を出し続ける」「資産減少」「給与と資産が会社に依存する」「株主優待はない」「売却時に注意」の6つです

5.よくある質問

従業員持株会は通常の株式投資よりもリスクが低いため、うまく利用すればよい資産運用になります。しかし、本当にうまくいくのか不明な点もあるでしょう。そこで従業員持株会に関するよくある質問を紹介します。

買った株は途中で売却できる?

従業員持株会で購入した株は、途中で売却できます。その際の手順は下記の通りです。

  • 会社指定の証券会社に口座を開設する:従業員持株会から自分の株を引き出して自分の口座に入れておくための口座を開設
  • 持株会から自分の株を証券口座へ移す:持株会制度の規則に従って自分の株を証券口座に移す。人事部などに申請すれば移管できる会社が多い

証券会社で、売却手続きを行う:証券会社に連絡をして売却手続きを行う

株を売却するにはどのくらい時間がかかる?

従業員持株会で購入した株は、1単元株の100株に達していないと売却できません。さらに単元株になっても多くの手続きが必要で、会社によっては2週間~6週間はかかると想定されます。一般的な売却の手続きは下記の通りです。

  • 持株会が提携している証券会社の口座開設
  • 会社に持株会の保有株式の一部引出申請を行う
  • 会社から引出の承認
  • 証券会社に保有株式が振替される
  • 自分で株式を売却する

管理職は株を売れない?

管理職になると従業員持株会で購入した株を売れない、という会社もあるようです。その理由は、管理職はインサイダー取引の可能性に関わるからというもの。しかし事前に会社へ申請してインサイダーではないと確認が取れていれば問題なく株が売却できるのです。

また従業員持株会の規則によって、管理職は決算前などの時期は売却が認められないなど株の売却が制限される場合も。M&Aを担当する部署に所属する社員も、株の売却が制限される可能性が高いです。

積み立ての停止は?

規則によって申請の方法は異なりますが、少額とはいえ毎月の積み立てが厳しくなった場合、積み立てを停止できます。積み立てを停止しても配当金は入ってくるため、貯蓄は少しずつでも増えていくのです。

しかし、従業員持株会は全く儲からない、株価が上がらないなどで退会したい人もいるでしょう。ただし従業員持株会は、退会してしまうと二度と入会できなくなります。決断は慎重に行いましょう。

積み立てに上限は?

毎月の積立金額に上限額を設ける会社は多いです。規約によって上限額は異なるため、自社のマニュアルをしっかり確認しておきましょう。

積立金の一般的な上限額は、通常1口1,000円で30口を上限とする会社が多いとされています。口数の変更を見直しする時期や、賞与時期は従来の3倍にする会社も。

毎月の積立金に対して奨励金が支給される場合は、たとえば奨励金が5%とすれば、毎月10,000円の積立金の場合は500円を会社が上乗せするため、10,500円ずつ積み立てていくことになるのです。

株の売却や毎月の積立額、退会、積立停止など、会社によって従業員持株会の規約は異なります。自社のマニュアルを確認しておきましょう